企業の成長の背景にある戦略やバリュー、カルチャーなどを紹介するこの企画。今回は平均年齢32歳の若手が活躍し、建設業界に従事する全ての人たちを支えるマッチングプラットフォーム『助太刀』を運営する株式会社助太刀を取材しました。
建設業界の人材不足解消に尽力する株式会社助太刀
株式会社助太刀は、建設現場で働く職人と工事会社の新しい出会いが見つかるアプリ『助太刀』や、求人意欲のある工事会社がアプリ内で求人広告の掲載および職人へのダイレクトスカウトが送付できるサービス『助太刀社員』を提供する企業です。
登録事業者数が20万を超える『助太刀』は、建設業界におけるマッチング領域で圧倒的なユーザー登録数を誇り、建設業界の慢性的な人手不足解決をサポートしています。
会社名 | 株式会社助太刀 |
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住所 | 東京都新宿区西新宿6丁目18-1住友不動産新宿セントラルパークタワー14階 |
事業内容 | インターネットを利用したサービスの企画、制作及び運営 |
設立 | 2017年3月 |
公式ページ | https://suke-dachi.jp/company/ |
売り上げ実績、従業員数共に前年を大きく上回る企業成長の背景には、異業種からジョインした社員へのフォロー体制や2023年春に刷新したバリューに基づく行動、忌憚なく発言できる風通しの良い社風があります。
そこで今回は、株式会社助太刀の成長理由を掘り下げるため、執行役員CAOの植村具民さんと、HRグループリーダーの繁田夏実さんにお話を伺いました。
建設業界に特化したマッチングプラットフォーム『助太刀』&『助太刀社員』を提供
編集部
はじめに、助太刀さんの事業内容についてお聞かせください。
繁田さん
"建設現場を魅力ある職場に。”をミッションに掲げる当社は、建設現場で働く職人さんや工事会社様向けのマッチングプラットフォーム『助太刀』と、建設業に特化した採用サービス『助太刀社員』を中心とした事業を展開しています。
建設業界は約500万人が従事しているとされていますが人手不足が長年の課題となっています。そのような実情を解決するため、職人さんがより良い仕事に出会えるよう、これまでの業界慣習に頼らない受発注の最適化に取り組んでいます。
編集部
『助太刀』、『助太刀社員』は建設業界への深い知見から生まれたサービスと伺っております。開発に至った背景をお聞かせいただけますか?
植村さん
代表の我妻がもともと工事会社出身ということもあり、創業時からドメインエキスパートとして事業を展開してきました。その後はわれわれ社員がお客様とのコミュニケーションを通じ、社内でのナレッジやノウハウの共有、プロダクト改善のためのユーザーインタビューを通じて会社全体で業界知識の蓄積とユーザーニーズの把握に取り組んでいます。
▲20万以上の事業者に利用される『助太刀』。業界トップクラスのコミュニティで様々な出会いが生まれている
植村さん
具体的には営業やカスタマーサクセスがお客様より寄せられるニーズをプロダクトチームへ連携し、サービス開発に活かしています。その際に得た、サービスを利用いただいたことによる成功事例はSlackで社内全体にも共有し横展開を図っています。
社員数2倍、売り上げ実績2.6倍。急成長の要因はユーザーの行動特性の追求
編集部
2017年設立以来、マッチングプラットフォーム『助太刀』などのプロダクトを通じて建設業界の人手不足解消に尽力されてきた助太刀さんですが、社員数や売り上げの増加など、成長を表す具体的な数字などがあればお聞かせいただけますでしょうか。
繁田さん
社員数においては2022年度の85名から2023年10月時点では170名に増えており、約2倍の増員となっております。売り上げも純増しており、前年比で260%を達成することができました。
また、当社の主力であるマッチングプラットフォーム『助太刀』のユーザー数が20万事業者を突破したことからも、組織・事業ともに成長を実感しています。
編集部
数字から見ても大きな飛躍をされている助太刀さんですが、急成長の要因はどこにあるとお考えですか?
