時代を作る新しい働き方を模索し、実践する企業を紹介している本企画。今回は、30代前半で子会社社長になる社員が複数誕生しているなど、若手が活躍しているBEENOS株式会社にインタビューしました。
急成長を遂げている理由やカルチャー、採用時に大切にしていることなどを伺いながら、ミライの働き方を探ります。
BEENOS株式会社とは
BEENOS株式会社は、グローバルコマースを中心に、さまざまな領域においてグローバルに事業を展開している会社です。
代表的なサービスとしては、海外ユーザーが日本の通販サイトの商品を購入できる「Buyee」や、ブランド宅配買取サイト「ブランディア」などがあります。また、新規事業の開発に積極的に取り組んでいるのも同社の特徴です。
会社名 | BEENOS株式会社 |
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住所 | 東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー7F |
事業内容 | 国内外における各種Eコマース事業 |
設立 | 1999年11月 |
公式ページ | https://beenos.com/ |
今回は、平均年齢35.4歳(2023年2月時点)と、若手社員も多く活躍するBEENOS株式会社で常務執行役員兼CBO(Chief Brand Officer)、IR室長、投資戦略室長などを務める笠松太洋さんにお話を伺いました。
越境ECで世界の可能性を広げるBEENOS
▲BEENOS株式会社が提供している越境ECの特徴(BEENOS提供資料より)
編集部
はじめに、BEENOSさんの事業内容についてお聞かせください。
笠松さん
BEENOSグループは、色々な事業が集まってできている会社です。本当に多くの領域に展開しているのですが、大きく分けるとグローバルコマース・バリューサイクル・エンターテインメント・インキュベーション・その他事業という5つのセグメントで構成されています。
編集部
たくさんの事業に取り組まれているBEENOSさんですが、まずはグローバルコマースについて詳しく教えてください。日本の大手通販サイトの商品をアメリカからも購入できる「Buyee」などがグローバルコマース事業になるのでしょうか?
笠松さん
そのとおりです。日本と世界を双方向に繋ぐ事業に強みを持っており、日本の商品を世界の人が、また世界の商品を日本でも買える越境取引を事業として展開しているのがBEENOSの特徴です。売り上げ利益ベースで見ても、ここ数年の成長を牽引しているのがグローバルコマース事業です。
編集部
他の4つの事業についてもぜひ教えてください。
笠松さん
2つ目が、バリューサイクル事業です。ブランド品の買取販売を手掛ける「ブランディア」や、お酒の買取販売を手掛ける「JOY LAB(ジョイラボ)」がこれに当たります。リユースを一つのキーワードにしているので、なるべくリユース品を買い取って、世界に流通させていくためのプラットフォームを運営しています。
編集部
BEENOSさんのeコマース運営ノウハウを活かして、リユースできるものに価値をつけて循環させていくという意味で、環境にも貢献できる事業ですね。
笠松さん
3つ目のエンターテインメント事業では、エンターテインメントのDXに取り組んでおり、アイドルやアーティスト、インフルエンサーなどエンターテイナーとして活躍されている方々のEC関連、物販の面を中心に支援しています。
やはり餅は餅屋というように、アーティストの方たちにとって本業はエンターテインメントですよね。カスタマーサポートやロジスティクス管理、マーケティング、Webサイト構築など、BEENOSが得意とする分野で全方位的にサポートさせていただいているんです。
具体的には、エンタメ特化型の機能が充実し、最短5営業日でネットショップが開設できる「Groobee(グルービー)」で、SaaS型モバイルオーダー・決済サービスの提供により並ばずにグッズなどを手に入れることができる機能サービスなどもあります。
インキュベーション事業や新規事業で未来への種まきも
編集部
BEENOSさんは、グローバルコマースを切り口に本当にさまざまな領域に事業を広げているのですね。
笠松さん
そうですね。その他にも、4つ目のインキュベーション事業では投資活動も行っており、現時点(2023年6月)では全部で60社ほどの企業に投資・出資しています。
編集部
グローバルに展開されているのがBEENOSさんの特徴ですが、それはインキュベーション事業においても同様でしょうか。
笠松さん
はい。インドやインドネシア、ベトナム、バングラデシュなどASEANを中心とした国々のスタートアップを応援していて、約60社のうち50社ほどが海外の企業です。事業内容は、eコマース関連の事業や、決済事業、物流など我々の事業と親和性があるところがやはり多いですね。
編集部
最後に「その他事業」と先ほどお話にありましたが、こちらはどんなビジネスでしょうか?ぜひ教えてください。
笠松さん
5つ目のセグメントは、まだ事業としてひとり立ちしていないが、今後の事業の柱になりうる事業群を内包しています。例えば、eスポーツのように越境ECとは一見関係ないように思える事業にも取り組んでいます。
編集部
グローバルコマースから始まり、エンターテインメント事業やeスポーツなど幅広く事業展開していらっしゃいますが、その狙いはどこにあるのでしょうか?
