amu株式会社で働く魅力:漁網リサイクルのパイオニアとして成長できる理由

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、amu株式会社にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。

amu株式会社は、「いらないものはない世界をつくる。」というビジョンのもと、漁網のリサイクル事業を展開する気仙沼発のスタートアップ企業です。回収から製品開発・販売まで一貫して手がけ、環境問題の解決と地域活性化の両立を目指しています。2023年5月の設立以来、フルリモートを導入し、全国から多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっています。

最新のサステナブルな取り組みとして注目を集める同社では、漁網リサイクルの仕組みそのものを創造する挑戦に取り組んでいます。製品開発からマーケティングまで、幅広い分野で新しい価値を生み出すことに情熱を注ぐ職場環境が整っています。

今回は、amu株式会社の漁網リサイクル事業や働き方について、取締役の芦原さんと立元さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
amu株式会社の取締役の芦原さん

amu株式会社
取締役

芦原 昇平さん

amu株式会社の取締役の立元さん

amu株式会社
取締役

立元 久史さん

気仙沼から広がる"いらないもの"を価値に変える挑戦

インタビューに応えてくれたamu株式会社の取締役の芦原さん
▲ビジョンについてお話してくださった芦原さん

編集部

まずは御社の企業理念についてお聞かせください。

芦原さん

まず、 弊社のビジョンは「いらないものはない世界をつくる。」です。ものの見方を少し変えることで、捨てられてしまうものでも十分な価値を見出せると考えています。物だけでなく、人も含めて、適材適所でそれぞれの価値を見出していきたいと思っています。

会社のスタート地点であり拠点にする宮城県気仙沼市は、漁業を中心としており漁業に関連するさまざまな産業が集まっています。その中で、これまで資源として見られてこなかった漁具漁網に着目し、事業をスタートさせました。

会社名の「編む」には「編集する」という意味を込めています。各地域にあるストーリーを大切にしながら、そこにあるものの見方を変えることで、地域の新しい1ページを作っていきたいと考えています。

amu株式会社のオフィス内観・勤務中の様子
▲ビジョンの実現に向け日々奮闘するメンバー

編集部

5つのプロミスを設定されていますが、こちらについてもお話を伺えますか?

芦原さん

amuでは、事業に取り組むうえで大切にしたいこととしてプロミスを設定しています。「Identity」「Background」「Fun」「Passion」「Respect」の5つです。

まず「Identity」ですが、地域ごとの風土やアイデンティティを汲み取り、その土地で大切にされている価値観や、なぜその価値観が大切かという背景を尊重して事業を組み立てることです。

「Background」は、表面的な課題にとどまらず、その背後にある文脈を捉えることを重視しています。例えば、漁網の廃棄問題は漁業者個人個人の責任によるものではなく、社会全体で漁網をリサイクルする仕組みが整っていないことで起きているのだと考えます。そのため、私たちは漁師に対して適切な処理を要求するだけではなく、同時に新しい仕組み作りに取り組んでいます。課題の根本的な解決を重視しているのが特徴です。

次に「Fun」は、周囲の人々を巻き込むためにはまず自分たち自身がわくわくするようなものを作ることが大事だと考えています。地域の素材や産業を活用し、それを通じてワクワクする製品を生み出していきます。

「Passion」については、弊社のメンバーはほとんどが20代であり、その若さを活かしてスピード感を持って行動しています。情熱をもって地域の課題に取り組んでいきたいという気持ちを大切にし、常に学び続ける姿勢で物事を進めていきます。

最後の「Respect」は物に対してもリスペクトを持って接することを大切にしています。たとえば、漁網は一見するとゴミのように見えますが、その漁網の物語や価値をしっかりと見定めて、尊重し、素材として活用します。物事を発想する際にも、アイデアにリスペクトを持って着想することを心掛けています。

編集部

気仙沼は震災の被災地域でもありますが、漁業の再考という観点で何か社会的なやりがいを感じていらっしゃいますか?

立元さん

私が気仙沼に関わり始めたのは2021年からで、その時点である程度復興は進んでいました。しかし、その先のフェーズとして、地域の人々が街の活性化や観光、厳しい状況にある漁業をどう発展させていくかを必死に考えている姿に、大きな感銘を受けました。復興後の新たな街づくりに携わる人々の姿勢に強く共感しています。

事業内容:漁網リサイクルからアパレル・インテリアへの製品化まで

amu株式会社の「Faw Tokyo2024」展示会での全体写真
▲「Faw Tokyo2024」での展示会の様子

編集部

漁網のリサイクル事業を展開されていますが、具体的な事業の流れについて教えていただけますか?

