独自の経済圏を作る株式会社友安製作所の自立を促し若手が活躍するカルチャーとは

カルチャーやバリューを大切にしながら成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、通販事業やカフェ事業、工務店事業などを展開している株式会社友安製作所にお話を伺いました。

6つの事業で独自の経済圏を作る株式会社友安製作所

株式会社友安製作所のオフィスで業務に当たる社員たち

株式会社友安製作所が展開しているのは、「通販事業」「カフェ事業」「工務店事業」「メディア事業」「レンタルスペース事業」「まちづくり事業」の6つの事業です。

創業から70年以上の長い歴史を持つ同社は事業の形を変え続け、今では同社独自の経済圏を作るまでに成長しています。

会社名 株式会社友安製作所
住所 大阪府八尾市神武町1番36号
事業内容 インテリア・エクステリア・DIY用品の輸入、製造、インターネット通信販売、レンタルスペース事業、飲食事業、工務店事業
設立 1963年1月25日(1948年創業)
公式ページ https://tomoyasu.co.jp/

同社には代表も含めた全社員がニックネームで呼び合うなど、フラットなカルチャーがあります。10個のコアバリューを社員一人ひとりが大切にし、理念共感型の経営を進めているのです。

同社の成長の背景や若手社員の活躍ぶりについて、代表取締役の友安啓則さん、ソーシャルデザイン部広報課の國清彩さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社友安製作所の友安さん

株式会社友安製作所
代表取締役

友安 啓則さん

株式会社友安製作所の國清さん

株式会社友安製作所
ソーシャルデザイン部広報課

國清 彩さん

インテリアECやカフェ運営、「まちづくり事業」など幅広く展開

株式会社友安製作所のショップ内観
▲インテリアショップを兼ねている友安製作所カフェの内観

編集部

初めに友安製作所さんの事業内容について伺わせてください。

友安さん

友安製作所の事業は大きく「通販事業」「カフェ事業」「工務店事業」「メディア事業」「レンタルスペース事業」「まちづくり事業」の6つに分かれます。

核となっている事業が通販事業です。インテリアやDIYアイテムのオリジナルブランド「Colors」を自社で開発し、自社のECサイトなどで販売しています。カフェ事業で展開しているのは、家具や内装を弊社でプロデュースしたカフェです。現在、東京と大阪、福岡に店舗があります。

友安さん

次に工務店事業では、自社の製品を活用したリフォームや、お客様のDIYをお手伝いさせていただく「DIYサポート」というサービスも手掛けています。

メディア事業が担っているのは、弊社の広報活動です。弊社に関する情報が掲載されているWEBメディアやフリーペーパーを展開しています。レンタルスペース事業で手掛けているのは、レンタルスペースの検索予約ポータルサイトの運営です。

まちづくり事業では、地域に根ざしたコミュニティデザインや、企業家・起業家育成事業のプロジェクトマネジメントをはじめ、講演やワークショップの運営等を行っています。

また弊社が本社を置く大阪府八尾市の情報発信にも努めています。八尾市は製造業の中小企業が集まる街で、「ものづくりの街」といえるのです。ものづくりの街としての八尾市の魅力を世界に発信していきたいと考えています。

株式会社友安製作所が年に一度開催しているトモヤスフェスタの様子
▲地域に貢献するという想いのもと、さまざまな事業を展開している

編集部

まちづくり事業は地域貢献につながる事業ともいえますが、地域に貢献したいという思いを強く持っていらっしゃるのでしょうか?

友安さん

八尾市の企業さんは本当に素晴らしい製品を作れるのですが、その製品をどうやって売ればいいのかというノウハウの部分で弱みを持っていらっしゃるケースが多いです。ですので、友安製作所が情報発信といった部分でお手伝いができればと考えています。

また、私は「みせるばやお」という団体の代表理事も務めています。この団体は八尾市内の企業で構成されている団体で、近鉄八尾駅前にある商業施設のスペースを使って交流会やワークショップを開催するなどしています。

団体の目的は、八尾をものづくりの街としてブランディングしていくことです。

編集部

地域貢献への思いを実際に形にしていらっしゃるのですね。

独自の経済圏「Colors circle」の原点にあるものづくりへの思い

株式会社友安製作所のカーテンフック製造機

編集部

今でこそ多様な事業を展開されていらっしゃる友安製作所さんですが、もともとはどのような事業を手掛けていらっしゃったのでしょうか?

友安さん

友安製作所のルーツは1948年に創業した大阪の町工場にあって、そこからずっとものづくりをしてきた会社なんです。

私の父親の代では、針金を曲げる線材加工という事業を展開していました。ただ、私が友安製作所に入社する2004年ころには、線材加工の事業が海外からの輸入品に押されているという状況だったのです。

そこで、私はインテリアの輸入販売を当社のメイン事業に切り替えました。その後順調に成長し、社員も増えていったのですが、7年ほど前に「製作所でありながら何もものづくりをしていない」ということに気付いたのです。

やはりものづくりの部分をもっと大切にしたいという思いから、ものづくり企業に回帰することに決めました。

線材加工の事業を展開していたころに使用していた機械は、実は弊社で開発したものです。また、弊社にはインテリアの輸入販売を手掛けるようになって入社したデザイナーも在籍していました。

そんな環境があったこともあり、弊社のデザイナーがデザインした製品を自社で作って販売するという今のものづくりのスタイルを始めることができたのです。

編集部

これまで培ってきた技術と新しいビジネスがうまくマッチしたのですね。そこから事業を拡大していかれた友安製作所さんですが、6つの事業を展開することで生まれる相乗効果は何でしょうか?

