ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、特定非営利活動法人ジャパンハートにインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同法人で働く魅力をご紹介します。
日本発祥の国際医療NGOであるジャパンハートは、「医療の届かないところに医療を届ける。」というミッションを掲げ、東南アジアを中心に医療支援や災害支援に取り組んでいます。
現在200人超の有給職員(国内・海外合計)が在籍し、ライフステージに関係なく自分らしく活躍できる組織づくりを実現。2025年にはカンボジアに新たな小児医療センターの開設も予定しており、さらなる支援の拡がりを目指しています。
今回は、管理本部長の杉山さんとマーケティンググループで活躍する皆川さんに、同法人で働く魅力についてお話を伺いました。
「医療の届かないところに医療を届ける」ミッションを掲げる
編集部
最初に、ジャパンハートが何をされている団体かというのをお教えいただけますか。
皆川さん
私たちは、「すべての人が、生まれてきて良かったと思える世界を実現する。」というビジョンの下で国内外での医療支援や災害支援を実施している国際医療NGOです。
具体的な事例を紹介すると、2024年1月に起きた能登半島地震では、発生翌日の1月2日から支援を開始しました。私たちは、がれき撤去などの災害直後の支援ではなく、被災者の方の生活を守る常駐支援を主に担当していますので、避難場所等での看護や自治体との調整といった役割を果たしました。
支援期間は長くなるケースもあり、東日本大震災の際は宮城県に3年ほどクリニックを設置して活動を続けました。「医療の届かないところに医療を届ける。」というミッションのとおり、メディア等の焦点があまり当たらないような方々に対してサポートするということを重視しているんです。
杉山さん
近年特に力を入れている領域は、小児がんの子どもに対する支援です。2025年度にカンボジアに開設する「ジャパンハートアジア小児医療センター」は同国2つ目の拠点で、アジアの中心となる小児を対象とした病院を目指しています。創設者であり現最高顧問の吉岡秀人も「これまでで最高の挑戦だ」と話していますね。
■ジャパンハートアジア小児医療センター 新病院開設プロジェクト(公式サイト)
https://japanheart-hospital.org/
編集部
組織の規模はどれくらいでしょうか。
杉山さん
2023年度末時点で有給職員が219名で、これにボランティアの方々も加わります。この数字は海外の現地採用スタッフも含めていて、日本国内で契約を結んでいるスタッフは常時30人程度です。
ジャパンハートの組織:20代増加中。民間から入職し活躍するケースも
▲国内オフィス
編集部
御法人では、どのくらいの年齢層の方が在籍されているのでしょうか。
杉山さん
日本人スタッフの平均年齢は35歳程度で、海外の現地スタッフも含めると20〜30代が6〜7割を占めています。最近は20代も増えてきていて東京オフィスにも複数在籍していますし、2025年度からは新卒採用も開始するので、年齢層は今後さらに下がっていく見込みです。
私の肌感覚として、ジャパンハートで働くことについて若い世代からの関心は高まっていると感じます。新卒採用では特に大きな広告を出していないにもかかわらず、予想以上に問い合わせがありましたし、中途採用でも最近は20代からの応募が増えています。
編集部
若手職員の具体的な活躍事例を教えていただけますか?
