企業成長の要因や、活躍する若手スタッフにスポットを当てて紹介するこの企画。今回は世界中のレストランとカスタマーをつなぐことで、より豊かなレストラン体験を提供するプラットフォーム「TableCheck(テーブルチェック)」を展開する、株式会社TableCheckを取材しました。
世界中のレストランとカスタマーをつなぐ株式会社TableCheck
株式会社TableCheckは、世界中のレストランとカスタマーをつなぎ、最高の食体験を提供する日本発のレストランテックカンパニーです。
フロアプランの実装から大手POSシステム(※)メーカーとの連携、系列店の空席提案、特許の電話自動応答機能、グルメサイトの自動取込み、オンラインクレジットカード決済やグローバル企業との連携による送客システムなど、これまでになかった新たな価値を生み出し続けています。
※POSシステム:Point of Sale。小売店の商品が販売された時点の情報を管理するシステム
会社名 | 株式会社TableCheck |
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住所 | 東京都中央区銀座2-14-5 TWG銀座イースト6F |
事業内容 | クラウド型レストランマネジメントシステム及び飲食店検索、ネット予約システムの開発・提供 |
設立 | 2011年3月 |
公式ページ | https://www.tablecheck.com/ja/ join/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
ジョインするメンバーの出身国は日本、アメリカ、インド、フランス、韓国、シンガポールと、25カ国以上。世界中の優秀なメンバーと共にグローバルにビジネスを展開する株式会社TableCheckは、コロナ禍を乗り越え、売り上げの過去最高額を毎月更新する高い成長率を誇っています。
そこで今回は、成長の要因を探るべく、代表取締役社長CEOの谷口優さんにお話を伺いました。
グローバルに飲食業界の変革を牽引するプラットフォーム「TableCheck」
編集部
はじめに、TableCheckさんの事業内容についてお聞かせください。
谷口さん
当社は“Dining Connected〜世界中のレストランとカスタマーをつなぐプラットフォーム〜”をミッションに掲げる、日本発のレストランテックカンパニーです。
現在展開している主なサービスは、36の国と地域、約9,000店舗の飲食店様にご利用いただいている予約・顧客管理システム、ユーザー向けとしては飲食店検索と24時間365日リアルタイムの空席情報を把握することができる予約ポータルサイトとなっております。
▲2023年9月末時点のテーブルチェックに関する数字。予約システムの導入店舗は世界36か国に広がっている
編集部
プラットフォーム「TableCheck」は、どのような業態の飲食店に導入されているのでしょうか。
谷口さん
ファインダイニングからカフェまで幅広い業態でご利用いただいておりますが、5つ星、4つ星を獲得したホテル内のレストランのうち、約95%が当社の予約・顧客管理システム「TableCheck」をご利用いただいております。また、ミシュランガイドが認定した星つきの高級店や人気店においても、日本国内の270店舗以上に「TableCheck」をご利用いただいていております。
年次成長率50%の要因は、レストラン業務の自動化による機会損失の回避
編集部
2011年の設立から現在に至るまで、TableCheckさんの成長を表す具体的な数字やエピソードをご紹介いただけますでしょうか。
谷口さん
設立当初は知名度も低く、プロダクトも現在ほど完成度は高くなかっため、地味に数字を伸ばしてきた結果が現在の成長につながっていると感じます。
コロナ禍の煽りを受け、一時的に成長スピードは鈍化しましたが、年次成長率はコロナ禍以外を平均すると50%前後をキープしており、売り上げを見ても過去最高額を毎月更新しているかたちとなっています。2023年度においてはコロナ禍の影響が下火となり、再び以前の成長スピードが期待されます。
編集部
飲食業界はコロナ禍で非常に厳しい状況にあった中、TableCheckさんが鈍化しながらも売上を伸ばし続けることができたのはなぜでしょうか。
谷口さん
レストラン業務のオートメーション化で、機会損失を回避できたことが大きな要因と思われます。
コロナウィルス感染対策のため、短縮営業や店内利用客数の制限などの対策を強いられる中では従業員数も限られ、仕込みと接客をワンオペで行う飲食店も少なくありませんでした。そこに予約の電話が入ると対応できず、予約を取りこぼすといった機会損失になります。
飲食店にかかってくる電話の要件はほぼ予約です。この部分を「TableCheck」でオートメーション化するニーズが高まった側面もあり、経営が厳しいコロナ禍においても解約はほぼありませんでした。
編集部
これまで人力で行なってきた予約を自動化することで生産性が上がり、飲食店の利益向上につながった結果、予約ポータルサイトの機能を備えた「TableCheck」の価値が改めて実証されたのですね。
世界を舞台に飛躍する、TableCheckのレストランテックによるDX支援
編集部
TableCheckさんは海外展開も図られていますが、現在の拠点数についてお聞かせください。
谷口さん
2017年の海外進出以降、現在は8カ国に展開しています。本格的に海外進出に乗り出したのは2019年ですが、すぐにコロナ禍となったため、積極的な展開を図っていませんでした。今後はアジアや中東をメインに拠点を増やしていく方針です。
編集部
過去最高額の売上を毎月更新されたり、海外進出にも積極的に取り組まれているTableCheckさんですが、成長の要因はどこにあるとお考えですか?
