今まさに成長中のサービスを展開し、優秀なエンジニアが活躍されている企業にインタビューをお願いするこの企画。今回は、2023年12月をもって新しい経営体制に移行した株式会社Gunosyの代表取締役社長である西尾健太郎さんにお話を伺いました。
「グノシー」で知られ、いま変革期を迎える株式会社Gunosy
▲人事部のメンバーと談笑する西尾代表
株式会社Gunosyは、さまざまなジャンルのニュースをまとめて読むことができ、「最適な情報を届ける」という姿勢が2013年のリリースから多くのユーザーに支持されている情報キュレーションアプリ「グノシー」を展開している企業です。
複数の事業領域の中では、前述の「グノシー」や「auサービスToday」のアプリをはじめとするメディア事業のほか、グループ会社であるゲームエイトグループの事業、そして投資事業の3つをこれからさらに発展させるべく、チャレンジを続けています。
会社名 | 株式会社Gunosy |
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住所 | 東京都渋谷区渋谷2-24-12 |
事業内容 | 情報キュレーションサービスその他メディア開発及び運営 |
設立 | 2012年11月14日 |
公式ページ | https://gunosy.co.jp/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
そんなGunosyは、2023年12月1日付で経営体制を大きく刷新しました。中長期的な目標である時価総額1,000億円を達成するため、時代に沿った事業ポートフォリオを再設定し、組織のあり方や企業カルチャーなども次々と更新されていくフェーズにあるのです。
今回は、進化の真っ只中にある同社で代表取締役社長に就任された西尾健太郎さんに、経営体制移行に関するエピソードや、リリースしたばかりの新規サービス「ウデキキ」などについてお話を聞かせていただきました。
(※)取材は2023年12月上旬に実施
新経営体制に移行。変わり続けることで成長していく
編集部
代表取締役社長のご就任、おめでとうございます。今回、Gunosyさんが経営体制を刷新されるに至った背景からお話しいただけますか?
西尾さん
ありがとうございます。前提として、私たちは2021年7月に策定した中期経営計画において、創業時点と比較してグループ全体の事業ポートフォリオが大きく変わっていることから、それに対応して経営体制を変えるという決断をしました。
具体的には、「メディア事業」のほか「ゲームエイトグループ(※)」、そして「投資事業」の三本柱で成長していくという内容です。
(※)ゲームエイトグループ:国内最大級のゲーム攻略情報メディア「Game8」を運営。2014年に西尾氏が創業し、2015年にM&Aを経てGunosyグループに入った。
そのタイミングでは経営体制は変わっておらず、具体的な体制や時期について議論を重ねてきました。その結果、弊社の下期の始まりである2023年12月に、私が代表取締役社長となって新経営体制に移行したという経緯です。
編集部
今後、Gunosyグループ全体をどのように舵取りしていかれるのか、目標も含めて伺えますでしょうか。
西尾さん
我々には、「グノシー」や「Game8」などの主力サービスがあります。そこに加えて、インドを中心とした海外への投資もさらなる成長フェーズを迎えていますが、事業の性質としてはどうしてもBtoCが多かったと感じています。
ここからさらに次のチャンスをつかむためには、Gunosyのアセットである技術力を活かして、BtoBの事業を新しく立ち上げるなどして、厚みのあるビジネスを展開していく必要があるのです。成長するためには、変わり続けなければならないということですね。
花札の製造から始まった任天堂さん、手織り機を生産していたトヨタ自動車さんを見てもわかるように、創業当時の業態そのままで大企業になったというケースはめずらしいですよね。私たちも時代にあわせて変化し、長く価値を提供できる会社でありたいと思っています。
編集部
Gunosyさんの経営体制の変更は、単に役職者や組織構成を変えるということではなく、事業においてこれから新しいチャレンジをしていくという宣言でもあるのですね。
ChatGPTを搭載!生成AIでの業務改善を身近にする新サービス「ウデキキ」
編集部
先ほど、GunosyさんはBtoBの事業を新しく展開していくとおっしゃっていました。現時点ですでに走り出しているものはありますか?