笠松さん
一見関係なさそうに見える事業でも、当社の目線で見てみると関連性やストーリーがあるんです。例えば、eスポーツは今後グッズ展開なども含めて、事業の広がりが十分に期待できる領域です。また、eスポーツはたとえ身体的に恵まれていない人であっても、国や地域・身体的条件に制約されることなく若い方達が活躍できるフィールドになりえます。
BEENOSが大切にしているバリューの一つが、未来に対する可能性を感じるかどうかです。eスポーツなどは、まさにその文脈の中で未来を感じる分野だと思い展開しています。
編集部
エンターテインメント事業も同様でしょうか?
笠松さん
エンターテインメント事業やバリューサイクル事業に関しては、IR活動をする中で投資家の方たちからも「グローバルコマースで十分収益があるのに、なぜ続けるのか」というようなご質問をいただくことがあります。
けれど、グローバルコマース事業で売上の良いものを分解して見ていくと、ブランド品やアーティストグッズ類など比較的多いことがわかります。また、こうした分野は日本が世界に誇る素晴らしいものですから、BEENOSとしても大切な事業として位置付けています。
編集部
既存の事業の強化を続けながら、新しい領域にも積極的にチャレンジし、将来の事業の種をまいていくBEENOSさんのスタイルが、これまでのお話を伺って本当によく理解できました。
規模の優位性でサービスを充実。グローバルコマースが成長の柱
編集部
BEENOSさんのIR資料を拝見すると、2020年ごろから成長スピードが加速している印象があります。また、グローバルコマース事業では国内でもトップクラスの地位を築かれています。成長の秘訣はどこにあるのでしょうか?
笠松さん
グローバルコマース事業でお話をすると、特に成長しているのが日本の商品を海外に販売する分野です。成長の理由の一つとして挙げられるのが、市場における優位性です。
例えば、「Buyee」では日本国内約4,000の事業者さまと提携しています。誰もが利用したことのある通販サイトなど、名前をあげればキリがないくらい、多くのeコマース事業者の皆さまや、国内ブランドなどの企業さまにご利用いただいています。
要するに、日本の商品を買いたいなら「Buyee」に来ればほぼ手に入るという状況が作れているということです。
編集部
ユーザーにとっては、まさに利用しやすいプラットフォームになっているのですね。
▲消費者・販売者共にメリットの大きいサービス「Buyee」(BEENOS提供資料より)
笠松さん
購入者側からの目線で「Buyee」をみると、現時点で世界の約118の国や地域に商品をお届けできる物流網も整えていますし、異なるサイトで購入した商品もまとめて届けてもらえるという利便性の高さが好評です。また、1つのIDで色々な日本のeコマースサイトでのショッピングを楽しんでいただけるのも魅力です。
編集部
商品を販売する事業者の方にとっても、海外販売のチャネルとしてとても使いやすそうだという印象を受けます。
笠松さん
まさにその通りで、日本の事業者さんは国内にある倉庫に品物を送っていただくだけで、後の面倒なことを全て「Buyee」が担いますので、国内の消費者に商品を売るのと同じ感覚で販売いただけるのが魅力です。しかも、収益源は海外ユーザーの方からの手数料収益なので、販売事業者の方は無料で利用いただける点も特徴です。
お客様が増えて、プラットフォームに参画する販売事業者が増えれば増えるほど、配送会社との交渉で送料を安くできるなど、「規模の経済」が反映されているといえますね。
編集部
サービスの使いやすさに加え、事業が大きくなればなるほどユーザーにとっても販売事業者にとってもさらに利用しやすくなるという好循環が生まれていることがわかります!
笠松さん
そうですね。またここ数年、世界的にもeコマースの利用率が高くなってきています。各国でeコマースが普及した結果、越境ECの利用率も高まり、当社が手がけるサービスを利用くださるユーザーが増えてきたという要因も大いにあると感じています。
成長し続ける背景にあるのは事業&市場創造へのチャレンジ精神
編集部
時代の後押しやビジネスモデルがユーザーや事業者から支持されていることももちろんですが、BEENOSさんの組織体制やカルチャーも成長を後押しする要因になっているのではないでしょうか?