谷口さん
要因としてまず挙げられるのが、オンライン予約の需要拡大です。レストラン予約を従来の電話からネット予約に移行したことで、レストランテックが国内外に一気に普及しました。これまで書籍媒体で情報発信していたミシュランガイドがオンラインに切り替えたことを見ても、その動きは顕著です。
グルメサイトやGoogle、Instagramでも公式で予約サービスを展開する中、無数にあるチャネルをレストラン側が管理するのは実質的に不可能なことから、当社のようなレストランテックによるDX支援サービスのニーズが高まったと分析します。
編集部
なるほど。「TableCheck」によるDX支援の具体的な内容についても教えていただけますか?
谷口さん
テーブルオーダーやモバイルオーダーの仕組み作り、古くはPOSシステムなど、レストランテックにはさまざまなプレイヤーが存在します。レストランテックは人手不足や人件費削減などの課題に対し、ITやIoTなどのテクノロジーで解決に導くことが主な役割です。
このような生産性向上の支援の他、「TableCheck」は集積したデータを解析し、マーケティング施策や経営指標の分析にも役立てることができます。
グローバルに通用するビジネスモデルの構築で差別化を図る
編集部
レストランテックの需要が高まる中、TableCheckさんの強みはどこにあると分析されますか?
谷口さん
レストランテックの中でも当社の競合となる予約管理システムの国内主要プレイヤーは3社ほどありますが、他社は国内市場に特化しています。当社は設立当初から海外市場を視野に入れ、展開してきたことが大きな強みと言えます。
海外のプレイヤーや先行事例を研究しつつ、グローバルに通用するビジネスモデルを構築していることが差別化につながっていると考えています。
例えば、世界中にホテルを展開するヒルトンやハイアット、インターコンチネンタルなどのグローバルホテルブランドでは、顧客管理などのセキュリティ対策の強化は必須ですが、各国で使用するシステムを統一したりマネジメントするとなると、その業務は膨大です。
新しいサービスを採用する際、各国で一度ペネトレーションテスト(※)が実行されます。「TableCheck」は日本のサービスとしては唯一テストを通過し承認を受けているので、このような優位性が評価され、ヒルトン、ハイアット、インターコンチネンタルなどにおいては、「TableCheck」をグローバル、またはアジア地域において利用していただいております。
※ペネトレーションテスト:通信ネットワークで外部と接続されたコンピュータシステムの安全性を調査するテスト手法の1つ
自らチャンスをつかみ、成長し続ける平均年齢35歳の若手が活躍
編集部
次に、TableCheckさんにジョインしているスタッフについて伺います。スタッフ数と平均年齢を教えていただけますか?
谷口さん
スタッフは業務委託やフリーランスも含め、約160名が在籍しています。平均年齢は35歳となっており、20代が44名、30代が約80名となっています。
全てのスタッフに共通しているのは、ホスピタリティ業界に対しての愛着と、興味関心を持っていることです。私自身もレストランで外食するのも、料理を作るのもすごく好きなので、一日中レストランのことを考えていられるほどです。
編集部
平均年齢35歳と、若い世代が活躍されている背景にはどのような理由があるとお考えですか?