西尾さん
まさに本日お話ししたかったのが、2023年11月7日に提供を開始した「ウデキキ」というサービスです。これは企業向けの業務支援特化・生成AIサービスで、すでに多くのお客様から問い合わせをいただいているほか、実際の導入事例も増えてきています。
■「ウデキキ」のサービスサイトはこちら!
https://udekiki.jp/
編集部
企業の業務を支援するということですが、「ウデキキ」にはどのような特徴があるのでしょうか。
西尾さん
「ウデキキ」の強みはChatGPTを搭載していることと、それを活かした各機能を親切かつ使いやすくしていることですね。質問に対して答えてくれるという汎用的な使い方以外に、メール・議事録の作成、Webページ制作、アイデアブレストといった幅広い業務において簡単にサポートが受けられます。
例えば、私や現会長の木村(新司さん)はリリース当初からChatGPTを触っているので、適切なプロンプト(※)を書いて使いこなすことがある程度可能です。ただ、それは一部の人だけで、多くの企業様を見ても「どう使えばいいかわからない」という方のほうが圧倒的に多いと思うんです。
(※)プロンプト:コンピュータやAIに対して、処理や入力の命令を出す文章のこと
ChatGPTが便利なものであることは間違いないのですが、ちゃんと活用できている人は少ない。そのギャップをどう最小限にしていくかを考えて、難しいプロンプトが不要で直感的なインターフェースを備えた「ウデキキ」の開発を進めてきました。
Gunosyには機械学習、特に自然言語処理の分野での知見と、BtoCサービスの運営で得たノウハウがありますので、それを活かしながら、今後も機能追加を含めてどんどんアップデートしていく予定です。
編集部
ChatGPTを使いこなすためには、ときには英語の論文や解説サイトを読まなければならないようなケースもありますよね。「ウデキキ」があればそのような作業は必要ではないので、業務の改善だけに注力できるのは嬉しいですね。
「ウデキキ」の開発プロセスとエンジニア組織の変化
編集部
「ウデキキ」は、どれくらいの期間で開発からリリースに至ったのでしょうか。
西尾さん
プロジェクトが具体的にスタートしてから、リリースまではおおよそ2ヶ月半から3ヶ月くらいです。ここまでスピード感を持って開発できたのは、「ウデキキ」では難しいことは意図的にやっていないからです。こう言ってしまうと、少し誤解を招く表現ですね(笑)。
正確に言うと、BtoBで重要であるセキュリティ面については意識して工数を割きましたが、それ以外は最初から煩雑な機能を設けることはせず、コンセプトをわかりやすく伝えることを重視しました。まずは早くリリースして、企業様から得られるインサイトを基に進化させていくことで、世の中のニーズに合わせたいと思ったからです。
編集部
2023年6月にエンジニアの組織を大きく改編したと伺ったのですが、「ウデキキ」の開発とも関わっているのでしょうか。
西尾さん
直接的には関係していませんが、影響はしていると思います。なお、「ウデキキ」を開発したチームの規模は大きなものではなく、現在は少し増えましたが、基本的にはエンジニア2人とビジネスサイドが1人の3名で進めてきました。
以前はエンジニアの組織は事業部ごとに散らばっていたため、ときには円滑なマネジメントができていないようなケースもありました。そこで、一旦カルチャーも含めて組織のあり方を仕切り直したいという意図で、ひとつにまとめたんです。
これからBtoB向けのサービスやそれ以外の新規プロダクトを立ち上げていくために、エンジニアとして大事にする価値観をもう一度考えていくフェーズだといえます。
パフォーマンスを重視するワークスタイル。出社の機会も増やしていく
編集部
エンジニア組織のお話に関連して、Gunosyさんのエンジニアのワークスタイルについてお教えいただいてもよろしいでしょうか。
西尾さん
まず出社の有無という点では、コロナ禍をきっかけにリモートワークが浸透したため、ほぼ在宅で仕事を進めるという働き方を長く続けてきました。これからはコミュニケーションを活発化させていきたいので、チームごとに出社日を定めてオフィスで働くことを推奨しています。
ただ、最大限にパフォーマンスを発揮してもらうことのほうが重要ですので、ベースは個人の裁量に任せるという方針は変えていません。エンジニアの場合は業務の都合上、各部署と比較すると出社頻度は低い傾向にあるかもしれないですね。
編集部
出社して直接顔を合わせたほうがよいケースとしては、どんなものが考えられますか?