笠松さん
事業が成長すれば、当然ながら組織も成長しています。私が入社したのは2010年ですが、その当時と比べて従業員数も増え、今では874名(2022年9月末現在)となっています。
編集部
笠松さんもグループ内最年少マネージャーとして活躍され、現在の常務執行役員兼CBOというポジションにいらっしゃいますが、若手でもどんどん活躍できるカルチャーがあるのでしょうか?
笠松さん
もちろんです。若手を登用してどんどん活躍させるカルチャーがあり、私もそのおかげで新しいチャンスをいただいてきました。また、創業以来ずっと変わらないのは、事業や市場を創造しようというベンチャー精神です。脈々と続く、新しい事業を作ることに価値を置く会社の姿勢が成長を後押ししています。
編集部
笠松さんも、そんな社風に惹かれて入社を決めたのでしょうか?
笠松さん
私が入社した当初は、グローバルコマース事業が今のように会社の主軸になっていたわけではありませんでした。どちらかというと国内のeコマース事業が主たる事業の柱でした。
その中で、海外の風を事業にも取り入れようという動きがありました。アメリカ人を母親に持つ自分自身のバックグラウンドを生かしてグローバルなビジネスに携わりたいと思っていた私にとっては、まさに理想的なタイミングだったと言えるかもしれません。そういう文脈でジョインしたという形です。
社員発信のイベントも活発!「ワクワクすることに挑戦する」カルチャー
編集部
笠松さんが入社された当時から、若手も活躍する社風はありましたか?
笠松さん
若手をどんどん登用させようという体制に変わったのは、2015年頃からでしょうか。ワクワクできることや新しいことに、変化を恐れずにチャレンジする精神やスピード感はDNAとして残しつつ、さらに若手もどんどん活躍できるマインドを取り入れて、今のBEENOSになっているのかなと思います。
編集部
公式サイトを拝見すると、外国籍の方も多く在籍されていますね。社内では英語を使うことも多いのでしょうか?
笠松さん
2023年2月1日時点で、27カ国の外国籍の従業員がアルバイト含め在籍してくれています。彼らは日本語が堪能なので、会社としてはそこに少し甘えてしまっているという課題があります。グローバル企業として、今後は日本語という言語以外で社内インフラ整備も進めていきたいと思っています。
編集部
社内では英語力を高めるイベントなどもあるのでしょうか?
笠松さん
英語で話をしながらランチするイングリッシュランチを開催したり、外部の英語学習サービスを会社負担で従業員に受講してもらう取り組みを始めたりしています。英語学習サービスを受けてもらう取り組みについては最近1期目が終わったのですが、好評でしたので今後も続けていきたいですね。
編集部
とても楽しく取り組める企画ですね。イベントやサークルなどの取り組みは他にもありますか?
笠松さん
会社としてはサークル支援制度を設けて、自発的なイベントやサークル活動を応援しています。
例えば、ヨガサークルでは男性社員がヨガ講師の資格まで取って教えるほど本格的です。また、他社のエンジニアも参加するエンジニア勉強会を社員が企画したこともありました。イベントスペースで勉強会の後に交流会も開いたこともあります。
BEENOSエンジニアチーム主催で、エンジニアのスキルアップを目指した「開発合宿 BEE-Tech Camp」も開催しています。主体性を持って社員がスキルアップやレベルアップに取り組むカルチャーも、BEENOSの自慢です。
■BEENOSさんのオウンドメディア掲載中の「開発合宿 BEE-Tech Camp」レポート
https://beenos.com/blog/contents/5757/
編集部
サークル活動や勉強会などは社員の方が主体的に企画されているのですね。会社として応援する制度も設けているのですか?
笠松さん
そうですね。社員から「これがやりたい」という声があがり、会社の方向性に合っていれば前向きに考えて予算をつけて後は自由に使ってもらっています。
編集部
いろいろなイベントを実施されているんですね!みなさんが楽しみながら、仕事に役立つようなスキルを高めたり、社内での交流を図ったりしている様子が伺えます。
フェアな評価のために初任給は撤廃。年齢は関係ない評価基準
編集部
まさに年齢に関係なく活躍できるカルチャーが根付いているBEENOSさんですが、チームを率いるマネージャー職の平均年齢はどのくらいですか?