谷口さん
若い世代のスタッフが増えたのは、コロナ禍が明け、採用を再開した際に当社の事業に興味を持った若い世代が多かったことが理由として挙げられます。
現在活躍している30代のスタッフにおいては、20代で当社にジョインし、チャンスを得ながら自らの力で成長してきたように思われます。また、当社の飲食業界への社会貢献やグローバル展開に対し、真摯に向き合ってきたスタッフの姿に感銘を受けたことで、入社を志望した若手スタッフの声もよく耳にします。
編集部
グローバル展開するTableCheckさんの事業に魅力を感じると共に、先輩スタッフの仕事に向き合う姿勢が、若い世代を魅了しているのですね。
飲食店と消費者にバリューを!TableCheckの社会貢献
▲コンサルティングチームでは、担当クライアントからのフィードバックを細かく共有している
編集部
先ほど伺った飲食業界への社会貢献とは、具体的にどのようなサービスになりますか?
谷口さん
例えば飲食店の予約サイトの多くは、飲食店のシステム利用料金の他、予約客1人に対して送客手数料といった料金負担が発生します。「TableCheck」の予約台帳を使用して予約した場合、送客手数料は一切かかりません。飲食店と消費者、その両方にバリューを届けることは、社会貢献の1つと考えています。
当社は日本の素晴らしい食文化を海外に発信し、市場規模を拡大させることを目指しています。そのためには海外のお客様にご来店いただくことが必須です。
多言語対応しているネット予約であれば予約は容易であり、予約時にクレジットカード情報を入力、連携することで当日のキャンセルによる損失を回避することができます。このようなサービスをいち早く取り入れてきた当社は、日本の飲食業界を支援する企業であることに誇りを持っています。
入社半年で新規事業に着手。“トライ”文化が根付くTableCheckのキャリアパス
編集部
TableCheckさんで活躍する若手スタッフはどのようなキャリアパスを描き、ステップアップされているのでしょう。
谷口さん
新卒で入社した現在25歳の技術部門のマネージャーは、入社時からCTOの右腕として活躍しています。SRE(※1)やCRE(※2)、セキュリティも一手に引き受ける、非常に頼りになる存在です。
※1CRE:Customer Reliability Engineering。顧客信頼性エンジニアリング
※2SRE:Site Reliability Engineering.サイト信頼性エンジニアリング
社長室に在籍する入社半年ほどの24歳のスタッフは、すでに新規事業を手掛けています。自分で予算を取ってインバウンド対策のPRプロジェクトを任せています。営業職では社歴2年弱の29歳の者が大手外資系ホテルの営業窓口に抜擢され、活躍しています。
若手社員の活躍からもわかるように、トライさせることに重きを置く当社には、いわゆる日本企業的な年功序列的な考えは希薄です。そのため、スタッフは名字や肩書きではなく、名前で呼ぶことがルールとなっています。名前で呼ぶことをあえてルールとしていることは、当社の特徴の1つです。
編集部
若手の活躍が目覚ましいTableCheckさんですが、どのようにサポートされているのでしょう。
谷口さん
営業チームや導入チームを対象としたトレーニングがあります。約半年間専任のトレーナーが付き、オンラインとオフラインで基礎をしっかり身につけることで、トレーニング後は比較的自由な動きができます。
当社は週3回のオフィス出社を推奨していますが、それ以外はリモートワークでもオフィスでも自由です。ただ、新人トレーニングのため、入社間もないスタッフとマネージャー陣はほぼ毎日出社しています。若手は教育担当やマネジメント業務を担う者と対面で会話ができることで、さまざまな相談ができることがその理由です。
編集部
出社とリモートのハイブリッドによる働き方を導入することで、若手スタッフはさまざま方法で相談することができ、常に成長できる場を与えられているのですね。
22カ国以上のスタッフがジョインするダイバーシティなチーム構成
編集部
海外展開を図るTableCheckさんには、多くの外国籍のスタッフが在籍していると伺っております。どのようなセクションで活躍されているのでしょう。
谷口さん
25以上のさまざまな国籍のスタッフがジョインするダイバーシティなチーム構成が特徴の当社は、エンジニアチームはほぼ外国籍のスタッフで構成されています。テクノロジーのレベルから見ても、日本以上に進んでいる国の出身者も多数在籍しています。
また、さまざまな考えを持ち、成功事例を熟知しているメンバーもいるので、非常に競争優位性のあるチームが構成できているように感じます。
編集部
さまざまな国籍の方が活躍するTableCheckさんの社風やカルチャーについてご紹介いただけますか?
