企業の魅力的な事業や、女性の活躍について紹介するこの企画。今回は「世界各地の多様な文化を掘り起こし、運び、伝え、表し、繋ぐ」というミッションのもと、アフリカや中東の国々と直接貿易を行い、それらの国で育まれてきた味や魅力、文化を日本に伝える、株式会社FAR EASTを取材しました。
海外法人あり。STORYのある商品発掘から販売まで一気通貫で行う「FAR EAST」
株式会社FAR EASTは、ジブチ、エジプト、セネガル、ケニア、トルコなどアフリカ・中東や、ヨーロッパ、アメリカの国々と「食品」にまつわる商品の直接取引を行っている貿易会社です。
現地で長く親しまれる果物やナッツを、日本にいる人々が「買いたい」と思える商品へと進化させ、異文化の持つ独特な雰囲気や香り、手触り感を伝えています。商品化の際には、現地の生産者さんやスタッフと協力し、食品として日本で受け入れられる味や加工、非日常や高級感を味わえるパッケージデザインなどを独自に企画しています。
自社開発の商品は、オンラインショップのほか飯能、渋谷、新宿、吉祥寺、横浜、大阪に8店舗展開する直営店「FAR EAST BAZAAR」で販売しています。東京、埼玉、神奈川などで、地中海・アラビア料理を提供するレストラン・デリカテッセンなどの飲食店「CARVAAN」の6店舗でも取り扱いをしています。
■FAR EAST BAZAARオンラインショップ
https://fareastbazaar.net/
■CARVAANオンラインショップ
https://carvaan.net/
会社名 | 株式会社FAR EAST |
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住所 | 埼玉県飯能市大河原33-1 |
事業内容 |
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設立 | 1994年10月25日 |
公式ページ | https://fareastinc.co.jp/ |
働き方 | ・出社 ・リモートワーク |
今回は、世界の国々と関わりグローバルに展開している事業の詳細や、様々な職域で多くの女性社員が活躍している理由について、人事部 HR部門リーダーの伊井文さんにお話を伺いました。
異国の文化に想いを馳せる「FAR EAST BAZAAR」と「CARVAAN」を都市部に展開
▲「CARVAAN」飯能本店は緑豊かな大自然の断崖絶壁に建つアラビアンレストラン。異文化の雰囲気を存分に味わえる空間づくりにこだわっている
編集部
まずはFAR EASTさんの事業の特徴についてお教えください。
伊井さん
遥か遠い異国の国々に根付く、歴史や独特の文化、魅力を日本に伝えるために、食品や家具の輸入、直営店の運営を行っています。貿易業は2003年から始めていて、年々取引先国を拡大し現在は28ヵ国と直接取引をしています。
日本に住んでいると、アフリカ、中東と聞いて戦争や貧困をイメージしてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、そうではなくて、現地に脈々と受け継がれる人々の想いや暮らし、ワクワクするようなSTORYを日本のお客様にも伝えられたらと思っています。
編集部
貿易業のほかには、具体的にどのような事業があるのでしょうか。
伊井さん
世界の産地から集めたドライフルーツや菓子などを販売する「FAR EAST BAZAAR」と、異文化漂う非日常的な空間でアラビア料理・クラフトビールなどを提供する飲食店「CARVAAN」を運営しています。
出店する場所にもこだわっていて、洗練された主要都市を選んでいます。都市に住む人たちに、ハイエンドな日常生活の中で通常関わることのない、発展途上の国の小さな村の産物を知ってもらい、その素晴らしさを広めていきたいんです。
現地からお届けする商品を通して、私たちが発展途上国と日本との架け橋となり、驚きや感動というパラダイムシフトを起こしたいですね。
編集部
素敵な思いですね。FAR EASTさんの、そのような熱い気持ちに、魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。
世界各地の多様な文化を掘り起こし、運び、伝えることがミッション
編集部
FAR EASTさんによって、どのような産物が日本に届けられているのでしょうか。
伊井さん
デーツってご存じですか。「FAR EAST BAZAAR」がオープンした当初からずっと人気の商品なんですよ。
デーツは、エジプトのオアシスで実る「ナツメヤシ」の果実です。紀元前6000年前から食べられている最古の果実であり、「命の実」とも称されています。
編集部
それは、どんなに老舗の商品でも勝てない、歴史がある食品ですね。デーツはどのような形で、日本の人々に届けられているのでしょうか。
伊井さん
デーツは主に「FAR EAST BAZAAR」でドライフルーツの量り売りやギフトとして販売しています。また、レストラン「CARVAAN」でも、デーツを使ったデザート、ドリンク、お料理のソースにも使われているんですよ。
