子育て社員が活躍できる環境づくりを推進する企業をインタビューする本企画。今回は、日本最大級の学校教育情報サービス「ガッコム」などを運営する、株式会社ガッコムにお話を伺いました。
株式会社ガッコムとは
株式会社ガッコムは、教育系のITベンチャーとして、子どもの学校選択や安全・安心をテーマにしたサービスの開発・運営を行っています。
旗艦サービスの「ガッコム」は、学校の先生や生徒の数、使っている教科書、部活の種類など、学校に関するさまざまな情報を提供するデータベースサイトで、口コミより客観的なデータを重視しているのが特徴です。
会社名 | 株式会社ガッコム |
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住所 | 東京都港区三田2-9-5 みずほビル2階 |
事業内容 | ・全国の幼稚園・保育園・小学校・中学校の情報の整備と提供 ・全国の不審者・治安情報の整備と提供 ・幼稚園・保育園・小学校・中学校をベースとしたコミュニティサイトサービスの提供 ・学校情報・治安情報に基づく研究開発・コンサルティングサービス ・学校情報・治安情報に基づく社会貢献活動 |
設立 | 2010年6月 |
公式ページ | http://www.gaccom.co.jp/ |
働き方 | ・フレックス制(コアタイムなし) ・リモート勤務 |
教育や子どもの防犯といった保護者向けのサービスを手がけていることから、株式会社ガッコムは子育て中の人を積極的に採用し、「ユーザー視点」に立ったアイデアや意見を事業に活かしています。
今回は、代表取締役社長の山田洋志さんと、採用担当兼データキュレーション部マネージャーの大坂さんに、ワークライフバランスへの取り組みや子育て社員の活躍、社内カルチャーについて伺いました。
子どもの教育や安全をテーマに複数のITサービスを展開
▲株式会社ガッコムは、データに基づく客観的な情報を意識した学校教育情報サイト「ガッコム」を運営する。
編集部
まずはじめに、ガッコムさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
山田さん
私たちは、「教育データ×ITで情報格差のない世界を」というスローガンのもと、子どもの学校選択や安全・安心を守ることを目的としたサービスを開発・運営しています。
代表的なサービスは、社名にもなっている「ガッコム」で、日本最大級の学校教育情報サイトとして全国の保育園・幼稚園・小学校・中学校に関する情報を無料で提供しています。
編集部
どのような情報を提供しているのでしょうか。
山田さん
住所や位置情報など元にした学区の特定や、それぞれの学校の先生や生徒の数、どのような教科書を使っていて、どのような部活があるのかなど、あらゆる情報を掲載しています。
編集部
子どもの学校選びをするときなどに役立ちますね。そのような情報は、どのようにして集めているのですか?
山田さん
私たちで収集するほか、保護者の方に投稿してもらった情報を使用することもあります。
ガッコムの特徴は、データにこだわる点にあります。学校情報サービスの多くは口コミ投稿に重点が置かれており、「この学校が荒れているらしい」とか、「先生が熱心らしい」といった主観的な情報が多くなりがちです。しかし、私たちはデータを活用して客観的な事実を提供することを徹底しています。
データに基づく詳細な情報を提供しているので、ガッコムのことを「学校版の帝国データバンク(※)」とおっしゃっていただくこともあります。
(※)企業信用調査で集めた情報をデータベース化し、提供するサービスを行っている会社
編集部
データに裏付けされている情報には、信頼感がありますね。ほかにはどのようなサービスを提供されていますか?
