独自の制度や社内カルチャーで社員がいきいきと働く企業を紹介していくこの企画。今回は、新潟を拠点にデジタルマーケティングを活用して日本全国の中小企業をサポートするドコドア株式会社を取材しました。
新潟だけでなく、全国各地にフルリモートで勤務をするメンバーがいる同社。全国の企業に対してどのようなサービスを提供し、どのような企業文化を築いているのでしょうか。
ドコドア株式会社:デジタルマーケティングで地方創生に貢献
ドコドア株式会社は「良質なものが正しく評価される社会作り」というミッションを掲げ、企業のWebサイト制作やアプリ開発を行っています。
独自のノウハウを活かしたWebサイト制作は、多くのクライアントから高い評価を得ています。また、マーケティングから企画・開発まで一気通貫でサービスを提供していることも特徴です。
企業名 | ドコドア株式会社 |
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住所 | 新潟県新潟市中央区笹口1-2 2F |
事業内容 | ・総合デジタルマーケティング事業 ・Web開発事業 ・アプリ開発事業 |
設立 | 2011年2月 |
公式ページ | https://docodoor.com/ |
ドコドア株式会社の本社は、新潟県新潟市にあります。地方都市から全国に向けて事業を展開する思いや、社員の多様な働き方について、経営企画室・採用担当の渡邊さんにお話を伺いました。
更新履歴
2025年7月25日
- 代表取締役CEOの名前を修正しました
2025年7月24日
- 住所・事業内容・公式サイトURLを更新しました
- 制度の詳細を含め、インタビュー内容を最新のものに更新しました
2025年7月2日
- 関連企業の紹介を追加しました
2025年5月26日
- 筆者情報を更新しました
ドコドアのデジタルマーケティング:良質な商品・サービスを正しく評価
▲ドコドアさんのWebサイト制作。独自のノウハウが信頼と実績に繋がっている(公式サイトより引用)
編集部
まず初めに、ドコドアさんの事業内容について教えてください。
渡邊さん
弊社は企業のWebサイト制作やアプリ開発を行っています。Web事業では、クライアント様が抱える集客や採用の課題を、Webサイト制作をはじめ、Web広告・SNS運用・SFA/MAツール導入まで一気通貫でサポートしています。クライアント様のニーズに合わせて、価格や内容の異なる複数のプランを用意しています。
Webサイト制作については、2011年の設立当初からずっと力を入れており、おかげさまで1,600社以上の企業様にご利用いただいております。
また、弊社では、Webサイトは公開して終わりではなく、「公開してからが本当のスタート」と考えており、初めてWebサイトを制作・運用するクライアント様でも安心していただけるようカスタマーサクセスサービスを行なっております。
アプリ開発に関しては、クライアント様の要望に従って一から作ります。一般的にアプリ開発には多額の費用が掛かりますが、弊社ではFlutter(フラッター)(※)というフレームワークを使用することで開発費用を抑えることに成功しています。
(※)Flutter(フラッター)は2018年にGoogleからリリースされたモバイルアプリ用のフレームワークで、iOSでもAndroidでも1つの言語でアプリが作れる
加えて、Web事業で培ったマーケティングやデータ活用のノウハウも活かし、リリース後の継続的な改善提案まで手がけています。
弊社はこうしたWebマーケティングを通じて、ミッションである「良質なものが正しく評価される社会づくり」の実現を目指しています。
編集部
企業様の中には、「製品には自信があるけれど、売り方や広め方がわからない」というところも多いと思います。そんな光が当たっていない「良質な」商品を、ドコドアさんはデジタルマーケティングによって正しく評価されるようにしているのですね。
新潟発、全国展開:ドコドアのフルリモートメンバー
▲青森からフルリモートで働くメンバー。日本各地にドコドアさんのメンバーがいる
編集部
ホームページを拝見すると、ドコドアさんは本社がある新潟以外にも拠点があるようですが、現在どのくらいの拠点があるのでしょうか。
渡邊さん
新潟県に本社である新潟オフィスと三条オフィスがあり、その他に東京オフィスがあります。また、北海道、青森、栃木、長野、京都、大阪、愛媛など全国各地に在住しているメンバーが、それぞれ自宅からフルリモートで勤務をしています。
クライアントについては、約半分が東京の企業様、残りの半分が新潟を含む全国の企業様です。
▲新潟にあるドコドアさんの本社。全国に拠点が広がっても「新潟」という軸足はブレない
編集部
本社が新潟にありますが、やはり新潟への想いは強いのでしょうか。
渡邊さん
新潟は弊社の代表である本間(代表取締役CEOの本間孝之さん)の地元です。東京で広告代理店をしていた本間が地元の新潟に帰った際に感じた「いい商品がきちんと評価されていない」という想いが弊社設立のきっかけとなっています。