皆川さん
私がいるマーケティングのチームで、セールスの業務に重点を置いている20代のスタッフがいます。彼女は元々金融系の企業で働いていた経験があり、入職3年目ではありますがエース的な存在として活躍してくれていますね。
営業と言っても一般的な企業のように商品・サービスを販売するようなものではなく、寄付していただける法人・個人を獲得するというのが主となります。そのため過去の経験をそのまま活かせるわけではないのですが、営業事務的な役割など業務範囲を広げ、大きな成約を結ぶなど結果を残しています。
ちなみに、彼女はACジャパンが採択していた当法人のCMを観て「自分もやってみたい」と思ったようです。学生時代にボランティア経験があったこともあり、モチベーション高く仕事に取り組んでいます。
海外勤務も含め、グローバルに活躍できる環境。裁量の大きさも特徴
▲取材にご対応いただいた杉山さん
編集部
若手職員の皆さんは、ジャパンハートの一員として働くことのどんな点を魅力的に感じているのでしょうか。
杉山さん
よく聞くのは、国際的な支援に携わることができるということ、さらにポジションによっては海外での勤務経験ができるという点でしょうか。実際に志望理由としても、「子どもを助けたい」という声と、留学の経験などから「海外での活動に興味がある」という声が多いです。
私自身、2019年5月に入職する前は教育系のNPOにいて、アフリカのウガンダに3年ほど駐在していました。そこで病気のお子さんやその母親との出会いがあり、医療分野に興味を持つようになったんです。入職してからも海外に行く機会は多くて、ちょうどこの取材後にも、創設者である吉岡の、ラオスでの手術活動に同行する予定です。
編集部
皆川さんは、御法人で働きがいを感じるポイントはどこだと思いますか?
皆川さん
我々の組織は裁量が非常に大きく、自分がやりたいと思ったことを提案すると比較的スムーズに挑戦させてくれるので、その点を励みに感じるスタッフは多いと思います。
例えば、私がオンラインのチャリティーウォークイベントを企画したときも、「関係性の近い法人だけでなく、いろいろな一般の支援者や企業の方々にも参加してもらいたい」と提案すると「やってみたら?」ということでスムーズに前に進めていけたんです。
結果的に、お声がけした保険会社の社員さんなどたくさんの方にご賛同いただき、150名もの参加がありました。チャレンジ精神のある方には、すごく適した環境だと思います。
ジャパンハートの女性活躍:育児中でも支え合って仕事を続けられる
▲取材にご対応いただいた皆川さん
編集部
ジャパンハートで活躍されている女性職員の皆さんにフォーカスしてお話を伺います。現在、国内で有給職員として契約されている方の中で女性はどれくらいいらっしゃるのですか?
杉山さん
雇用しているスタッフでいうと、全体の8割強が女性です。この男女比率は意図しているわけではなく、NPO・NGOの業界自体、基本的に女性比率が高いんです。ちなみに、男性である私が肩身の狭さを感じるようなことはありませんよ(笑)。
当然ながら各ポジションに女性がいるのですが、例えば学生インターンで入って一旦民間企業を経験してから、災害支援・対策セクションのリーダーとして災害現場で活躍している女性職員もいます。こちらはひとつのモデルケースになるのではないか、と思いますね。
編集部
御法人が結婚や出産後も長く活動を続けられる組織かどうか、気になる方も多いと思います。その点についてはいかがでしょうか?
皆川さん
私も現在育児中のスタッフの1人ですが、全く問題ないと考えていますね。
私が所属するマーケティングチームは特に子育てと仕事を両立している職員が多く、全員で協力し合って仕事をしています。子どもの急な用事で誰かが対応できない時は、他のメンバーが代わりに対応してくれます。もちろん、きちんと休暇を取れる制度も整っています。
医療を届けること、誰かを支援することに取り組んでいる以上、責任感を持って仕事をするのは大事なことです。ただ、大前提としてメンバーが自己犠牲を強いられることはないと考えています。例えば、子どもが熱を出しているのに「仕事が終わっていないから帰れない」というように無理を強いられることはないんです。
個人の頑張りで「どうしてもここだけはやってしまいたい」ということもあるので、バランスを取るのが難しい場面もありますが、周りのメンバーと声をかけ合って生活を大事にしながら仕事ができる環境がありますね。
自分の仕事を子どもや家族に伝え、後押しを受けられる喜び
編集部
NGOで活躍されている女性の一人として、皆川さんはどのような想いを持って入職されたかお聞きしてよいでしょうか。
皆川さん
わかりました。自分の経歴をお伝えすると、民間の保険会社で営業職とセールス部門のマネジメントを担っていたのですが、配偶者の転勤に伴って退職したんです。
私は大学生の時にNPOでインターンシップを経験していて、その後も同じような誰かを支える仕事にもう一度取り組みたいと考えていました。そんなときにジャパンハートと出会って、家族も「やりたいことをやって」と背中を押してくれたので、入職することになりました。
編集部
ご家族の理解と後押しがあったのですね。
皆川さん
はい。本当にありがたいと思っていますね。
私は子どもをジャパンハートのイベントや創設者である吉岡秀人の講演会に連れて行くこともあります。まだ小学校入学前なので少し難しい内容かもしれませんが、「自分の仕事を知ってほしい」ということと、「こんな活動をしている人がいることを伝えたい」という想いがあるんです。周りの子育て中の職員に聞いても、みんな同じような考えを持っているみたいです。
ジャパンハートのカルチャー:自立しながらも交流の機会多数
編集部
民間企業と比較して、職場の雰囲気が違うのかどうか気になる方もいらっしゃると思うのですが、実際にはいかがですか?