笠松さん
BEENOSに入社する社員の新卒・中途の割合は新卒が10.3%、中途89.7%(2023年2月1日時点)ですが、新卒・中途にかかわらず、26〜27歳くらいでサブマネージャーになる従業員も多いですね。
とはいえ、制度として年功序列や年齢で区切った人事をしているわけではありません。あくまでも仕事を見て実力や能力・実績に合わせて評価している形です。制度的には、能力や実力さえあれば1年目でマネージャーになることもできる体制です。
新卒で入社した場合には、業務を覚えるなどの助走期間が必要ですから、その結果実績として20代半ばくらいからマネージャーになる従業員が多いという状況ですね。
編集部
入社年次に関わらず、評価していくというBEENOSさんの姿勢が伺えます。
笠松さん
もう一つ、年齢に関係なく評価するということで導入しているのが初任給の撤廃です。新卒であれ中途であれ、能力は年齢で一律ではありません。たとえ若くても、例えば学生時代に努力してプログラミングスキルを磨いていれば、入社していきなりスタートダッシュを決められる人もいます。
BEENOSとしては、こうした人たちをフェアにきちんと評価していきたいということで初任給を撤廃しました。ただ撤廃しただけではなく、能力に応じた評価体制もきちんと運用しているので、本当に人によって給与額はバラバラですね。
編集部
正当に評価されるからこそ、若手もますます「頑張ろう」と挑戦できる環境が整っているのですね。差し支えなければ、新卒の初任給はどのくらいが平均ですか?
笠松さん
平均値ではありませんが、若い人でも即戦力としてどんどん活躍してもらうことを前提とした給与体制として、2025年より新卒エンジニアの月額給与は最低35万円、新卒ビジネス職なら37万円を最低ラインに変更します。会社から若手へ期待する姿勢を、給与面でも示していければなと思っています。
編集部
その他に、評価制度としてはどのような仕組みを設けていらっしゃいますか?
笠松さん
基本的なところで言えば、1on1を通じて目標達成に向けて何が必要かを上司がサポートする仕組みを設けています。また、会社のバリューを行動指針に落としこんだものを浸透させるワークショップを開催したり、月次で部署ごとに情報共有会を開催しています。
会社の情報の透明性を高めて、社員向けの事業報告会も年に4回開催しています。台湾など海外支店でも同様の取り組みをすることで、バリューや行動指針を社員一人ひとりが自分ごととして捉えてもらう機会を作っています。
30代前半で子会社の社長として活躍するメンバーも
編集部
若手の皆さんが活躍できる環境を会社として整えていらっしゃいますが、実際にどんな方が活躍されているのかぜひ実例もよろしければお聞かせください。
笠松さん
以前人事をしていた際に採用したメンバーがマネージャーに登用されたり、事業会社でマーケティングに携わっていた際に採用した若い中途入社のメンバーが、今は子会社の社長になっています。30代前半で子会社の社長になっているメンバーは、他にもたくさんいます。
編集部
BEENOSさんで活躍されている方の共通点はありますか?
笠松さん
能力の高さだけでなく、成功させるという強い意志があるかどうかが大きいですね。若さが持つ価値は、柔軟な発想や前例や慣習にとらわれないダイナミックな動きができることにあります。とはいえ、どんなにその要素があったとしても、意志が強くなければ成功には辿り着けませんから。
「今日の仕事が明日を作る」ワクワクを一緒に楽しめる人を歓迎
編集部
最後に、今回のインタビューを読んで「BEENOSさんで働いてみたい」と思った方や、興味を持ってくださった方に、メッセージをお願いします。
笠松さん
お話ししたいことはたくさんありますが、まずはこの記事を読んで、少しでも「面白そう」「気になる」とピンとくるような内容があれば、気軽に話を聞きに来ていただきたいですね。
BEENOSの事業は、日本を代表して世界にチャレンジしていくやりがいがある仕事です。現場のメンバーはみんな「日本を代表して戦っている」という気持ちで頑張っています。我々の事業が明日への可能性を広げるきっかけになるかもしれないという点を一緒に楽しめる仲間と出会いたいと考えています。
編集部
まさに、仕事を通じて世界へと広がるチャレンジができる仕事というわけですね。
笠松さん
その通りです。仕事を通じて自分が世界に繋がっていく感じはとてもワクワクすることですし、やりがいがあることです。せっかく働くのであれば、お金のためだけでなく大義を持って仕事ができる方が、絶対に頑張れるし楽しいはずです。
そんなところに価値を見出して、「働いてみたい」と思ってもらえたら、ぜひご連絡ください。採用は会社側からの一方通行ではなく、求職者と会社と双方向のコミュニケーションです。価値観や考え方を擦り合わせながら「一緒に挑戦しよう!」とワクワクできるような出会いがあれば嬉しいですね!
編集部
まさに、お話しいただいた採用姿勢からも年齢やバックボーンに関係なく活躍できるフィールドが広がっているBEENOSさんらしさを感じます。本日はありがとうございました!
■取材協力
BEENOS株式会社:https://beenos.com/
採用ページ:https://beenos.com/recruit/careers/