株式会社オンワード樫山で女性が輝く秘訣:メンター制度などキャリア支援が豊富!

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、株式会社オンワード樫山にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。

株式会社オンワード樫山は、国内外あわせて約60社を展開している大手アパレル企業「オンワードホールディングス」の中核をなす会社です。レディース・メンズファッションなどの企画・製造・販売を手がけ、1927年創業という老舗でありながらリアル・オンラインを横断したビジネスモデルの確立や社会貢献活動など、挑戦の姿勢を持ち続けています。

組織面では、全社員の約8割が女性という特徴があり、2030年度までに女性リーダー比率50%を目指すなど、女性活躍を積極的に推進。メンター制度やキャリアプランニング研修を通じて、社員一人ひとりのキャリア形成をサポートしていることが特徴的なほか、13種類から選べるシフト選択制や長期休暇の取得推奨など、多様な働き方を支援する制度も充実しています。

今回は、女性社員のキャリアや現場の声について株式会社オンワード樫山の能井さんに、独自のキャリア支援制度・取り組みについては持株会社として制度設計を担う株式会社オンワードホールディングスの青木さんにお話をうかがいました。

本日お話を伺った方
株式会社オンワード樫山の能井さん

能井 つぐみさん

株式会社オンワード樫山の第一カンパニー ICB Div. 部長。新卒で入社、セールスを経験した後MDの業務に携わる。現在は働く女性向けのブランド「ICB」の運営を担っている。

株式会社オンワードホールディングスの青木さん

青木 莉菜さん

株式会社オンワードホールディングスの人財Div. ダイバーシティ推進Sec. 課長代理。オンワード樫山の営業・Eビジネス・生産管理などに携わった後、ホールディングスにて人事関連の業務を担当している。

オンワード樫山の女性活躍:経営層メンターがキャリア形成を支援

株式会社オンワード樫山の能井さんと株式会社オンワードホールディングスの青木さん
▲取材にご対応いただいた能井さん(左)と青木さん(右)

編集部

オンワード樫山では多くの女性社員が活躍されていると伺っています。最初に、そのお一人である能井さんから、印象に残っているキャリア面でのサポートについてお教えいただけますか?

能井さん

当社には、経験のある役員や先輩社員との対話によりキャリアにおける課題解決を導く「メンター制度」があります。私の場合、これからのキャリアを考える上で、メンタリング(※)の場でいろいろなお話ができたことは非常に大きかったです。
(※)メンター(指導する側)とメンティー(指導される側)での1対1の自由な対話による人材育成手法

部長職である今ではメンターという立場になることもあるのですが、メンティーとして機会をいただいたのは2023年度の課長職のときでした。そのときは経営戦略を担当する役員から、月2回・計8回ほど、主に経営層が考えていることや組織のマネジメントについて話してもらいましたね。

そのメンターは海外赴任をされていて経験豊富なこともあり、実体験を伺うことが多かったので、具体例を抽象化して落とし込み、自分の場合に当てはめて思考を深めていきました。特に、人間関係が社内だけだと思考の幅が狭まるので、社外の方、またアパレル関連業界以外の方と接点を持つことが大事という意見をもらったときは、「経営層でも自主的に行動して学びを得ているんだ」と気づいて非常に勉強になりました。

株式会社オンワード樫山の能井さん

編集部

仕事上のキャリアだけでなく、プライベートも含めた人生設計という点でも参考になったのでしょうか?

能井さん

まさにそのとおりです。実は、私は「仕事は人生の一部分であってすべてではない」という価値観を持っていて、キャリアとライフをリンクさせてこなかったんですよ。それこそ、部長や役員になりたいともそこまで思っていなかったですし。

でも、「定年後にこんな住環境でこんな趣味に打ち込みたい」というような希望を叶えるためには、率直に言うと経済面でも余裕が必要となる。そうすると、仕事で実績を残して社内外で活躍するという新たなモチベーションを持って仕事と人生について考えるきっかけになりました。

対話の中では、ただ疑問に答えてくれるという形ではなく、このようなプライベートに関わることもうまく引き出してくれましたね。同時に、みんな同じようなことで悩んでいるということも知って、ある意味安心したという側面もありました。

