リモートワークやワークライフバランスを重視した福利厚生などを導入している企業を紹介する本企画。今回はeKYC(※1)市場売上No.1(※2)を誇り、認証システムで民間企業から公共事業まで支える株式会社Liquidを取材しました。
(※1) Electronic Know Your Customerの略で、「オンラインによる本人確認」という意味
(※2) ITR「ITR Market View:アイデンティティ・アクセス管理/個人認証型セキュリティ市場2023」eKYC市場:ベンダー別売上金額シェア(2019年度~2022年度予測)
認証の手続きを簡略化する株式会社Liquid
▲株式会社Liquidは「認証を空気化し、滑らかな世界をつくる」というビジョンを掲げている(公式サイトから引用)
株式会社Liquidは、生体認証技術やAI技術などのテクノロジーを活用した認証システムを提供する会社です。「認証を空気化し、滑らかな世界をつくる」というビジョンを掲げ、エンジニアが主体となりプロダクトの企画から開発まで、一貫して携わっています。
会社名 | 株式会社Liquid |
---|---|
住所 | 東京都中央区日本橋本町3-8-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3(5階) |
事業内容 | ・生体情報、生体行動に特化した画像解析 ・ビッグデータ解析(LIQUID eKYC、LIQUID Shield、LIQUID Auth等) |
設立 | 2018年12月 |
公式ページ | https://liquidinc.asia/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
株式会社Liquidが提供するオンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」は、低価格・かんたん・安心の3点が評価され、高い売上を維持しています。
今回は高水準なサービスを開発しているエンジニアの自由な働き方や、長期休暇も比較的取得しやすい社内環境について、HRX室・執行役員CHROの岡村一輝さん、開発部・エンジニアの野々山崚さんにお話を聞きました。
あらゆる場面で使われるオンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」
編集部
まず、Liquidさんの事業内容について教えてください。
岡村さん
弊社では生体認証技術やAI技術などを利用した認証サービスを提供しています。その中でもメイン事業は、オンライン上で本人確認を行う「LIQUID eKYC」です。このサービスは、Webブラウザやスマートフォンアプリ上で撮影した申請者の写真と、運転免許証といった身分証明書の画像の照合などを自動で行い本人確認を実施します。
オンラインでの口座開設のほか、マッチングアプリの登録や携帯電話の契約にも利用されているんですよ。多様な業界で導入されていることを背景に、市場調査では、eKYC市場で4年連続売上No.1(※)になりました。
(※) ITR「ITR Market View:アイデンティティ・アクセス管理/個人認証型セキュリティ市場2023」eKYC市場:ベンダー別売上金額シェア(2019年度~2022年度予測)
編集部
売上1位はすごいですね。主軸となっているLIQUID eKYC以外には、どのようなサービスがあるのでしょうか?
岡村さん
ネットバンキング、EC、ATM、オンライン試験、自動入退室管理などで認証が必要な場面において、LIQUID eKYCに登録してある顔データと、取引時にスマホ端末などで新たに撮影する利用者の顔データが一致するかどうか確認する「LIQUID Auth」というサービスを提供しています。なりすまし防止や、ログイン時にパスワードやIDが不要になるなどのメリットがあります。
このように「認証」の分野で様々なサービスを展開しています。
編集部
Liquidさんのサービスによって、あらゆるシーンで本人確認がスムーズになりそうですね。
エンジニアが主体的に企画の提案も
編集部
生体認証に強みを持つLiquidさんですが、技術職の方が多いのでしょうか?
岡村さん
はい、Liquidはエンジニア主体でサービス開発を行う会社です。そのため、採用活動においても7〜8割がエンジニアの募集となります。
野々山さん
現在Liquidで働いているエンジニアは中堅からベテランの人がほとんどのため、技術レベルは非常に高いと思います。それぞれが自立していて、自分のペースで仕事を進めることができるうえに、周りとの協働能力も高いメンバーばかりなので、かなり早いスピード感で開発が進んでいます。
編集部
優秀なエンジニアの方が集まっていると、成長の機会も多そうですね。
野々山さん
その通りです。私はインフラチームに所属していて、より良いサービスを提供するための基盤づくりに携わっているのですが、インフラに対する造詣が深いメンバーばかりなので非常に助かっています。各自の強みを組織に還元することで、全員が成長できる環境が整っているのではないでしょうか。
編集部
Liquidさんのエンジニアの方は、どのようにお仕事をされているのでしょうか?
