いろいろな企業の皆様に、社内文化や働き方などに関するインタビューを実施しているこの企画。今回は、2017年12月の設立からわずか5年で数々の事業を展開・成功させている株式会社クロコさんを取材させていただきました。
特徴は「お客様と社員の黒子になる」というミッション。社員の「こんなことがやりたい」という思いを実現することで事業を広げてきたという「人」を中心としたカルチャーについてお聞きしていますので、ぜひご覧になってください。
株式会社クロコとは
クロコさんはIT・デザイン・動画・催事・飲食・ビューティーなど、さまざまなサービスを複合的に手掛けている会社です。設立当初はシステム開発と動画制作の分野からスタートしましたが、その3ヶ月後には飲食事業を立ち上げるなど、圧倒的なスピード感が特徴です。
それも、単にジャンルが手広いというだけではなく、各事業部にプロの人材を配置して連携をとることで、ユーザーが満足するコンテンツを提供し続けています。
会社名 | 株式会社クロコ |
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住所(本社) | 東京都中央区銀座4-3-9 クイーンズハウス地下1階 |
事業内容 | システム開発事業・動画プロモーション事業・デザイン制作事業・食品販売事業・ビューティー事業・エネルギー事業・飲食事業・オンライン秘書事業など |
設立 | 2017年12月1日 |
公式ページ | https://kuroco.jp/ |
今回は、そんなクロコさんのミッションやメンバーの働き方、求職者に求めるものなどについて、執行役員/システム開発事業部副部長の市來(いちき)さんと取締役副社長の星さんにお話を聞かせていただきました。
社員がやりたいことを実現するのが会社の目的
編集部
クロコさんが掲げているミッションを拝見しました。「全てのお客様・社員の黒子(クロコ)となり社会の発展に貢献する」という内容で、「お客様のため」という顧客第一主義はよく目にするものの、「社員の黒子になる」とまで言い切るのはすごいなと感じました。
星さん
このミッションは創業当初からまったく変わっていない弊社の特徴ですね。
会社が存続する目的を大きく分けると「事業を成功させ売り上げを増やす」「世の中の役に立つサービスを展開して社会貢献をしていく」という2つになるのではないかと思います。
代表の大和田(大地さん)含む創業メンバーが考えたのは、この2つに加えて「社員のやりたいことを実現する」という目的を前面に押し出している会社は少ないのではないか、それなら自分たちがそういう会社になろうじゃないかということです。
そのために、社内制度として「やりたいこと面談」という場を設けているんです。これは2ヶ月に1回、メンバーと事業部長が「やりたいこと」をすり合わせるというもので、ここから実現している事業も多いんです。
▲フレンチレストラン「CACHETTE965」も社員の想いからスタートした
編集部
たとえば飲食事業をスタートしたときは、「私はこんなお店がやりたい」という社員の方がいたということでしょうか?
星さん
おっしゃるとおりです。飲食の第1号店は銀座4丁目にあるCACHETTE965(カシェットクロコ)というフレンチレストランなんですが、これは現料理長の佐伯(亘彦さん)という社員の希望から始まっています。
クロコは社員の「こんなことがやりたい」という思いを実現するうちに、複数の領域に事業が展開していったという会社です。なので、たとえ未開拓の分野であれチャレンジしていくというカルチャーは社員に浸透していますね。
事業を内製化し、部署間でシナジーを生み出す
▲幅広い事業を複合的に展開しているのがクロコさんのストロングポイント
編集部
経験がない事業の新規立ち上げには苦労されるかと思うのですが、いかがでしょうか。
星さん
そうですね。まったく初めての分野は、楽に立ち上げられるわけではありません。手っ取り早いのは、事業のプランだけ立案してあとは外注してしまうことですよね。
ただ、弊社の目標は多角的にビジネスを展開するために「すべての事業を内製化する」ことです。だから、最終的にはすべての業務を社内で完結させたいですね。
たとえば飲食店を始めたときは、店舗経営のノウハウがあるわけではないのでいろいろなパートナーさんと協業して事業を進めていきました。しかし、ある程度の経験を積んだ後は「集客は社内のWebマーケティング担当が考えよう」「PR動画は映像制作のメンバーに依頼しよう」というように、できるだけ社内に任せるようにしています。
内製化したほうがスムーズに話が進むのでやりやすいということもありますし、コスト面でも節約できますよね。自分が苦手な分野であれば、得意な人に任せるのは自然じゃないですか。社員間、部署間でフォローし合って、各事業の得意な仕事を掛け合わせることで、強いシナジーが生まれると思っています。
編集部
アイデアや技術はあるけど、運営・経営のノウハウがないというケースは多いですよね。それをスピーディーに事業化するために、外注化するというのはすごく良い手だなと感じました。さらにそこからノウハウを蓄積し内製化できるのであれば、どのような事業でもチャレンジする障壁が下がりますね。
自分でやりたいことがあっても、経営ノウハウがないという人にとっては、事業を立ち上げる経験だけでなく、多くの知識やノウハウを得ることができるのもとても魅力だと感じました。
可能ならフルリモートも。事業部によって異なる働き方
▲市來さんも千葉県南房総からフルリモートで勤務されている
編集部
世間ではテレワークを導入される企業がかなり増えていますが、クロコさんではどのような働き方をする方が多いでしょうか?
