大電株式会社で働く魅力:人材育成部による長期的な支援と自律的なキャリア構築とは

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、大電(だいでん)株式会社にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。

福岡県久留米市に本社を構える大電株式会社は、70年超の歴史を持つ電線・ケーブルメーカーです。ロボット用のケーブルでは業界シェアNo.1を誇り、近年は国内に加え海外にもビジネスを展開させています。

人材育成に力を入れる同社では、2か月間の新入社員研修やOJTの強化など、社員一人ひとりの自律的な成長を支援する体制を整備しています。また、時間単位の年休やフレックスタイム制度といった制度を取り入れ、一人ひとりのライフスタイルに応じた働きやすさを実現しているのも特徴です。

今回は特に若手世代を中心とした人材育成への取り組み、ワークライフバランスについて、大電株式会社人材育成部の桝谷さんと津田さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
大電株式会社 人材育成部課長 桝谷 貴男 さん

桝谷 貴男 さん

大電株式会社 人材育成部課長。2005年入社。社内制度や人材育成、採用など幅広い業務を統括し、人材育成部のマネジメントを務める。

大電株式会社 人材育成部 津田 耀 さん

津田 耀 さん

大電株式会社 人材育成部。2021年入社。採用業務や社内の教育・研修業務を主に担当している。

大電の人材育成:2か月の新入社員研修や長期OJTで手厚く支援

大電株式会社の桝谷さん、津田さん
▲インタビューにご対応いただいた桝谷さん(画像奥)、津田さん(手前)

編集部

大電では人材育成に特に注力されているそうですが、若手社員の成長支援においては具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか?

桝谷さん

当社では2018年に人材育成部を設置し、特に若手の早期活躍に向けた成長支援に力を入れています。新入社員に向けた具体的な取り組みは、大きく2つあります。

1つ目は新入社員研修の拡充です。配属前の研修期間をこれまでの1か月間から2か月間とし、座学だけでなくグループワークやグループディスカッションなども取り入れました。実践的なプログラムを通じて、考える力、主体的な行動の姿勢を身に付けられる内容としています。

編集部

新入社員研修は、中途採用の社員の方も対象となるのでしょうか。

桝谷さん

基本は4月入社の新卒社員が対象です。ただし中途社員であっても新入社員に近い年齢の方や、入社時期が近い方に関しては一緒に参加していただくこともあります。

編集部

もう1つの若手成長支援の取り組みについても教えてください。

桝谷さん

2つ目は配属後のOJTです。特徴的なのが、1年間という長い期間OJTを行うこと、そして本人と配属先の部署、人材育成部による三角形の連携体制を取っていることです。

配属先の部署で年齢の近い先輩社員をメンターとして選任し、2か月に1回、OJTの進捗状況や気になる点について人事へ報告してもらいます。また、新入社員本人からも直接人事に進捗や不安点を伝えてもらうことで、職場と新入社員の認識の齟齬がないかを確認し、必要があれば早期に修正を行っています。

編集部

人材育成部がOJTにしっかりと関わっているんですね。そのことによって、どのような効果を実感されていますか?

津田さん

若手社員の成長をより手厚く見守ることができるのはもちろん、新入社員にとって直接人材育成部とのラインがあることは安心材料となっていると思います。またメンター社員も新入社員との関わり方に悩むことが多いため、メンター社員と新入社員双方の不安解消ができる点がメリットです。

「4年目までの研修」と「年5回の面談」で、若手のキャリア形成を継続的にサポート

大電株式会社の研修風景
▲実際の研修風景。部署問わず同期社員が集合する

編集部

入社後の育成制度についてはいかがでしょうか。

津田さん

当社では「キャリア自律」に焦点を当て、自律的に成長し続けられる人材育成に注力しています。そのため、新入社員研修以降も継続的に自身の成長を振り返り、今後の目標を考えられる機会を提供しているのが特徴です。

具体的には、新入社員研修のときから4年目まで、継続的に教育を行っています。毎年、その年の振り返りと課題認識を行い、集大成となる4年目では中堅社員として独り立ちするための意識改革を目的に、3年間の振り返りを改めて行ってもらっています。

