株式会社Coogeeの次なるターゲットは”アジア”。韓国D2Cを日本に広める企業の成長理由とは

成長著しい企業の取り組みや、若手活躍を紹介するこの企画。今回はD2C(※)事業、D2C⽀援事業、クリエイターエージェンシーを運営する株式会社Coogee(クージー)を取材しました。
※D2C:Direct to Consumer。メーカーが中間流通を介さず自社のECサイトなどを通じ、商品を直接消費者に販売するビジネス

 "アジアに溶け合う”をコンセプトに事業を展開する株式会社Coogee

株式会社Coogeeは、コンセプトに“アジアに溶け合う”を掲げ、クリエイター事業や自社D2Cブランドの運営、クリエイターや企業と協業してブランドを創っている会社です。

“⽇本発、アジア基準・世界基準のブランド作りを提供すること”をミッションとする株式会社Coogeeには、日本をはじめ韓国などアジア出身のクリエイターが所属し、クリエイターエージェンシー、アパレル事業、コスメ事業などのさまざまな事業を、マトリクス型で展開しています。

会社名 株式会社Coogee
住所 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-14-5 第16スカイビル3F
事業内容 D2C事業、クリエイターアライアンス事業、ブランドアライアンス事業
設立 2017年9月
公式ページ http://coogee.jp/

アジアのトレンドをいち早くキャッチし、コスメ大国・韓国の企業とも太いパイプを持つ株式会社Coogeeの成長にはどのような要因があり、どのようなスキルを持ったスタッフが活躍しているのでしょう。

韓国アパレルの仕掛け人として知られる、代表取締役CEOの鈴⽊ヒロユキさんに、同社の成長理由や今後の展望などについて詳しくお聞きしました。

本日お話を伺った方
株式会社Coogee代表取締役CEO鈴⽊ヒロユキさん

株式会社Coogee
代表取締役CEO

鈴⽊ヒロユキさん

韓国エンターテイメントの人気にいち早く着目し、起業を決意

株式会社Coogeeが展開するアパレルブランド「ANDWANG」のビジュアルイメージ

編集部

海外の滞在経験や芸能プロダクション勤務を経て、オゾンネットワークSBY事業部に入社した際は多くのギャル系ブランドに携わってきた鈴木さんですが、Coogeeさんを設立されたきっかけ、起業への思いなどをお聞かせください。

鈴木さん

2016年頃の日本は今で言うところのインフルエンサーは、雑誌のモデルとして登場する時代でした。

当時、ギャル系のブランドを制作する過程で彼女たちと接した際、ギャルは韓国のエンターテイメントコンテンツやアーティストが好きということをキャッチしました。当時、日本には韓国のコンテンツを扱う会社がなく、トレンドを生み出すギャルのニーズに応えるかたちで、韓国のアパレルブランドのセレクトショップをInstagramで発信したことが起業のきっかけです。

編集部

コスメを中心にエンターテイメント、グルメなど韓国初のカルチャーは幅広い世代から人気を集めています。いち早くそのトレンドをキャッチすることで、フィールドを広げられているのですね。

Z世代にフィットしたコンテンツで事業を展開

編集部

Coogeeさんが事業を展開するにあたり、Z世代の支持を得てトレンドをつくることを意識されているとのことですが、市場の価値観の変化を実感されることはありますか?

鈴木さん

参考にするメディアが変わったことが挙げられます。かつてのメディアの中心はテレビや雑誌でしたが、今はインターネットを通じ、グローバルにコンテンツを手軽に入手できることに大きな変化を感じます。

コンテンツの取捨選択ができる中、アパレルやコスメはアジア人であればアジア人を参考にしますよね。金髪で彫りが深い欧米人を参考にしても、再現性が低いことがその理由です。

そのようなニーズの中、エンターテイメントの分野で確固たる地位を築いている韓国のコンテンツを参考にするのが実情としてあります。この状況に、日本の会社としてどうアジャストすべきかを考えながら、事業を展開していることからも、市場の価値観が大きく変わったように感じます。

年間売り上げ20億円の背景にある、韓国の人気インフルエンサーとの出会い

株式会社Coogee所属の人気クリエイター「HANJJI(ハンチ)」のイメージ画像
▲ファッション・ビューティー分野を中心にマルチに活躍するHANJJI(ハンチ)をはじめ、さまざまなクリエイターが所属している

編集部

次に、Coogeeさんの成長要因について伺います。2017年の設立から今日に至るまでの事業展開についてお聞かせください。

鈴木さん

設立時はアパレルブランドからスタートし、韓国のアパレルブランドを扱うセレクトショップを始めました。モデルを探している時に韓国のアパレルブランドのモデルと出会い、当社に所属したことを機にプロダクション事業を立ち上げました。