野々山さん
Liquidではエンジニアに大きな裁量を持たせています。開発だけでなく、企画の段階からエンジニアが参画することも珍しくありません。社内の企画チームからの要望に対して「このようなシステムの方が拡張性があるので、こういったものをつくりませんか?」と提案するなど、構想のブラッシュアップをエンジニア主導で行うこともあります。
決まったものや言われたものをつくるだけがLiquidのエンジニアの仕事ではなく、幅広いフェーズの仕事を担当できるので、成長機会も多いですし、やりがいもありますよ。
編集部
Liquidさんのエンジニアの方が、業務に取り組むにあたって取り立てて意識されていることはありますか?
野々山さん
認証サービスは問題なく動いていることが当たり前で、トラブルはなかなか許されないという厳しさがあります。特にインフラチームは「自分たちエンジニアがLiquidのサービスの心臓部分を担っている以上、常にシステムを安全に稼働させ続けなければいけない」ということを強く意識していますね。
また、会社としてはエンジニアの働きやすさや作業効率を向上させることも意識しています。Googleが提唱したSRE(※)という考え方があるのですが、それに沿って作業の自動化やシステムの可視化などの整備にも力を入れているんです。
(※)Site Reliability Engineeringの略。Googleが提唱したシステム管理とサービス運用に対するアプローチで、信頼性をシステムの重要な機能の1つと位置づけている。
編集部
エンジニアが働きやすい環境を整えることで、事業の効率化を進めているのですね。会社にとっても社員の方にとってもプラスとなりそうです。
経験豊富なエンジニアが集うから、働く場所も時間も自由
▲月に1回開催される、株式会社Liquidの親会社「株式会社ELEMENTS」が開く全社報告会。Liquidの社員が直接顔を合わせる機会になっている
編集部
続いてLiquidさんのエンジニアの方の働き方についてもお聞かせください。近年、働く場所を選択できる企業も増えてきましたが、御社ではリモートワークと出社のどちらを推奨しているのでしょうか?
岡村さん
Liquidでは、リモートワークが主体で、必要に応じて出社の形をとっています。リモートワークから出社回帰の流れがありますが、Liquidでは今後もハイブリットで運用する方針です。
編集部
ハイブリット型を推奨しているのはなぜなのでしょうか?
岡村さん
エンジニアにパフォーマンスを最大限発揮してもらうためです。メンバーそれぞれに自走できる力がありますので、自分のペースややり方をベースに業務を行ってもらう方が生産性が高まると判断し、働き方については部門の方針において各自に任せている状況です。
そのため、「各自が仕事のやりやすい場所で業務に集中してもらおう」という狙いでハイブリットの形式をとっています。
また、勤務場所だけでなく勤務時間にも自由度があるのがLiquidのエンジニアの働き方の特徴です。裁量労働制を採用し、ワーク・ライフ・ミックスという考え方の上で柔軟に働いていただけるような風土と環境を整えています。
編集部
働く場所や時間がバラバラだと、社内でのコミュニケーションが取りにくくなるという懸念点もあるように思うのですが、どのように対策をされていますか?
岡村さん
月に1回、プロダクトの開発状況などを報告しあう「全社報告会」を、ELEMENTS(※)グループ全体で開催し、社員が集まる機会をつくっています。全社報告会は基本的にオンラインでの参加が可能なのですが、3ヶ月に1回は会場に足を運びメンバー同士が直接顔を合わせることを推奨しています。
(※)株式会社Liquidの親会社に当たる株式会社ELEMENTS
また、毎月の全社報告会の後には任意参加の懇親会を開催しており、懇親会以外にも会社として社員間コミュニケーションを促進する様々な取り組みを行っています。
野々山さん
エンジニアはチーム単位で動くことが多いため、会社全体の動きとは別に、各チーム内でコミュニケーションを取る機会も設けています。
実際に今日(取材当日)、私は1ヶ月に1回のチームメンバーによるランチ会に参加してきました。メンバーと一緒にご飯を食べて、その後、目の前の課題や中長期的な構想などについてディスカッションするといった流れです。
このような特別な機会だけでなく、エンジニアそれぞれがチームでの働きを意識しているので、コミュニケーションはうまく取れていると思います。
岡村さん
ちなみにチームでのランチ会などは会社から補助が出ますよ!
