新しい働き方を実践する企業にインタビューするこの企画。今回はユーザーの食品購入データを活用した栄養管理アプリを提供するシルタス株式会社に話を伺いました。
シルタス株式会社とは
▲「食べたいものを食べて健康に」というミッションを掲げる(採用ページのスライドから引用)
シルタス株式会社は、栄養管理アプリの開発・提供を行っている企業です。栄養管理アプリを通じて、継続可能な健康習慣を手に入れるサポートをしています。そこには健康であることはゴールではなく前提であり、健康のその先にある「人生」を楽しんで欲しいという企業としての願いが込められています。
会社名 | シルタス株式会社 |
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住所 | 東京都港区六本木5丁目9−20 六本木イグノポール 5F |
事業内容 | ・ヘルスケアサービスのシステム開発 ・ヘルスケアマーケティング |
設立 | 2016年11月 |
公式ページ | https://corp.sirutasu.com/ |
働き方 | ハイブリッド(週2回出社) フレックス |
シルタス株式会社は栄養管理アプリの開発・提供を行っている企業ですが、そこに集まるメンバーは、健康に執着し過ぎないバランス感覚を持っています。一方で不足栄養素が補えるドリンクやお菓子などが社内に完備されているなど、健康に関わる企業らしい点もあります。そうしたメンバーの働き方や福利厚生などについて、代表取締役の小原さんと広報の岸名さんにお話を伺いました。
頑張らないで健康になる栄養管理ツール「SIRU+」を提供
▲SIRU+のサービス内容。日々の食品の買い物データが蓄積され、足りていない栄養が一目でわかる
編集部
はじめにシルタスさんが提供するサービスについて教えてください。
小原さん
弊社は「SIRU+(シルタス)」という栄養管理ができるアプリを提供しております。SIRU+が他の栄養管理アプリと異なる点は、ユーザーの食品の購入情報から栄養管理をしていく点です。
一般的な栄養管理のアプリの場合は、自分が食べるものの写真を撮ったり、買った食品をアプリに入力したりといった手間がかかります。SIRU+ではその手間をなくし、自動で購入した食品データがアプリに反映される仕組みになっています。
編集部
自分で記録をしなくていいのは楽でいいですね。どのような仕組みなのでしょうか。
小原さん
クレジットカードやポイントカードなど購入履歴が残る決算方法とSIRU+を紐づけ、ユーザーが登録したカードで食品を買うことで自動でSIRU+に購入データが反映される仕組みです。
購入した食品のデータは自動でたまり、そのデータをもとに普段の買い物で足りていない栄養についてフィードバックが受け取れます。
SIRU+という名前には、自分の健康状態を「知る」という意味と、知った上で不足分の栄養を「足す」という意味が込められています。SIRU+のフィードバックで自身の健康状態を知った上で、足りない栄養素となる食品を購入したり、買い物を改善したりすることができるのがメリットです。
購入データから栄養管理をする利点はもう1つあります。それは、ユーザー一人ひとりに合わせた栄養管理のアドバイスができる点です。たとえばあるユーザーに対し、カルシウムが不足していることがわかったので、小魚を食べたらどうかとアドバイスしたとします。けれど、そのユーザーが小魚が苦手であればそのアドバイスは本当の意味で役に立っているとはいえません。
編集部
サービスを利用する側として、今おっしゃられたことはとてもよくわかります。健康のために苦手なものも食べなきゃいけないとは思っているものの、我慢が伴う食生活はなかなか続けられないんですよね。
小原さん
そうですよね。頑張らなくてはいけない健康管理は続けるのが難しいものです。そこで弊社では「食べたいものを食べて健康に」というミッションを掲げ、ユーザーの食の好みになるべく合わせたアドバイスを行うようにしています。
そうしたアドバイスが可能なのも購入データからそのユーザーが普段どんな食品を買っているか、値段はいくらくらいであれば買いやすいかといった情報を得られるためです。実際にそのユーザーが普段買っているデータをもとにするからこそ、現実的で実践可能なアドバイスができるのです。
こうした仕組みの栄養管理アプリは世界的にも前例がないと思いますので、弊社も試行錯誤を続けているところです。
法人向けサービス「SIRU+Biz」も展開
▲SIRU+の他にもSIRU+Bizなど栄養管理に関するアプリを提供している
編集部
公式サイトを拝見したところ、今お伺いした個人向けの「SIRU+」の他に、法人様に向けた「SIRU+Biz(シルタス ビズ)」というツールがあるようですね。こちらはどのようなサービスなのでしょうか。
小原さん
SIRU+が食品を購入する側へ向けた栄養管理アプリであるのに対し、SIRU+Bizはスーパーや食品メーカーなど、食品を提供する側へ向けたマーケティングツールになります。
