ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、株式会社たちばなにインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。
1954年創業、長野県に本社を構える株式会社たちばな。呉服事業部においては「着物たちばな」「あかしろき」「ぜろいち」などの着物専門店を、スタジオ事業部においては「フォトスタジオ・シャレニー」を全国に展開しています。
特徴的なのは、「お客様のことが一番わかっているのは店舗」という方針のもと各店舗の裁量を大きく設定している点で、商品の仕入れや販促活動など現場主導で柔軟な運営を行っています。また、インセンティブ制度の充実や入社2年目での店長登用など、若手の活躍を積極的に支援する社風も特徴です。
今回は、株式会社たちばなの若手が活躍できる環境やキャリア・報酬面に関する各種制度について、あかしろきイオンモール松本店副店長の笹本さんと、採用責任者の白根さんにお話を聞かせていただきました。
たちばなの若手社員の声:店舗・個人の裁量の大きさが魅力!
編集部
最初に、若手社員を代表して笹本さんに「たちばなで働く魅力」をお教えいただければと思います。どんなところが魅力だと感じていますか?
笹本さん
率直に魅力だと感じるのは、店長をはじめとして現場の社員の裁量が大きい点です。商品の仕入れや売場での工夫など、本部ではなく店舗が主導して進めていきます。ユニークな例だと、ある店舗は「新年初のイベントなのでぜひ初詣に来てください!」という販促活動の一環で、自分たちで店の中に飾りとして小さい神社を作ったんですよ。
また、当社では「着物を楽しむ会」「あかしろき会」などと銘打ってお客様が参加できるイベントやパーティーを企画しているのですが、その場でも抽選の景品で豪華賞品をプレゼントするなど、業務における自由度は非常に高いです。
その背景には、「お客様のことが一番わかっているのは店舗だから、経営理念に反しない限りは何でもやっていい」という会社の方針があります。地域差や路面店・ショッピングモールのテナントなどと異なり、スタッフの年代などによってもお客様の層は変わってくるので、それを理解している現場の判断を重視してもらえるのはありがたい環境ですね。
編集部
関連して、笹本さんのお店でのエピソードをお聞かせください。
笹本さん
私が勤務している「あかしろき イオンモール松本店」は大型商業施設に入っているので、呉服業界では比較的若い20代〜30代のお客様が半分弱を占めるような形態です。
だからこそ、他店ではあまりやっていない「和洋ミックス」のスタイルを提案してイベントを開催したり、お酒をお客様と飲みながらワイワイ楽しむ企画を開催したりと、新しい企画をどんどん打ち出しています。もちろん、40代~60代など年代別の企画もあります!
なお、和洋ミックスといっても幅広いですが、着物とパーカーやスカートを合わせるなど、その方なりの世界観を表していただける装いが多いです。一人だと少し心細くても、私たちスタッフや他のお客様といっしょに楽しめるので、毎回大好評ですね。
特に「あかしろき」はカジュアルに着物文化を楽しんでほしいというコンセプトなので、タンスの中にずっと保管しておくのではなく、本来の着物の価値や着て歩く楽しさに気づいていただくためにも、お出かけする機会を率先して作るようにしています。
接客やイベントを通して顧客と長く関係性を築けるのが仕事の特徴
編集部
お話を伺っていると、お客様との関わりが深いというのもたちばなで働く特徴だと感じたのですが、いかがでしょうか?
笹本さん
そのとおりですね。私たちは店舗スタッフであり営業職でもあるので、1人のお客様に担当として付いていろいろとご提案させていただくのはもちろんのこと、店全体で「次回もまた来よう」と感じていただけるような接客を心がけています。
また、先ほどお話ししたようなイベントも、お客様と交流できる貴重な機会です。店舗で月2〜3回開催しているほか、個別に提案させていただくケースを含めると4〜5回は実施していて、こういった試みは小売店舗でも珍しいのではないかと思います。
編集部
お客様とのやり取りで、印象に残っていることはあるでしょうか?