この研修では同期同士で集まってグループワークや発表を行うため、横のつながりの強化につながっているのもポイントです。実際に当社では同期の結びつきが強く、入社から10年、20年経っても良好な関係が続いているケースが多いです。

桝谷さん

人事考課を評価だけでなく個々の成長につなげていく仕組みとして、人事考課の結果を踏まえた上司との面談機会を年5回設けているのも特徴です。そこでは評価結果だけでなく、年度目標や能力開発計画を記載する「能力開発シート」の振り返りも行い、社員一人ひとりの主体的な成長をサポートしています。

また、2024年から福利厚生の一環として全社員を対象としたeラーニング制度を導入しました。約8,000本の講座があり、ネット環境があればスマートフォンやPC等を用いてどこでも学習ができます。社員からは積極的に活用されており、主体的に学び続ける文化の醸成に貢献していると感じています。

編集部

「キャリア自律」を重視しているのには、どのような背景があるのでしょうか。

桝谷さん

近年、小学校から高校までの教育でキャリア教育が義務化されており、入社してくる若手社員の意識も変化してきています。学校教育では、単なる経歴や転職という意味だけでなく、自立して生きていくための主体的な学びや自己実現という観点でキャリアについて説明されているようです。

当社でもそうした背景を踏まえ、入社時からキャリア自律の考え方を伝え、自分の成長や目標について主体的に考え続けられるよう支援しています。

キャリアを自ら切り拓く、年に1回の「自己申告制度」

大電株式会社のミーティング風景

編集部

社員自身がキャリアを選択できる機会などもあるのでしょうか。

桝谷さん

「マイダイヤ制度」という自己申告制度を設けています。これは以前からあった制度を刷新したもので、社員全員が年に1回、上司を介さずに直接人材育成部へ異動希望や職場環境の状況などを申告できる仕組みです。

この制度の目的は、社員が自身のキャリア構築について真剣に考える機会を確保することです。また、異動希望に対しては基本的に前向きに検討するという方針を社内で共有しています。

編集部

実際に異動希望は実現されていますか?

桝谷さん

はい。異動の希望時期は「1年以内」から「3年以内」等、複数の選択肢が用意されていますが、「1年以内の異動を希望する」と選択した社員の約5割が実際に希望の職場に異動しています。もちろんすべての希望が叶うわけではありませんが、前向きなキャリア構築に寄与するものであれば、できるだけ希望に添えるようにしたいとの思いがあります。

若手の成長を後押しする、チャレンジを後押しするカルチャー

編集部

他にも、大電の若手活躍に寄与する取り組みやカルチャーがあれば教えてください。

津田さん

若手の内から、さまざまなことにチャレンジできる環境が整っていると思います。やってみたい仕事や、お客様から要望いただいたことに対して「自分がやってみたい」と手を挙げれば、2年目や3年目といった若手でもチャレンジさせてもらえるんです。信じて任せてもらえる環境が、若手の成長を後押ししていることを実感しています。

編集部

津田さんご自身がこれまでにチャレンジしたことはありますか?

津田さん

採用担当として、人材不足に対応するため採用広報活動やマーケティングの強化を提案したところ、実際に2024年から採用ノベルティの制作を任せていただき、ノベルティの種類からデザインまで携わることができました。高校生向け、大学生向け、さらには保護者の方向けなど、用途に応じてボールペンやクリアファイル、ウェットティッシュなど、5〜6種類のアイテムを作成しています。

大電の働き方:時間単位年休・フレックスタイムなど、充実の制度

大電株式会社の勤務風景

編集部

大電のワークライフバランスの取り組みについて、特徴的なものをご紹介いただけますか?