そのまま店頭に並べるだけでは、買ってもらえません。異文化のワクワク感や歴史の深さといった雰囲気が伝わるデザインをパッケージに施し、お客様の深層心理や食べるシーンを考えて商品開発を行います。現地で収穫されたデーツは、砂糖を使わず、デーツの甘味だけでおいしく食べられるジェラートや焼き菓子へと変身して販売されています。
編集部
まだ知られていないものを、多くの人に知ってもらうために手間を加えて、味や魅力の伝え方を工夫されているのですね。
海外拠点を軸に現地と関係を構築。「皆が知らない素晴らしい宝物」を探し、磨いて日本に届ける
▲「アフリカの真珠」とも称されるウガンダからは、太陽と雨水だけで育つパイナップル、アップルバナナなどのドライフルーツを直輸入している
編集部
FAR EASTさんの海外拠点について教えていただけますか。
伊井さん
2017年にウガンダの拠点を開設しました。ウガンダへは主に、当社の商品開発マーケティングと貿易事業を担う「バリュークリエーションチーム」が行っています。少数精鋭の3名から成るチームで、ウガンダはもちろん世界各地を訪ね歩いて、商品を発掘する役割を担っています。
編集部
「バリュークリエーションチーム」の皆様は、ウガンダでどのような業務をしているのでしょうか。
伊井さん
仕入れをしたり、現地で食されている産物の味を確認したりしています。開発のために産地や製造現場の視察もしています。
私たちの事業は、ボランティア的に途上国を助けてあげるという感覚ではないんですよ。ビジネスパートナーとして「適正な代金を支払いますので、美味しい商品を、しっかりした品質と注文した通りの量で届けてください。利益はきちんとバックします」というふうに、対等な契約をしています。
その結果、村の生産者たちは経済的に自立し、小さい子どもたちは学校へ行けるようになったり、レンガのお家に住めるようになったり、病院へ行くことができるようになったりと雇用を生み出すことで社会課題解決への取り組みにも前進しています。
一度、私も店舗マネージャーとして実績を上げたときに、現地研修としてウガンダへ連れて行ってもらったことがあるんですよ。
編集部
伊井さまはウガンダでどのような研修をされたのでしょうか。
伊井さん
アップルバナナとパイナップルのドライフルーツを製造してくれている、ジャリ村という村の工場へ行きました。
無農薬で砂糖不使用、自然に育ったままのものを乾燥させているのですが、どうしても土などの自然物が、フルーツに付着していることがあったので、その改善策をお話しさせていただきました。現地のリソースだけでは解決できないこともあります。直接伺って、品質改善のための認識合わせ、情報交換ができました。
村で働くスタッフの方や工場長さんに、日本でパイナップルにどんな反応があるのか、どれくらい売れているのかなどを伝えました。日本のお客様が、ドライフルーツとして届けられるのを心待ちにしていることを、店舗のマネージャーの立場で、ダイレクトに伝えられたと思います。
編集部
単純に海外へ行くということではなく、しっかりとした目的を持って行かれた現地研修だったのですね。
女性従業員比率は8割超。熱い想いを持ち、管理職としても活躍する女性たち
編集部
FAR EASTさんでは、女性スタッフの割合はどれくらいなのでしょうか。
伊井さん
従業員合わせて175人くらいですが、女性はその8割を超えています。管理職の男女比も女性の方が多くて、女性6割、男性4割くらいです。
事業が、女性をターゲットにしたショップ「FAR EAST BAZAAR」だけだったころに比べると、レストラン「CARVAAN」ができてからは、キッチンやビールの醸造に携わる男性メンバーが増えています。ブランドの成長によって、従業員の構成も変化していきますね。
編集部
管理職になられている方も多いのですね。女性の活躍について、お伺いできますでしょうか。
伊井さん
私のことをお話ししますね。入社して約10年、店舗マネージャーやエリアマネージャー、スタッフの育成を経験してきました。その中で強く感じたのが「人財育成や人を活かす仕組み・環境って、ものすごく大事だな」ということでした。
「組織の中で仕組みをつくってみたい」と思うようになり、3年くらい前にそれまでなかった人事部を立ち上げました。
編集部
部署異動ではなく、部署の立ち上げをされたというのはすごいですね。どのような経緯で、実現されたのですか。
伊井さん
育休明けで、まだ子どもは0歳だったのですが、社内のキャリアチャレンジ制度で、プレゼンを経て実現しました。キャリアチャレンジ制度というのは、上司からの抜擢や実績の構築による昇格ではなく、立候補とプレゼンで、希望のポジションの仕事ができる制度です。
何も分からないところからのスタートで、振り返ると相当なハードワークでしたが、自分で「もっと会社が良くなる」「やりたい」と思って選んだ道ですし、今は人事の業務に携わり、仕事がとても楽しく充実しています。
地方からリモートワークで活躍する女性も。柔軟な働き方ができる環境