笹本さん
一番心に残っているのは、最初は着物への関心があまり高くなかったお客様がいらっしゃったのですが、「笹本さんが楽しそうに着物を着ているから始めてみようと思った」という理由でご購入いただけたことですね。
私たちがいる着物業界の商品は、一反で20万円から30万円、高額なものだと100万円の値段が付くものもざらにあります。その上、オーダーメイドスーツと同じようにお客様の寸法に仕立て上げるので、売却することも難しいという特徴があります。だから、正直なところ入社直後は「本当に買ってもらえるのかな」と不安を覚えていたんです。
そんな中で、新入社員として入りたての頃に担当になったのが、そのお客様です。頻繁に来店されるわけではなかったのですが、電話でも着物の楽しさを伝えながらいろいろとお話しさせていただき、展示会にお誘いしたときに購入いただけたんですね。今では毎月のように足を運んでくださるようになって、長期間にわたって良好な関係を築けています。
「自分らしさを発信するツール」としての着物の楽しさを伝えたい
▲取材にご対応いただいた笹本さん
編集部
そもそも、笹本さんが着物業界に関心を持ったのはなぜなのでしょうか。
笹本さん
私は学生時代に小さなバーでアルバイトをしていて、ときには店舗運営も任されていました。そこで接客の楽しさも実感していたのですが、あるとき「お酒以外に来店のきっかけとなるフックを作りたい」と考えて、服装を和装にしてみたんですね。
すると、ありがたいことに近隣の飲み屋街でもちょっと話題になって、私自身も着物をファッションとして着こなす楽しさに気づきました。その後、就活のときに業界や企業研究をしていて、たちばなが展開している「あかしろき」という店舗形態が自分に向いていると思って応募し、採用していただいたという流れです。
編集部
小さい頃から着物が日常にあったというわけではなくても、そのようなきっかけで興味を持ったんですね。
笹本さん
はい。最近では着物を普段から着る人は少なくなっていると思いますが、個人が着こなしを通して「私はこういう人です」と表現できるツールとして、現在でもすごく魅力的だと感じています。
ちょっと特別な日などに和の装いを楽しむとテンションも上がると思いますし、この楽しさを多くの方に伝えていければと思います。
たちばなの成長環境:入社2年目で店長就任などベンチャー的な要素も
▲着物専門店「あかしろき」の外観
編集部
続いて、採用責任者の白根さんにたちばなで働く環境面や制度について伺います。着物業界というと、どうしても組織運営などにおいて保守的な印象を持つ方もいらっしゃると思うのですが、実際のところはどうでしょうか。
白根さん
実は、たちばなはその印象とは異なり、ベンチャー的な要素も兼ね備えている会社ですね。例えば入社後のキャリアに関しては、基本的には実力があればどんどん上がっていける仕組みになっています。実際に、入社2年目で店長、30歳で部長に就任するケースもあるんです。
ただ、年功序列ではなく実力主義の文化はあるものの、人の入れ替わりがすごく激しいというわけでもないんですよ。社員の3人に1人が10年以上勤務しているという状況で、年次給(定期昇給)も設定していますので、長く働いてもらえるような体制も整えています。
短期的に努力して成長し結果を出したことに対しては、会社としても役職や報酬面で報いてあげたいし、長く貢献してくれる社員も大事にしたい。両面から社員を支えるのが当社の特徴ですね。
編集部
笹本さんのように店舗で働く方の報酬面について、詳しくお教えいただけますか?
