企業の在庫問題と世界の大量廃棄問題を同時解決するフルカイテン株式会社の熱量

フルカイテン株式会社が挑む!在庫分析で企業利益と環境問題を同時解決

今まさに成長中で、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献している企業を紹介する本企画。データの分析や需要予測によってクライアントの利益と在庫の最適バランスを実現する企業間取引向けクラウドサービス(BtoB SaaS)を展開し、社会問題である大量生産・大量廃棄の抑制にも寄与しているフルカイテン株式会社にインタビューを実施しました。同社のサービスは、企業の経営効率を向上させるだけでなく、環境負荷の軽減にも貢献しています。

フルカイテン株式会社:在庫分析で企業と社会に貢献

「世界の大量廃棄問題を解決する」というミッションを掲げ、主に小売業界向けに在庫の分析・予測サービス「FULL KAITEN」を展開しているフルカイテン株式会社。在庫の単なる管理ではなく、詳細な分析と予測に基づいた具体的な提案を行うことで、企業の在庫ロスを削減し、利益増加と廃棄物削減の両立を実現しています。

会社名 フルカイテン株式会社
住所 本社:大阪府大阪市福島区福島1-4-4セントラル70 2F-B
東京支社:東京都港区西新橋1-1-1日比谷FORT TOWER 10F WeWork内
伊那パノラマオフィス:長野県伊那市下新田3008
事業内容 在庫を利益に変える在庫分析クラウド「FULL KAITEN」の開発・提供
設立 2012年5月7日
公式ページ https://corp.full-kaiten.com
働き方 リモートワークあり

フルカイテン株式会社の取締役COOの宇津木貴晴さん、採用広報チームの宮本亜実さんに、スタートアップ企業でありながら目覚ましい業績を上げている理由や、持続可能な開発目標(SDGs)の一環として大量廃棄問題の解決に挑んでいる想いについて詳しくお話を伺いました。

本日お話を伺った方
フルカイテン株式会社の取締役COOの宇津木貴晴さん

フルカイテン株式会社
取締役COO

宇津木貴晴さん

フルカイテン株式会社の採用広報チームの宮本亜実さん

フルカイテン株式会社
採用広報チーム

宮本亜実さん

コロナ禍で急成長:フルカイテンのSaaS事業が示す在庫管理の重要性

フルカイテン株式会社の事業イメージ

編集部

はじめにフルカイテンさんの業績について、最近の動向を教えてください。

宇津木さん

2022~23年の契約数は約1.4倍、平均単価は1.5倍の伸びとなっています。具体的には、22年年頭から見ると売上金額は倍以上に増加しました。特にARPAの伸びは著しく、FULL KAITENは数あるSaaSプロダクトの中でもかなり高い部類に入ると思います。

編集部

何か飛躍のきっかけとなる出来事はあったのでしょうか。

宇津木さん

コロナ禍がひとつのきっかけだったと考えています。定常的にいただける収益(MRR)が、年2.3倍ぐらいの成長になったんです。FULL KAITENがまさに時流に求められていたサービスだったと言えます。

編集部

具体的には、どのような形で時流にマッチしたのでしょう。

宇津木さん

小売業界は、「物を作ってとにかく売る、売れ残ったら廃棄する」というスタイルを長い間続けていました。しかしコロナ禍で自粛モードになったことで需要が一気に減り、在庫の問題に直面したんです。

海外で生産できなくなり売るものがないといった企業が増えた一方で、既存の在庫も消費できない状況が発生しました。このような在庫の問題に直面する企業が増え、「生産・在庫のバランスをしっかり考えた上で、在庫をちゃんと利益に変えていく意識を持とう」という風潮になり、各企業が売上至上主義から考え方をシフトしていきました。

そんな中、FULL KAITENはまさに「在庫をいかに効率的に利益に変えるか」という課題に応えるサービスを提供していたので、急速に需要が増えたのだと分析しています。

フルカイテンの強み:予測と分析に特化した在庫データサービス

フルカイテン株式会社で提供しているソリューションの説明

編集部

在庫の問題を解決する手段としてFULL KAITENが選ばれている強みは、どのようなところでしょうか。

宇津木さん

FULL KAITENの強みは、「在庫管理」ではなく、「在庫データの予測や分析」ができることです。手元にある在庫を様々な観点から分析し、将来の動向を予測することで、在庫を利益に変えられるサービスを提供しています。