たとえば、弊社の創業の地である三条市は刃物製造が有名ですが、地元の職人が丹精込めて作った包丁がホームセンターで安く売られていることがあります。プロモーションさえしっかりすれば、東京の百貨店に並んでいてもおかしくない品質のものです。
こうした地元の企業様をはじめ、プロモーションなどのノウハウが乏しく、真面目に良い商品を作っているのに正当な評価を得られていない全国の中小企業を、デジタルマーケティングでサポートしたいという本間の想いから弊社は設立されました。その想いは「情報の力で豊かな地域を創造する」という企業理念にもなっています。
編集部
ドコドアさんには、そういったある種「地元愛のある」メンバーが集まっているのでしょうか。
渡邊さん
たしかに今、全社員の半数以上が新潟出身や新潟在住のメンバーです。新潟では、Web、IT業界で活躍をしたいと思っても、当てはまる企業の数はあまり多くありません。そして、「Webやアプリ業界に就職するなら東京に行かないといけない」と思っている方も少なくありません。弊社のメンバーは、そんな中でドコドアのことを知り「新潟にいながらWeb、アプリ開発のトップレベルの仕事ができるんだ!」と入社を決めてくれました。
現在、特に中途採用ではフルリモートでの募集も積極的に行っているため、新潟だけでなくそれぞれの故郷や所縁のある場所から、地方企業の支援に邁進しています。
編集部
新潟に本社があることが、ドコドアさんの企業理念である地方創生の想いを体現しているように感じました。その想いに共鳴して志を同じくするメンバーが集まり、その結果、拠点も全国へ広がっているのですね。
新潟発で成長を支える企業・法人
フルリモートワークの実践:場所に縛られない働き方の実現
編集部
各地からフルリモートで参加しているメンバーがいるというお話がありましたが、ドコドアさんではいつからリモートワークを取り入れているのですか?
渡邊さん
2017年頃に青森在住のフルリモートメンバーがドコドアに参画してくれたのが最初のケースです。現在では、本社や三条オフィスに所属しているメンバーは出社とリモートのハイブリッド勤務制です。特に冬の新潟は、雪が多く降って通勤が困難になることもあるため、リモートを活用するメンバーが多くなります。
編集部
フルリモートの働き方に関して、何かルールはあるのでしょうか。例えば、特定の日に出社を求めたり、対面でのミーティングを設けたりしていますか?
渡邊さん
新潟のメンバーに関して、入社時には顔合わせや教育の観点からなるべく出社してもらっています。ただ、それ以外は特になく、ミーティングも基本的にオンラインで行っているので、1ヶ月ほとんど出社しないメンバーもいます。
編集部
コロナ禍以降に、リモートから出社に切り替えた企業もありますが、ドコドアさんでは変更する予定はありますか?
渡邊さん
弊社では、出社必須に変える予定はありません。完全フルリモート、ハイブリッドワークなど様々な働き方を選択できるような体制を続けていく方針です。
新潟で採用になったメンバーの中にも、働く環境を変えたいという理由や、パートナーの転勤などの理由で、他県へ引っ越してフルリモートで働いている方がいます。また、家族の看病や介護で、一時的に故郷に戻って、フルリモートで働く方もいます。
ライフステージの変化があっても、家族との時間を大切にしながら働き続けられる環境が整っていると感じます。
編集部
フルリモートを活用して、実際にメンバーの方々が自由に住む場所を選んで働いているのが素晴らしいですね。また、予期せぬ生活の変化が起きた時にも仕事を続けられる安心感はフルリモートならではだと思います。理念に惹かれた方だけでなく、自分らしく生きて働きたいと思っている方にとっても、ドコドアさんのフルリモートで働ける環境は魅力的だと感じました。
フルリモート導入の成果:全国からの優秀人材獲得と組織強化
編集部
フルリモートを導入したことで、新潟だけでなく全国から様々な人材が集まるようになったのではないでしょうか。
渡邊さん
そうですね。フルリモートを解禁し、全国から優秀な方を迎えられるようになりました。特にマネジメント層の補強ができたことは大きな成果でした。組織のマネジメントができるメンバーが増えたことで、組織に明確な階層ができ、各自の役割分担も明確になりました。
編集部
なるほど。マネジメント層の補強というと、例えば最高財務責任者の安達様が入られたこともそれにあたるのでしょうか。
渡邊さん
はい。安達は2021年に入社しました。それまで大手コンサルティングや税理士法人での勤務経験があり、その経験を活かし、バックオフィス業務の改善から会社全体の意識改革、制度改革まで幅広く担当しています。彼が入社してくれたおかげで、以前に比べて働きやすさが格段に向上し、社内の雰囲気やコミュニケーションの取りやすさもさらによくなったという声が社員から上がっています。