芦原さん

私たちの事業は、漁網の回収から製品の販売まで一貫して行っています。各地域の漁協さんや漁師さんと密接に連携し、地域に合わせた回収の仕組みを作っています。地域の就労支援施設とも協力しながら、環境問題の解決と地域貢献の両立を目指しています。

編集部

現在の製品開発や製造についてもう少し詳しく教えていただけますか?

芦原さん

製造には大きく二つのパターンがあります。一つは、ナイロン製の漁網に対するケミカルリサイクルです。この方法では、繊維として糸を作ったり、その糸で生地を織ったりすることができます。

もう一つは、漁網を溶かしてチップにし、再成形する方法です。これは一般的なプラスチック製品のように固い素材を作る方法で、成型品を主に作れます。

リサイクルした漁網から、アパレル製品やサングラスフレーム、インテリア用品など、多様な製品を生み出しています。製品開発では、素材の特性を活かしながら、環境配慮型の商品としての付加価値を大切にしています。

フルリモートで実現する柔軟な働き方とキャリア

amu株式会社の女性経営陣によるプレゼンの様子
▲取締役の1人である谷川さんのプレゼンの様子

編集部

現在の組織体制について教えてください。

芦原さん

現在主に在籍しているのは創業メンバーである取締役4名と、8月からジョインしている社員1名です。他にインターン生と業務委託メンバーがおります。

メンバーはそれぞれが全く異なるバックグラウンドを持っており、前職もバラバラで、プラスチック業界やアパレル業界とは無関係な分野から集まってきました。また、私たちは全員が気仙沼出身ではありませんが、気仙沼にはそれぞれ何らかの愛着を持っており、そこがきっかけで集まったメンバーです。

編集部

多様なバックグラウンドを持った方がいらっしゃるようですが、どのように活躍されているのでしょうか?

芦原さん

弊社の代表は、もともとABEMAに在籍しており、番組制作を担当していました。その経験を活かし、社内全体で「どう楽しませるか」という企画力を生かしています。一方、私は気仙沼で観光業に携わっていたほか、島根県の離島でも観光業の仕事をしていました。地域に深く関わる仕事を多く経験しており、地域内での資源循環を考える視点は、私の前職の経験が大いに役立っています。

幅広い経験を持つメンバーが集まっており、その人自身の経験や特性を大切にし事業を通じて活かす環境があります。

インタビューに応えてくれたamu株式会社の取締役の立元さん
▲事業の面白さや気仙沼の魅力についてお話してくださった立元さん

編集部

気仙沼市を拠点とされていますが、みなさん市内にお住まいなのでしょうか?

芦原さん

私たちはフルリモートで働いており、メンバーの居住地は様々です。私は気仙沼の隣、岩手県一関市に住んでいますし、立元は気仙沼を拠点としながらも各地の漁港を飛び回っています。

他のメンバーは東京在住だったり、仙台と東京を行き来したりと、気仙沼での事業とアイデンティティを大切にしながらも居住地は分散しています。

立元さん

弊社は非常にユニークな組織だと思っていて、フルリモートを前提としているため、インターン生も全国各地から参加しています。なので、まだお互いに顔を合わせたことがないメンバー同士でプロジェクトを進行していたり、行ったことのない気仙沼の漁網について話し合ったりということが日常茶飯事です。

現在、インターン生とともに日本全国で回収活動を行っていますが、今後は回収活動と素材販売を海外にも広げていきたいと考えています。そのため、海外のメンバーを増やしていく方針です。

編集部

今後グローバル展開を視野に入れているとのことですが、現在、海外で活動されているメンバーはいらっしゃいますか?

立元さん

現状は国内中心ですが、留学しているインターン生が3人おり、東南アジア、アメリカ、北欧で活躍しています。今後、海外でも現地で動けるメンバーをさらに増やしていきたいと思っています。

趣味休暇も!個人の価値を大切にするプライベート尊重の文化

amu株式会社のオンラインミーティングの様子

編集部

御社の福利厚生や働く環境について教えていただけますか?