山田さん
不審者や治安情報を発信する「ガッコム安全ナビ」というサービスも運営しています。
自治体や警察署が公表する不審者や暴行、ひったくり、詐欺などの情報をリアルタイムで提供するサービスで、地図上に発生場所や事件・犯罪の種類が表示されます。不審者情報の場合は、服装や容貌の特徴がわかるようにアバターで表現しています。
▲「ガッコム安全ナビ」は、周辺で起きた事件・犯罪をリアルタイムで発信するサービス。
編集部
不審者が目撃された場所だけでなく、アバターで見た目までわかると、より防犯につながりますね。
山田さん
はい。私たちは、教育や子どもの安全に関する情報を分かりやすくお届けすることを意識しており、このほかにも「ガッコム・むすびえ こども食堂マップ」という、学区分けされた地図上でこども食堂の場所を確認できるサービスも手がけています。
編集部
3つのサービスは全て無料で使えるということですが、収益はどのように得ているのでしょうか。
山田さん
弊社は、企業様向けのtoB事業によって収益化しています。
例えば、不動産情報サイトの運営会社様や学習塾の運営会社様をパートナーとして、学校教育情報サービス「ガッコム」の画面上に学区周辺の物件や塾をおすすめ表示しており、パートナー様のサービスにユーザーを送客することで収益を得ています。
長期休みもOK。ガッコムのワークライフバランスへの取り組み
編集部
ガッコムさんでは、ワークライフバランスを意識した働き方を推進していると伺いました。
山田さん
はい。弊社には子育てをしながら働くメンバーが多いこともあり、コアタイムなしのフレックス制を導入して柔軟に勤務できるようにしています。テレワークも可能なので、フレックス制と合わせて利用すれば買い物やご飯の準備の後に仕事を再開するような働き方もできます。
また、事業の特性上、急なお休みや遅刻・早退に対応しやすいという点もあります。私たちは自社サービスを提供しているため、クライアントワークのような厳密な締め切りを抱えることがなく、「その日にできる範囲でやる」という姿勢で仕事をすることができるのです。
編集部
そのような環境があると、子どもが急に熱を出した時も仕事のことをあまり気にせず看病に専念できますね。
山田さん
自身や家族の都合で当日になって急にお休みすることもできますし、夏休み期間中に子どもと一緒にいる必要があるということで2〜3週間の休みを取る人もいます。スタッフの有休消化率は100%です。有給休暇の日数には上限があるので一部は無給となりますが、長期間休むこと自体は全く問題ありません。
子育て中の社員には最大48日間の看護休暇も付与されます。また、誕生日は家族で過ごしてほしいという想いから、有給休暇とは別に誕生日休暇もあります。
編集部
制度を整えるだけでなく、休みやすい雰囲気づくりも意識されているのですね。
お菓子食べ放題の福利厚生もあり!
▲株式会社ガッコムのオフィスの一角には、食べ放題のお菓子コーナーがある。
編集部
働きやすさを意識した福利厚生はありますか?
山田さん
出社するメンバーに快適に過ごしてほしいという思いから、お菓子食べ放題、ソフトドリンク飲み放題の福利厚生を導入しています。
編集部
有料のお菓子コーナーをオフィスに設置する企業は多いですが、食べ放題・飲み放題というのは珍しいですね。
山田さん
適度にリフレッシュして、良いパフォーマンスにつなげてほしいという期待も込めています。あと社内にキッチンもありますので、簡単なものなら昼休みに調理できます。野菜を茹でたり、サラダ用に切ったりするスタッフもいますし、私自身も冬はよく「ランチ1人鍋」を作って楽しんでいます。
ガッコムでは、キャリアのブランクがあるママも安心して働ける
▲子育て社員が多い株式会社ガッコムでは、子どもが参加できる会社見学を実施している。
編集部
ガッコムさんの女性社員の活躍についても伺いたいと思います。まず、女性の割合について教えてください。
山田さん
弊社はメンバーの約7割が女性です。子育て中の人も多く、データ系の業務を担当する女性は全員ママさんです。
編集部
ライフイベントを経ても活躍できるような環境があるのでしょうか。
山田さん
産休・育休の制度や、先ほどお話したようなワークライフバランスの取り組みに加えて、私たちは出産や子育てなどによってキャリアを一時中断した人を積極的に受け入れています。
編集部
キャリアのブランクがある人が、仕事復帰する場所としてガッコムさんを選ぶケースが多いのですね。そのような方には前職で同様の業種や職種を経験していた人が多いのでしょうか?