友安さん

友安製作所では、これら6つの事業のつながりが一種の経済圏のような役割を果たすサークルと捉えています。このサークルについて、弊社では「Colors circle」と呼んでいます。

例えば、弊社の運営メディアで私たちのことを知ったお客様が、「友安製作所カフェ」に訪れたとします。カフェの内装は弊社プロデュースですので、もし気に入っていただいて自分の場所にも取り入れたいとなれば、同じく我々が展開する工務店事業の出番となるでしょう。

もしリフォームを手掛ける場所がレンタルスペースであれば、弊社が運営するレンタルスペース検索予約ポータルサイトにご登録いただくことになります。

こうして接点を持ったレンタルスペースのオーナーさんは、通販事業の見込み客にもなり得るのです。私たちは弊社運営のECサイトで使えるクーポンをオーナー様にお配りしています。このようにワンストップでお客様の要望に応えられるような経済圏を作っているのです。

編集部

まちづくり事業はColors circleのなかでどのような役割を果たすのでしょうか?

友安さん

まちづくり事業はColors circleのなかでブースターのような役割を果たしています。友安製作所単独でColors circleを回しても、それほど大きな力にはなり得ません。

まちづくりという文脈でさまざまな企業さんを巻き込むことで、関係人口を増やし、さらにColors circleを回していきたいと考えているのです。

編集部

さまざまな企業同士が連携するからこそ大きな影響力を持つ経済圏が構築できるのですね。

成長要因の強みは「デザインと技術の融合」「多様な人材の活躍」

株式会社友安製作所の鉄工所で作業に当たる社員

編集部

独自の経済圏を作り上げるほどに成長されている友安製作所さんですが、ここまでの歩みを振り返られていかがでしょうか?

友安さん

私は2016年に社長に就任しましたが、2004年に友安製作所に入社して新しいサービスを一人で始めて、スタッフを少しずつ増やしていきました。もともと社長業に興味があったわけではないのですが、台湾に拠点を作るとなったタイミングで代替わりをしました。

ものづくり企業に回帰して事業を増やしていくことで、明らかに自分たちの領域が広がっていくのを感じましたね。自分たちが関われる範囲が広がっているのです。領域が広がっていくと、その分人材も必要になってきます。

人材が増えて、一人ひとりががんばってくれるおかげで売り上げも増やせていますし、Colors circleも作れていると思います。

編集部

ここまで事業領域を広げられるほど成長した要因としては何が挙げられるでしょうか?

友安さん

友安製作所の最も優れているところは先ほどもお話ししたように、デザインと技術を融合させている点が挙げられるでしょう。

例えば弊社の鉄製プロダクトは溶接で部品をつなげてはいるものの、溶接跡を分からないように加工していて、もともと1個の個体だったように見せています。そうすることで、見た目がきれいなのはもちろんのことインテリアに馴染みやすくなるのです。

また、デザインと技術を融合させたうえで、自分たちで販売する手段も持ち合わせています。ECサイトを運営するにあたっては企画やデザイン、製造、販売、カタログ製作や写真撮影を全て自社で完結させているというのも弊社の強みとして挙げられます。

編集部

製造を担当する社員さんだけでなく、さまざまな技術を持った社員さんが在籍されているのですね。

友安さん

友安製作所にはプログラマーが6名在籍していますし、WEBデザイナーも12名います(2023年12月現在)。そのほかグラフィックデザイナーやカメラマン、ライターも活躍していますね。

編集部

一般的な製造業の会社さんでは見ない人材も活躍されているということに驚きます。

自律を促すコアバリュー「TOMOYASU WAY OF LIFE」

株式会社友安製作所のオフィス内観

編集部

ここからは友安製作所さんのビジネス展開以外のことについても伺っていきたいのですが、友安製作所さんだからこそのカルチャーはございますでしょうか?

友安さん

友安製作所では私も含め社員同士がニックネームで呼び合っています。例えば私ですと「ボス」と呼ばれますし、國清は「シアン」と呼ばれています。

新入社員には入社するときにニックネームの候補を3つほど出してもらって、そこからみんなで決めています。社内ではそのニックネームでしか呼び合いませんし、さん付けも禁止です。風通しの良いフラットな組織を作りたいという思いで10年前ぐらいから始まりました。

編集部

「社長」よりも「ボス」の方が気兼ねなく話しかけられそうだなと感じました。フラットな組織を作りたいとのことでしたが、友安製作所さんで組織づくりにおいて意識していることは他にございますでしょうか?