植村さん
成長要因として考えられるのは、当社は建設業界に特化したバーティカルなプロダクトですが、そもそも建設業界というマーケットの市場規模が大きいことが挙げられます。
巨大でレガシーなマーケットにおいて、前例のないサービスをユーザー様の行動や特性などを理解した上でプロダクトを開発し、マーケットをしっかり作り上げてきたことも、大きな成長要因と分析しています。
また、投資を含めたマーケティングにも積極的に取り組み、認知拡大と同時に当社のサービスにご興味を持っていただいた方に対するセールス活動ができる体制を整えた結果、業績アップにつながったと思われます。
編集部
なるほど。ユーザーの行動や特性はプロダクトの開発において、どのような機能に反映されるのでしょう。
植村さん
事業をスタートした頃、周囲からは職人さん向けにスマートフォンアプリを作っても使えないのではないか、という意見が多くありました。
しかし、代表の我妻は実際に建設現場にいたので職人さんが休憩しているときに、みんなスマートフォンでゲームをしているのを見て、職人さんとスマートフォンアプリの相性が良いことを知っていました。
そこで当社は、スマートフォン内で全てが完結するネイティブアプリからプロダクトをスタートし、電話番号と職種、居住地、氏名を入力するだけですぐ利用できる操作性を重視したサービスの構築に着手しました。
使い始めから徐々にステップを踏んでいくことでよりマッチングしやすくなるといった、1つひとつの機能のUI/UXにこだわったサービスを作ったことが、パソコン操作に慣れていない方の行動や特性にマッチしたと思われます。
編集部
パソコンは苦手な方でも、スマートフォンで気軽に利用できる助太刀さんのサービスは、工事現場で働く職人さんや建設業界が待ちに待った“飛び道具”というわけですね。
協業型のセールスとチームの連携強化が成長を後押し
編集部
売り上げ実績アップの要因は、セールス活動にも起因するとのことですが、具体的な活動や仕組み作りについてお聞かせください。
植村さん
前年比260%の売り上げ実績には、営業体制を強化したことが背景にあります。
営業のプロセスとしてSalesforce社が構築された「The Model」を参考にし、マーケティングチームが中心となって見込み顧客を獲得し、インサイドセールスチームが商談化を行い、フィールドセールスへトスアップする体制を整えました。
実際に流入いただいたお客様の商談はフィールドセールスチームが引き継ぎ、契約を締結、以降はカスタマーサクセスがお客様をビジネス成功に導くといった協業型のセールスプロセスを組んでいます。
編集部
セールスプロセスを細分化すると共に、協業型のセールスによってチーム間連携が強化されたことが、急成長につながったというわけですね。
ミッション実現のために刷新した4つのバリュー
▲「建設現場を魅力ある職場に。」というミッション実現のため、コーポレートバリューの改定を実施(PRTIMESから引用)
編集部
社員数、売り上げ共に急成長をしたことにより、企業体質として変化したことがありますか?
繁田さん
組織規模が大きくなったことで、多様なバックグラウンドの人が入社し、コミュニケーションが複雑になり、全社での共通認識を持つことや、スピード感のある意思決定を行うことの難易度が上がってきていました。
2023年1月に実施した”バリュー浸透プロジェクト”では、バリューをより具体的な行動指針とすることで、日々の行動や判断軸とするようにアップデートし、現在の当社にマッチした事業運営を展開しています。
▲バリュー再定義に合わせ、誰が、いつ、どこで見ても、バリューを正しく理解できる「助太刀バリューブック」を作成
繁田さん
今回のバリューの再定義も、ミッション達成のために実態に合った内容にすることを念頭に検討を行いました。評価制度への組み込みや、表彰、社内広報記事などにより、バリューを浸透させ、急成長する組織を作っていきたいと考えています。
ニーズに対応した戦略とスピーディーな組織改革を支える風通しの良い社風
編集部
続いて、助太刀さんの社風やカルチャーについてお聞かせください。
繁田さん
営業であれば、実績を出せばリーダーに就任といったように、年齢や社歴ではなく、実力で評価するカルチャーが根付いているように感じます。戦略に合わせて柔軟に組織変更をしている当社では、リーダーポジションに就く機会が多く、スピーディーなキャリア形成ができます。
具体例としては、戦略として営業のターゲットを広げた際は、大手向けの営業チームや、代理店向けの営業チームを新たに独立して作るなど、戦略に合わせてチームを作っていくイメージです。
編集部
アグレッシブに戦略を練り、実践されている助太刀さんの社員のみなさんは、どのようなマインドで業務に向き合っているのでしょう。
繁田さん
社員1人ひとりに与えられたミッションを達成するために与えられた裁量のなかで責任感を持って行動しています。
植村さん
大きな会社の場合は一社員の意見や提案が採択されるまでは時間がかかりがちですが、当社は現場のメンバーとリーダー、場合によっては役員が同席する中で決定されます。やりたいことを適切に説明し、効果が見込めそう、事業成長に紐づきそうと判断された場合はそのまま実行されます。
組織として適切に権限は設定されていますが、ミーティングの場やディスカッションの場などの決定プロセスにおいて、自分の意見を述べた結果、反映されることが多々あります。実務を進めていくにあたり、決定権がないことを理由に意見を述べる余地がないといったことはありません。
編集部
誰もが忌憚なく発言できる環境であることがわかりました。助太刀さんには社内交流として部活動があると伺っております。オフタイムの活動が風通しの良い社風につながっていると感じることはありますか?
