高梁市役所で働く魅力:全国初の「感動担当」制度で実現する職員の働きがい向上

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、高梁市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

高梁市役所では、「職員が生き生きと働いてこそ、住民福祉の向上が実現できる」という考えのもと、独自の「感動担当」を設置し、職員の働きがいを高める取り組みを行っています。また、いわゆる“男性版の産休”は取得率100%、月平均残業時間13.1時間と、ワークライフバランスの実現にも成功。さらに、多様なキャリアを持つ職員が活躍できる環境を整えています。

今回は、高梁市役所の職場環境や働き方改革について、総務課人財育成係の高木さん・管波さん、建築営繕室の新山さん、上下水道課の兼森さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
高梁市上下水道課上水道業務係主事の兼森美咲さん

高梁市上下水道課上水道業務係 主事

兼森 美咲さん(入庁2年目)

高梁市建築営繕室技師の新山大樹さん

高梁市建築営繕室 技師

新山 大樹さん(入庁1年目)

高梁市総務課人財育成係主事の管波美佳さん

高梁市総務課人財育成係 主事

管波 美佳さん(入庁1年目)

高梁市総務課人財育成係主事の高木優さん

高梁市総務課人財育成係 主事

高木 優さん

取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。

職員の働きがいを高める高梁市役所の「感動担当」制度

高梁市役所の職員たち
▲高梁市役所の職員たち

編集部

職員の働きやすさややりがいについて、市として特に力を入れている取り組みを教えていただけますか?

管波さん

私と高木が、職員を感動させるための「感動担当」として、職員のエンゲージメント向上に取り組んでいます。

編集部

とてもユニークな担当ですね。具体的に、どのようなことをしているのでしょうか。

高木さん

まず本市の現状を把握するため、職員の意識調査を実施しました。満足度と重要度の観点から分析を行い、改善が必要な部分を明確にしています。

昨年度の調査では、職員間で「周囲の能力は高く評価しているものの、自分自身は認められていないと感じている」という結果が出ました。そこで「ありがとうメッセージ」の取り組みを始めました。

職員を感動させる名目で「感動担当」というポストを作っている自治体は、高梁市のほかに聞いたことがありません。これは「住民福祉の向上を図るためには、まず市役所で働いている職員が生き生きと働くべき」という考えから生まれたものです。職員のことを第一に考える組織風土が、高梁市にはあると感じています。

この取り組みの結果もあってか、その後の職員の意識調査の結果では「上司とのコミュニケーションが改善された」という内容が最上位にランクインしました。人間関係が円滑になった証だと思うので、嬉しいですね。

高梁市役所の研修風景
▲感謝の気持ちを送り合うことで、日々の業務にもより集中できるようになる効果も。

編集部

「ありがとうメッセージ」はどのように共有されているのでしょうか?

高木さん

メッセージカードをPDFデータで送付する形です。匿名での送付も可能としています。

技術面や適切なサポート、若手職員の意見に耳を傾ける姿勢への感謝のほか、場を和ませるジョークへのお礼など、内容はさまざまで年間600件以上ものメッセージが送られています。

最初は「なんだ、これ」みたいな感じだったんですが、今では感謝を伝え合う良い循環が生まれています。個人的に意外だったのは管理職以上の方の反応でした。ポストが上になると褒められる機会がなくなるらしいのですが、「ありがとうメッセージ」は部下からも送られてくるので、とても喜んでくれたんです。

職位の高い管理職が喜んでくれたことで、管理職側からもメッセージを部下へどんどん波及していってくれたので、全庁的に広がったのだと思います。

兼森さん

私も実際にメッセージをいただき、とても嬉しく感じました。普段あまり接点のない部署の方からも温かいメッセージをいただけました。たった一言でもモチベーションが上がるので、良い取り組みだと思っています。

私以外の職員からも「人から感謝してもらえることでモチベーションが上がった」「自分の承認欲求が満たされ自己肯定感が高まるので良い取り組みだと思う」という声があがっています。

編集部

他にも、感動担当としての具体的な取り組みはありますか。

高木さん

調査をした中で、「市民の方と接しない、完全にクローズな休憩室がほしい」という声が、年齢層や部署に関わらず全体から挙がりました。たしかに、それまでは昼休みにお弁当を食べるときも基本的には自席で食べるか、市民と共用スペースで食べるしかないので、目線が気になるときがあったのです。