編集部

このメンター制度はいつから始まったのでしょうか。

青木さん

2022年7月からです。もともとは女性の経営幹部候補を育成するための施策でしたが、現在は性別を問わずメンティーの課題を解決しながら経営幹部候補を育成するための取り組みとなっています。人事が課題をヒアリングした上で、直属の上司などは除き、適した人材をマッチングさせる仕組みです。

社長自ら社員と意見交換する「ダイアログセッション」を開催

編集部

女性の活躍を支援するものとして、ぜひ紹介したいという取り組みはあるでしょうか。

青木さん

「ダイアログセッション」もオンワード樫山ならではの施策だと思いますので、ぜひお話ししたいです。

このセッションは2023年度にスタートしたものです。社長の保元と当時の部長職の女性社員4名がディスカッションし、ダイバーシティ推進に関する現状把握や情報交換、今後のプロセスについて話し合うという内容でした。結果、参加者のうち2名が翌年執行役員に登用され、先頭に立って改革を進めています。

なお、2024年度は課長職や男性を含め参加者の枠を広げた上で開催し、ダイバーシティ推進に加えそれを事業発展につなげるためにどうするかなど、1回につき約2時間、社長以外は参加者を入れ替えながら全7回のセッションで話し合いました。

先日最後のセッションが終わったばかりですが、さまざまな意見が出ていましたね。例えば新卒・中途採用、障がいの有無、国籍の違いなどさまざまなダイバーシティがある中で、他部署との交流がもっと必要だという声が上がったため、今後の取り組みにもつながってくるのではないかと思います。

女性リーダーが年々増加中。2030年度までに50%を目指す

株式会社オンワードホールディングスの青木さんと株式会社オンワード樫山の能井さん

編集部

これまで伺った取り組みを経て、オンワード樫山の女性社員のご活躍状況に変化はあったでしょうか?

青木さん

当社はファッションビジネスを展開しており、店舗での販売職も含め、全社員の約8割が女性という状況です。

最新のデータがまだ出ていないのですが、女性のリーダー(係長以上)比率について2030年度までに50%という目標を掲げている中、2018年度が20%弱だったところ、2024年度末では30%超になりました。

編集部

女性リーダーをさらに増やしていくためのポイントはどこになるでしょうか。

青木さん

やはり、女性社員が自分のキャリアを想像しやすくなるよう環境を整えることが大事だと思います。先ほどのメンター制度はそれにつながる制度で、業務で関わる上司・先輩以外と話すことで、ロールモデルを見つけてほしいという狙いもあります。

加えて、女性の経営幹部候補が参加して新しいキャリア像を描くサポートをする「キャリアプランニング研修」も2022年度から実施するなど、人事としてもさまざまな取り組みを進めているところです。

オンワード樫山のワークスタイル:「働き方デザイン」で改革を進める

株式会社オンワード樫山が展開するブランド「ICB」の展示会

編集部

ここからは、女性だけではなく全社員を対象としたオンワード樫山のワークスタイルについて伺っていきます。一番大きなトピックは何でしょうか?

青木さん

重要かつ現在進行中のトピックが、2019年8月に開始した働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」です。これは、ワークライフバランスを整え生産性を上げていくことを目的にしたもので、先ほどの女性活躍支援の取り組みもこのプロジェクトの一環です。

働き方デザインの土台となっているのが、「カエル会議」です。これは部署・チーム単位で自分たちの働き方を自分たちで変えるという取り組みで、週1回程度ミーティングをして、互いの意見を否定することなくテーマを決めて話し合っています。

ちなみに、このカエルは働き方を「変える」という意味だけでなく、早く家に「帰る」など、複数の意味を持たせています。

編集部

例えば、どのようなテーマでカエル会議は進行していくのでしょうか。

能井さん

あるときはテーマとして、「チームで仕事をする体制を作りたいのに、業務が属人化されてしまっているよね」という声にフォーカスして話し合いました。

メンバーからは「週に数回は定時で帰れるような状態にしたい」「有休もこの日までにこれだけ取得したい」という目標設定が上がっていて、それを達成するためには、誰かがいなくても回るようにしなければいけない。じゃあ何をすればいいかというと、マニュアルを作ったり、個人が実施可能な業務を可視化したりと、いろんなアイデアが出てくるわけです。

13種類のシフトから選べるなど、新制度が続々と誕生

株式会社オンワードホールディングスの青木さん

編集部

働き方デザインのプロジェクトで導入された制度で、特徴的なものを教えていただけますか?