杉山さん
逆に一般の企業のほうを詳しく知っているわけではないのですが、それほど変わらないと思います。皆川さん、どうですか?
皆川さん
以前勤めていた民間の会社では、人数がかなり多い女性だけの営業チームにいて、とてもキャピキャピした雰囲気でした(笑)。そのときに比べると、落ち着いている印象はありますね。
編集部
メンバーに共通する要素はありますか?
杉山さん
ジャパンハートの特徴として、自立して働こうとする方が多いですね。他者に頼りすぎる傾向がある方や、自分で考えて動くことが苦手な方は、おそらく馴染みにくい環境かもしれません。
これは創設者の吉岡が作り出している雰囲気も影響していると思います。マーケティンググループなど、チームで密に連携する部署もありますが、基本的に皆さん自立して仕事をしています。
編集部
皆さんに共通して、プロフェッショナルとして仕事をする姿勢があるんですね。コミュニケーションは取りやすい環境なのでしょうか?
杉山さん
自立すると言っても会話がないわけではなく、むしろコミュニケーションは活発です。入職直後は「忙しそうで話しかけづらい」なんてこともありますが、慣れてくると自然と密にコミュニケーションを取りながら業務を進められるようになります。比較的小規模な組織であることも影響していると思いますね。
日常のやり取りの他には、四半期に1回、全体会を開催しています。オンラインとリアルのハイブリッド形式で、海外スタッフも含め基本全員が参加しています。目的はそのときによって異なり、創設者である吉岡からの話でマインドセットを共有する会もあれば、交流会としてスタッフ同士がプライベートな面も含めて知り合える機会も設けています。
日本のスタッフは、海外でどんなことが起きているかという現場の状況を理解できますし、現場スタッフは国内のサポート体制とその重要性を把握する機会となっています。
ジャパンハートの採用:カルチャーフィットを何より重視
編集部
ジャパンハートの採用において、重視しているのはどの点でしょうか?
杉山さん
一番重きを置いているのは「カルチャーフィット」です。必ず参加いただいている採用説明会でも、事業内容について細かく触れるということはなく、当法人のカルチャーを中心に話して、次いで「なぜ医療を届けるのか」というスピリットについても触れるという内容になっています。
もちろん、選考過程では応募者の経歴やスキルなども拝見しますが、まずはお互いがマッチするかどうかが大事ですから。「この団体で私の時間を使いたい」と感じていただけた方に応募いただくという流れにしていますね。
編集部
応募条件として、ボランティア経験はあったほうがよいのでしょうか。
杉山さん
確かに「学生時代にボランティアをしていた」という応募者も多いですが、必須ではありません。非営利団体や医療分野での職務経験がある方はむしろ少数で、入職後に学んでいただくことを重視しています。海外勤務を志す方についても、現地スタッフとの日常会話程度の英語力があれば望ましいですが、必須要件とはしていません。
なお、条件ではないのですが、自発的に考えて行動する力と、シンプルに体力はあったほうがよいと思いますね。特に現場での活動は精神的な負荷も考慮して期間を区切っていますが、体力は重要な要素となってきますから。
編集部
採用ページの募集要項に「利己と利他のバランスが取れている方」とありましたが、どういう意味でしょうか?