スーパーや食品メーカーがSIRU+Bizを使うことで、来店する人がどのような栄養が足りていなくて、それを補うためにどのような食品を求めているかを把握できます。その需要に合わせて食品の陳列棚を整えることができます。
また、SIRU+はアプリ内に広告を出すことができるのですが、カルシウムが足りていないユーザーにカルシウムを補うサプリを作っている会社が広告を出すなど、ピンポイントでその栄養を必要としている人へ広告を出せます。実際に広告を出した結果、そのユーザーが商品を買ったかどうかまで追うこともできます。
広島と会津若松でも導入。自治体と組んで地域の健康をサポート
編集部
SIRU+は、自治体の導入事例もあるそうですね。自治体からはどのような要望があって導入に至ったのでしょうか。
小原さん
自治体様からは、地域住民の健康的な食生活を後押しして欲しいという要望と、そのために住民が抱える健康上のリスクを見える化して欲しいという要望があって導入に至りました。地域住民に病気の方が増えると、自治体としても医療費助成などの負担が増すからです。
また、弊社のサービスはともすると、栄養食品などを売りたいだけなのではないかと誤解されることもあります。弊社としても自治体様と共に社会的な取り組みをすることで「ユーザーの健康を支えたい」というサービスの意図を明確にすることができました。
編集部
自治体とどのような取り組みをされたのか、具体的に教えてください。
小原さん
広島県のひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT」に採択され、広島県を中心にスーパーを展開する株式会社フレスタ様とSIRU+を活用した健康寿命を伸ばすための実証実験を行いました。
▲株式会社フレスタと行った実証実験では、SIRU+を使うことでユーザーの消費行動が変わることが証明された
小原さん
この実証実験の結果、ユーザーは自身の栄養の偏りを自覚し、健康的なものを買うようになりました。一方、身体に良いものは高価格帯のものが多いため、スーパーは客単価が上がりました。ユーザーは健康になり、スーパーは利益率が上がるという、Win-Winの結果を生み出せたわけです。
編集部
プロジェクトの結果、地域住民の健康への意識が高まれば広島県としても嬉しいわけですね。他にもこのようなプロジェクトや社会実験に参加されたことはあるのでしょうか。
小原さん
現在、会津若松市でスマートシティの実証実験をやらせていただいております。どのような取り組みかと申しますと、様々な団体や企業が個別で持っている住民の情報を1つのデータ基盤に集約し、住民の許可を得たのち、集約したデータを再度、団体や企業が活用できるようにするという取り組みです。
この取り組みの中で、弊社はユーザーから許可を得て、食品購入情報をデータ基盤から取得し、それをもとに誰がどんな栄養状態かという情報をデータ基盤に戻すということをしています。現在、弊社が提供したデータを活用し、保険会社様がユーザーのもとに直接出向き、足りない栄養のアドバイスを行うといったことをされています。
一ヶ所に情報を集めて様々な団体、企業が活用できるようにすることで、保険会社様が行っている直接訪問のように、アプリを使えない方もサービスの恩恵を受けられるようになります。
編集部
広島県、会津若松市、どちらの事例も地域の課題解決や地域住民の健康に寄与していますね。お教えいただいた2つの事例から、シルタスさんのサービスの目的が「ユーザーの健康を支えたい」という点にあることがよくわかりました。
SDGsの観点からいっても、「すべての人に健康と福祉を」という目標の達成のためには、予防により事前に病気を防ぐことがとても重要になると思います。御社の事業はそのような社会全体を良くしていくことにも繋がっているんですね。
健康には無頓着。その緩さがユーザー想いのサービスを生む
編集部
シルタスさんにはどのようなメンバーが集まっているのでしょうか。
岸名さん
弊社のメンバーの特徴として面白いなと感じるのが、そこまで健康に執着しているメンバーがいないことです。
小原さん
確かに皆、健康のことはあまり気にしていませんね。ただ、食事に興味があるメンバーは多いです。ですから好きなものを好きなように食べる時と、健康のために身体にいいものを食べる時とを完全に分けているメンバーもいます。
編集部
シルタスさんのような企業で働く方は、健康に対する意識も高いのだろうと思っていたのですが、意外にもそうではないのですね。けれど、メンバーの方が健康にストイックになり過ぎていないからこそ、無理なく続けられる栄養管理のサービスを生み出せるのだろうと感じました。その他のメンバーや会社の雰囲気についても教えてください。
岸名さん
そうですね、弊社は2016年に設立され、現在メンバーは21人なのですが、男女比でいうと、6:4から7:3くらいで男性が多いです。平均年齢は35歳くらいで、主に20代後半から40歳近くの方が在籍しています。
エンジニアや管理栄養士など専門性を持った方が、同じ1つのアプリを作っているので、各自がプロ意識を持ちながらも、時には和気あいあいと協力しながら働いています。
編集部
なるほど。小原さんはどのようなメンバーが集まっていると感じられますか?