日本で最も有名な韓国のインフルエンサーが当社に所属したことがきっかけとなり、他の韓国出身のインフルエンサーが続々と所属したという流れがあります。その中で所属する韓国のインフルエンサーがコスメブランドを立ち上げ、日本で販売をするコスメ事業がスタートしました。

株式会社Coogee所属のクリエイター「Asaki」のイメージ画像
▲日韓で活躍する新世代のモデルAsakiも所属

鈴木さん

当社で展開してる韓国のコスメブランドがある程度日本で成長したことに加え、現在所属しているクリエイターも美容系に非常に強く、Coogeeの韓国での知名度は高いと自負しております。

編集部

なるほど。韓国のトレンドをいち早く取り入れ、日本に発信されてきたCoogeeさんでは現在、どのような事業展開をされているのでしょう。成長を表す具体的な数字などと合わせてお聞かせください。

鈴木さん

現在は韓国からのオファーを日本に展開する際、どのようにプロモーションするかといったディレクション的な事業が増えており、代理店事業が非常に伸びています。アパレル、プロダクション、コスメ、代理店事業を主軸にどんどん進化しており、売り上げ規模で見ると約20億と、数字的には倍々で伸びている実感があります。

編集部

大きな影響力を持つクリエイターやインフルエンサーが所属し、発信することで倍々の成長を遂げられてこられたのですね。

成長要因は韓国のグローバルD2C会社とのグループ化。韓国でのビジネス経験や価値観を還元

編集部

近年のコロナ禍の影響を受け、海外とのビジネスに苦労した企業が多い中、Coogeeさんはいかがでしたか?

鈴木さん

コロナ禍で韓国に行けない人たちが増え、韓国のブランドのオンライン購入が増えたこともあり、当社としては売り上げが伸びた時期でした。加えて、自社でのブランド事業や代理店事業、クリエイターさんの事業も成長したと感じています。

編集部

韓国と日本の橋渡し的存在としてトレンドを取り入れ、さらにはトレンドを作る側でもあるCoogeeさんですが、成長の一番の要因はどこにあるとお考えですか?

鈴木さん

韓国のブランドを日本に卸すだけではなく、当社が取り扱う韓国ブランドの会社とグループ会社になって、日本と韓国で一緒にビジネスをしていることが成長の一番の要因と思われます。当社はある種、トレンドビジネスを展開している会社でもあるので、新しいことをやらなければいけないという危機感を常に持っています。

当社が変わり続けることに加え、韓国とタッグを組んでブランドビジネス、エンターテイメントビジネスを展開するにあたり、当社のメンバーは価値観の多様性を意識していることが強みと分析しています。

アジアのエンターテイメントを牽引する韓国は、サッカーに例えるならプレミアリーグのような存在です。サッカー日本代表が強くなったのは、プレイヤーが海外進出をし、海外の選手に揉まれていくことで自分の価値観や基礎技術、体力がアップデートされたことが理由だと個人的には思っています。このように、視野を広げることが成長のポイントとして挙げられます。

編集部

韓国ブランドの会社のグループ会社になられたとのことですが、ビジネスをするうえで言葉の面で不自由と感じることはありますか?

鈴木さん

やはり言葉の壁を感じることは多々あります。私自身は韓国語を話せないので、商談は通訳を介して行っています。スタッフには韓国人もいますが、韓国社会を理解し、ビジネスを回しているのは日本語が話せる、または日本語しか話せないメンバーが多いです。

とはいえ、やはり韓国語を話せるに越したことはないので、韓国語の先生を会社に招いて韓国語の勉強会を開催したこともあります。現在はストップしていますが、再開を検討しています。

日本からアジアへ。韓国のビジネスモデルを学び、グローバル展開を目指す

編集部

Coogeeさんでは今後の事業展開として、“世界に進出する日本発のブランドを作る”ことを掲げておられますが、中長的な今後の展望、事業展開についてお聞かせください。

鈴木さん

現在、日本人に対してニーズのあるコンテンツを供給している当社は、コスメやアパレルなど、韓国のコンテンツを商材に日本国内で事業を展開しています。2023年に韓国の会社とグループ会社になったことを機に、韓国が日本に進出し、成功したビジネスモデルを学び、アジアをマーケットに人気のコンテンツを作り出したいと考えています。

編集部

ビジネスシーンで日本と韓国で違いを感じることはありますか?

鈴木さん

スピード感に大きな違いを感じます。仕事の丁寧さなどは日本の方が優れていると感じることはありますが、実行までの速さは韓国社会の強みのように思います。その上で感じるのがやはり価値観です。

日本よりも人口が少ない韓国では、海外をターゲットに仕事をすることがスタンダードになっています。ベンチャー企業でも韓国の場合はどんどん世界各国とのビジネスを展開しています。

編集部

韓国のスピード感や価値観は今後、日本にどのような影響を与えると思われますか?