山田さん
いいえ、さまざまな前職の方がおり、航空会社で働いていた人もいますし、美容関係の販売をしていた人もいます。
ほとんどの人が入社してから業務を通じてスキルを身につけており、インタビューに同席している大坂さんも、人事系のお仕事のあとブランクを経て弊社に入社し活躍してくれています。
編集部
すぐに正社員としてスタートするのでしょうか。
山田さん
始めから正社員として復帰するというよりは、アルバイトやパートとしてまずは週3日ほどの勤務からスタートし、子育ての状況を見ながら勤務時間を増やしていって最終的に正社員になる人が多いです。
10年以上のブランク&未経験でも活躍できる存在に
編集部
大坂さんもキャリアを一時お休みしたあとガッコムさんで仕事復帰されたということですが、詳しくお話いただけますか?
大坂さん
私は専業主婦を10数年経てからガッコムで働き始めました。前職で人事の仕事をしていたのでガッコムでも人事採用を担当していますが、メインの仕事はデータキュレーション部におけるデータ整備です。
編集部
データ整備というは、どのようなお仕事ですか?
大坂さん
「ガッコム」や「ガッコム安全ナビ」などで発信する情報の収集や、それをサイトに反映させるためにエクセルに入力する業務です。
編集部
10年以上のブランクがあると、エクセルの使い方も忘れてしまっていたり、新しい機能に追いつかなかったりすることはありませんでしたか?
大坂さん
はい。入社後は同僚や先輩から教わったり、研修の機会を作ってもらったりしながらスキルを身につけました。社長の山田もエクセルが得意なので、教えてもらいましたね。
山田さん
Office系ソフトのスキルが生産性を左右するので、入社した人には私が直接指導する機会を作っています。
編集部
エクセルの場合、どの程度のレベルが求められるのでしょうか?
山田さん
業務内容にもよりますが、VLOOKUP(※)が使えるなど、中級レベルのスキルが必要になることが多いです。
(※)表の縦方向にデータを検索し、条件に一致した値を取り出す関数
「ユーザー視点」をサービスに活かしたいから子育て女性を積極採用
編集部
子育て中の方が多く働くガッコムさんですが、積極的に採用している理由があれば教えてください。
山田さん
弊社は保護者向けのサービスを手がけているので、できるだけ利用者に近い方にメンバーになってほしいと思っています。
良いサービスを開発するためには、「こうした方が使いやすいのではないか」とか、「このような情報、機能があったらより便利になると思う」といったアイデアが必要になります。このような細かい気づきは自分自身が子育てをしているからこそ生まれると思っています。だからこそ、私たちはママさんを積極採用しています。
ママさんにも嬉しい福利厚生として、他にも「社員・子どものインフルエンザワクチン補助」等もあり、また女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業に厚生労働大臣から認定される「えるぼし認定」も取得しています。
編集部
ユーザーの視点を持つ子育てメンバーの意見やアイデアを、積極的に取り入れようとしているのですね。
山田さん
はい。弊社には全員でアイデアを出しながらサービスを作ろうというカルチャーがあるので、どんどん意見を言ってほしいと思います。
編集部
自分のアイデアが形になることは、満足感やモチベーションにもつながりますね。
ランチ会や季節のイベントでコミュニケーション推進
▲株式会社のメンバーが集まる「ランチ会」の風景。夏場はバーベキューを楽しむことも。
編集部
意見が言いやすい職場というお話がありましたが、社内の雰囲気についてもう少し詳しく教えていただけますか?
大坂さん
ママさんが多いので、共通の話題でコミュニケーションする機会が多いです。子育てや教育に関する情報交換や、家庭の話など、雑談を交えながらみんなで和気あいあいと働いています。
山田さん
私にも小さい子どもがいるのですが、もっと大きい子どもを持つスタッフに子育ての話を聞いて参考にさせてもらっています。
編集部
親睦を深める企画などもあるのでしょうか?
山田さん
子育てをしている人が多く、夜に全員が集まることは難しいので、ランチ会という形で定期的に集まり、少しだけ高級な食事を楽しんでいます。
ほかにも、お花見や年末の納会など、季節に合わせたイベントも開催して交流しています。
▲年末の納会も、メンバーが楽しみにする行事のひとつ。
編集部
リモート勤務を導入しているということですが、定期的に集まれるさまざまな企画があるので、コミュニケーションの心配もなさそうですね。
ガッコムのインターンは、スキルに合わせて実務を経験できる
編集部
ガッコムさんはインターンの受け入れを行っていると伺いました。
山田さん
はい。学生さんに職場体験をしてもらう取り組みとして、1〜2ヶ月の短期インターンや半年以上の長期インターンを受け入れています。
1日だけの職場見学も実施しているので、まずは見学に来てもらい、興味を持ってもらえたらインターンとして働いてもらうようにしています。
編集部
どのような学生が参加していますか?