誠実さを重視する社風:嘘のない職場環境の構築
▲ミーティングをするドコドア株式会社のメンバー
編集部
ここまで、フルリモートで全国から様々な方がドコドアさんに参加しているというお話を伺ってきました。その中で、ドコドアさんのメンバーに共通していることがあれば教えてください。
渡邊さん
メンバーの性格としては、物静かな方から活発な方まで個性豊かな人が揃っていますが、共通しているのは気配りができることと、社内外に対して誠実であるという点ですね。
気配りについては、リモートワークが主流となっている現在でも、チャットなどのテキストコミュニケーションにおいて、相手の立場を考えてわかりやすい表現にしたり、ちょっとした気遣いの一言を添えたりなど、丁寧なやり取りを心がけている社員が多く、円滑なコミュニケーションが実現できています。
制作や開発の過程で課題に直面することは少なくありませんが、誰かを責めるのではなく、「どうすれば解決できるか」を前向きに話し合い、協力しながら取り組む姿勢が根付いています。こうした風土が、安心して業務に取り組める環境づくりにつながっていると感じています。
また、誠実という点についてですが、弊社では、クライアントのパートナーとして課題解決まで伴走をしており、一般社員から役員まで、全員が本当にクライアントの課題解決を大事にしています、だからこそ、メンバーが社内外どこに対しても不誠実にならなくていい環境が整っているという点は、弊社の特徴であり、個人的にも誇りに思う点です。
そして、人がすごくいい会社ですね。制度、働く環境、人間関係、どれをとっても新たに入社する方に安心して長く働ける職場だと思います。
家族優先の3×3制度:仕事と家庭の両立支援
▲3×3制度により「いい夫婦の日」に贈られた黒トリュフソーセージ。社員の家族も大切にするという想いが込められている
編集部
次にドコドアさんの社内制度についてお聞きしたいと思います。公式サイトを拝見して一番特徴的だったのが「3×3(サンサン)制度」なのですが、この制度について詳しく教えてもらえますか。
渡邊さん
3×3制度は3つの柱から成っています。「スキルアップのため勤務時間の3%を自由に使える」「スキルアップ目的のため基本給の3%を経費として使える」「親・子・配偶者の3つを大切にする」という3つです。名称は、「3」がキーワードになっていることと、太陽が燦々(さんさん)と降り注ぐイメージからつけました。
編集部
3×3制度の具体的なエピソードがあれば教えてください。
渡邊さん
「親・子・配偶者の3つを大切にする」という点では、11月22日の「いい夫婦の日」にメンバーの配偶者へのプレゼントを会社が手配しています。この制度のポイントは、会社がプレゼントの手配はするものの、送る時は会社名義ではなく、メンバー名義で送るという点です。つまり、メンバーが送ったものとして配偶者に届くのです。
「母の日」にはカーネーションを手配してくれます。自分ではなかなかプレゼントを贈る機会がなかった社員からも、「制度のおかげで親に感謝を伝えられた」と好評です。離れて暮らす家族とのコミュニケーションのきっかけにもなっていて、温かい取り組みだと感じています。
また、家族を大切にしてほしいという思いから、子どもの卒園式や入学式、参観日といった家族の行事は仕事より優先するよう伝えています。その結果、特に3月末から4月初めは多くのメンバーが行事に参加するために休暇を取得しています。
3×3制度を通して、メンバー全員に「何かあった時は仕事よりも家族の方が大事」という意識が浸透すると良いなと思っています。
編集部
「3×3制度」は自己研鑽のためにお金や時間を使うことを会社がサポートし、さらに家族を大事にできる制度なんですね。社員のスキルアップだけではなく、その家族のことまで気にかけてくれるというのはすごくありがたい制度だと思います。
ワークライフバランスを重視する組織
育休取得の推進:男女問わず「家族のために休む」文化の醸成
▲休日に子どもと過ごす社員
編集部
ドコドアさんの休暇制度について教えてください。
渡邊さん
産休・育休については、女性社員の産休育休取得率100%で、男性社員の育休取得実績も多くあります。リーダー職の男性社員が育休を取った実績もあり、家族を大切にすることが当たり前という社風が根付いているので、性別や役職に関係なく、育児との両立を自然に受け入れる環境です。
このように「家族のために休む」ことが当たり前になっていけば、将来、親の介護などで休暇が必要になった場合も、スムーズに対応できると考えています。
編集部
お話を伺って、仕事だけでなくメンバーの生活や将来のことまで考えていることが伝わってきました。その他、特徴的な休暇制度があれば教えてください。
渡邊さん
特徴的な休暇としては、「失恋休暇」「ずる休み休暇」があります。失恋休暇は、入社から5年経過した社員を対象に、一生に一度の大恋愛に限って失恋した翌日に1日取得することができるものです。ずる休み休暇は、5年毎に1日「ずる休み」を取ることができるものです。
