【介護業界の転職】株式会社アライブメディケアの認知症ケアのプロを目指せる環境とは

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、株式会社アライブメディケアにインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。                                                                                                                            

アライブメディケアは、セコムグループの一員として介護サービスや在宅医療を提供している企業です。主力事業は介護付有料老人ホーム「アライブ」の運営で、外部の研究機関や他社との連携を図りながら認知症ケアに重点を置いた介護を展開しています。

また、同社は「人」を何より大切にする組織文化が特徴です。経営陣が400名以上の全社員の状況を毎週確認しているほか、キャリアの流動性も高く、情報共有の透明性を重視。その結果、社員の幸福度調査において、一般的に幸福度が低めだといわれている介護業界の中で平均を上回る高評価を獲得しています。

今回は、株式会社アライブメディケアならではの事業面の特徴や企業文化について、人財採用室の室長を務める伊藤さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社アライブメディケアの伊藤さん

伊藤 孝範さん

株式会社アライブメディケア 人財採用室 室長。広告代理店を6年、人材サービスの法人営業やキャリアアドバイザーを14年経験。2023年に同社に入社し、採用責任者として従事。

アライブメディケアの事業:認知症ケアに重点を置いた介護サービス

株式会社アライブメディケアが運営する「アライブ世田谷中町」の施設風景
▲「アライブ世田谷中町」の施設風景

編集部

介護業界で転職を考えている方は、数多く存在する介護サービスを提供する企業の中で、御社にはどんな違いがあるのかを知りたいはずです。まず、アライブメディケアの事業面の特徴はどのような点でしょうか?

伊藤さん

アライブメディケアは、『認知症を熟知し、思いをカタチにし、日本の介護を牽引しつづける。』というミッションからもわかるように、認知症ケアに重点を置いた介護サービスを提供しているのが特徴です。

日本では2040年に認知症患者が1,100万人に達すると予測されており、人口の約10人に1人が認知症となる時代が来ると言われています。そのため、介護の中でも特に難しいとされる認知症ケアを極めた「プロフェッショナル」になることができる環境を目指しています。

当社ではケアの推進において、教育推進部という実務経験者で構成されたチームを中心にアライブ独自のケアを構築すべく、社内外の様々な連携と教育・推進を行っています。

編集部

認知症ケアについて、具体的にお教えいただけますか?

伊藤さん

例えば、認知症専門医や認知症ケアの専門家と連携したプロジェクトを立ち上げ、行動・心理症状の改善に向けて積極的にアプローチを続けています。

補足すると、認知症には脳の神経細胞の働きが低下して起こる「中核症状」と、それによって引き起こされる「行動・心理症状」があります。中核症状は脳の神経細胞の働きが低下することで起きる記憶障害や見当識障害が代表的な症状で、治療が難しいといわれています。

また、行動・心理症状に対しては認知症対応グループホームを運営するメディカル・ケア・サービス(MCS)株式会社と連携することで、栄養面や水分補給、運動、睡眠、排泄といった様々な観点からケアを学び、プロジェクトメンバーが各ホームに浸透させ実践していく取り組みを行っています。

加えて、専門の研究機関と連携していることも当社ならではです。あるホームに意味性認知症(※)の方がいるのですが、順天堂大学医学部附属順天堂医院 認知症疾患医療センターや日本の介護株式会社、MCS社との協力体制によって、介護スタッフが症例の研究や学会での発表を行っています。
(※)代表的な認知症の原因である前頭側頭葉変性症の病型のひとつ。言葉の意味がわからなくなり、人格変化や行動・言語障害が進行するケースが多い

実は、意味性認知症は症例が少なく、対応が非常に難しいといわれているそうです。ただ、当社では他社の施設で入居を断られた方でも積極的に受け入れ、外部の専門家と連携しながらケアを行っています。その結果、症状が改善した事例も実際に発表されています。

編集部

日常生活における一般的なケアとあわせて、そこまで先端的な取り組みをされているのは業界でも珍しいと感じましたが、いかがでしょうか。

伊藤さん

おっしゃるとおりです。外部機関とも密に連携しながら、中核症状を把握したうえで行動・心理症状にアプローチしている会社は類を見ないと言ってもいいかもしれません。

他社と連携したポリファーマシー解消や施設入居者との旅行など多彩な取り組みを実施

株式会社アライブメディケアの社員が話し合う様子

編集部

専門的な認知症ケアをされている御社の取り組みについて、より具体的な事例を伺ってよいでしょうか。

伊藤さん

他企業とパートナーシップを結んでいるものだと、セントラル薬局グループとのポリファーマシー解消への取り組みが挙げられます。一般的に有料老人ホームに入居される方の服用薬剤数は8〜10錠と言われていますが、当社のご入居者の場合は平均4.5錠程度まで抑えられています。

