独自の働き方や人材の活用法・育成方法などで、注目すべき企業を取材させていただくこの企画。今回は愛媛県、東京都、そしてキルギス共和国の3拠点でアプリ開発やWebサイト制作などを手掛ける株式会社プライサーにお話をうかがいました。
株式会社プライサーの事業概要と特徴
2009年4月に設立された株式会社プライサーは、「IT技術で人類のより良い生活をつくる(まもる)」をミッションに掲げるIT企業です。Webサイトの構築やアプリの開発、インフラ環境の設計・構築などを得意としており、2016年には愛媛県より「愛媛のスゴVen.」(注:愛媛県が認定する優れたベンチャー企業)にも選ばれています。
会社名 | 株式会社プライサー |
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住所(愛媛本社) | 愛媛県松山市久米窪田町487番地2 テクノプラザ愛媛別館2F A・B・C・D・H・I室 |
事業内容 | ・Webサイトシステムの企画、開発、運営 ・スマートフォンアプリの企画、開発、運営 ・インフラ環境の設計、構築、導入 ・広告企画 ・インターネットビジネスにおけるコンサルティング |
設立 | 2009年4月 |
公式ページ | https://www.pricer.co.jp/ |
株式会社プライサーの特徴は、個々のスタッフのチャレンジを奨励し、バックアップしていることです。今回のインタビューでは、その具体的な内容をうかがうとともに、積極的に推進している人材の多国籍化や異業種出身者の採用などによる社内の多様性についてお話しいただきました。さらに、若手スタッフの積極的な登用という独自のカルチャーについても、体験談を交えてお聞きしました。
株式会社プライサーの3拠点展開と事業内容
▲「"これでいい"というモノづくりではなく、"これがいい"というモノづくりを。」というのがプライサーさんが大切にしているテーマ(公式サイトより引用)
編集部
本日はよろしくお願いいたします。最初に事業内容からお教えいただけますでしょうか。
村上さん
弊社は2009年に創業し、現在グループ全体で約80名のスタッフが在籍しています。本社は四国の愛媛県松山市にあり、東京本社と中央アジアのキルギス共和国にも拠点を持っています。主な事業内容はWebサイトの制作やスマートフォンアプリ・システム開発ですが、紙媒体の制作やイベント開催なども幅広く手掛けています。
2016年9月には「愛媛のスゴVen.」に認定されました。これは、独創性や新規性のある将来有望な愛媛県内のベンチャー企業に与えられる認定で、愛媛県から評価をいただきました。
プライサーという社名は、価格や価値を意味するPRICEに由来しています。私たちが価値を創り出す役割を担おうという意志を込めて「PRICER」としました。弊社では「"これでいい"というモノづくりではなく、"これがいい"というモノづくりを。」をモノづくりのテーマとしています。
このテーマに基づき、お客様のご要望に対して付加価値をプラスした「価値の高いもの」を提供することを、社内全体で共有し実践しています。
株式会社プライサーが手掛ける生活密着型アプリの開発
▲プライサーさんが開発した「伊達なうわじま安心ナビ」の画面
編集部
幅広く事業を展開されているということですが、業務を実施していく中で意識していることはありますか?