友安さん

友安製作所では行動指針である「TOMOYASU WAY OF LIFE」というコアバリューを設定しています。行動指針は10個あり、多様性を認め合うこと、常にアップデートを心掛けること、自分事化することなど、社員に大切にしてほしい価値観を提示しています。

この10個の行動指針に沿った行動をしてもらうことで、いわゆる「友安製作所っぽい人」というイメージができあがるのです。コアバリューはもちろん強制するものではありませんが、実践することでそれぞれが自分で考えて行動できるようになります。

編集部

コアバリューを実践することで社外に対してはどのような好影響があるのでしょうか?

友安さん

友安製作所には一日に何十人というゲストが来られます。ご来社いただいたお客様には「すごく楽しそうに働かれているんですね」という言葉をよくいただきますね。

お客様に対して、会社のカルチャーやバリューを語ったわけではありません。それでも、弊社で働いている社員を見ると、やはり感じるものがあるのだと思います。弊社には、お客様に自慢できる社員しかいないのです。

新卒1年目でイベント運営の中心的な役割を担う、若手が活躍できるフラットな環境

株式会社友安製作所が年に一度開催しているトモヤスフェスタの様子
▲新卒入社1年目の國清さんが大規模イベント運営の中心的な役割を担った

編集部

フラットなカルチャーがあるということで若手の社員さんの活躍の場も多そうです。活躍の事例について伺わせてください。

友安さん

友安製作所では年に一度、ものづくり企業が集まる大規模イベント「トモヤスフェスタ」というのを開催しています。毎年4,000人ほどの方が来場され、2023年も11月に開催したのですが、プロジェクトメンバーの中心的な役割を果たしてもらったのがシアン(國清さん)です。

シアンには出店者とのやり取りはもちろん、社内の調整役も担ってもらいました。社内には勤続年数10~15年のベテラン社員もいて、そういったメンバーに働きかけなければならないのですが、みんなからはかなり好評でしたね。ベテランの社員たちは「自分たちの扱い方がうまい」と話していました(笑)。

シアンは新卒入社1年目なのですが、ベテランの社員が一人の仕事人として認めているような印象を持ちました。状況を把握し、的確な指示を出していたようです。

弊社の社員の特徴の一つですが、しっかりと振り返りをして次に生かせる方が多いように思います。理念に共感して入社しているからこそ、そういったベースの部分は新卒の若手社員とはいえしっかり身に付いていると感じますね。

編集部

國清さんは友安さんの言葉をお聞きになっていかがでしょうかか?

國清さん

とてもありがたい言葉ですね。友安製作所は新入社員だからといってみくびることなく、しっかりと話を聞いてくれる方々ばかりです。その上で、違うと思ったことはしっかりと伝えてくださいます。

弊社では個人の日報をツールを使って共有しているのですが、自分の書いた日報について褒めてくれたりアドバイスをくれたりします。日々コミュニケーションを取れているので、もし業務にプレッシャーを感じていても自然とほぐれていきますね。

編集部

上下のない健全なコミュニケーションが取れているからこそ、入社1年目でも活躍できるのですね。

理念に共感し、自分の個性を発揮しながら活躍してほしい

編集部

國清さんは新卒で入社されたそうですがいつから新卒採用を始められているのでしょうか?

友安さん

実は新卒採用についてはシアンの代が一期生で、2023年度入社から始めました。というのも、私自身が新卒採用にあまり良いイメージを持っていなかったのです。

ただ、会社のミッションやビジョンを考えていくうちに、新卒で入社した社員の方が共感度が高いと感じました。自分たちの思いに共感しているからこそ、会話がしやすい部分があります。

理念への共感というのは、スキルよりも重要な部分です。ですので、今は自分の考え方を改めて新卒採用を続けていく予定です。

株式会社友安製作所の國清さん
▲「友安製作所は自分で主体的に動くことが求められる会社」と話す國清さん

編集部

最後に、新卒はもちろん中途で入社してくる方に向けてメッセージをお願いいたします。

國清さん

私自身も友安製作所の理念に共感して入社しました。入社して感じたのは、自分で主体的に動くことが求められる会社だなということです。

それぞれの社員のキャラクターは違いますが、理念に共感しているという部分はみんな共通しています。これからも同じ思いを持っているさまざまなキャラクターの方とお会いしたいですね。

友安さん

さきほどお話しした友安製作所の10個のコアバリューのなかに「Show Your COLORS」というものがあります。これは「自分の個性をさらけ出しましょう」という意味です。弊社では自分の個性をめいっぱい出してほしいですね。

弊社は、自分の個性を大切にしながら、会社が持っているビジョンを一緒に叶えられるような人材を歓迎します。新卒の方はもちろん、第2新卒の方も募集していますので、トライしていただけると嬉しいです。

株式会社友安製作所の友安さん
▲「自分の個性をめいっぱい出してほしい」と話す友安さん

編集部

自分の個性を発揮できる環境があるからこそ多様な人材が活躍し、独自の経済圏を確立できているのだと感じました。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社友安製作所:https://tomoyasu.co.jp/
採用ページ:https://tomoyasu.co.jp/recruit/