谷口さん
年齢や国籍の他、バックグラウンドもさまざまな者が集まっている当社には、積極的にチャレンジしていく姿勢を評価する社風が根付いています。
そのため、極端ではありますが、インターンだろうが新卒だろうが、能力があれば大きな仕事を任せたり、レスポンスビリティを与えることがあります。
編集部
外国籍の方はどのような経緯でTableCheckさんにジョインされているのでしょうか。
谷口さん
スタッフとつながりのある者が当社の業務やカルチャーを知り、面白そうと感じてジョインするケースが多いように思われます。また、技術職においてはテレワークが可能なので、海外在住でも働けることに魅力を感じているようです。
採用の際に国籍を限定していない当社は、物理的な働く場所ではなく、その者のパーソナリティも含め、多様性を尊重しています。結果、さまざま国と地域からジョインする者が増えたと分析します。
ダイバーシティがもたらす、既存の枠にとらわれない自由な発想力
編集部
ダイバーシティはTableCheckさんにどのような効果をもたらしているのでしょう。
谷口さん
一言でいうなら“Thinking Out of the Box”、既存の枠にとらわれない自由な発想力です。みんなと同じことをやるだけでは勝負に勝つことはできません。やはり、挑戦するにはリスクを覚悟で取り組む必要があります。
同質的な者だけでは常識が共有されるので、非常識なことを考えるのがすごく大変なんですよね。例えば、エスカレーターの手すりは日本では当たり前ですが、カンボジアにはありません。手すりのないエスカレーターを作る発想は日本人しかいなかったらまず思いつかないでしょう。
ダイバーシティがあることによって斬新なアイディアが飛び出すことは、競争優位性を生み出す、あるいは維持する上で必要不可欠だと思っています。
編集部
ダイバーシティならではの発想で実現したサービスがあればぜひ、ご紹介いただけますでしょうか。
谷口さん
予約時にクレジットカード情報を入力するシステムです。こうすることで万が一キャンセルになった時、店側はキャンセル料を請求することができます。
しかし、予約の段階でクレジットカード情報を求めることで予約を躊躇する顧客が増えるのではと、当初の反応はあまり良くありませんでしたが、キャンセルによる損害を回避できるため、徐々に日本でも定着しつつあります。
ホスピタリティ業界に興味関心があり、世界を舞台に活躍したい方を歓迎
編集部
世界中の飲食店と消費者を繋ぐTableCheckさんの事業や、グローバルな事業展開、カルチャーに興味を持った読者は多いと思われます。最後に、採用において御社が求める人物像についてお聞かせください。
谷口さん
最も重要なのは、“好きこそものの上手なれ”というマインドです。同じ能力があっても、レストランやホテルなどのホスピタリティ業界に対する興味関心や熱意、愛情の有無が差を生むと考えます。
ホスピタリティ業界は、お客様のことを常に考えて行動することが求められます。打ち合わせに1分でも遅れてきた者は、お客様に対しても同じことをすると捉え、当社では認めることはできません。また、相手を不快にさせない身だしなみも重要です。
グローバル展開を図る当社は、世界を舞台に活躍したい方を歓迎します。自分で考えて行動し、常識にとらわれない発想力で共に成長していきましょう!
編集部
TableCheckさんが創出するさまざまなサービスは、やがてホスピタリティ業界のグローバルスタンダードになると感じました。また、御社のカルチャーに感銘し、興味を持った読者の心も動かしたと思われます。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社TableCheck:https://www.tablecheck.com/ja/join/
採用ページ:https://careers.tablecheck.com/ja