女性が活躍しやすい理由やグローバルな組織風土について企業にインタビューする本企画。今回は、株式会社技研製作所にお話を伺いました。
同社は、騒音や振動など建設公害の元凶と言われた「杭打ち工事」を無公害化するオンリーワン技術により、新たなソリューションを提案・実践する建設機械メーカーです。
そのオンリーワン技術は、災害に強い構造物を急速に構築できる工法として、東日本大震災や能登半島地震からの復旧・復興工事、南海トラフ地震や首都直下型地震に備える事前防災事業などで採用が拡大しています。また、世界の建設課題の解決や国土防災にも貢献し、国内外で高い評価を受けています。その結果、この技術の採用実績は世界40を超える国と地域に広がっています。
今回は、そんな株式会社技研製作所の女性活躍推進の取り組みや、外国籍人材の採用を含めたグローバルな組織体制について、人事課の西さん・大谷さんにお話を伺いました。
女性比率アップ。女性の採用・育成に注力する「株式会社技研製作所」
編集部
御社のような技術職の大手企業では男性比率が多い傾向にありますが、技研製作所では女性活躍を推進されているそうですね。具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?
西さん
まず、採用活動において全内定者に対する女性の比率を上げることからアクションを起こしています。それによって、2014年時点では1割程度だった女性の割合を2023年には2割近くまで増やすことができました。
そして、採用した女性社員が社歴を積み、年を追うごとに女性の管理職も増え、女性の役員比率も約20%(2023年度)になっている状況です。
編集部
女性の管理職が増えているということですが、それを可能にしている理由はなんでしょうか?
西さん
技研製作所には、自分自身がどれだけ成長したいか、どれだけ貢献したいかという思いに応じて、男女関係なく適正に評価される風土が根付いています。
「女性だからこの仕事」というような固定観念は一切ないので、大変な部分もあります。それでも、努力に対する評価は適正に行われるため、自分のやりがいと会社の評価がマッチする環境が整っている、自己実現ができる企業だと自負しております。
編集部
実際に働いていて感じていることを率直にお聞かせいただけますか?
大谷さん
全社的には女性社員の割合は2割程度ですが、人事課では女性の方が多く、非常に働きやすい環境だと感じています。周りに活躍している女性社員がいることが、私にとっても目標やモチベーションになっています。
育児をしながら活躍する女性管理職も。多岐にわたる女性活躍の事例
編集部
実際に技研製作所でご活躍されている女性社員の事例として、西さんご自身の体験をお聞かせください。
西さん
私は新卒で入社しましたが、最初の6年間は出来上がった機械を試験する部署に所属して、技術者として働いていました。
弊社では、適正な人材配置を行うため人事情報を一元管理し、社員の資質・スキル等の把握をしたうえで、効果的な育成をしているのですが、私もそれにより技術系部署から総務課に配属されました。
総務課では、役員の秘書業務や会社のイベント運営などを経験しました。その間に1人目を出産し、その後グループ会社の技研施工という工事部隊の総務を1年半ほど経験した後、人事課に配属されました。人事課で管理職になってから3人目を出産し、現在は短時間勤務で働きながら育児と両立しています。
編集部
他に特徴的なキャリアを歩んでいる女性社員の事例はありますか?