星さん
所属部署や担当業務によってさまざまですね。たとえば、システム開発事業部は基本フルリモートで、動画プロモーション事業部も撮影に行くときを除けば自宅で編集作業をおこなっています。コーポレートの一部やオンライン秘書事業も基本はリモートです。
飲食事業のメンバーは出社が必要ですが、管理部門であれば半分くらいはリモートにもできます。もちろん、フルリモートでも出社してミーティングを実施することもありますし、働く場所は業務内容にあわせて設定できる体制にしています。
勤務時間については一応9時〜18時と定めていますが、子どものお迎えにいかないといけないので1時間早く出社するなど、個々のケースによって変更することはできますね。
編集部
なるほど。フルリモートの方は、どんなところにお住まいなのでしょうか。
星さん
システム開発事業部やその他のフルリモートのメンバーは、本当にバラバラの土地にいますね。関東近郊に住むケースも多いですが、北海道でオンライン秘書をしているメンバーや、秋田でデザイナーをしているメンバー、さらには静岡・名古屋・大阪・神戸・福岡・大分など、全国各地で働いています。
市來さん
実は私も以前に千葉県の南房総に移住したので、フルリモートで働ける会社を探した結果、クロコに入社したんです。
編集部
そうなんですね!業務内容にもよりますが、地方に住んでいても関係なく働くことができるのは、大きなメリットといえそうです。
複数のツールを利用し、社員同士の交流を生み出す
編集部
部署などによって出社とリモートの環境が混じっているかと思うのですが、社員間ではどのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか。
市來さん
日常的なやり取りはSlackやGoogle Meetを使っています。一度はバーチャルオフィスも取り入れたんですが、弊社では企業文化的に「Meetでサッと画面共有して話したほうが早いよね」となったので、最終的に取りやめましたね。
星さん
なお、弊社は2017年の創業時からリモートワークを導入しているので、社会情勢に応じて環境を変えたということでもないんです。メンバーにとって、直接顔を合わせるわけではないコミュニケーションは当たり前になっています。
編集部
特にフルリモートの環境だと、どうしても仕事の話が中心になるので雑談などがしにくいと思うのですが、何か工夫されていることはあるでしょうか?