芦原さん

フルリモートという柔軟な働き方を基本としながら、社員同士の絆を深めるため、イベントや行事を大切にしています。近くに行く機会があれば必ずオフラインで会うようにしており、オンラインだけで完結しない関係性とコミュニケーションを重視しています。

また、プライベートの充実も大切にしており、社員には「趣味休暇」という制度を設けています。好きなゲームの発売日がある、フェスに参加したい、離島でゆっくりしたいなど、個人の趣味のために年間3日間使える休暇です。個人の趣味や好きなものを組織としても尊重する文化が根付いているのが特徴です。

編集部

フルリモートの環境下でのコミュニケーションはどうされているのでしょうか。

芦原さん

コミュニケーションツールで、各メンバーに個人の「つぶやき部屋」があり、業務に関係ない日常的な会話も自由に行っています。また、リモートワークでのコミュニケーションを円滑にするため、毎日18時から30分間の夕礼を行っています。

夕礼では、その日の業務進捗の共有だけでなく、「プロミス」をどのように実践できたかや、同僚へのリスペクトを感じた場面、今後の目標などを共有します。これらを5・7・5の短い形式で表現することで、会社が大切にしている価値観を毎日確認し合うという独自の文化を築いています。

業務報告や進捗の共有だけに留まらず、同僚がどのように協力してくれたか、またその裏側で何が起きていたのかをわかりやすく捉えることができる場となっています。この取り組みは社外からも高く評価されており、私たちのアイデンティティの一つとなっています。

インターンから正社員へ:成長できる環境と実績

漁港での漁具回収作業を行うamu株式会社のメンバー

編集部

インターン生の具体的な業務内容について教えていただけますか?

立元さん

約20名のインターン生が、実に様々な業務に携わっています。漁網の回収から、リサイクル製品の製造、素材の販売、マーケティング、PR、人事業務まで、幅広い業務で活躍しています。それぞれに担当役割を割り振り、個々の裁量で業務を進めてもらっています。今後はプロジェクトマネージャー的な立場で、プロジェクトを大きく回す役割を担ってもらうことも考えています。

芦原さん

例えば回収業務では、各地域の漁業の特徴や漁協の情報など、事前リサーチを行ってもらいます。その情報をもとに実際にアポイントを取りに行っています。漁協や町、港など現地に足を運ぶこともあり、近くにいるインターン生にも同行してもらうことがあります。

また営業面では、ターゲット企業のリサーチから問い合わせメールの送信、オンラインミーティングの設定まで、一連の流れを担当してもらっています。ミーティングの場にインターン生も同席してもらっています。

編集部

インターンから社員への登用実績はありますか?

芦原さん

はい、設立から1年半の中で、既に来春から社員として入社が決まっているインターン生が1名います。

編集部

インターン生の入社のきっかけや動機について教えていただけますか?

芦原さん

様々な理由があります。例えば、離島出身で漁業に馴染みがあり、弊社のプレスリリースを見て応募してくれた方や、プラスチックリサイクルに関心がある方、「いらないものはない」というビジョンに共感した方などがいます。

また、地方在住でもリモートワークで参加できる点や、必ずしもIT系のスキルが必要ないことから、幅広い学生に興味を持っていただけているようです。

求める人材像:価値観を共有し成長できる仲間

amu株式会社メンバーの勤務の様子

編集部

御社ではどのような人材を求めていらっしゃいますか?

芦原さん

私たちの事業では、漁業からアパレルまで多様な業界に関われるため、どのようなバックグラウンドを持つ方でも、これまでの経験を活かしながら新しい分野にチャレンジできる環境があります。

例えば、現在のインターン生の中には、鯖江市での活動経験を活かして眼鏡フレームの製造につなげた方や、漁業関係者とのネットワークを持つ食関連の経験者、PC製品の販売経験を活かしてマーケティングの視点から貢献している方など、様々な経験を持つメンバーが活躍しています。

編集部

今回募集されているセールス、マーケティングという職種は、どのような役割を想定されているのでしょうか。

芦原さん

具体的な採用要件としては、ストーリーを軸にしたものづくりに共感し、プロダクトのデザインから製造、届けるところまでを実践したい方を求めています。また、相手企業の価値観やリソースを理解した上で企画提案ができ、さらにその企画を実現まで導ける方を求めています。提案だけで終わらず、その後のもの作りのプロセスにも深く関わり、企画した内容をきちんと遂行できる人が理想的です。

私たちが設定しているプロミス「Fun」の通り、製品開発において、自分たち自身がその製品にときめきやわくわく感を持てるかどうかを大切にしています。最終的に製品を使うのは消費者の方々ですが、私たちも納得感を持って製品を作りたいと考えています。

例えば、着ている服がどの地域の漁網から作られたのか、自分の出身地の素材がどのように活用されているのかなど、製品に込められたストーリーを語れることを大切にしています。現状の価値にとどまらず、新しい価値を見出していく過程そのものを大切にしているのです。

amu株式会社から転職希望者へのメッセージ

amu株式会社の漁港での漁具回収の様子

編集部

転職を考えている読者の方々へ、どのような方に活躍していただきたいか、メッセージをお願いできますか?