少子高齢化が進む日本の20年後はどうなっているかという危機感を持たなければなりません。Z世代をはじめ、若い世代をターゲットにビジネスを展開している当社の場合、仮に20代の人口が20年後に3分の2にまで減少した場合、売り上げは3分の2まで落ち込み、市場規模もシュリンクすることが予想されます。

商圏を広げる意識を持つことが重要であることを、韓国とのビジネスをする中で学び、日々実感しています。

編集部

目の前にあるビジネスチャンスだけではなく、10年、20年先を見据えた事業を展開することが、グローバル社会に進出するカギになることがわかりました。

スタッフの半数が20代。グローバルビジネスを意識した若手が活躍

株式会社Coogeeのスタッフの仕事風景

編集部

次に、Coogeeさんにジョインされているメンバーについてお聞きします。現在のスタッフ数、年代についてお聞かせください。

鈴木さん

所属クリエイターや業務委託、アルバイトも入れると、約50名がジョインしています。そのうち正社員が約30名、年代としては平均年齢が20代後半となっており、半数以上が20代という組織になっています。

編集部

Coogeeさんで活躍するスタッフの特徴や、鈴木さんが代表としてスタッフに求めていることを教えていただけますか?

鈴木さん

韓国発信のコンテンツが好きという理由でジョインする者が多い当社ですが、これまでグローバルに活躍したいという理由で入社した者はいないので、今後はそのような人材を歓迎したいと考えています。

当社の現在のフェーズは韓国のコンテンツを日本に広げていくところにあり、商圏は日本国内です。韓国からの仕事が非常に増えてきていることを機に、海外市場を視野に入れた次のフェーズに進むことを社員に伝え始めています。

スタッフは今あるブランドやコンテンツを、どのように日本人に対して広げていくかを目先で追いかけているので、次のフェーズに対してのアップデートはまだ十分とは言えません。

20代が多い当社のスタッフですが、若いうちからグローバルビジネスを意識することを求めています。

編集部

Coogeeさんが現在の商圏である日本国内のビジネスと並行しながら、グローバル展開への新たなフェーズに目線が変わりつつあることがわかりました。

入社3ヶ月でマネージャーに昇格。抜擢理由は仕事に取り組む姿勢

株式会社Coogeeのコスメブランド「MILKTOUCH」のイメージ画像
▲Coogeeの自社ブランドコスメ「MILKTOUCH」。ブランドミューズにはアジア発9人組ガールズグループTWICEのリーダー・ジヒョが就任

編集部

Coogeeさんにジョインしたことで成長したスタッフのエピソードがあればぜひ、お聞かせください。

鈴木さん

自社ブランドのビジネスを任せているスタッフがいます。入社後3ヶ月ですぐにマネージャーに抜擢したのは、仕事に取り組む姿勢が素晴らしかったことが理由です。コスメ業界は未経験でしたが、スピード昇進となりました。

入社後すぐにグローバルアーティストである「TWICE」のリーダーのジヒョを起用しているブランドで仕事をすることで自然と目線は上がります。

韓国との調整や日本でのプロモーション計画など、やる事は沢山あるので、本人も大変だったとは思うのですが、自分にやる気があれば、いかようにでも成長できる会社であることを体現してくれました。

また、他のメンバーにおいても、入社1年目で2億円規模の広告予算の仕事を担当したり、韓国の会社とのビジネスを任せている者もいます。

まだ世の中にない正解を共に導き、グローバルマーケットで活躍したい方を歓迎

株式会社Coogeeのスタッフ

編集部

若い世代を中心に、絶大な支持を集める韓国エンターテイメントを日本で牽引しているCoogeeさんに興味を持った読者は多いと思われます。グローバル展開を図る御社が求める人物像について、転職を検討する読者にメッセージをお願いします。

鈴木さん

まだ、世の中に正解が出ていないビジネスを展開する当社のスタッフには、正解を見つけていく動きが求められます。そのような中で自発的に動いて仕事に取り組める方を歓迎します。韓国と一緒にブランド作りをしている会社なので、面白い仕事ができることをお約束します。

グローバルに仕事をしたい方、価値観をアップデートしたいという方に非常にマッチした会社なので、ぜひ、1つでも当てはまり、興味を持った方は問い合わせいただければ幸いです。

編集部

ビジネスモデルが多数存在する韓国のカルチャーを日本国内はもとより、世界に向けて発信するCoogeeさんには、さらなる成長と無限の可能性を感じます。読者もまた、御社の将来性に共感し、感銘したことでしょう。

本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社Coogee:http://coogee.jp/
採用ページ:http://coogee.jp/recruit/