西尾さん
全社的というよりは私が見ているチームの話になりますが、大事な意思決定をするときや、直接話したほうがリズムが生まれてプロジェクトがスムーズに進むような場合は、できるだけ直接話したいと考えています。
体制変更に伴い組織も変わる。目指すは「筋肉質な経営」
編集部
先ほどはエンジニアチームについて伺いましたが、Gunosyさん全体としては、組織としてどう変えていきたいでしょうか。
西尾さん
私が就任するにあたって、現場から少しずつというより、OKR(※)の設計を含めて上流から強い意志を持って変えていくということを決意しました。
(※)OKR:Objective and Key Result。達成すべき目標と、その達成に必要な成果指標をセットにした目標管理手法。
具体的には、グループの事業それぞれを独立した会社のように扱うというカンパニー制を導入しています。各カンパニーのリーダーはしっかりとした裁量を持ち、そのリーダーシップの下で方針を決め運用していくという体制にしているんです。
これまでのGunosyは、「事業会社Gunosyの運営母体」でありながら、グループ会社や投資事業を含めた複数のポートフォリオのマネジメントをする必要があったため、ときには会議体が複雑になることもありました。今回の変更は、その整理をおこない、目的に合った粒度でシャープに意思決定するためのものです。
編集部
そういった上流での組織の変化によって、各メンバーにも影響は出てくるのでしょうか。
西尾さん
分かれていた部署が統合されるようなケースはあるものの、個人にとっては現時点で大きな変化はないですね。ただ、中長期的には働き方やカルチャーも含めて変わっていくと想定しています。
例えば、弊社は若いメンバーに大きな裁量を与え、責任あるポジションに就いてもらうことで成長を続けてきました。そこで初めてマネージャー職を経験する人も多いのですが、リモートワークが一般化したことで「リモート下でのマネジメント」というさらに未経験のタスクが発生したわけです。
リモートには良い側面もありますが、一方で言い方は難しいですが「緩い」組織運営になってしまった面もあると感じています。上流だけでなく現場レベルでも、目標の達成に向けて効率的に進んでいく筋肉質な経営ができるようにしていきたいですね。
逆境に熱狂する人を増やす。メンバーが共有する「Gunosy Pride」
編集部
大きな変革期を迎えているGunosyさんですが、その中でそれぞれのメンバーが指針にできるような理念や考え方はありますか?
西尾さん
ありますね。我々が共有する価値観であり、行動指針でもある「Gunosy Pride」がそうです。創業当初から私たちの道標となっていた「Gunosy Way」というものがあったのですが、ちょうど中期経営計画を発表したくらいのタイミングで、私がリードしてリブランディングしたという経緯になります。
Gunosy Prideは、「三方よし」「サイエンスで機会をつくる」「百年クオリティ」「逆境に熱狂せよ」の4つで構成されています。
中でも、「サイエンスで機会をつくる」というのは根底にある考え方です。世の中を変えていけるのはサイエンスの力だと私たちは強く信じていて、サイエンスを具体的なプロダクトに落とし込む技術力はGunosyの強みでもあります。
BtoB向けのサービスでもその機会を見つけていきたいし、必ず見つけられるはずという想いが、先ほど紹介した「ウデキキ」の開発にもつながったのだと実感しています。
編集部
Gunosy Prideの残りの項目について、今のタイミングだからこそ西尾代表が発信していきたいものはありますか?