またその他にも、コミュニケーション促進の施策として「ランダムミート」というものがあります。部署の垣根を超えて3、4人くらいのチームをランダムで作り、オンラインで話してもらうという取り組みです。月に1回、30〜40分程度の時間を設けています。
このランダムミートがあることで、直接業務で関わりがない人とも知り合うことができて、先ほどの申し上げた全社報告会の後の懇親会に参加しやすい、会話が盛り上がるというような社員からの声も多いです。
社員と直接コミュニケーションをとりながら進める「納得感」を重視した評価制度
編集部
Liquidさんはエンジニアの自由を尊重し、あまり細かいマネジメントはしない方針の会社という印象を受けました。個人の動きが見えにくいなかで、どのような評価制度を設けているのでしょうか?
岡村さん
評価制度については現在見直し中の部分もあるので、あくまで従来のものとしてお聞きください。
Liquidでは、上長との1対1の面談のなかで、社員のキャリアや評価についてしっかりコミュニケーションをとりながら進めることを重視しています。
また面談の後は、各上長が面談結果を持ち寄り、複眼で判断を行う全部門集まっての評価会議を行うため、面談担当者一人の主観で評価を下すこともありません。
多数の企業様が採用されているMBO的な比較的カッチリとした定量評価のほうが管理側の負担は少ないかもしれませんが、あえてNo Ratingに寄せた形で社員と直接コミュニケーションをとることを重視し評価を行っています。
新評価制度でも現状の良い部分は継承しつつ、社員にしっかり納得感を持ってもらい業務やキャリアに前向きに取り組んでもらえるような制度にしていきたいと思っています。
編集部
Liquidのエンジニアさんは、自由や裁量が大きいのですね。加えて、評価制度も納得感のあるということで、非常に働きやすい印象を持ちました。
4週間休みの実績あり。旅行にも行きやすい休暇制度
編集部
続いてLiquidさんの福利厚生やワークライフバランスについてもお聞かせください。まず、エンジニアさんの働き方のところでも少し触れていただきましたが、裁量労働制を導入されているのですよね?
岡村さん
はい。各社員が業務の生産性を最大限高め、コンスタントに高い成果を出せるように、プライベートで余計なストレスを抱えてもらわないことが会社の希望としてあるためです。
Liquidでは「午前中に病院に行くため、昼から夜にかけて働きます」や「子どものお迎えのために1時間中抜けします」などといった働き方を認めています。また、所定労働時間を超えて働く社員は多くはなく、平均残業時間も少ない傾向にあります。
Liquidの社員の平均年齢が35歳前後で小さなお子さんがいるメンバーも多い中、社員同士がフォローし合いながら、それぞれ仕事と家庭を両立しています。
編集部
かなり柔軟な働き方が実現できそうですね。
岡村さん
柔軟な反面、「有休を使うタイミングがない」と相談されることもあります…(笑)
そもそも労働時間で社員をしばっているわけではないので、世間でいわれている半休の概念もあまりありませんし。
編集部
それではみなさん、有休はどのようなタイミングで使われるのですか?
岡村さん
病気や1日だけの所用のために使う社員もいるのですが、Liquidでは長期休暇を取って旅行に行く人もいます。
野々山さん
私も長期休暇を取得させてもらった者の一人です。1週間程度の休みをもらって旅行に行くことも度々ありますし、新婚旅行の際には4週間の休みをもらいました。
編集部
4週間!? そんなに長い休みが取れるのですね。
野々山さん
もちろん、事前に業務が滞りなく進むようチームメンバーへの作業の引き継ぎ等は行います。私はインフラを担当しているため緊急の連絡等を可能な範囲で受け取れるようにしてはいましたが、結果としては特に業務にあたることはありませんでした。チームメンバーに感謝しています。
今ほど申し上げたのは私の例ですが、総じて、長期休みは取りやすい環境だと思います。これは経験豊富なエンジニアが多く、フォロー体制が整っているLiquidならではの特徴ではないでしょうか。
岡村さん
またエンジニアリングに関わる上級管理職が複数名在籍をしていることにより、エンジニアに対し安定感のある働き方の実現に向けた支援体制を整えています。彼らがエンジニアをバックアップしているので、技術系の組織としてかなり安定感があります。
そのため「長期の休みがほしい」という希望に対しても否定的にならず、「どうやったら長期休みが取れるのか」をみんなで考えるといった環境です。
編集部
会社全体にお互いを助け合う文化が浸透し、それがワークライフバランスを向上させているのですね。
1年間の育休を取得した男性社員も
編集部
Liquidさんでほかに、特徴的な福利厚生はありますか?