在庫管理サービスは多数存在しますが、在庫データの予測・分析に特化したサービスはほとんどありません。この独自性が、私たちが選ばれる理由だと考えています。

編集部

在庫データの予測や分析によって、具体的には、どのように在庫の解消につながるのでしょうか。

宇津木さん

具体例をいくつか挙げますと、まず「この商品は値引きせずに販促を強化すれば定価で売れる」という判断ができます。また、「A店では滞留しそうだがB店では売り切れそうな商品を、B店に移動させる」といった店舗間の在庫調整や、「欠品しそうな商品の追加発注」など、的確な在庫管理の指針を提供できます。

編集部

かなり具体的な提言で、業務の効率アップに直結させるんですね。

宇津木さん

効率と同時に、業務の精度を高めることが肝心です。適切な業務判断を促すことで、在庫を利益に変える割合が高まります。

FULL KAITENは主に大規模小売業を対象としています。これらの企業では、数万点から数十万点もの商品を扱うため、人力での個別商品分析には限界があります。

従来は「売れていない商品群を一律30%オフにする」や「一部の売れ筋商品のみ店舗間で在庫を移動させる」など、大雑把な判断をせざるを得ませんでした。これは精度の問題だけでなく、業務負荷も高い状態でした。

FULL KAITENを活用することで、より精度の高い分析に基づいたアクションが可能になり、同時に現場の業務負荷も軽減されます。結果として全体の利益も向上し、これが私たちの提供する価値です。

編集部

精度の高い分析があれば、ムダな作業を省けるということですね。

アパレル業界における在庫問題:フルカイテンの特化したソリューション

編集部

FULL KAITENのクライアントは、どのような業種が多いのでしょうか。

宇津木さん

コロナ禍になる前から、「在庫といえばFULL KAITEN」と想起してもらえるように広報活動にかなり力を入れていました。特にアパレル業界においては在庫問題の解決=「FULL KAITEN」という認知が高まった状態だったので、そこも時流にうまくマッチしました。

編集部

アパレル業界に強い理由は何でしょうか。

宇津木さん

元々、フルカイテン自体がベビー服のEC事業のために立ち上げた会社だったんです。自分たちもアパレルの小売りをやっていたので、業界内の課題や仕組みを熟知していることが強みです。初期の広告宣伝も、アパレル業界をターゲットにしていました。

編集部

在庫に関する課題はどの分野でもありますが、アパレル業界には業界特有の課題もあるのでしょうか。

宇津木さん

アパレルは、シーズン中に売り切らなければいけないという特徴があります。春夏秋冬の各シーズンで約3ヶ月という短期間で勝負する中で、意思決定が少し遅れると手遅れになってしまうので、在庫の分析はより重要です。だからこそ、私たちのサービスがアパレル業界にフィットした面もありますね。

小売業特化のバーティカルSaaS:フルカイテンのニッチ戦略

編集部

小売業をターゲットにSaaSのサービスを展開しているところも、フルカイテンさんの特徴のひとつですね。

宇津木さん

はい。ある業界に特化したサービスを提供する、いわゆるバーティカルSaaSです。

小売業界向けに、業界特有の課題を解決するサービスを提供するのがFULL KAITENです。業界に特化しているからこそ、これまで誰も踏み込めなかった根深い課題にもアプローチできるのが特徴です。

小売業界も業界特有の課題解決を求めているので、確実にお客様のニーズに応えられるやりがいがあります。

編集部

小売業界において、まだまだ新サービスを提供すべき開拓余地があるとお考えですか。

宇津木さん

ものすごくあると考えています。小売業界の課題に対して、「これをこういう形で解決すれば、かなり価値提供できるんじゃないか」という構想はたくさんあります。ただし、私達のミッションは、あくまで大量廃棄問題の解決なんですよね。

宇津木さん

大量廃棄問題の解決は、小売の在庫最適化だけでは不十分です。川上である生産の分野に遡って価値を提供していきたいので、サプライチェーン全体に価値を提供するような事業展開も視野に入れています。現状はまだ始まったばかりの段階ですね。

編集部

ミッションである大量廃棄問題を解決するために、前進を続けているんですね。

SDGsと大量廃棄問題への取り組み

フルカイテン株式会社の大阪本社
▲フルカイテン株式会社の大阪本社

編集部

フルカイテンさんの業務はSDGsのミッションのひとつ「世界の大量廃棄問題を解決する」に関わってくると思います。このミッションに対してはどのようなお考えをお持ちですか。