山田さん
弊社の会長の赤林が慶應義塾大学で現役の教授をしているので、赤林のゼミで学ぶ学生が参加したり、知人の大学教授から紹介いただくことが多いです。
また、私もガッコム以外で教育関係の活動をしているので、関係のある方から「この学生をインターンとして受け入れてもらえますか?」とご相談いただくことがあります。
データ分析をもとにコラム記事の執筆を任されることも
編集部
ガッコムさんのインターンでは、どのようなお仕事を経験できますか?
山田さん
データ整備を担当してもらうことがいちばん多いのですが、知識や興味によって柔軟に決めています。データ分析の知識がある方には分析業務をお任せしますし、エンジニアに興味がある方にはプログラミングを経験してもらっています。
編集部
スキルや希望に合った仕事を体験できるように考慮しているのですね。インターンが分析を担当する場合、どの程度のレベルまで関わることができるのでしょうか?
山田さん
弊社が持っている様々なデータを統計的に分析する業務をしてもらいます。データから傾向や関連性を見つけ出したり、データをもとに点数化するような作業ですね。
また、「ガッコム」などのサービス利用者が読むコラム記事の制作をお願いする場合もあります。例えば、データを使って学校制服の導入率の地域差を明らかにし、「制服導入率が高い地域」というテーマで記事を書いてもらいます。その際、単なるデータの紹介だけでなく、導入率が高い背景まで調べて発信してもらっています。
編集部
プログラミング業務については、いかがですか?
山田さん
プログラミングに関してはWeb開発がメインで、スキルに応じて内容を決めています。フロントを担当してもらうこともあれば、バックエンドもできるという方にはそれも含めて広い開発業務をお任せしています。
編集部
インターンに参加した学生を採用した実績はありますか?
山田さん
インターンに来てくれた人を新卒で採用したことは、まだありません。弊社のインターンに参加してくれる学生には、起業や海外で働くことに興味を持っている人が多く、将来につながる勉強をする場所として活用していただくことが多いです。
編集部
開発などの実務に携わることができるので、ガッコムさんでのインターンを就職活動でアピールすることもできそうです。
山田さん
そうですね、教育系の企業に就職を考えている方や、データ分析を仕事にしたい方には、弊社での経験が就職活動や就職後の仕事で役に立つのではないでしょうか。
子どもが暮らしやすい世界のために挑戦したいママ・パパ大歓迎
▲株式会社ガッコムの山田社長は、サービス向上のためにも子育て社員の視点が必要だと話す。
編集部
最後に、ガッコムさんのお仕事に興味を持つ読者の方に向けて、求める人物像などをお話しいただけますか?
山田さん
弊社では、子育て中の方を大歓迎しています。より良いサービスを提供するためには、まだまだママさん、パパさんの視点が足りないと思っています。
活かしたいスキルや仕事への意欲はあるけれど、子育てと仕事の両立に不安を感じるという方がいましたら、ぜひ弊社でデータ整備やエンジニアとして活躍していただきたいです。
大坂さん
私が子育て社員として感じるのは、職場環境がとても良いということです。ママ友にガッコムのことを話すと、「私もそんな会社で働きたい」と言われることがよくあります。
また、親としての視点をサービスに活かすことができるので、「子どもたちが暮らしやすい社会づくりに貢献している」というやりがいも感じられると思います。
弊社の事業や働き方にご興味を持っていただけましたら、応募いただけると嬉しいです。
編集部
子育て社員の活躍を推進する企業は増えていますが、ガッコムさんは「良いサービスのために不可欠な存在」と位置付け、本気の取り組みをしていると感じました。
本日は、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社ガッコム:http://www.gaccom.co.jp/