芦原さん

インターン生や業務委託の方々にもお伝えしていることですが、amuはメンバーの夢を叶えるための場でありたいと考えています。amuに依存するのではなく、ご自身のやりたいことを実現するために、amuを活用していただきたいと思います。

読者の皆様には、まず自分自身のやりたいことや目指す方向性を大切にしていただきたいと思います。その上でamuが役に立ちそうであれば、メンバーとして参加するという選択肢も、amuの製品を通じて目標に近づくという方法もあります。皆様が実現したいことに、amuを組み込んでいただけることが、私たちにとって最も嬉しいことです。

弊社はまだスタートアップとして立ち上げて間もないため、社内の体制も、事業面でもまだ確立されていないことが多いのが現状です。特に漁網のリサイクルは社会的にも進んでおらず、仕組み自体がない状況です。このように、何もないところから新しいものを作り上げていくのが、私たちの会社の面白さであり、同時に難しさでもあります。この点に共感し、一緒に課題を乗り越えていける方をお待ちしています。

立元さん

私たちのミッションやビジョンに強く共感していただくことが大前提となります。その上で、気仙沼という地域の良さを理解し、共に歩んでいける方を求めています。気仙沼には、私たちの事業を温かく応援し、背中を押してくれる人々がいます。出身者でなくても「ホーム」のような感覚を持てる場所で、新しい価値の創造に挑戦できる環境があります。

加えて、私たちの会社は雰囲気が非常に活気に満ちており、「祭り」のような感覚を大切にしています。祭りの当日も楽しいですが、準備段階、文化祭の準備を楽しむような感覚で、今私たちがやっていることは大きな祭りを打ち上げるための準備だと思っています。そうした「ワイワイ」とした雰囲気で、楽しみながら一緒に作り上げていける方が来てくれると嬉しいです。

編集部

地域に根差した社会的課題を解決したいと考える方にはおすすめの環境ではないかと思いました。また、自分の経験を活かし、全く新しい挑戦に向かって一歩踏み出すことを恐れない方、新しい価値観やアプローチを尊重し、柔軟に対応できる方にもぴったりではないでしょうか。本日はありがとうございました。

編集後記

「漁具のリサイクル」という新しい分野に挑戦し、社会の仕組みそのものを作り上げていく姿勢には、スタートアップならではの革新性とチャレンジ精神を強く感じました。さらに、フルリモートでありながら夕礼での情報共有や、メンバーが近くに来た際のオフライン交流など、チームの一体感を育む工夫にも感銘を受けました。

この記事のまとめ

事業特徴
  • 「いらないものはない世界を作る」をビジョンに、漁網のリサイクル事業を展開
  • 回収から製品開発・販売まで一貫した長いバリューチェーンを保有
  • 海外展開を視野に入れ、海外のメンバーを増やす方針
働き方の特徴
  • フルリモートワークを採用し、全国各地から人材が参画
  • 毎日18時から30分の夕礼で進捗共有・価値観の確認を実施
  • インターン・業務委託など、多様な働き方を提供
インターン
  • インターンから正社員への登用実績あり
  • 多様な経験を活かせる幅広い業務領域
  • リモートでの業務が基本で、国内外問わず参加可能
社風・カルチャー
  • オンライン・オフラインを組み合わせた密なコミュニケーション
  • 「お祭り」のような活気ある環境で新しいことに挑戦
  • 個人の趣味や私生活を重視する文化(趣味休暇制度あり)
求める人物像
  • 企業理念・ビジョンへの強い共感を持つ人
  • ストーリー性のあるものづくりに携わりたい人
  • 会社を通じて自身の目標を実現したい人

amu株式会社の基本情報

企業名 amu株式会社
住所 宮城県気仙沼市南町2丁目2-25
事業内容 ・廃漁網の回収、プロダクト開発販売
設立 2023年5月
働き方 リモートワーク
公式ページ https://www.amu.co.jp/
募集職種 ・セールス
・マーケティング
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。