宇津木さん

フルカイテンは、もともとベビー服のEC事業から始まった企業です。EC事業を展開する中で、自社で開発した在庫分析システムを導入したところ非常に効果的だったため、「この在庫分析システムは、他の企業でも活用できるのではないか」と考え、外部への販売を開始しました。

編集部

宮本さんは、EC事業時代も経験されたそうですね。その頃のことについて詳しくお聞かせください。

宮本さん

ベビー服のEC事業がメインだった時期は、3度も倒産の危機に直面しました。その危機を乗り越えるためにFULL KAITENの原型を開発したのです。当時は、SDGsの壮大なミッションを意識する余裕はなく、自社の存続に全力を注いでいました。

FULL KAITENの原型を活用しながら、不良在庫の解消や適切な仕入れに懸命に取り組んでいました。すると、取引先の卸売りメーカーから「宮本さんは仕入れが上手いですね」「このシステムを私たちにも使わせてほしい」「このサービスを販売してはどうですか」といった声をいただき、在庫の問題で悩む企業が多数存在することに気づきました。そこで、FULL KAITENを広く提供しようという考えに至ったのです。

宮本さん

その後、顧客から「フルカイテンさんの技術は在庫問題の解決につながるので、利用企業が増えれば小売り業界の大量廃棄問題の解決にもつながるのではないか」という意見をいただき、私たちも「そのようなポテンシャルを秘めたサービスなのだ」と認識しました

そこで、在庫分析システムに事業の軸足を移し、現在のフルカイテンの姿に至っています。

宮本さん

FULL KAITENを活用して在庫を効率的に管理できるようになると、適切な仕入れ量の実現につながり、生産過程でも過剰生産を防ぐことができます。

これまでの「大量生産・大量販売」の時代から、これからは適量生産の時代へと移行すると考えています。企業が無駄のない生産体制を構築し、消費者も本当に必要なものだけを大切に購入する。FULL KAITENを通じて、そのような社会の実現を目指しています。

在庫最適化の社会的意義:フルカイテンのグローバル展開への展望

編集部

実際にFULL KAITENを導入しているクライアントからはどういった声が届いていますか。

宮本さん

例えば在庫高を1億円分削減しつつ、粗利は13%アップしたという事例があります。売上と粗利を伸ばしながら、同時に在庫を減らすことに成功している企業が多く、高い評価をいただいています。

FULL KAITENを導入されている企業は、比較的大規模な企業が多いです。流通量の多い企業が不良在庫を削減するインパクトは非常に大きいため、社会的にも大きな役割を果たせていると考えています。

編集部

今後の展開について、海外企業へのアプローチも考えていらっしゃいますか。

宇津木さん

地球規模の大量廃棄問題の解決に挑戦したいという思いがあるので、視野には入れています。現在は国内展開のみで、サプライチェーンの川下部分に価値提供をしている段階です。「世界の大量廃棄問題を解決する」というミッションにおいては、まだ一合目にすぎません。

将来的には、サプライチェーンの上流にも価値を提供し、グローバルに展開して、世界の大量廃棄問題の解決に貢献していきたいと考えています。

社会貢献と顧客満足:フルカイテン社員のやりがいの源

フルカイテン株式会社伊那パノラマオフィスで働いている同社社員の様子
▲フルカイテン株式会社伊那パノラマオフィスで働いている同社社員の様子

編集部

フルカイテンさんで働く社員の皆さんについて伺いたいと思います。メンバーの特色は何かありますか。

宇津木さん

ミッションに共感して入社するメンバーが多いことが、フルカイテンの特徴だと思います。私も採用面接を担当していますが、特にここ数年は「社会の役に立つことをしたい」という志望動機が増えています。例えば、「現在の会社は社会貢献の理念を掲げているものの、実態が伴っていないので転職を考えている」という方が多くなっています。

給与などの条件だけでなく、「社会に対して自分が価値を提供すること」に魅力を感じて入社するケースが多いため、非常に優秀なメンバーが集まっています。

編集部

実際にフルカイテンさんで働く中で、どういったシーンでやりがいを感じることができますか?