白根さん
当社にはインセンティブ制度があります。これは、3ヶ月間の売上が基準を超えた場合、その頑張りに対して追加で報酬が支払われるというものです。事業部によっても変わってくるのですが、最近の数字だと平均して1人あたり年間100万円以上はインセンティブが発生していますね。
頑張って売上が大きくなればそれだけ給与も増えるので、中には20代で年収1,000万円を超えている社員もいます。
編集部
早期キャリアアップが望めること、頑張りが給与に反映されることで、社員の皆さんはモチベーション高く仕事に取り組むことができそうですね。実際に活躍されている方も多いのでしょうか。
白根さん
多いですね。通常、着物業界では入社1年目の売上が1,000万円に達していると「よくやったね」と言われるくらいなんですが、たちばなに入社した新卒社員の売上トップ5を年を追って見ていくと、全員2,000万円を超えているんです。シンプルに、業界平均の倍を売り上げているわけです。
しかも、その若手社員たちは元々着物に詳しかったとか、服飾系の専門学校に通っていたというわけでもありません。着物を学ぶところからスタートして、高い売上を残せるまで若手が育つという状況を毎年再現できているのは、当社の強みだといえますね。
入社後は新人社員研修で大きく成長。中途採用でも参加可能
編集部
若手社員がそれだけ早く成長し活躍されている背景として、たちばなの社員教育についてぜひお聞かせいただけますか?
白根さん
まず、入社直後の新人社員研修は「たちばなイズム」を学ぶ上で大きな機会になっていると思いますね。これは4月開催で基本的には新卒が対象ですが、中途採用でもタイミングが合えばもちろん参加可能です。
この研修は、長野に本社を構える当社ならではかもしれませんが、閑散期のリゾート地で保養所を貸し切って実施されます。大げさに言うと「山ごもり」のような形ですね(笑)。同期同士で同じ釜の飯を食べながら、チームごとに分かれていろんな課題に取り組みます。そして知識や経験、精神力などすべてが鍛えられた後、各店舗に配属されるんです。
私がいつも感心しているのは、新入社員に対して店舗がすごく歓迎するという文化があることですね。離れた土地で研修していても、その日の学びや気づいたことを日報として店舗に送ると、スタッフは翌日までにコメントを入れて返します。配属前でも「仲間」として支えているので、すごく心強いと思いますよ。
編集部
研修の具体的な内容についてもお教えいただけるでしょうか。
笹本さん
研修内容は多岐にわたるのですが、お客様の前に出ても失礼のないよう、社会人としてマナーに則った言葉遣いや立ち居振る舞いなどを学ぶというのは、やはり重視されていました。着物業界は比較的ハイクラスの方々を相手にすることが多いため、学生気分のままだとお客様の信頼を損なってしまうこともありますから。
なお、着付けに関しては研修期間だけで覚えるのは難しいですね。私も店舗配属後、先輩社員にサポートしてもらいながら徐々に慣れていきました。初めは1時間〜1時間半かかっていたものが、やがて20分で着られるようになりますので、未経験の方も安心していただければと思います。
ブラザーシスター制度や豊富な動画教材などサポートが充実
編集部
その他に、特徴的な教育制度はあるでしょうか?
白根さん
たちばなではブラザーシスター制度を導入していて、店舗に配属されると社歴の近い社員がマンツーマンでサポートしてくれます。笹本が話していた着付けに関しても、先輩が新人に付きっきりで教えているのをよく目にしますね。
また、業務知識の習得についてはオンライン化も進んでいて、新卒・中途にかかわらず入社後はオリジナルの動画教材やマニュアルをもとに学習を進めていけます。動画教材は、合計するともう何百時間くらいになっていますね。
たちばなのカルチャー:社員旅行など交流を深める機会あり
▲社員旅行の様子。社内の交流が深まることに加え、機織りを体験するなど貴重な体験ができる機会にもなっている
編集部
各店舗に配属後、社員同士で交流する機会はあるのでしょうか。
笹本さん
定期的な研修で会うほか、2年に1回社員旅行を開催しています。直近では当社と関係性の深いメーカーさんのところに伺って、機織りの体験もさせてもらいました。
あとは、大規模な社内イベントとして年に1回「経営計画発表会」も実施していて、全社員が集合するんです。そこでは成績優秀者と成績優秀店舗の表彰があり、私も売上トップ10に何度か入ったので、壇上でお話しさせていただいたことがあります。
編集部
たちばなで働いている社員の皆さんには、どんな人が多いですか?