西さん
例えば、簑田という女性社員がいます。彼女は東京で総務責任者として活躍し、現在は圧入機械事業(機械メンテナンス部門)の責任者兼執行役員として勤務しています。
彼女は仕事と両立しながら3人の子育てを経験しており、その経験を活かして女性が働きやすい環境づくりを整えました。以前より育休取得や復職がしやすい環境になり、出産・育児を経ても仕事を続けられる女性社員が増えました。
編集部
管理職自らが女性の働きやすさに向けて尽力されているというのは、他の女性社員からすると心理的にも心強いですね。
その他にも中途採用で活躍されている女性のエピソードを教えてください。
大谷さん
中途採用で入社した、人事課で採用担当をしている女性がいます。彼女は全く異なる分野からの転職だったため人事の仕事は未経験でしたが、研修を受け、一から勉強して採用の仕事に携わっています。現在は2年目ですが、しっかり弊社の戦力として活躍してくれています。
他にも、20代後半で法務部門に入社した女性社員もいます。弊社のような技術職の分野は未経験ですが、他社での法務知識を活かしつつ、開発部門と連携を取りながら活躍してくれています。
育休取得率は男女ともに100%!最大5万円/月の支援金など育児支援が充実
▲女性活躍推進の取り組みに優れた上場企業が選ばれる「なでしこ銘柄」に令和3年度、令和5年度に選定
編集部
西さんをはじめ、育児と仕事を両立されている女性が多いようですが、どのようなサポートや制度を活用していらっしゃるのでしょうか?
西さん
まず、産後の育児休業のサポートとして「育児休業支援金」があります。これは、3ヶ月以上育休を取得する社員に対して、男女関係なく月最大5万円を最長12か月支給する制度です。第二子以降も対象で、国からの「育児休業給付金」と合わせると、取得後半年間は、休業前の手取り額とほぼ同等の収入を得ることが可能です。
男性も育休を取る時代になりつつありますが、そうは言っても男性の収入が家計の柱になっていることが多いなか、育休取得=収入減少になるのは厳しく、取得したくても取れないケースは多いと思います。けれども、この支援金があることで収入の心配は必要なくなるため男性も育休を取得しやすくなりました。
私の場合、夫も弊社に勤めているのですが、3人目の時に育児休業支援金の制度ができた後押しもあり、初めて夫と一緒に育休を取りました。元々育児に協力的ではありましたが、1人目や2人目の時とは違い、初めから一緒に育児をすることで、私自身が夫に頼りやすくなったと感じます。そして夫も育児ができるようになったことで、これまで以上に積極的に関与してくれるようになり、私も職場復帰しやすくなりました。
他にも、復職後に短時間勤務制度を利用しました。1人目のときは制度としてはあったものの前例がなく利用が難しかったのですが、徐々に変化し、今では当たり前になっています。周りのサポートもあり、スムーズに復職できる環境が整っています。
編集部
育休取得や時短勤務がしやすい職場になってきているということですね。
西さん
そうですね。誰もが育児休業を取得できる雰囲気づくりと、育児と両立しながら働ける職場環境の整備を進めています。
例えば、社内専用Webサイトに育休専用ページを開設したり、全社員対象の育休説明会を実施するなどの取り組みの結果、男女共に育児休業取得率を100%にすることができました。
特筆すべきは、男性社員の育休取得状況です。男性社員の育休の平均取得日数が107.9日と長期間になっています。これらの取り組みが評価され、「イクメン企業アワード2020」にてグランプリを受賞するなど、対外的にも高い評価を得ています。
株式会社技研製作所のグローバルな職場環境
編集部
技研製作所は外国籍の人材の採用にも力を入れているそうですが、その理由と実際のご活躍について教えてください。
大谷さん
グローバルな組織体制にしている理由は、国際的な競争力を高め、グローバルに活躍できる優秀な人材を育成するためです。
現在、外国籍社員は10名在籍しており、中国・台湾・インド等のアジア地域や、ブルキナファソ・セネガル等のアフリカ地域など出身地はさまざまです。彼らはバックグラウンドも異なり、母国の大学で修士を取得後、日本の大学で博士号を取得し、日本での勤務経験を経て入社した社員もいれば、留学生として日本の大学に入学し、卒業後、すぐに弊社に入社した社員もいます。
最近では、特に土木系の人材の入社が多く、例えばアフリカ地域出身の社員が地盤の研究開発を行う部署で研究者として活躍しています。他にも、知財関係や海外のグループ会社で活躍している社員など、多岐にわたって活躍しています。
編集部
外国籍の方々が働きやすくするための取り組みはありますか?
