オーケストラ支援から音楽祭企画まで:公益財団法人アフィニス文化財団の仕事の魅力

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、公益財団法人アフィニス文化財団にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同財団で働く魅力をご紹介します。

アフィニス文化財団は、日本全国のプロオーケストラ楽団と演奏家を支援している公益財団法人です。国内プロオーケストラが企画する公演への助成や楽団員の海外研修派遣のほか、一大イベントとして、国内の楽団員と海外で活躍する演奏家が集う「アフィニス夏の音楽祭」を開催するなど、クラシック音楽に特化した社会貢献事業を行っています。

そんな同財団は、職員の8割が女性。在宅勤務やフレックス勤務など柔軟な勤務体制が整っているほか、企画したイベントに子連れで参加するなど子育てに理解がある職場である点も魅力です。

今回は、アフィニス文化財団の仕事のやりがいや、子育てとの両立について、総務採用担当チーフスタッフの成松さん、企画制作担当マネージャーの小﨑さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
公益財団法人アフィニス文化財団 企画制作担当マネージャーの小﨑さん

公益財団法人アフィニス文化財団の企画制作担当マネージャー

小﨑 久美子さん

公益財団法人アフィニス文化財団の企画制作担当マネージャー。音楽祭や室内楽演奏会の企画運営業務全般を担当。1児の母。


公益財団法人アフィニス文化財団 総務採用担当の成松さん

公益財団法人アフィニス文化財団の総務採用担当チーフスタッフ

成松 未央さん

公益財団法人アフィニス文化財団の総務採用担当チーフスタッフ。総務など事務関係の業務、事業制作の事務なども担当。小学生・中学生の2児の母。

演奏家を支える「アフィニス文化財団」の仕事のやりがい

青空をバックに掲示された「アフィニス夏の音楽祭」の告知ポスターとアフィニス夏の音楽祭での演奏風景
▲アフィニス夏の音楽祭のポスターと演奏風景。この音楽祭には海外、国内のプロオーケストラ・メンバーが集まる。

編集部

アフィニス文化財団はプロオーケストラ楽団と演奏家の支援をメイン事業とされていますが、貴財団で働かれている理由はやはり、仕事にやりがいや意義を感じられているからこそなのでしょうか?

小﨑さん

クラシック界の現状を常に把握し、事業を通じて全国のオーケストラへの支援を実施する点にやりがいを感じています。プロのオーケストラが企画した公演への助成事業を通して、各楽団の状況をお聞かせいただいたり、音楽祭でスタッフの皆さんとご一緒することで理解が深まるからです。

成松さん

毎年開催している「アフィニス夏の音楽祭」などのイベント企画では、大きなやりがいを感じます。

このイベントは、日本のプロオーケストラ楽団のメンバーと、世界の名門オーケストラの首席奏者(過去にオーケストラに在籍していた者を含む)が集まり、室内楽曲に取り組む「セミナー音楽祭」です。全国30以上の楽団から応募があり、年代も20〜50代とさまざまです。席数に限りがあるためオーディション形式で選考させていただくのですが、音楽家としての経験を積みたいという熱い想いでご参加くださる方が多いので、こちらも熱が入ります。

そのような場をコーディネートし、演奏家の方が熱心に取り組まれる姿を間近で見ることができるのは、非常にやりがいを感じますね。

小﨑さん

日本と海外の演奏家が一堂に会する企画に一から携わり、本番に漕ぎつけた瞬間には「準備してきてよかった」と心から思いますよね。

子育てとの両立:育児支援制度と、子育てへの職場理解がある

アフィニス夏の音楽祭に招聘した演奏家の皆さんとの打合せ風景

編集部

アフィニス文化財団は11名の職員のうち9名が女性だそうですね。女性も仕事と子育てを両立しやすい育児支援制度が整っているのでしょうか?

成松さん

実は私が、当財団で一番最初に産休・育休を取った職員なんです。制度自体はあったものの実績がなかったため、事務担当が産前産後の休暇についてあらためて詳しく調べ、妊娠中からしっかりサポートしてくれました。育休は2人の出産後に1年間ずつ取得し、どちらも保育園入園のタイミングで復帰しました。

編集部

制度面以外にも、子どもを持つことに対して職場のみなさんの理解はあると思いますか?