青木さん

それでは、2022年9月導入の「シフト選択制」と、2020年3月導入の「マイゴールデンウィーク制度」をご紹介します。

シフト選択制は、13種類のシフトの中から個人ごとに勤務時間を決定できるというものです。フレックスタイム制とは少し違って、基本シフトが「9時始業・17時40分終業」のところ、前後1時間の範囲で10分刻みで始業時間を選択できるという制度設計となっています(※)
(※)店舗勤務等シフト勤務の社員は対象外

例えば育児をしている方が子どもの送り迎えのために特定の曜日だけ出勤時間をずらすということも可能ですし、勤務後にライブに行くので1日だけ8時始業にするようなケースもあります。前月までにスケジュールに入力しておけば、理由を問われることはありません。

能井さん

私のチームでも、朝型の人は早いシフトにしていたり、それこそお子さんのお迎えのために10時出社の人が9時出社に変えたりしていますね。それぞれが望む働き方や家庭の都合に合わせて柔軟に選択できるのはすごく良いことだと思います。

編集部

マイゴールデンウィーク制度はどんな内容でしょうか?

青木さん

5月のゴールデンウィークに限らず、10日間の連休取得もしくは5連休を2回に分けて取得する働き方を推奨する内容で、休日取得をさらに増やしてほしいという背景で実施しているものです。

お盆休みや年末年始などの長期連休に連結させるのではなく、「自分オリジナルの連休を作りましょう」という意味合いで、少し前の数字ですが管理職は18日も休日取得数が増加したなど、結果としても出ています。

オンワード樫山のカルチャー:学生からも「仲が良い」の声が!

株式会社オンワード樫山の社内で話す社員4名

編集部

オンワード樫山の社内に浸透しているカルチャーについてお聞かせいただけますか?

能井さん

先日、新卒の最終面接に面接官として参加したときに学生の方から聞いたのが「部署や入社年次に関係なく仲が良いんですね」という声で、言われてみればこれが当社のカルチャーなのかもしれないと感じました。面接でしか来社していないのに、そう感じているということですから。

実際に、私の上司にあたる役員は男性・女性で1人ずついますが、いずれもかなりフランクに話してくれます。一見すると役員だとわからないくらいですよ。

青木さん

当社は、個人プレーではなくチームで仕事に取り組むので、そのことが影響しているのでしょうね。部署によっては、ひたすらPCの前で作業するというよりは衣服を触りながら「ここはこうしたほうがいいんじゃない?」と意見を交わしながらものづくりをすることも多いですから。

オンワード樫山のブランドは少し堅い印象を持たれることもありますが、内側にいると柔らかいイメージの社員が揃っていると感じます。

心理的安全性が高く、発言が否定されない組織づくりを意識

株式会社オンワード樫山のオフィス内階段

編集部

能井さんは、部長職として働きやすい組織づくりのために意識していることはあるでしょうか?

能井さん

会社が設定した研修を受ける中でも度々出てくるキーワードで、チームのマネジメントをしていても感じるのは、心理的安全性の重要性です。発言しても否定されないような雰囲気をつくり出すことは、常に意識していますね。

繁忙期などはどうしても結論を出すことにフォーカスしてしまいがちで、一つひとつの発言をフォローできなかったりもするのですが、そこは振り返ったときに反省して次の会議運営に活かしています。また、年度の初めに組織の行動目標を全員に伝えていて、そこでも心理的安全性を保つようにしようと声をかけています。

あと、生産性向上の観点からも大事になるのがスケジュール管理です。基礎的なことではありますが、社内で使っているOutlookに必ず業務スケジュールを入れるように伝えていますね。

そこで勧めているのが、会議など形のある予定だけではなく、「このテーマについて考える時間」など、目に見えづらい予定もスケジュールに入れておくことです。こういった時間は意外と日々の業務に押しつぶされてしまいがちなので、最初から確保しておくと効率的に作業が進むと感じています。