繁田さん
部署の垣根を越え、有志が集まって部活動をすることで、組織の規模が大きくなっても他部署のメンバーと接点を持つ良い機会になっていると感じます。部活はさまざまありますが、フットサル部や登山部などスポーツ系の他、面白いところでは多国籍料理部などが活動しています。
編集部
オンオフ共に仲間と汗を流したり、共通の趣味を楽しむことで、結束が一段と強くなることが期待されますね。
平均年齢32歳。多様なバックグラウンドを持ったメンバーが活躍する助太刀
編集部
助太刀さんの社員の平均年齢は32歳前後と伺っております。さまざまなバックグラウンドを持った方がジョインされているとのことですが、どのような理由で入社をされたのでしょう。
繁田さん
IT業界や金融業界、人材業界、不動産業界、建設業界、公務員など多彩なバックグラウンドを持った者がジョインする当社には、"建設現場を魅力ある職場に。”という当社のミッションに共感したことを入社理由に挙げる者が多い印象です。
建設業界の人手不足といった社会課題の解消に共感する他、市場規模の大きさと、採用に関するDXが不十分である建設業界のインパクトの大きさに将来性を感じ、ジョインした者もいます。
編集部
活躍されている社員の特徴やエピソードがあればご紹介いただけますでしょうか。
繁田さん
入社から1年半程で営業職のマネージャーに就いたメンバーもいます。他業界からの転職で、20代後半という若さで実績を上げています。
マネージャーに昇進した背景には、人材育成や他部門との連携など、全体最適を成功に導く視点を持っていることが挙げられます。また、経営の戦略を理解した上でメンバーとの接続をしっかりできる点も強みと感じます。
業界未経験者の成長を支える「職種共有会プロジェクト」
編集部
新たにジョインする社員に対しての助太刀さんのフォロー体制やカルチャーなどがあればお聞かせください。
繁田さん
早期戦力化を目的としたオンボーディングや、実務指導とメンターを兼ねたOJTによる研修を実施しています。加えて、リーダー就任時は四半期に1回リーダー研修を実施し、マネジメントやリーダーとしての心得などを習得する研修を行っています。
研修後のフォローアップやマネジメントの型化については課題となっており、制度を設計している最中です。
編集部
助太刀さんの事業は建設業界や工事現場に関する知識が求められると思われます。他業種から御社にジョインされた方へのフォローなどはありますか?
繁田さん
建設業出身の者が疑問や課題などをキャッチアップして指導をしたり、お客様に直接教えていただくことで知識を深めています。直近では「職種共有会プロジェクト」を立ち上げ、部門横断の有志メンバーにより、週1回の持ち回りで建設業のナレッジを共有しています。
例えば、「電気設備士」など、職種ごとに毎回テーマを決め、職種の深掘りをしていきます。それを実際にお客様の提案に活かせるように、コンテンツを決めていくイメージです。お客様に提案する際に、“この職種でも提案できるのでは”というアイデアにつながり、提案の幅が広がることを期待しています。
編集部
さらなる企業成長に向け、社員一丸となってアグレッシブに行動されているのですね。
変化に柔軟に対応し、学習意欲が高い方を歓迎する助太刀
編集部
建設業界の人材不足という社会課題の解決に貢献する助太刀さんの価値ある事業やバリュー、カルチャーに興味を持った読者は多いと思われます。最後に、御社が求める人物像、フィットする人材などについてメッセージをお願いします。
繁田さん
実際に成果を出している社員を見ると、成果へのコミットメントに対する熱量があることが大切だと感じていますね。また、戦略や組織のアップデートなど、スピード感のある環境なので、変化に対して柔軟に対応でき、自ら学んでフィットさせていける方が活躍できる環境だと思います。
植村さん
社会課題の解決をはたらく軸に持って業務に邁進できる方を歓迎します。スタートアップなので大変なことも多いですが、持っている軸を明確にし、ぶれることなく行動できること、新しい戦略やプロダクトに対してもしっかり学び、成果につなげていける向上心を持った方と共に成長していけたらと考えています。
編集部
建設業界におけるマッチングサービスのパイオニア的存在の助太刀さんにジョインすることは、自己成長にもつながると感じました!
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社助太刀:https://suke-dachi.jp/company/
採用ページ:https://suke-dachi.jp/company/recruit.html