市來さん
仕事を進める上ではメンバー同士のことを知るのも重要だと思うので、フルリモートであるシステム開発事業部では、次の2つの工夫を取り入れています。
まずは、「ランダムなメンバー同士で話す機会を設ける」ことです。エンジニアやデザイナーなど職種ごとのグループで週次定例会議をおこなっているんですが、その会議の最初に15分〜20分程度雑談の時間を設けています。
そのとき、Google Meetの「ブレイクアウトセッション」という機能を使って、メンバーをシャッフルしているんです。複数のルームにランダムで人を割り振って話してもらうことで、仕事では直接関わっていないメンバーとコミュニケーションを取ることができます。
もう一点は、「雑談をスムーズに促す仕組み」です。Slack内のアプリで「Colla」というものを利用していて、これを入れるとランダムな人に対してチャットで質問が飛んでくるんですよ。
たとえば「好きなピザを教えてください」「どんな仕事にやりがいを感じましたか」という質問が来るんですが、回答すると次の日の15時くらいにSlackの雑談のチャンネルに結果が投稿されます。プライベートなことを話す機会はやはり少ないので、話を始めるきっかけになっていますね。
星さん
あと、全社的にはWORKSTORYという社内SNSも導入しています。どうしても異なる事業部だと接点が少ないので、お互いの投稿を見てコメントを付け合うことで、そこから会話が始まったりしています。
飲食事業部だと、「メンバーの方にはこんな割引をしていますよ」という情報発信をすることもありますね。たとえばデザイナーのメンバーが来店していろいろと話せば、その後に「メニューのデザインを変えたいんだけど」という流れになったときも、仕事がスムーズに進みますよね。そういった効果も期待しています。
編集部
働く側としても、業務の連携が取りやすくなり、良い成果に繋げやすくなることは大きなメリットですね。
職種によっては、最初からフルリモートで勤務される方もいらっしゃると思うのですが、そんな場合でも他のメンバーと交流を取ることで業務以外の楽しみが生まれるのも嬉しいのではないかと感じました。
社員の声を聞く「エンゲージメントサーベイ」
編集部
フルリモートの方が多い環境だと、どうしても働かれている皆さんの声に気づきにくいという側面もあるのではないでしょうか。何か工夫されている点はございますか?
市來さん
はい。システム開発事業部ではエンゲージメントサーベイ(※)を導入していて、満足している点や不満な点を洗い出すようにしています。
(※)エンゲージメントサーベイ:従業員の企業に対する共感度合いを調査するシステム
フラットに会話できるような社風を意識してつくりだすようにしてはいますが、リモートで話す機会が多いと、やはり得られる情報量がどうしても少なくなります。オンラインで細かく回答してもらうことで、現在の働き方や会社に対する意識についての意見を吸い上げる仕組みを取り入れています。
また、そのとき採用するツールにもよるのですが、サーベイの最後では匿名でコメントができるようになっています。「こういうところは直したほうがいい」という要望を聞くことで、働く環境をつねに改善していける体制を整えています。
男性も育児休暇を多く取得!さまざまな福利厚生制度
▲福利厚生では、銀座のスタイリッシュな美容室の社員割引も受けられる
編集部
福利厚生においては、どのような制度を設けていらっしゃるのでしょうか。
星さん
社会保険や各種休暇など一般的な福利厚生はもちろん整備していますが、弊社の特徴としては育児休暇を積極的に取得する社員が多くて、男性も結構取得していますね。もちろん個人の自由に委ねてはいるんですけど、希望すれば休める環境ではあると思います。
これは時代の風潮に合わせてというよりは、社内の文化として言い出しやすい雰囲気ができているんだと思います。スケジュールが決まっていることなので調整もしやすいですし、事前に部内で仕事を調整してスムーズに休みに入っていますよ。
あと、社員割引は結構多いほうだと思います。飲食事業部で展開している店舗が割引になったり、ビューティー事業も手掛けているので、銀座の美容室「answer」でかなり安くカットができたりします。
編集部
男性が気兼ねなく育児休暇を取得できるというのはすごく良い環境ですね。制度として利用可能であっても、実態としては育児休暇が取れないなんてケースもよく耳にします。
星さん
その点では、弊社はお互いをサポートし合う文化ができていると思いますし、社員同士の交流も比較的多いですね。
実は、今年からは部活動も立ち上げました。現在はフットサルを月1回やったり、イラスト部を新たに作りたいという声も上がっています。まだまだこれからですが、オンラインでも繋がれるような部活動にも支援していけたらと思っています。
システム開発事業部ではスキルアップをサポート
編集部
その他にもよく利用されている福利厚生制度はありますか?