宇津木さん

例えば、FULL KAITENをご契約いただいたお客様に対して、私たちはカスタマーサクセスというチームを結成します。このチームのメンバーは、お客様に寄り添って成果を出すサポートをする役割なので、大きなやりがいを感じられると思います。

お客様の多くは誰もが知っているような大企業ですが、私たちの支援によってお客様の業績が向上したり、在庫が消化できたりと、具体的な結果が出ます。大量廃棄問題の解決というミッションにも繋がりつつ、お客様の在庫を利益に変えていくことは非常にやりがいを感じられると思います。

編集部

成果が目に見える醍醐味と、社会貢献につながるやりがいの両方があるのですね。

多様な経験とリモートワーク:フルカイテンの柔軟な働き方

フルカイテン株式会社のSlackによるコミュニケーションの様子
▲フルカイテン株式会社のSlackによるコミュニケーションの様子

編集部

どのようなキャリアの方が、フルカイテンさんに加入しているのでしょうか。

宇津木さん

例えば、カスタマーサクセスチームでは、小売業界での経験があるメンバーが多いです。

小売業界で実際に在庫問題、特に在庫の負の側面を体験してきているので、「何とかして小売業の在庫問題を解決したい」という、業界を良くしたいという強い思いを持つメンバーが多いですね。

編集部

働き方の面では、フルカイテンさん独自の特徴はありますか。

宇津木さん

リモートワークを積極的に活用しています。フルカイテンの拠点は大阪と東京に分かれていたので、新型コロナウイルス感染症の流行前からリモートを日常的に活用する環境でした。パンデミック時には完全リモートの期間もありましたが、全員が自主的に働き、成果を出すことに全く支障はありませんでした。

リモートワークでも活躍できる環境があるため、特にエンジニアは全国各地で働いています。海外ではコスタリカに住んでいるメンバーもいますよ。

フルカイテン株式会社のオンラインミーティング風景

編集部

リモートワークをするにあたって、コミュニケーション面での工夫は何かありますか。

宇津木さん

テキストコミュニケーションの質、オンラインミーティングの質を重視しています。特別なことではありませんが、例えばSlackでのやり取りでは頻繁にコミュニケーションを取り、絵文字でのリアクションも丁寧に行っています。オンラインミーティングでは顔を出し、発表者を孤立させないよう積極的にリアクションすることを心がけています。こういった小さな心遣いが大きな違いを生みます。

一方で、対面でのコミュニケーションも重要だと考えているので、定期的にオフラインで交流できる機会も設けています。

フルカイテンの挑戦:顧客価値と社会貢献の両立

フルカイテン株式会社の全社会議の後の懇親会の様子
▲フルカイテン株式会社の全社会議の後の懇親会の様子

編集部

最後に、この記事を読んでフルカイテンさんに興味を持った方に対して、採用に関するメッセージをいただけますでしょうか。

宇津木さん

我々のミッションである「大量廃棄問題を解決する」ことに共感をいただける方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。理想を持って、自分たちの手で世の中を良くしていくことにやりがいを感じられる人であれば、充実した仕事ができると考えています。

私たちはスタートアップの段階なので、自分が会社の成長に直接貢献できる実感を得られる規模です。この点でも、やりがいを感じやすい環境だと思います。

ミッションへの共感があり、チャレンジ精神が旺盛な方は、非常にフィットすると考えています。

編集部

人材の採用にあたって、フルカイテンさんが重視するポイントは他にありますか。

宇津木さん

私たちは、お客様に価値提供ができているかという点を非常に重要視しています。スタートアップ企業なので成長を求められる段階ではありますが、数字だけを追うのではなく、一番大切なのはお客様への価値提供だと考えています。

例えば、自社のサービスをリニューアルする際に、「現状のレベルではお客様に十分な価値提供ができない」と判断した場合は、営業活動を一時停止して開発に注力します。このように、「お客様に価値提供ができるか」を企業活動の意思決定の基準にするほど重視しています。

そのため、これまでの仕事でお客様への価値提供を非常に大切にし、その面で成果を出してきた方なら、私たちの企業文化に適合すると考えています。

編集部

地球規模の大きなミッションに挑戦しつつ、目の前のお客様に真摯に向き合える方が、フルカイテンさんのメンバーとして活躍できそうですね。大企業の経営改善と同時に、社会全体の仕組みを変えていくことにもつながる大きな仕事だと感じました。本日は、どうもありがとうございました。

フルカイテン株式会社のコンテンツ配信の紹介

■取材協力
フルカイテン株式会社: https://corp.full-kaiten.com
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