村上さん
生命を守ること、存続させることをIT技術で実現することを目指しています。弊社は「IT技術で人類のよりよい生活をつくる(まもる)」ということをミッションに掲げていますので、その想いは根底にありますね。
例えば防災という観点では、地域の地形や気候により災害の種類や被害が異なります。そのため、机上論ではなく地域に根ざしたソリューションが必要です。こうした考えが"これでいい"ではなく"これがいい"につながっています。つまり、地域の特性に合わせた最適な解決策を提供することを重視しているのです。
編集部
これまで手掛けたプロダクトの中から、ひとつご紹介いただけますか。
村上さん
愛媛県の宇和島市様の公式アプリ「伊達なうわじま安心ナビ」をご紹介します。このアプリは市民の方や観光客向けに開発し、観光モード、防災モード、健康モード、子育てモードという四つのモードがあります。
最大の特徴は、市民の方が日常的にはあまり使うことのない「防災モード」を、日々の暮らしで気軽に使うその他の機能と一緒に搭載したことです。
防災だけのアプリでは、市民の方にどこまで浸透するか不透明です。しかし自治体としては、防災アプリはいざという時のために、ぜひとも備えておいていただきたいものです。
そこで、防災モードを健康や子育てといった日常的な機能と一体化することで、日頃からアプリの存在や扱い方に慣れ親しんでいただきます。そして、いざという時には防災モードに切り替えることで、災害時等に役立つ情報にスムーズにアクセスできるようになっています。
村上さん
同様の発想で開発したアプリに、愛媛県警察本部様の公式アプリ「愛媛県警察まもるナビ」があります。このアプリは事件や事故情報の正確で迅速な入手、警察への迅速な情報提供、さらに防犯に役立つ知識を学べる力試し機能などを搭載しており、警察とのスムーズな情報連携を実現しています。
これらのアプリは、日々の生活を安心して過ごすための助けとなるものです。公共性の高いサービスを最新の技術で作っていくという想いが、弊社が開発したどのアプリにも根付いています。
▲プライサーさんが開発した愛媛県警察公式アプリ「まもるナビ」
人材の多国籍化や異業種出身者の積極採用がもたらす多様性
▲国籍も含めて多様性があるスタッフ。イベントなどを通した交流も活発
編集部
次に、プライサーさんのカルチャーと働き方についてうかがいます。まず、社内はどのような雰囲気だと感じていますか?
高岡さん
多様性があり、それを認め合う雰囲気を強く感じています。例えば本社では、海外出身の方が多く働いており、支店があるキルギス共和国から現在4名が出張で来日しています。他にもベトナムやオーストラリア出身のスタッフがいるなど、多国籍な構成になっています。
また別の観点でいうと、まったくの異業種から転職してきた方も多いんです。例えば、銀行出身の方や、音楽関係のライターとして活躍されていた方などがいます。IT業界未経験というスタッフの視点はとても新鮮ですし、多様性を強く感じられる部分だと思います。
村上さん
私も旅行業界から転職してプライサーに入ったので、IT業界はまったくの未経験でした。現在リモートワークで働いていますが、みんないろいろとフォローしてくれて心強いです。
個々の状況に応じたリモートワークの柔軟な運用
▲海外からリモートワークをされている方も。
編集部
村上さんは現在リモートワークとうかがいましたが、働き方についてはどのようなルールを設定されていますか?
村上さん
会社としては、基本的にリモートワークを推進しているわけではありません。しかし、家庭の事情で遠隔地に引っ越したスタッフや、その他健康上の理由などでリモートワークにするという方もいます。
それから、子育てのタイミングで「今日はリモートにします」というケースもありますし、それぞれの人の状況に応じて、リモートワークを柔軟に認めています。
編集部
職種などに関わらず、状況に応じてということですね。
村上さん
はい。きちんと相談をした上で、柔軟に対応するようにしています。
個人の想いを込めたプロジェクトを会社が全面バックアップ
編集部
その他に、働いていて「こんなところが良い会社だな」と感じたことはありますか?