大谷さん
2024年3月に高知県に外国籍の方も入居可能な社員寮を新設するなど、特に日本に来て1年目の社員にとっては大きな安心材料になっていると感じています。若手社員も一緒に住んでいるので、生活面でも協力し合える環境が整っています。
また、一部の部署では共通言語を英語としており、全社的に英語力向上に力を入れている状況です。フィリピンへの語学研修の実施や、社内でのオンライン英会話講座の受講制度など、英語力を高められる環境を整えています。
海外赴任は社員の意欲を重視。高卒入社3年目で海外赴任のケースも
編集部
技研製作所は欧州、北米、アジアに子会社を設立されるなど、グローバル展開もされていらっしゃいますが、海外赴任の機会もあるのでしょうか?
西さん
はい、あります。ただし会社としては社員の意思を尊重し、無理に海外赴任を強制することはありません。以前は語学力と技術力を兼ね備えた人材が限られていたため海外赴任もそのような社員に限定されていましたが、今は海外赴任へのモチベーションが高い社員に任せられるよう体制の構築に取り組んでいます。
具体的には、40歳以下の社員にアンケートを実施し、海外語学研修や海外赴任への興味、希望する赴任地域などを詳しく聞いています。これにより、会社と社員の要望をマッチングさせる取り組みが可能になりました。
語学研修や外国籍人材の採用など地道に体制を整えていった結果、40歳以下の社員の30%が海外赴任に興味を示してくれています。
大谷さん
例えば、高卒入社3年目の社員がオランダで駐在員として機械のメンテナンス職に就いたケースがあります。また、入社6年目の社員が、国内で工法技術の営業経験を積み、現在はオランダで弊社技術の工法普及活動を行っています。
海外赴任前にはeラーニングを実施し、赴任までの不安を軽減できるような体制を整えています。
グローバルマインド、異文化マネジメント力、経営知識、海外ビジネス環境理解、実務言語、実践適用力等に関するコースを受講し、海外ならではのリスクや異文化への理解、マネジメントをするにあたっての経営知識を習得することが可能です。赴任前の約2か月間に受講する仕組みで運用しています。
株式会社技研製作所の「働きやすさ」への取り組み
編集部
技研製作所で実施されている「働きやすさ」への取り組みを教えてください。
西さん
社員の生産性や働きがい、経営の効率化に繋げることを目的に、GIKENグループ全体で働き方の多様化を進めています。
ニューノーマルな働き方を実現するために、ペーパーレス・出張レス・社宅(転勤)レス・オフィスレス・通勤レスの「5つのレス」を推進しています。
特徴的な取り組みとしては、通勤に関連した取り組みが挙げられます。弊社では自家用車での通勤がメインですが、CO2排出削減の観点からEV(電気自動車)の導入を進めています。
自社製品に機械式地下駐車場「エコパーク™」があるのですが、近年のCO2排出削減の動きから電気自動車に対応するべく、超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク™」を開発しました。省スペースかつ高収容、スピーディーな入出庫など通常の「エコパーク™」が提供する機能に、駐車中充電できるという付加価値を加えた点が最大の特長です。これに伴い社員にもEVでの通勤を推奨し、実際にEVで通勤している社員もいます。
編集部
技研製作所の社風や雰囲気についても伺いたいのですが、新卒入社と中途入社の割合はどのくらいでしょうか?
西さん
近年の傾向としては、新卒採用が高卒・大卒合わせて約80%、中途採用が約20%です。ここ5年ほどで若手社員の割合を増やし、平均年齢も約35歳まで下がったことで、中途入社の方も馴染みやすい雰囲気になってきたと思います。
編集部
実際に中途入社された社員さんの声などあれば、ご紹介いただけますか?
西さん
中途採用で入社した広報を担当している社員がいるのですが、異業種からの転職だったものの、研修制度が充実しているため必要なことを学ぶことができ、前職からの移行もスムーズだったようです。また、テレワークなど柔軟な働き方ができるので、自分のリズムで仕事ができるという面もあり、とても働きやすいと話していました。
学歴や新卒・中途問わず、技術を学びスキルを身につけられる教育体制
編集部
技研製作所の研修制度や教育体制について、詳しく教えていただけますか?