成松さん

はい、復職前には「万が一保育園が決まらなくても働きたい場合は職場に連れてきていいよ」と声をかけてもらうなど、柔軟な体制でしたね。

何より職員同士が仲が良く、お互いの子どもの名前から習い事、好き嫌いまで知っているので、制度がなくても自然と助け合うような環境です。

小﨑さん

職場のみなさんに温かく見守っていただき、みなさんに育てていただいているような気持ちです。

音楽祭の開催地は数年ごとに変わり、現在の開催地は香川県高松市内です。自宅のある関東からは遠いのですが、「あいうえ音楽会」というファミリーコンサートには思い入れもあって家族に子どもを連れてきてもらいました。子どもに音楽を聴かせる機会があるのは親としてもとても嬉しいことです。

ワークライフバランス:在宅×フレックスのハイブリッド勤務が可能

談笑する公益財団法人アフィニス文化財団の職員たち

編集部

在宅勤務制度などはありますか?

小﨑さん

あります。コロナ禍をきっかけに迅速にテレワーク環境の整備が進みました。導入当初、私はちょうど産後4ヶ月で復帰するところだったのですが、コロナで保育園が休園になってしまいこの制度がとてもありがたかった記憶があります。

今でも週1~2日は在宅勤務をしていますが、会議やOJTなど対面のほうが効率的な業務がある日は出社を選択しています。

成松さん

私も週2日ほど在宅勤務し、残りの日は出社しています。制度は全職員が利用可能で、たとえば午前中は半休を取って病院に行き、午後は在宅勤務にするなど、柔軟に利用できます。

編集部

在宅勤務されている方と出社の方、それぞれ状況が違うと思いますが、コミュニケーションの取り方などで困るようなことはありますか?

成松さん

特にないですね。職場にかかってきた電話は自分のスマートフォンでいつでも受電できますし、普段からビデオ会議システムやチャットツールを活用して職員どうしで連絡を取り合っています。システムが整っているため、スムーズにやりとりできています。

編集部

他にも柔軟な働き方を実現するための制度があれば教えてください。

成松さん

フレックスタイム制度があります。「○〜○時は必ず勤務すること」といったコアタイムも特になく、好きな時間に出勤して仕事ができるのが良い点かと思います。

フレックスの活用例としては、子ども関係のイベントは平日昼間が多いので、例えば3時間目の参観日に参加した後から仕事を開始して夜まで仕事をする、塾の送迎がある日は朝早く始めて早く切り上げるなど、子どもを中心とした生活の中で仕事をさせてもらっています。

スキルアップ支援:外部セミナー参加や専門書の購入などもサポート

救命救急講習を受ける公益財団法人アフィニス文化財団の職員たち
▲職員研修のひとつ、救命救急講習のようす

編集部

スキルアップに関する制度などはありますか?

成松さん

当財団や個人の未来に繋がる取り組みとして自己研鑽のための支援が充実しています。たとえば、職員研修や外部セミナーへの参加です。

外部セミナーは、文化政策や社会共生など芸術に関わるものから、広報、労務管理など実用的なもの、ロジカルシンキングやコミュニケーション術など個人の課題や成長につながるものまで、相談の上で業務時間内に参加できます。頻度は業務に支障が出ない範囲ということで年に数回程度ですが、費用が高額でも承認されることが多いです。

編集部

専門書の購入についてもサポートがあると伺いましたが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

成松さん

明確な制度というわけではないのですが、組織全体で共有するのに有益な専門図書は、その都度相談して購入することができます。

たとえば、クラシック音楽や文化政策に関する書籍、公益法人や助成制度に関する参考図書などです。こういった専門書は個人で購入するには高額なこともあるので、とても助かっています。

アフィニス文化財団の採用方針:音楽に高い関心を持つ方を歓迎

パソコンで作業する公益財団法人アフィニス文化財団の職員たち

編集部

業務にはどの程度の専門性が求められますか?大学での専攻などは必須なのでしょうか。

小﨑さん

音楽大学卒業が必須というわけではありません。ですが、クラシック音楽に関する深い理解と関心の高さは必要かもしれません。特定の楽器に詳しければ良いという意味合いではなく、たとえば曲目や楽譜に関する詳しい知識があるとか、国内外の演奏会や演奏家の動向などのトレンドを把握することを心掛ける等ですね。