高岡さん
一昨年の勤労感謝の日に、社内のスタッフ同士で感謝のメッセージを送りあうイベントがありました。これは私にとって、非常に印象的で感動的な経験でした。当時の私は入社1年目で、大きなプロジェクトを終えた直後でした。ディレクターの方からいただいたメッセージに深く感激し、非常に心強く感じたことを今でも鮮明に覚えています。
このイベントは既存のウェブサービスを利用したものでしたが、私はこれを社内で独自に開発したいと考えました。そして現在、所属するフロントエンドのチームで、感謝を送り合うウェブアプリケーションを開発するプロジェクトが進行中です。
編集部
完成はいつ頃の予定なのですか。
高岡さん
現在デザインが完成し、実装段階に入っています。今年の勤労感謝の日までには完成させたいと考えているので、チーム全体で協力しながら少しずつ進めています。
編集部
初めて届いたメッセージに感激し、これを自らプロジェクトとして推進しようと考え、実際に現在開発されていると。そういう想いを実現できる会社なのですね。
高岡さん
はい、そうです。私がこのプロジェクトを提案したとき、チームのリーダーはもちろん、別チームの方々も含めて、皆が賛同してくれました。良いアイデアだと思ったら、徹底的に応援してくれる。それが私たちの会社の社風であり、企業文化だと強く感じています。
株式会社プライサーにおける若手社員の早期登用と成長機会
▲若手スタッフにも様々な挑戦の機会が与えられているのがプライサーの特徴
編集部
先ほどうかがったプロジェクトも含めて、高岡さんは率先してチームを引っ張っておられるようですね。入社されて何年目になるのですか。
高岡さん
2年と少しです。新卒で入社しました。
編集部
未経験からですか。普通ならまだ若手の扱いなのでしょうけれど、もはやそのレベルを超えたお仕事ぶりのように感じます。今担当されているメインの業務を教えてください。
高岡さん
今は主にウェブとアプリをプラットフォームにした開発をしています。フロントエンドエンジニアとして、利用者がスマートフォンやウェブサイトで見るブラウザ上の画面や機能を担当しています。
入社1年目は実務を通してシニアエンジニアの方に指導していただき、技術者として成長することができました。2年目からはマネジメント業務にも少しずつ携わらせてもらっています。
私が所属するフロントエンドのチームには、素晴らしいリーダーがいます。私の「こうしたい」という提案を後押ししていただいて、とても働きやすい環境で仕事をさせてもらっています。
また、チームに1名ベトナム出身の方がいるのですが、来日してまだ1年も経っていません。日本語でのコミュニケーションがまだ流暢ではないので、今はどの段階まで日本語のレベルを高めていくかなどを一緒に考えながら、1対1の面談を行っています。
株式会社プライサーの海外拠点での若手社員の学び
▲高岡さんが2ヶ月間出張した、プライサーのキルギス共和国ビシュケクブランチスタッフとの食事会の様子
編集部
何でも任せてもらえるという職場環境の中で、ご自身ではどんな時に成長を実感できましたか。
高岡さん
技術者としては、案件をこなしていくごとに成長を感じています。新しい技術も、リーダーのサポートを受けながら挑戦することができています。
マネジメントについては、入社2年目に2ヶ月間、キルギス出張に行かせてもらい、そこでの経験により成長を強く実感しました。
編集部
キルギスではどんな経験をされたのですか。
高岡さん
キルギスに着いた当初は、リーダーがおらず、チーム体制が整っていない状態でした。キルギスの公用語はロシア語とキルギス語なので、基本的に言語が通じません。指示の出し方一つにしてもトライアンドエラーの繰り返しでした。
日本語を話す現地スタッフがいてロシア語に翻訳してもらいましたが、物事の考え方や捉え方が異なることもあるので、細かいニュアンスを伝えることが難しく大変でした。
重要な内容を伝える際にはロシア語に翻訳してもらい、1対1の対話では英語を使うこともありました。フロントエンドのチームには英語を話すスタッフが多かったおかげで、英語力も向上しました。
外国人に通用するリーダーとしてのコミュニケート手法を習得
▲キルギスで働く現地スタッフとの交流で得られることは多かったと語る高岡さん
編集部
言葉の壁や考え方の違いなどで苦労されたと思います。そのような環境下で、どのような工夫をされましたか。
高岡さん
当時の私はマネジメント経験が浅く、技術的にも自信がない時期でした。そのため、リーダーとして強く発言することができませんでした。
しかし、あるスタッフから「リーダーとして、はっきりと言うべきだ」とアドバイスをもらいました。「確かにその通りだ」と気づきました。振り返ると、日本人特有の遠回しな言い方をしていたのです。