小原さん
1つの成功や失敗に一喜一憂せず、試行錯誤繰り返せるメンバーが集まっている印象です。弊社のサービスは他に同じようなサービスがないため、「こうやったらうまくいく」という前例がありません。ですから、うまくいくと思ってやってみたらうまくいかなかった、ということがよくあります。そうした時でも冷静に対処できるメンバーが集まっています。
弊社はベンチャーではありますが、会社の雰囲気としても勢いで進んでいくというより、1つ試してダメだったら落ち着いて次の手を試そう、という雰囲気があります。
もともと持っている専門性に付加価値をつけ、レアな人材になれる
編集部
先ほど、岸名さんから専門性の高いメンバーが集まっているというお話がありましたが、シルタスさんならではというような人材がいれば紹介してください。
小原さん
弊社ならではの人材というところで言いますと、弊社の管理栄養士は、少し特別かなと思います。弊社の管理栄養士は当然、栄養に関してはプロですが、入社時点では弊社が扱うような何億行というユーザーのデータを扱ったことはありませんでした。
しかし、入社後に勉強していただいた結果、今ではSQLやPythonといったプログラミング言語が扱えるようになり、データを見ることができます。プログラミング言語を扱える管理栄養士というのは、なかなかいないのではないかと思います。
編集部
確かにプログラミング言語を扱える管理栄養士というのは珍しいですね。シルタスさんでは、学ぶ姿勢さえあれば、もともと持っていた専門性に付加価値をつけることができるのですね。
フレックス&ハイブリッドで男性メンバーも育児に積極参加中
▲フレックスやハイブリッド勤務を取り入れながらも、皆で集まり話し合う時間も大切にしている
編集部
シルタスさんのメンバーはどのような働き方をされているのでしょうか。
小原さん
現在、弊社では10時から17時をコアタイムとしたフレックス制を採用しています。また、週2出社のハイブリッド勤務ができます。先ほど岸名がお伝えした通り、弊社は男性の割合が多いのですが、フレックス制を利用して、子どもの送り迎えなどを行なっている男性メンバーも多くいます。
中抜けする時は、子どもの送り迎えなどいつもの用事であれば、カレンダーで共有してもらい、緊急の用事についてはSlackで伝えてもらうようにしています。
編集部
今は共働きで育児をする家庭も多くなってきたので、男性、女性問わず、育児のために柔軟に働くことができるのは良いですね。また、中抜けができるフレックス制や、在宅ワークの日があることで、子育て世帯以外のメンバーもプライベートの時間を大切にしながら働くことができそうです。
社内でビールの試飲会も。「食」好きメンバーならではの交流
編集部
メンバー同士の交流については何か工夫されていることはありますか。
小原さん
最近、採用のためにポッドキャスト(※)で配信を始めたのですが、それをきっかけに、社内で毎週、ビールの試飲会を行っています。というのも、僕がビール好きなこともあり、配信の冒頭で必ずビールの紹介をしているんです。そこで紹介するためのビールをメンバー分買ってきて、皆で試飲しているわけです(笑)。
(※)ポッドキャスト…インターネットのテレビ・ラジオの一種
「これは美味しい、こっちはあまり美味しくないね」なんて言い合いながら楽しくやっています。ビールは食べ物ではありませんが、口に入れるものには変わりありませんから、このビールの試飲会というのも、食事が好きなメンバーが集まっている弊社ならではの交流だと思います。
他にも「夕会」といって、夕方にお酒を飲みながら皆で話したりということを、少なくとも月一回は行っています。
編集部
ビールの試飲会も夕会も楽しそうです。お酒があると、くつろいだ雰囲気で普段話せないような深い話もできそうですね。そうしたざっくばらんに話せる機会があれば、新しくジョインする方もすぐに馴染めそうです。
野菜ジュースなどを職場に常備。メンバー自らSIRU+で栄養管理
編集部
シルタスさんの福利厚生について教えてください。
小原さん
弊社のメンバーにはSIRU+を使ってもらっていて、足りない栄養を補えるよう、野菜ジュースやプロテインバーなどを社内に常備して、自由に飲んだり食べたりできるようにしています。