桝谷さん

当社では2016年頃から働き方改革を本格的に進めており、それぞれ異なる家庭環境や背景を持つ社員皆が活躍できるよう、各種制度の見直しを行っています。

その1つが、2019年に導入した時間単位年休制度です。製造現場を持つメーカーとして、公平性の観点から導入にはハードルがありましたが、できる職場から順次開始しました。現在では交替勤務者を含む全社員が活用できる制度となっています。

またフレックスタイム制度も導入しています。これは以前からあった制度ですが、研究開発者などの特定職種に限定していたため、交代勤務者以外の全社員に適用を拡大しました。コアタイムは設けていますが、1か月分の総労働時間の中で柔軟に調整できる仕組みです。時間の自己管理が必要となるため、働きやすさとともに生産性向上にも寄与する仕組みとなっています。

編集部

日々の労働時間の管理、休暇取得についてはいかがでしょうか?

津田さん

残業時間は部署や繁忙期による違いはあるものの、全社平均で月9.5時間程度です。全社的に時間外労働に対する高い意識があり、生産性を重視した働き方が浸透しています。

また労働時間に関して特徴的なのが、過重労働防止の観点から導入している「勤務間インターバル制度」です。前日の退社時刻から翌日の出社時刻まで最低10時間を確保するようにしています。会社への出入りの時間を厳密に管理し、パソコンにもアラートが出る仕組みを採用しています。

桝谷さん

休暇に関しては、労働組合と協力して年次有給休暇の年間取得目標を設定し、2か月に1回、全社の取得状況を社内イントラネットで公開しています。また年次有給休暇は初年度から13日付与され、1年目から多くの社員が有給休暇をほぼ全日取得している状況です。

大電株式会社から読者へのメッセージ

大電株式会社の製品群と設備機器
▲電線・ケーブルメーカーとして長い歴史を持つ大電の製品群と、設備機器

編集部

最後に、転職を検討している方へのメッセージをお願いします。

桝谷さん

当社にフィットするのは、受け身ではなく積極的に周囲とコミュニケーションを取って、主体的に行動できる方です。また、継続的な自己成長を求める「キャリア自律」の意欲があり、新しいことにチャレンジできる方は、きっと活躍いただけると思います。ぜひ当社にジョインいただき、一緒に成長していけると嬉しいです。

津田さん

当社は70年超の歴史を持つメーカーということで硬いイメージを持たれることもありますが、実際の社風は和やかで風通しが良く、自由に挑戦できる環境が整っています。成長しやすい環境が整備されているため、着実なステップアップを目指したい方や、新しいことへの挑戦意欲がある方を歓迎します。

編集部

桝谷さん、津田さん、本日はありがとうございました!

編集後記

2か月間の新入社員研修や、新入社員・メンター・人事部の三者連携によるOJTなど、社員教育に力を入れる同社の姿勢が伝わってきました。また、1か月単位で勤務時間を調整できるフレックスタイムや、休息時間を確保する勤務間インターバル制度など、ワークライフバランス実現への取り組みの多彩さも印象的です。

大電株式会社の働き方のまとめ

人材育成の特徴
  • 2か月間の充実した新入社員研修
  • 人事部・配属先・本人の三角形連携型OJT
  • 4年目まで継続的なキャリア教育を実施
  • 年5回の上司との面談機会
働き方の特徴
  • 月平均残業時間9.5時間
  • 全社で時間単位の年休制度を導入
  • フレックスタイム制を広く適用
  • 勤務間インターバル10時間を確保
キャリア支援
  • 年1回の異動希望申告制度あり
  • 「1年以内の異動希望」の約5割が実現
  • 全社的なeラーニング制度を導入
社風
  • 若手から積極的なチャレンジを推奨
  • 同期同士の結びつきが強い
  • 和やかで風通しの良い職場環境
求める人物像
  • 主体的に行動できる人
  • 継続的な自己成長を目指す人
  • 新しいことへの挑戦意欲がある人

大電株式会社の基本情報

企業名 大電株式会社
住所 福岡県久留米市南二丁目15番1号
事業内容 電線・ケーブル、電力用機器、ネットワーク機器、油圧機器、精密金属加工品、プラスチック精密成形品およびこれらに関連する製品の製造、加工、販売など
設立 1951年4月
働き方 フレックスタイム制度
公式ページ https://www.dyden.co.jp/
採用ページ https://recruit.dyden.co.jp/
募集職種 採用ページ参照
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。