庁舎管理の部署と調整をして「今日の昼休み時間は、この会議室を休憩室として開放します」と掲示し、クローズな休憩室を確保するようにしました。

ワークライフバランスを実現する充実した福利厚生制度

高梁市役所の庁内風景

編集部

ワークライフバランスを推進するための独自の取り組みはありますか。

高木さん

2024年1月から「ハッピー・ツー・ウィークス」という取り組みを開始しました。佐賀県庁の事例を参考に、男性職員の配偶者出産に伴う2週間以上の休暇、いわゆる“男性版の産休”の取得率100%を目指す施策です。

特徴的なのは、2週間以上の休暇を取得しない場合に、その理由を詳細に報告する必要があるという仕組みです。現在まで取得率100%を維持しています。併せて育児休業取得率も100%を目指して取り組んでいます。

編集部

業務の都合で休暇が取れない場合は、どのように対応されているのでしょうか?

高木さん

業務都合は理由として認めていません。上司が業務分担を調整し、必ず取得できる環境を整えています。共済組合からの支援金もあり、2週間から1ヶ月程度の取得であれば、経済的な面でも問題ありません。

編集部

高梁市では、残業時間の状況はいかがでしょうか?

高木さん

全体平均では残業時間は13.1時間程度ですが、部署によって差があります。毎週水曜日をノー残業デーとして定着させており、特に月末の最終水曜日は「スーパーノー残業デー」として、「部署のみんなが帰るまで、所属長は帰っちゃダメ」というルールにしています。

「所属長が帰れないから、もう帰りなさい」というロジックで帰宅を促すことができる仕組みです。その効果で、スーパーノー残業デーでは緊急の業務がない限り定時退勤を徹底できています。ノー残業デーに残業する職員は2割程度、スーパーノー残業デーではほぼ全員が定時退勤しています。

他にも、職員保護の観点から様々な対策を講じているほか、テレワークや時差出勤も申請があれば可能としています。

中途採用者が語る職場の魅力

業務に取り組む高梁市役所の新山さん

編集部

管波さんと新山さんは、高梁市役所の職場環境に魅力を感じ中途採用で入庁されたそうですね。具体的にはどのような点に魅力を感じたのでしょうか?

管波さん

私は津山出身で、結婚を機に転居してきました。前職ではワークライフバランスが取れず、土日も仕事のことを考える日々でした。転職を考えていた時に高梁市の採用説明会に参加し、市役所という選択肢に出会いました。
説明会で印象的だったのは、お話される職員の皆さんの雰囲気の温かさです。職場は仕事も大事ですけど、人間関係もとても大事だと思っているので、魅力的だと感じました。

新山さん

私は、建築系の民間企業に勤めていたのですが、夜10時まで働くことが日常で、1歳10ヶ月の子どもの育児を妻に任せきりでした。育休も1週間しか取れず、その上、全国転勤の可能性もありました。子どもの保育園入園を機に、地元である高梁市で安定した仕事を探していたところ、建築の経験を活かせる市役所職員として採用されました。

今では17時30分には退庁でき、子どもの寝かしつけにも関われるようになりました。生活のリズムがしっかり整ったので、とても満足しています。

段階をおった丁寧なサポートあり。若手職員が活躍できる職場づくり

高梁市役所の若手職員たち

編集部

入庁1年目の新山さん・管波さん、入庁2年目の兼森さんに伺います。入職後しばらく経ちましたが、現在の業務について教えてください。

新山さん

市の公共施設の安全性と快適性を確保するため、建築の専門知識を活かして設計業務の委託発注や工事管理を担当しています。民間企業での経験を活かしながら、市民の生活を支える重要な役割を担っています。具体的には、前職で建築法規を取り扱っていた経験を活かし、営繕室ホームページにて、令和7年度に行われる建築基準法の法改正内容の更新等を実施しました。

編集部

民間企業から市職員に転職されて、実際の業務で戸惑いはありましたか?また、それをどのように克服されましたか?