市來さん
システム開発事業部に限った制度としては、書籍の購入補助をやっています。紙媒体限定で、長期的に見てポジティブな結果を生み出すような書籍なら何でも問題ありません。
あとは、勉強会も開いていますね。たとえば直近の事例だと、デザイナーなどエンジニア以外のメンバーに対して、エンジニア業務の基礎的なことを伝えていくというテーマで開催しました。
結果として、それまではエンジニアに依頼していた仕事をデザイナーで完結させられるケースや、オンライン秘書のメンバーがプログラミングを学ぶことでスプレッドシートを自動化できるというケースがありました。
今はまだ部内でしか開催できてないんですけど、ゆくゆくは他事業部にも伝播すればいいなと考えています。システム開発事業部は、制度面を含めてスキルアップしていきたいという方には向いている環境だと思いますよ。
採用では学歴や経験より「やりたいこと」を重視する
編集部
採用に関してですが、「こんな人を採用したい」というポイントはどこになるでしょうか。
星さん
一番重視するのは、弊社のミッションに共感してもらえるか、そして将来的なビジョンがあるかというところですね。学歴や過去の経歴だけでその人を判断することはありません。
もちろん、エンジニアなら「こんなサービスを開発したい」という想いがあって、同業界で10年働いてきたという人は高く評価します。しかし、営業職で5年働いた後、エンジニアに興味を持って1年間ガムシャラに働いてからクロコに入社したというようなケースもたくさんあるんです。
我々は創業から約5年経って、メンバーがやりたいことが少しずつ実現できるフェーズに上がってきている段階です。会社は社員一人ひとりの集まりなので、「こんな夢がある」「こういう支援があればそれを実現できる」という強い思いを持った方に、ぜひ来ていただけたらと思っています。
市來さん
星が言うように、やりたいことをやっている方、あるいはこれからやろうとしている方は、他の方と比べるとものすごく輝いていますよね。ポジティブで前向きで、どんなチャレンジングなことに対しても積極的に取り組むというのが会社全体のカルチャーでもあるので、そんな人たちと一緒に切磋琢磨していきたいです。
まずは、クロコへの興味のあるなしにかかわらず、「自分が本当にやりたいことは何なのか」を考えてみてほしいです。そして、もしやりたいことが見つかって「クロコでなら実現できるかもしれない」と思っていただけたなら、選考というかたちじゃなくてカジュアルにお話しすることもできますので、ぜひ一度お声がけください。
編集部
仕事において大きなエネルギーを発揮してくれるのは、やりたいことがある人という考え方なんですね。そのために人間性を重視して見るというのはすごく納得できます。
入社後、バーテンダーからエンジニアに転身したケースも
編集部
これまで採用された方がどのようなキャリアを歩まれたか、実際のケースをお教えいただければ幸いです。
星さん
あくまでも一例ですが、このようなケースがありました。
飲食事業部でバーテンダーとして勤務していたメンバーがいたのですが、彼は「旅をしながら働きたい」という夢を持っていたんです。その想いを尊重したことと、本人が頑張ってスキルを身につけたこともあり、今ではシステム開発事業部のエンジニアとしてフルリモートで働いています。
また、他にもデザイナーを志したカフェ勤務のメンバーがデザイン部門で修行を始めたり、組織改善に興味のあるエンジニアが未経験ながらマネジメント業務に着手するなど、会社の方針として本人の希望はできる限り叶えるようにしています。
ただ、当然ながら「何でもやりたいことができるよ」というわけではありません。就きたいポジションを会社に認めさせるためには、かなりの覚悟と努力が必要になりますね。
編集部
自分の想いと能力を示せば、入社後にやりたいことを叶えることも可能なんですね。クロコさんを志望される皆さんにとっても、すごく参考になると思います!
プロ集団で一緒に活躍したい人は要チェック!
編集部
最後に、記事をご覧になっている方へのメッセージがあればお聞かせください。
星さん
弊社は拡大を続けているものの、まだまだ創業5年のベンチャーです。ただ、社内にいる人間はいわゆる「プロ」が多いんです。
たとえば飲食事業であれば、ネオビストロ「BARBE(バルブ)」がミシュランのビブグルマンを獲得しています。映像制作でも、Softbankやアサヒビールなど大企業のテレビCMを手掛けているプロデューサー(門脇亮さん)がいます。
大企業や老舗の企業と比較して、ベンチャーだから良い人材が少ないかというと、まったくそんなことはありません。その分野で一流と呼ばれながら第一線で戦い続けている人が在籍していますので、その点もぜひわかっていただきたいですね。
市來さん
そのようなプロの人たちと一緒に、自分も一段上のステージに上がっていきたい人にとって、クロコはすごく良い環境だと思います。
編集部
ベンチャーという枠は関係なく、プロが集まっている集団に入って経験を積みたい、活躍したいと考えている人にとって、まさにクロコさんはうってつけの企業なんですね。
本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!
■取材協力
株式会社クロコ:https://kuroco.jp/