岡村さん
男性で育休を取得している社員も複数名おり、最近育休から復帰した男性社員が1名と、先日育休に入った男性社員が1名いますね。最近復帰した社員は、約1年間の育休を取得しました。男性の育休期間としては、かなり長い部類に入ると思いますが、周囲は快く送り出していました。
編集部
裁量労働制に長期休暇の取得のしやすさ、男性の育休実績と、ワークライフバランスを重視して働きたい人にピッタリですね。
インターンを志願した学生が正社員に。採用に柔軟性あり
編集部
最後にインターンや採用についてお聞きします。まずインターンについてですが、最近、インターン経験者が新卒で入社したとお伺いしました。インターンは積極的に募集しているのでしょうか?
岡村さん
元々インターンを募集していたわけではありませんが、インターンを経て入社したものが、来年度の入社予定も含めて2名います。入社済みの社員についてはLiquidのことを自分で調べて、自ら「ここでインターンをさせてください」と売り込んできたんです。
強い熱意があり、またお互いにマッチしたので正社員として採用にいたりました。
編集部
その方々は本当にLiquidさんに興味を持ってインターンを希望されたんでしょうね。
岡村さん
そうだと思います。Liquidとしても「いやインターンは募集してないから、ごめんね」という姿勢でなく、柔軟な姿勢で対応できたというのは1つの財産になりました。
実際にインターンから2022年に入社したものは営業職として働いているのですが、高い意欲を持って活躍してくれています。これからも柔軟性を持った採用活動を進め、優秀な人材の獲得を続けていきたいですね。
時間をかけてでも「未来を変えたい」思いを持つ人材を募集
編集部
それでは最後に、Liquidさんで働きたいと思っている方へのメッセージをお願いします。
岡村さん
Liquidでは「認証を空気化し、滑らかな世界をつくる」というビジョンのもと社会インフラになり得るようなインパクトの大きいプロダクト開発に中長期的に取り組んでいます。
選考の特徴としては「お互いを知る」ことを重要視しており選考要素を含まないカジュアル面談からステップを開始させていただくことが多く、会社や事業、組織の情報をしっかりお伝えしたうえでミスマッチのない対話を通したご縁の創出を心がけております。
当社でのお仕事にすこしでもご興味お持ちいただきましたら是非お気軽にコミュニケーションをいただければと思っています。
野々山さん
多くの方が、活躍できるご自身のキャリア・ポジションを探す際に重視したい条件を持っていると思いますが、「共感を持てる」という点は特に大切だと思います。プロダクト開発により築きたい価値や機会、チームでの開発スタイルや採用する技術要素に「共感」できる環境に身を置き、納得感を持って仕事に臨むことは、エンジニア視点でも重要なことと考えています。
Liquidが扱う「認証」を用いたプロダクトは、正直華やかなものというよりは黒子的な存在として、様々なサービスを裏から支えています。そのため「社会に役に立つものをつくりたい、そのためにスキルを伸ばしたい」という思いがある方は、特にマッチすると思います。
Liquidでは各プロダクトをチームで開発していますので「みんなで一致団結してプロダクト開発を進めること」を楽しめる方と、一緒に働くことができたら嬉しい限りです。
編集部
確かな技術と熱い思いを持ったエンジニアの方々が、ワークライフバランスも重視しながら働いているから、会社全体として高いパフォーマンスを発揮できていることがわかりました。
本日お話を聞いて、LIQUID eKYCがeKYC市場で売上No.1(※)を誇る理由が分かった気がします。本日はありがとうございました。
(※) ITR「ITR Market View:アイデンティティ・アクセス管理/個人認証型セキュリティ市場2023」eKYC市場:ベンダー別売上金額シェア(2019年度~2022年度予測)
■取材協力
株式会社 株式会社Liquid:https://liquidinc.asia/
採用ページ:https://liquidinc.asia/recruiting/