西尾さん
基本的にGunosy Prideは以前のGunosy Wayを踏襲しているのですが、「逆境に熱狂せよ」だけは、意志を込めて新しく創ったものなんです。
Gunosy Prideを発表した当時、そして大きな変化を迎えた現在に共通して、私たちは会社組織として決して順風満帆というわけではない状況です。でも、そういうときだからこそモチベーション高く働いてくれるメンバーや、挑戦を止めないメンバーを改めて評価したいと感じました。
事業を長く続けると、いわゆる「ノッている」ときもあれば、その逆もあります。正直なところ、事業が上昇気流に乗っているのであれば、成果を出していてもその人の本当の実力はわからないですよね。でも、逆境から結果を残したのであればそれはほぼ間違いなく個人の実績ですし、採用市場でも必ず高く評価されます。
つまり、逆境はチャンスでもあるんです。逆境に熱狂して前向きに働いてくれる人を増やしていくことができれば、会社として長く、強く存続していくことができる。そんな想いを込めているので、「逆境に熱狂せよ」というメッセージは社内に向けても、そしてこれからジョインしてくれる可能性がある人にも発信していきたいですね。
Gunosyで機会を得て、圧倒的に成長していきたい人を求む
編集部
Gunosyで働くメンバーの皆さんは、自分たちの特徴はどんなところだと考えていらっしゃるのでしょうか。
西尾さん
中途で入社された方からよく聞く声としては、まず「風通しが良い組織」というものがあります。数値ベースで議論をする文化が根づいていて、「誰が言うか」より「何を言うか」が大事という考え方を皆が持っているので、筋が通っているなら遠慮せず誰にでも意見を出せる環境です。
また、「やり切ることができればどんどんステージが変わる」ということもありますね。中途であれ新卒であれ、成果を残しているメンバーはふさわしいポジションに就いていますし、例えば入社して2年目〜3年目でも関係なく、私とも普通に話して一緒に仕事をしています。
それこそ、「ウデキキ」の開発チームにもそういうメンバーはいます。結果を出せばすぐに役員の直下で仕事をする機会が得られるというのも、Gunosyの特徴ではないかと思います。
編集部
最後に、西尾代表から読者の皆様にメッセージをいただけますでしょうか。
西尾さん
過去を振り返ると、私が創業して後にGunosyグループに入ったゲームエイトという会社は、アルバイトを中心にした構成だったんです。
当時はなかなか正社員が採用できなくて、アルバイトのメンバーに裁量権を渡してどんどん仕事をお願いしたところ、驚くくらいのスピードで成長していきました。実際に、その中から海外企業の支社長や部長級の役職者がどんどん誕生しています。
その経験から私が心に刻み込んだのは、「人は適切な機会を与えられることで、圧倒的に成長する可能性がある」ということです。新しい体制においては、意欲があり、活躍してくださる社員に、できるだけ多くの機会を渡せるようにしていきたいと考えています。
Gunosyにいる間に多くの機会を得て活躍し、業務だけでなくヒューマンスキルまで成長できるようにすること。そして、仮に会社を離れることがあったとしても、その先のステージでさらに羽ばたいていけるような人を生み出していくこと。私はそんな会社を目指しているんです。
そのためには事業規模を大きく、領域を幅広くしていく必要があり、新しい力は絶対に必要だと感じています。Gunosy Prideに共感して、理念を体現してくださるような方には機会をお渡ししますので、ぜひお声がけいただければ嬉しいです。
編集部
本日は、変革期を迎えるGunosyさんの新サービスや、組織およびその組織を構成する「人」に関する考え方をお話しいただきました。代表に就任して間もない中、心が熱くなるようなお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。
■取材協力
株式会社Gunosy:https://gunosy.co.jp/
採用ページ:https://gunosy.co.jp/recruit/