企画制作の現場では、プロの演奏家と直接コミュニケーションを取る中で幅広いクラシック音楽の専門知識が求められます。専門的な会話や要望を理解し、それを他のスタッフに正確に伝えて必要な準備を進めるスキルが必要かと思います。

編集部

実際に職員の方は、クラシックに関わってきた方が多いのでしょうか?

小﨑さん

そうですね。ほぼ全員が音楽関係の経験者です。幼少から楽器を習っていた人やサークルでオーケストラやダンスを楽しんでいたという人もいますし、アルバイト勤務の人は演奏活動を掛け持ちで続けている人もいます。音楽に高い関心を持っている人ばかりなので、職場ではよく「週末はあのコンサートに行ってくる」など、音楽関係の話題で盛り上がっています。

細かい知識は入ってから学んでいただけるのですが、クラシック音楽への関心をベースに実務能力を高めるポテンシャルがどこまであるかというのは重要かもしれませんね。

アフィニス文化財団からのメッセージ

談笑する公益財団法人アフィニス文化財団の小﨑さんと成松さん

編集部

それでは最後に、転職を検討されている方へメッセージをお願いします。

成松さん

当財団では、音楽文化を支援する立場としてとてもやりがいのある仕事に携わることができます。オーケストラや演奏家の支援に関心がある方、文化政策や文化振興に興味がある方にとって、非常に魅力的な職場だと思います。さらに、地域の活性化や賑わい創出にも関わりたいという方であれば、より一層前向きに業務に取り組んでいただけると思います。

クラシック音楽全般に高い関心を持ち、演奏家や地域のために活動したいという方とぜひ一緒に働けたら嬉しいです。

編集部

イベント企画などの業務がありながら、かなり柔軟に働ける職場であることに驚きました。子育て支援も充実していて、ライフステージが変わっても安心できそうです。

本日はありがとうございました。

編集後記

「子どもの習い事や好きなものについて日常的に話している」ということで、職員どうしが互いの家庭生活まで理解し合える温かな風土を感じます。また、日常的に音楽の話が交わされる職場は、クラシック音楽が好きで仕事として携わりたいと考えている人にとってはまさに夢のような環境ではないかと思いました!

この記事のまとめ

働き方の特徴
  • 週2日程度の在宅勤務制度を完備
  • コアタイムのないフレックスタイム制度を導入
  • 産休・育休制度など子育て支援が充実
職場環境
  • 全11名中9名が女性の職場
  • 子育て中の職員が多く、家族の話題も多い
  • ビデオ会議システムやチャットツールを活用しスムーズに連携
キャリア支援
  • 自己の将来に繋がるセミナー参加を支援
  • 文化振興、人事労務など幅広い分野の外部研修に参加可能
  • 専門書の購入サポートあり
業務内容
  • 全国規模の音楽祭の企画・運営
  • オーケストラへの助成事業の運営
  • 国内外の演奏家との連絡・調整
  • 開催地との企画調整・地域貢献活動
求める専門性
  • クラシック音楽に関する深い理解
  • 演奏会や演奏家の動向に関する知識
  • プロの演奏家との専門的なコミュニケーション能力

公益財団法人アフィニス文化財団の基本情報

住所 東京都港区赤坂2-13-5 赤坂会館ビル4階
事業内容 ・国内プロオーケストラが主催する優れた公演への助成事業
・国内プロオーケストラの楽団員に対して研鑽機会の提供(アフィニス夏の音楽祭など)
・国内の芸術文化活動に関する調査研究
設立 1988年3月
働き方 ハイブリッド勤務(出社+テレワーク)
フレックスタイム制度(コアタイムなし)
公式ページ https://www.affinis.or.jp/
採用ページ https://www.affinis.or.jp/support/
careeraffinis/member/detail/
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募集職種 ・企画、制作
※大卒以上
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。