西さん
中途入社の方は基本的に即戦力として採用しますので、職能を持った方を採用させていただいています。現場を知る機会はありますが、配属された部署でこれまで培ってきた能力をさらに伸ばしてもらいながらの活躍が中心です。
編集部
中途入社の方にも、研修を受ける機会はあるのでしょうか?
同席の安河内さん(広報)
あります。私の場合は数日間の社内研修があり、当社の製品や圧入技術など、基礎的な知識を座学で学びました。その後は実際の業務に就きながらのOJTで、先輩社員からマンツーマン指導を受けました。
また、社内にはeラーニングシステムがあり、自分が学びたい分野を選んで学習することができ、例えば、語学を学びたい場合は上司に相談した上で業務時間内にオンライン英会話の受講が可能です。このような柔軟な学習環境は、弊社の強みの一つだと思います。
株式会社技研製作所が求める素質:柔軟な思考・挑戦への前向きさ
編集部
技研製作所が求めるのは、どのような人材でしょうか?
大谷さん
固定概念を持たず、常に新しい方法を追求できる人や、前向きにチャレンジ出来る人を求めています。
その上で、柔軟な思考を持った方が活躍できると思います。私も採用班のリーダーとして、前例主義ではなく、常により良い方法を探求することを心がけています。
これは人事職だけでなく、技術職でも同様です。柔軟な考え方ができる方は、どの部署でも活躍できるので、どんどん新しい挑戦をしていってほしいと思っています。
西さん
新しい挑戦・柔軟な思考というのは弊社の事業にも通ずるところがあります。
技研製作所は1975年に世界に先駆けて無振動・無騒音の杭打ち機「サイレントパイラー™」を開発し、建設工事の現場から振動・騒音公害を一掃しました。以来、常識にとらわれない革新的な建設機械や新工法を開発し続けています。
オンリーワンの技術を持っているため、入社後ゼロから学ぶ形となります。これは年齢に関係なく、新しいキャリアをスタートできるという大きな利点です。高卒も大卒も中途入社も関係なく、皆同じスタートラインから弊社独自の技術を身につけていただきます。
社員の平均年齢は約35歳と非常に若く、若手社員も色々なことに挑戦することができる環境です。弊社がこれまでに培った豊富なノウハウと実績のもと、日々の業務を通して学べることが多く、更なるスキルアップが望めます。また、自身が積み重ねた経験・知識を活かし、会社の更なる発展に貢献できる魅力もあります。
メッセージ:一緒に世界の建設を変えたい人はぜひ応募を!
編集部
それでは最後に、この記事をご覧になっている読者の方に向けてメッセージをお願いします。
大谷さん
まず、福利厚生や働きやすさについては全く問題ないと思っています。最近の事例をあげると、2年連続で新卒初任給を一律2万円引き上げ、それに伴って全社員の基本給を月額2万円引き上げるベースアップを行いました。そういった面でも社員に還元する姿勢があります。
キャリアを積みたい方、育児が一段落してこれから本格的に働きたい方にとって、非常に成長しやすい企業です。社会に貢献したい人、「インプラント工法で世界の建設を変える」という一つの目標に向かって一緒に突き進んでいける人をお待ちしております。
編集部
御社のオンリーワンの技術を身につけ、自身を成長させながらグローバルに活躍し、社会課題解決に貢献したいという意欲的な方にはまさにぴったりの環境ではないかと感じました。
本日はありがとうございました。
株式会社技研製作所の基本情報
住所 | 東京本社:〒135-0063 東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階 高知本社:〒781-5195 高知県高知市布師田3948番地1 |
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事業内容 |
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設立 | 1978年1月6日(創業:1967年1月1日) |
働き方 | テレワーク可 |
公式ページ | https://www.giken.com/ja/ |
採用ページ | https://www.giken.com/ja/jobs/career/ |
募集職種 |
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