笹本さん
いろいろな人がいるのですが、思いつく共通点を挙げると「真面目で仕事にしっかり取り組む」「お客様のことを深く想う」「優しくて周囲のスタッフを積極的に助ける」という社員が多い印象です。
たちばなの採用情報:面接回数などは店舗により異なる
編集部
たちばなの採用情報についても気になるのでお聞かせください。中途採用の場合、応募後はどのようなフローで進んでいくのでしょうか。
白根さん
私は採用責任者ではありますが、店舗での採用は基本的に店長に任せているんです。そのため、一律のフローではなく店舗により異なります。本部側で応募の受付や連絡などは担当するものの、その後は面接の回数や合否の判断なども含めてノータッチです。
なお、応募の際は「地域採用コース」と「全国採用コース」に分かれています。地域採用であれば、応募者は「このお店で働きたい」と指定するケースが多く、店舗で直接将来の上司と話してから入社するので、ミスマッチは起きづらいですね。
編集部
全国採用コースの場合は、どのように配属が決まるのでしょうか。
白根さん
かなり珍しいと思いますが、「ドラフト会議」を実施しています。これは新卒入社のケースですが、配属先の責任者が並んでいるところに新人が入ってきて、自己紹介したり質疑応答をしていく中で「あの社員はぜひうちで育てたい」という感じで決定していきます。
いずれにしても、たちばなの採用は一人ひとりの個性を重視しているんです。新卒・中途にかかわらず、ご自身の想いをしっかりお話しいただければと思います。
笹本さん・白根さんからのメッセージ
編集部
最後に、たちばなで働くことに興味を持った転職検討者に向けて、お二方からメッセージをお願いいたします。
笹本さん
私たちが扱っている着物という商材は、営業・販売職の中でも比較的難易度が高いという印象があります。価格やリセールが難しい点が影響していますが、その中でお客様の価値観にあわせて提案し興味を持っていただくというのは、スキルアップにもつながるすごくやりがいのある仕事なんです。
また、着物は誰もが目にしたことがある身近な存在のはずですが、着ている方は少ないですよね。そんな世界に飛び込んで多くの方に魅力を伝えるというチャレンジは、リスクが大きいように見えますが、実感としてすごく楽しいですよ。なお、私も毎日着物を着て働いています(笑)。
転職を考えている方なら、ハイクラス層がターゲットの営業経験があれば適性はあるでしょうし、そうでなくても「会話が好き」「いろんな方に接客して喜んでもらえた」という方なら業種問わず向いているのではないかと思います。
最初はわからないことばかりだと思いますが、知識は徐々に覚えていけばよいので心配はいりません。ぜひ一緒に働きましょう!
白根さん
私が伝えたいのは、「成長したい」という想いがある方にぜひ来ていただきたいということです。頑張った分だけ評価してくれる会社ですし、社員同士サポートし合う風土もあるので、そんな環境で成長していきたいという方はぜひご応募いただければ嬉しいです。
編集部
笹本さん、白根さん、本日はありがとうございました!
編集後記
株式会社たちばなの働き方のまとめ
働き方の特徴 |
|
---|---|
キャリア |
|
給与・待遇 |
|
教育制度 |
|
社風 |
|
株式会社たちばなの基本情報
企業名 | 株式会社たちばな |
---|---|
住所 | 長野県長野市鶴賀緑町2214(本社) |
事業内容 |
|
創業 | 1954年(法人設立は1979年) |
公式ページ | https://www.tachibana-group.co.jp/ |
採用ページ | https://www.tachibana-group.co.jp/recruit/ |
募集職種 |
|