感謝の気持ちを共有:サンクスカードによる社内コミュニケーション促進
▲「ありがとう」を送り合うことでリモートでもメンバー間の絆や信頼が強まる
編集部
フルリモートのメンバーも多い中で、メンバー同士のコミュニケーションはどのように取られているのでしょうか。
渡邊さん
基本的に社内のコミュニケーションはチャットワークやZoom、Google Meetで行っています。その中でも特徴的な取り組みとして「サンクスカード」というものがあります。これはチャットワークを利用して、ちょっとした親切や気遣いに対してメンバー同士が「ありがとう」を伝え合う取り組みです。
編集部
「ありがとう」を伝え合うというのはとても素敵な社内文化ですね。新しく入った方でもこのサンクスカードを使って、仕事を教えてもらったお礼を伝えることで、自然に周りのメンバーとの関係を築いていけそうです。
オンライン交流の工夫:「帰りの会」と「シャッフルミーティング」の実施
▲「フルリモートメンバーの帰りの会」の様子。1日の終わりに皆で楽しく談笑する
編集部
サンクスカード以外にもリモートのメンバーが交流する機会はあるのでしょうか。
渡邊さん
フルリモートのメンバー同士の交流を深める「フルリモートメンバーの帰りの会」というものがあります。この帰りの会は水曜日のノー残業デーに開催され、1日の最後にみんなで雑談をしながら、18時に仕事を終える意識を共有する場となっています。
また、「シャッフルミーティング」という全社員約40名が2~3人のグループに分かれて20分程度雑談する機会も設けています。拠点が異なるメンバー同士のコミュニケーションを促進するためです。
さらに、人事が月1回、全社員と15分ほどの面談を行っています。これは堅苦しいものではなく、仕事やプライベートでの困りごとを気軽に話せる機会です。例えば、今年子育てを始めたメンバーには、育児の大変さなどについて聞いています。
編集部
フルリモートや複数拠点での勤務形態だからこそ、様々な形式でコミュニケーションを取る工夫をされているのですね。サンクスカードや定期的な面談を通じて、単なる情報交換だけでなく、気持ちを伝え合うことを重視されていることがよくわかりました。
社内イベント:オフラインの交流も大切に
▲オフライン全体会議で代表が発表する様子
編集部
オンラインミーティング以外でメンバー同士が交流する機会はあるのでしょうか。
渡邊さん
はい、あります。有志メンバーで歓迎会や忘年会、ハロウィンパーティーを開催したり、スノーボードやキャンプ好きのメンバーが休日に集まって、共通の趣味を楽しんだりもしています。
さらに、年に一度、CC(Compass Conference)というオフラインの全体会議を開催しています。全国のメンバーが新潟の本社に集合して、1年の振り返りと来期の目標の共有を中心に行います。会議後は、懇親会を行い、普段なかなか直接顔を合わせることのできないメンバーとも交流を楽しんでいます。
ドコドアが求める人材像:ルールを守りながら成果を求めて取り組める人
編集部
最後に、自由な働き方を成り立たせるために、大切にしているルールや工夫があれば教えてください。
渡邊さん
ドコドアでは、リモートワークなどの自由な働き方を成り立たせるために、全員が守るべきルールがしっかりと定められていて、それを徹底することが事業成長にもつながっていると感じています。
具体的なルールは3点あり、まず1つ目は「カレンダーとSalesforceで業務内容を可視化」することです。スケジュール・工数管理として、日々の業務内容や作業時間をカレンダーとSalesforceで可視化し、チーム全体で目標工数内の納品を目指す体制があります。
2つ目は「こまめなミーティングの実施」です。これも社内で重視していて、毎朝15分のチームミーティングや案件ごとのミーティングを通じて、拠点が異なっていてもすぐに相談できる安心感があります。
最後の3つ目は「9〜18時の勤務時間制」です。フレックスタイム制ではなく9時〜18時の勤務時間を基本とすることで、社内外でのやり取りがスムーズになり、オンとオフの切り替えもしやすくなっています。
少し厳しく感じる部分もあるかもしれませんが、こうしたルールがあるからこそ、社員ひとりひとりが安心して業務に集中でき、成果を出すことができると考えています。
このようにドコドアでは、メリハリのある働き方の中で、チームで支え合いながら、成果に向かって前向きに取り組んでいます。そんな私たちの姿勢に共感してくださる方と、一緒に働けたら嬉しいです。
編集部
ルールをしっかり整えることで、柔軟な働き方でも安心して業務に集中できる環境がつくられているのですね。
本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
■取材協力
ドコドア株式会社:https://docodoor.com/
採用ページ:https://docodoor.com/recruit/