オンワード樫山の採用情報:アパレル知識が不要な部署もある

株式会社オンワード樫山のオフィス風景

編集部

オンワード樫山の採用に関してもぜひ伺いたいです。中途採用に応募した後は、どういったフローで進んでいくのでしょうか。

青木さん

募集媒体によっても多少異なりますが、基本的にはエントリー後に面接を2〜3回行います。最初はオンラインで実施し、最後は来社いただいた上で人事部はもちろん、応募した部署の部長・役員クラスが参加し、対面にてお話しさせていただきます。

編集部

応募される方に、事前に伝えたいことはあるでしょうか。

青木さん

「ファッションに詳しくなくても問題ない」ということはぜひ強調したいですね。

オンワード樫山はアパレルを扱っているので、店頭に立っている販売員や衣服のデザイナーをイメージされる方が多いと思います。しかしながら、実際には営業企画やデジタルマーケティング、バックオフィスなど、直接的にはファッションと関係しない部署も多いんです。

その中で、まずはご自身の経験・スキルを活かせる仕事をしていただきます。その後、様々な業務に携わっていただくことになるので、ご自身の成長・キャリアアップにもつながります。当社のイメージにとらわれず、ご自身の適性に合うポジションがあれば積極的に検討いただければと思います。

転職検討者へのメッセージ:ファッション愛と行動力がある人を歓迎!

編集部

最後に、この記事を読んでアパレル業界の中でもオンワード樫山に興味を持ったという転職検討者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

青木さん

当社は、先ほど申し上げたように専門性や知識は必要ない部署もありますが、「ファッションが好き」という気持ちがあればより楽しく働ける環境です。チームで協力して進めていく仕事に魅力を感じる方にぴったりだと思います。

あとは、幅広いことに興味を持ち、それに対してすぐに行動できる方を歓迎しています。ファッション業界は変化が激しく、ワンシーズンどころかシーズンの途中でもトレンドが変わっていくような世界なので、即座に対応して自分のブランドで流行の先端を走りたいという意欲のある方と働けたら嬉しいですね。

能井さん

自分の意志を持って、「これがやりたいです!」と発信できる人が向いていると感じています。もちろんビジネスとして成立するかどうかの判断はありますが、目的意識を持ってうまく会社を活用するというスタンスの方を歓迎しているので、ぜひ応募いただければと思います。

編集部

本日はありがとうございました!

編集後記

メンター制度によって仕事上のキャリアと個人の人生設計の両方を一体的にサポートしていることが、女性がさらに輝くための後押しになっているのが印象的でした。また、シフト選択制が育児中の社員だけでなく趣味などにも柔軟に活用されている点は、多様な価値観を尊重する企業方針の表れだと感じました!

株式会社オンワード樫山の働き方のまとめ

キャリア支援
  • メンター制度で経営層から直接指導
  • 社長参加のダイアログセッション実施
  • キャリアプランニング研修の提供
働き方制度
  • 13種類から選べるシフト制
  • 年2回の5連休か10連休取得推奨
  • チーム単位で働き方改革を推進
社風
  • 部署・年次を超えた距離の近さ
  • チームワークを重視
  • 心理的安全性を重視した組織作り
女性活躍
  • 全社員の約8割が女性
  • 課長クラスの女性比率30%
  • 2030年度までに女性リーダー50%目標
求める人材
  • ファッション業界未経験でもOK
  • 変化に即座に対応できる人
  • 自分の意思を持って発信できる人

株式会社オンワード樫山の基本情報

企業名 株式会社オンワード樫山
住所 東京都中央区日本橋3丁目10番5号オンワードパークビルディング
事業内容 紳士服、婦人服、子供服、身の回り品などの企画・製造・販売
設立 2007年3月
※ホールディングス化によりアパレル事業部門を継承する形で設立。株式会社オンワードホールディングス自体は1927年創業、1947年に法人化。
働き方 ・シフト選択制度
・マイゴールデンウィーク制度 など
公式ページ https://www.onward.co.jp/
採用ページ https://www.onward.co.jp/recruit/
募集職種 販売、技術(デザイナー、パタンナー)、ECサイト運営、マーチャンダイザー(企画)、マーケティング、経理など
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。