新山さん

建物を建てる際の手続き業務は経験がありましたが、現在の営繕管理などの業務は異なる分野でした。

例えば、業者から提出される設計書や資料を細かくチェックする業務があります。積算の項目が記載された分厚い本と照らし合わせながら、金額が適正かどうかを精査する必要があります。民間企業では経験したことのない業務でした。

編集部

業務のサポートなどはありましたか?

新山さん

かなり手厚いサポートがありました。

入庁当初は先輩職員に、一から十まで質問攻めにしながら業務を行っていました。初めての現場仕事には先輩職員に同行してもらっていました。今は基本的には一人で業務を進めていますが、分からないところなどは質問をするほか、あらかじめ注意事項・指示等がある場合は先輩職員から指示をもらって対応しています。

先輩職員に質問しやすい職場であるほか、私のいる営繕室ではいくつかのマニュアルやチェックリストを作成していて、初回作業にあたってそのマニュアル等を参考にしながら業務に取り掛かるようにしています。

作成した資料なども室長や先輩職員全員からフィードバックをもらえ、自分の作業の方向性を確認しながら業務を行うことが出来るため、とても安心感があります。

編集部

管波さんは入庁1年目とのことですが、どういった仕事を担当していらっしゃいますか。

管波さん

採用説明会やインターンシップ、採用パンフレットの作成などを担当しています。

前職では、人前で話す機会が多かったので、その経験を活かして採用説明会で司会をしたり、説明会に参加してくれた方たちに向け、先輩職員として自分の経験談を話したりしました。実際に私の説明がきっかけで応募してくださった方もいて、とてもやりがいを感じています。自分も説明会がきっかけで入庁したので、その経験を活かして説明できるのが良かったですね。

また、採用試験の試験内容や採用方法について上司や先輩職員から意見を求められた時には、前職の変わった採用方法について話をし、今後の採用試験について一緒に協議をすることができました。

高梁市役所が開催した採用説明会
▲採用説明会の様子。入庁1年目の管波さんが司会をつとめた。

編集部

入庁1年目で採用説明会を担当されるにあたり、不安はありませんでしたか?

管波さん

上司から「どんどんやっていっていいよ、後でフォローするから」と言っていただき、挑戦する機会をいただきました。いきなりすべてを任されるわけではありません。私も不安に感じることが多かったのですが、先輩職員が一緒に業務を進めてくださり、何度か経験を積んだ後で次のステップに進むような形です。見通しを持って業務に取り組めるよう配慮されています。

編集部

上司や先輩職員からはどのようなサポートがありましたか?

管波さん

入庁してから2週間は新規採用職員研修が続き、基本的な事務やメンタルヘルス、接遇マナーなどについてしっかりと学びました。それに加えて、実際の業務を先輩職員にマンツーマンで教えてもらい、わからないことがあればすぐに聞くことができる体制が整っていました。

また、困ったときには同じ課の方々に優しく教えてもらえたり、ヒントとなる資料を教えてもらえたりするなど、1人でできることが増えるよう積極的にサポートしてもらえました。そして次に同じような仕事があれば、「一人でやってみる?」と聞いてから任せてくれる環境や、つまずくことがあればアドバイスをくれたり、先手を打って先に話をしてくれたり、サポートが細やかなので大変助けられています。

編集部

兼森さんは新卒で入社されたそうですね。現在はどのような業務を担当されているのでしょうか?

兼森さん

上下水道課で水道料金徴収や窓口業務などを担当しています。システムを使う業務についてはマニュアルがありますが、滞納整理や未納者への対応は、それぞれの生活状況や家族構成が異なるので、ケースごとに検討していく必要があります。

編集部

市民との対応で難しい場面もあると思いますが、どのようにして乗り越えていらっしゃいますか?

兼森さん

ご家庭への訪問は必ず2人以上で行くようにしています。窓口対応も複数名で行い、1人で抱え込まないよう気を付けています。時には市民の方から厳しい言葉をいただくこともありますが、チームで対応するようにしています。

高梁市役所で笑顔で働く若手職員の兼森さん▲新卒で入庁した兼森さん。水道という市民にとって大切な業務に携われることにやりがいと責任感を感じていると語る。

編集部

上司や先輩職員からはどのようなサポートがありましたか?