編集部
伊井さんは育休明けに、ご自身の思いを叶えるために、キャリアチャレンジ制度を利用したとのことでしたが、FAR EASTさんの制度として、女性の働きやすさにつながるものは、ほかにもございますか。
伊井さん
女性が多い会社ですので、自然と女性が働きやすい環境になっていると思います。産休・育休から復帰して働いているメンバーは多いですよ。リモート勤務ができるのもいいですね。
私は関西に住んでリモート勤務をしていますが、九州で需要予測や財務など、ビジネスインテリジェンスという領域に従事しているスタッフもいます。本社の埼玉からは随分離れていますが、組織の中核を担う活躍をしています。ほかにも、2人のお子さんがいる広島のメンバーは、業務委託でSNSを担当しています。
編集部
FAR EASTさんでは、柔軟に働き方を選べるということでしょうか。
伊井さん
広島のメンバーの場合は、それまで店舗スタッフとしても働いていて、SNSの担当を兼業していたんです。広島の店舗がクローズするにあたって「引っ越してほかの店舗には行けないけど、SNSは続けます」と、業務委託に立候補し、会社が受け入れたという経緯です。メンバーの気持ちを尊重して、柔軟に対応してくれる会社だと思います。
編集部
ほかに気に入っている制度がございましたらお教えください。
伊井さん
子どもがいるいないは関係ないのですが、勤続年数に応じて、法定の有給休暇プラス10日のお休みを付与する制度があります。有給休暇20日プラス10日で、1ヶ月丸々休むのも可能です。
まとまった休日があれば、海外旅行に行って知見を広げたり、リスキリングで自身のスキルを高めたりできますよね。
編集部
育児のために使うこともできるし、自身を磨くために使うこともできる、まとまったお休みなのですね。十分にリフレッシュできそうです。
会社もメンバーも「やったことない」に挑戦。新しいことに取り組むのが自然なカルチャー
編集部
FAR EASTさんの社内に浸透する、独特のカルチャーはございますか。
伊井さん
先ほど、チャレンジ制度の話もありましたが、私たちには「やったことない、に挑戦しよう」という意識がカルチャーとしてあります。
貿易の事業として、最初にドライフルーツを輸入するときも、途上国と開発輸入を行うときも、ほかにやっている会社はありませんでした。ジェラートも、アラビア料理も、私たちが先駆けて手掛けてきました。
社内で誰かが知識を持っているわけでもなく「誰もやったことがない」という素人の状態から、事業として起こしていくものばかり。そのような中で、自然とメンバーの意識に、挑戦するマインドが浸透していったのだと思います。
編集部
初めてのことに挑戦しながら、メンバーの皆様も事業も成長していったわけですね。
伊井さん
企画が事業になり、動き出していくスピード感も凄かったです。「早すぎる」と感じることさえありました。一般的な会社の、1年~3年分くらいの仕事を3ヶ月でやっているような感覚でした。
編集部
会社自体が、意欲的に新しいことへの取り組みに挑戦・前進していらっしゃるのですね。メンバーの皆様が一丸となって行動なさる勢いを感じます。
チャレンジングな方と働きたい。入社後学べるアラビア語の社内研修もあり
▲採用のポイント、人材に求めることを語ってくれた人事部HR部門リーダーの伊井文さん
編集部
FAR EASTさんが採用の際に重視しているポイントをお教えください。
伊井さん
語学力や異文化への興味がないと難しい仕事かと思われるかもしれませんが、私たちが一番重視するのは「チャレンジングな方かどうか」というポイントです。
「主体的に取り組みたい」と考え行動できるか、またチームで協力できるかが大事だと思います。
編集部
語学に堪能でなくても、グローバルな仕事にチャレンジできるということですね。
伊井さん
スキルや知識が入社時にゼロでも、その方の心の底にある「チャレンジしたい」「チームで成果を出したい」「成長したい」という思いがあれば、学びや気付き、経験からどんどん仕事に活かせるスキルを積み上げていけると思います。
仲間と仕事をする上で、チームビルディングは非常に重要です。チームで成果を出し目標を達成していくことを、自身の価値観の中で大事にしている方に、ぜひご応募いただきたいです。
ちなみに社内研修では、指導経験が豊富な講師から、アラビア語を習うことができます。入社後は、簡単な単語や挨拶、ムスリムの文化を楽しく学んでいただければと思います。
編集部
ムスリムの文化を学べるというのは魅力的ですね。FAR EASTさんの事業に携わる中で、もちろん役に立つでしょうし、自身の教養としても身につけておいて損はない、ありがたい研修ですね。
お話を聞かせていただき、グローバルな仕事に挑戦したい方にとって、とても刺激的な職場環境であることが分かりました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社FAR EAST:https://fareastinc.co.jp/
採用ページ:https://recruit.fareastinc.co.jp/