杉山さん
これは吉岡がよく使う言葉です。NGO・NPOはどうしても自己犠牲のイメージを持たれがちですが、それでは長続きしません。当法人の価値観として、「自分の人生と同じように、相手の人生を大切にする」という考えがあり、自分を大切にしてこそ他者を支援できるという想いを込めています。
採用時にも、漠然と他人を助けたいという気持ちだけでなく、「自分が何をしたいのか」という点を深く掘り下げてお聞きするようにしていますね。
メッセージ:「ここで働きたい」と感じたならぜひ応募を!
編集部
最後に、ジャパンハートで働くことに興味を持った方々へメッセージをお願いします。
皆川さん
我々が女性の比率が高い組織であることはお伝えしたとおりですが、そういった属性に関係なく、自分のやりたいという思いがあれば挑戦できる職場だと考えています。
女性の皆さんに伝えたいのは、ライフステージの変化があっても長く働き続けたいという想いがあるのであれば、「誇りを持てる仕事」をぜひお薦めしたいということです。私自身の経験からも、ジャパンハートでは誇りを持って働くことができているので、ぜひ応募して様々なことにチャレンジしてみてください。
杉山さん
吉岡が職員によく言っているのは、「自分の感性の声に従うこと」が大切だということです。もしジャパンハートの事業に共感し、使命感を抱いていただけたなら、ぜひその想いを大事にしていただきたいですね。
NGO・NPO業界に飛び込む前は、給与等の条件面でためらう方も多いと思います。もちろんそれは当たり前なのですが、本当にやりたい思いがあるなら、まずは一歩踏み出してください。自分の考えと異なると感じたならそうお伝えいただければまったく問題ございませんので、ぜひ一度、説明会にご参加いただければと思います。
編集部
本日は貴重なお話をありがとうございました!
編集後記
この記事のまとめ
特定非営利活動法人ジャパンハートのミッションと事業 | ・「医療の届かないところに医療を届ける」ミッションを掲げる ・国内外での医療支援・災害支援を実施、小児がん患者とその家族への支援にも注力 ・2025年にカンボジアに新たな小児医療センターを開設予定 |
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組織文化 | ・裁量が大きく、チャレンジを推奨 ・自立した働き方を重視 ・四半期ごとの全体会で密なコミュニケーションをとる |
若手・女性の活躍 | ・平均年齢35歳程度、20-30代が6〜7割(国内) ・2025年度から新卒採用を開始予定 ・国内スタッフの8割以上が女性 ・育児との両立がしやすい環境 |
採用方針 | ・カルチャーフィットを最重視 ・ボランティアや医療分野の経験は必須ではない ・「利己と利他のバランス」を重視 ・自発的に考えて行動する力と体力を求める |
特定非営利活動法人ジャパンハートの基本情報
住所 | 東京都台東区寿1丁目5-10 1510ビル3階 |
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事業内容 | 国際医療ボランティア団体として、海外・国内で医療支援・障害者支援・教育および自立支援・海外医療人材の育成・小児がんの子どもおよび家族のサポート・災害支援などを実施 |
設立 | 2004年4月1日(ボランティア団体設立) ※2008年11月28日(NPO法人格取得) |
公式ページ | https://www.japanheart.org/ |
採用ページ | https://recruit.japanheart.org/ |
募集職種 | ・災害支援の担当職員 ・営業職 ・医療人材のHR職 ・支援者対応並びに、各種イベントや講演会の運営担当 |