曖昧な言い回しではなく「このような理由で、このようにしてください」と明確に伝えるようにしました。この方法を実践してからは、スタッフたちとのコミュニケーションが大きく改善されました。このような意思疎通の方法を学べたことも、キルギス出張での重要な成果の一つだと考えています。
編集部
なるほど。入社2年目で2ヶ月間のキルギス出張の機会を提供し、さまざまな学びを実践させてくれたのは、プライサーさんならではの特徴なのですね。
高岡さん
そう思います。本当に感謝しています。
株式会社プライサーの充実した社員サポート体制
編集部
高岡さんのお話から、年齢に関係なく若手にも活躍の場を積極的に与えている会社だと感じました。若いうちから多くの経験を積める会社に憧れている若い方々へ、メッセージをお願いします。
高岡さん
弊社の場合、自分が自信をもって手を挙げて提案したことに対しては、推進してくださるし、サポートもしてもらえます。そういう社風がとても有難いですし、やりがいを一番感じられる部分です。
キルギス出張の際も、チームリーダーに頻繁に電話をしていました。不安な時もきちんとサポートしてもらえました。挑戦をさせてくれるだけでなく、そのフォローやサポートがあるので安心してチャレンジできます。
しかも、マネジメント層との距離がものすごく近いと感じます。何か相談したいことがあれば、いつでも時間を作ってくれ、アドバイスやサポートをいただけます。挑戦しやすい環境を作っていただいていると本当に実感しています。
編集部
失敗した時はどのようなフォローがありましたか。
高岡さん
コミュニケーションでつまづくこともありました。リーダーとして活動する中で、別のリーダーとぶつかったことがありましたが、そんな時にはマネジメント層の方が間に入ってコミュニケーションを取ってくれました。
私が気づかないところでもフォローしていただき、潤滑油の役割を果たしてくださっていたと実感しています。
高岡さん
技術的なことに関しても、寄り添って一緒に調べてくれたり、一緒に悩んでもらっています。
編集部
村上さんの部署でも、上司やリーダーの方からのフォローやサポートは温かいものなのでしょうか。
村上さん
はい。私はチームの上司から「前を向いて転ぶのはウェルカム」という言葉をよく聞かされています。自分が「よくしよう」だったり「やってみよう」と思ったことは積極的にチャレンジしなさいと。そして、それについては高岡さんからもあったように、全面的にバックアップや応援をしてもらえます。
失敗したり行き詰まっても、それは自分がよくしようと思った結果なので問題にはされません。そのタイミングで一緒になって状況を整理してくれて、「ここで、こうやっておけばよかったね」や「次はこっちでやってみよう」などとフォローしてくれます。
関連する他部署のリーダーに話を通してくれたり、「この人に聞いたらいい」というアドバイスをしてもらえたりと、本当に寄り添って相談にのってくれます。
「困っています」という声を上げたら、どんなに忙しくても時間をとって状況を聞いてもらえるので、挑戦しやすい会社であることは間違いありません。しかも「挑戦させて後は放置」ということはなく、最後まで支えてもらっているということを強く感じています。
株式会社プライサーが求める人材像と採用方針
編集部
採用において、どのような人材を求めているのでしょうか。
村上さん
弊社の採用プロセスは、2段階の面接で構成されています。一次面接では配属希望先のリーダーやスタッフが担当し、職務に必要なスキルや知識を確認します。通過者は、マネジメント層との二次面接に進みます。
二次面接では、特に向上心や好奇心が旺盛であることを重視しています。この段階では、応募者が会社のカルチャーにフィットするかどうかを見極めます。弊社のマネジメント層は、この点を非常に重要視しています。
私個人としても、向上心や好奇心にあふれた方々と日々働けることは、非常に刺激的で楽しいと考えています。
高岡さん
全く同感です。プライサーの理念である「"これでいい"というモノづくりではなく、"これがいい"というモノづくりを」は、エンジニアの行動指針としても適用できると考えています。
単に「動作するから良い」というのではなく、「この実装における最善の方法は何か」を常に追求する姿勢が大切です。そのような探究心を持った方々と共に働けることを、心から楽しみにしています。
編集部
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社プライサー https://www.pricer.co.jp/
採用ページ https://www.pricer.co.jp/recruit/