兼森さん

水道部門では、経験豊富な上司の方々が多くいらっしゃいます。上司から過去の経験を基にした解決方法を提示していただくことが多く、とても助かっています。

上下水道課には毎日多くの電話がかかってきます。引っ越しに伴う水道の開閉栓、漏水、水道料金の支払いなど内容は様々です。このような業務を行う際には、些細なことでも情報共有することを1番大切にしています。

これは、誰がどのような対応に当たっているかを常に報連相し合っている先輩の姿から学びました。情報共有することで、現場に出ていても、市役所にいても、困ったときにはすぐに先輩からアドバイスしてもらえるため、適切で迅速な対応に繋がっていると感じています。

メッセージ:転職の不安は不要、人が温かい高梁市で一緒に働こう

転職者を歓迎する、高梁市役所の職員3人
▲転職者を歓迎する、高梁市役所の職員3人

編集部

最後に、この記事を読んで高梁市に興味を持った方に対して、採用に関するメッセージをお願いします。

管波さん

職員の意識調査にも表れていますし、私も上司や先輩と接する中で感じるのですが、高梁市は上司と部下のコミュニケーションがとても取りやすい環境や雰囲気があります。そして、それは庁内の中だけではなくて、「高梁市は人が温かいね」という声を本当によく聞きます。

職員はもちろん、市民の皆さんも挨拶を向こうからしてくれますし、こちらから挨拶をすると挨拶を返してくれるのが当たり前になっています。温かい職場で、若手へのサポートも手厚いと私は実感していますので、安心して一緒に働きましょう。

高木さん

就職活動、転職活動をされている方は、おそらく不安をたくさん抱いているかと想像しますが、心配せずに入庁していただければと思います。私も人財育成係として、若手職員に常に目を向けて、そういった不安を払拭するように努めています。

また、2024年度の女性管理職の割合は29.3%で、2020年度の20%から増加傾向にあります。高梁市役所では能力に応じた公平な評価・昇進の機会が確保されているため、性別に関係なく活躍できる職場環境が整っています。

高梁市を盛り上げたいと思ってくれている方に、ぜひ一緒に僕たちの仕事を助けてほしいと考えています。

編集部

お互いを尊重しあう環境や雰囲気は、市全体のものなのですね。とても温かで魅力的な職場だと感じました。本日はありがとうございました。

編集後記

感謝の言葉を送り合う「ありがとうプロジェクト」など、職員同士が互いに支え合う環境が印象的。取材を通じて、温かな人間関係が形成されているのが感じられ、働きやすさも相まってか、終始笑顔の絶えない取材でした。

この記事のまとめ

働き方・労働時間
  • 17時30分退庁が基本で、月平均残業時間は13.1時間
  • 毎週水曜日はノー残業デー(月末は特に徹底)
  • テレワーク・時差出勤の制度あり
職場環境・社風
  • 上司とのコミュニケーションが良好で相談しやすい環境
  • 「ありがとうメッセージ」など職員間の感謝を大切にする文化
  • 「感動担当」を設置し職員の働きがいを重視
  • 複数人でのチーム対応で業務負担を分散
育成・サポート体制
  • 段階的な業務習得で新人でも安心して成長
  • 経験豊富な上司からの具体的なアドバイス
  • 人財育成係による手厚いフォロー体制
福利厚生・制度
  • 男性職員の配偶者出産に伴う2週間以上の休暇、取得率100%
  • 育休取得時の経済的サポートあり
  • カスタマーハラスメント対策の体制が整備
キャリアバックグラウンド
  • 教員や民間企業出身者など多様な経歴の職員が活躍
  • 前職の専門知識・スキルを活かせる配属あり
求める人物像
  • 高梁市の発展に貢献したい意欲のある方
  • チームワークを大切にできる方
  • 住民福祉の向上に関心のある方

高梁市役所の基本情報

住所 岡山県高梁市松原通2043番地
働き方 テレワーク制度あり(申請制)
公式ページ https://www.city.takahashi.lg.jp/
採用ページ https://www.city.takahashi.lg.jp/
site/saiyojyoho/
募集職種 ・看護師