▲社内には野菜ジュースやプロテインバーが常備され、いつでも不足している栄養を補える
編集部
メンバーの方達自身が自社のサービスを使って栄養管理をしているのは、ユーザーに対して説得力がありますね。いつでも自分の栄養状態を知ることができ、それをサッと補うことができる職場環境というのは、シルタスさんがサービスを通じて目指していることを体現しているように思います。
岸名さん
ありがとうございます。また、先ほど小原が弊社の管理栄養士がプログラミング言語を扱えるようになったという話をしましたが、メンバーがスキルアップのために各々が勉強をしてステップアップに励んでいます。
求めるのは粘り強く動け、相手を信じて任せられる人
編集部
採用についても伺えればと思います。シルタスさんにマッチする人物像のようなものがあれば教えてください。
小原さん
まずは行動力がある方ですね。先ほど申しあげた通り、弊社のサービスは前例のないサービスなので、どれだけ頭で考えても上手くいかないことがあります。ですから、考えることも大事なのですが、それ以上にまず動くことが大事だと思っています。
その上で、諦めずに試行錯誤できる方が良いですね。上手くいかなかった時でも、次の方法を考え、上手くいくまであがき続けられる人が弊社にマッチすると思います。
編集部
シルタスさんにはエンジニアや管理栄養士など専門職の方も多く在籍していますが、そうした専門職を志望する場合、スキル面での要望などはあるでしょうか。
小原さん
もちろん、職種ごとに求めるスキルレベルを満たしていただく必要はありますが、スキルだけでなく、コミュニケーション能力も重視しています。確かに弊社には様々な専門性を持ったメンバーがいますが、それぞれが別の仕事をしているわけではなく、1つのアプリを皆で作っています。
そのため、それぞれの専門職のメンバーが互いをリスペクトし、信頼して任せるところは任せながら仕事を進めています。そうした「信じて任せる」ということも含んだ周囲との円滑なコミュニケーションが取れる方がいいですね。
編集部
相手の話をしっかり聞いて、理解した上で発言するといった基本的なことに加え、相手を信頼して任せるといったことも含めたコミュニケーション能力が大切ということですね。
求職者へのメッセージ
編集部
最後にシルタスさんに興味を持たれた求職者の方へお2人からメッセージをお願いします。
岸名さん
ヘルスケアサービスというと、真面目に頑張らなくてはいけない印象がありますが、弊社が目指しているのは、そうした頑張ることに挫折してしまった人のためのサービスです。自然に自分のペースで健康になる、ということをモットーにしています。頑張るにしても、緩くラフに頑張ろう、という今までになかったタイプのヘルスケアサービスに面白みを感じていただける方は、ぜひ応募してみてください。
編集部
ありがとうございます。小原さんからも一言お願いします。
小原さん
栄養管理というと、健康が目的だと捉えられがちですが、弊社のサービスにおいて健康は手段であって目的ではないと思っています。健康になることがゴールなのではなく、健康になって、その先何をするか、どう人生を楽しむかということが目的だと思うからです。
弊社のサービスは、その目的の前提となる『健康』というインフラ作りをするためにあると思っています。インフラですから、当たり前のように日常にあり、誰もが普通に活用できるものでなくてはいけません。だからこそ弊社は、日常の買い物の中から健康になっていくというアプローチを取っているわけです。
今後、スーパーやコンビニなどとより連携していくつもりです。また、現在、病院との連携の話も出ています。将来的にはQRコード決済などにも弊社のサービスを紐づけ、ポイントサービスのような感覚で健康に関するフィードバックを受けられるようにしたいと考えています。
こうした既存のお店やサービスとの連携を増やし、アプリを通じた健康を支えるインフラ作りに興味がある方は、ぜひ一緒に働きましょう。
編集部
本日はありがとうございました。
■取材協力
シルタス株式会社:https://corp.sirutasu.com/
採用ページ:https://corp.sirutasu.com/recruit2