これは他施設ではなかなか見られない数字ですが、単に薬を減らすことが目的ではありません。それぞれのホームのスタッフが認知症の方々の生活の質を向上させ、その人らしい生活を送れるようサポートすることを重視しており、そういった当社独自の自立支援ケアを進めていく中で自然と表れた結果です。

例えば、ご入居者が運動することで自然とのどが渇いて水分をとる、すると便が出やすくなるので下剤を服用する必要がなくなる、というように、生活習慣の変化が数字に出ているということなんですね。その中で、給食事業も展開しているセントラル薬局グループのお力をお借りして、栄養価の面でもサポートしていただいています。

編集部

その他の事例についてもぜひお聞かせください。

伊藤さん

トラベルドクター社と提携した「アライブ旅行」も当社独自の取り組みですね。これは、ご入居者を対象に、医師が同行する日帰り旅行・宿泊旅行を年に4~6回ほど実施するというものです。

株式会社アライブメディケアにおけるアライブ旅行の様子
▲アライブ旅行の様子

伊藤さん

各ホームのスタッフが旅行前からご入居者の心身をサポートし、トラベルドクター社・関係各社の全面的な協力を得ることで、通常では旅行が難しい症状がある方でも安全に旅行を楽しむことができます。また、ご入居者が同行スタッフを指名することもできるため、気持ちの面でも安心して過ごしていただけます。

つい先日、90歳の車椅子利用者の方が沖縄旅行に参加したのですが、この方は出発の前月に少し怪我をしてしまったそうです。通常であれば旅行を見送るはずですが、医師が寄り添ってその場で体調を管理してくれることで安全を確保し、「旅行に行きたい」というご希望を叶えることができました。

一律に参加の可否を決めるのではなく、医師のサポートと本人の希望を考慮した上で個別に対応できるのは、アライブ旅行の特徴的な面と感じています。

アライブメディケアの社風:「人」をとことん大切にする組織

株式会社アライブメディケアのアットホームな雰囲気

編集部

続いて、事業以外の特徴として、職場の風土についても教えていただけますか。

伊藤さん

アライブメディケアは、現社長が就任してから「人」をキーワードにした組織運営をしており、社員同士の対話やお互いに向き合うことを通して人との繋がりを何よりも大切にする風土が創られてきました。人を大切な財産として捉えているため、人材という言葉を使う際には「人財」と表現されています。

編集部

その社風を表すようなエピソードがあればご紹介ください。

伊藤さん

社長・部長メンバーが、毎週の会議で400名以上の全社員の状況を確認していることが良い例ですね。社員一人ひとりの様子について、例えば「頑張って成長している」ことから「最近元気がない」「調子が悪そう」といった変化まで把握しています。この規模でこんなことをしている会社は、おそらくそうないのではないかと思います。

また、各ホームのホーム長とブロック長も社員の様子に気を配り、問題を把握したら後回しにせず、すぐに向き合って対応していますね。例えば離職の予兆があった場合はすぐに働き方について本人へのヒアリングや提案をするなど、迅速な問題解決に努めています。

幹部会議で情報を共有する透明度の高さや、キャリアの流動性の高さも特徴

編集部

他に、特徴的な組織文化はあるでしょうか?

伊藤さん

透明性の高い組織文化は当社ならではですね。ホームで事故や課題が発生した際は、運営部で取りまとめ、それを隠すことなく全社員で共有しているんです。

そのため、月に1回幹部会議を開催し、50~60人のホームの幹部メンバーと本社メンバーが一堂に会してすべての情報を報告しあっています。

幹部会議はあくまで「なぜそれが起きたのか」を組織全体で考える機会であり、個人の責任を追及するようなことは一切ありません。例えばホームにおいて不適切なケアが発生してしまった場合は社員全員でそれを教訓として、再発防止に活かそうとする文化が根付いています。

また、全社員がアカウントを持つ社内SNSも運用されています。各ホームでの事例や良い出来事がリアルタイムで投稿され、ホームを超えた良い取り組みの浸透や、社員同士の交流にも役立っています。

加えて、人を活かす人事異動も当社の特徴です。一つの場所に留まることなく、様々な学びや経験ができる環境があります。ホームから本社に、本社からホームに異動することも当たり前です。

本社メンバーのほとんどが現場での経験を持っており、社長もたたき上げです。管理職も同様に、現場経験がないとホーム運営の適切なサポートができないという考え方です。私は介護現場で働いた経験がないため、この先学ばないといけないと痛感しています。本社・ホーム関係なく現場の気持ちがわかることも、当社のアットホームな社風につながっていると感じますね。

編集部

そういった「人財」の文化が根付いている御社では、社員満足度も高そうですね。

伊藤さん

1年に一度、全社員の幸福度診断が実施されますが、ほとんどの項目で全業種を含む一般平均を上回っています。介護業界は一般的に幸福度が平均より低めな業界だと言われていますので、この結果には当社の職場環境の良さが表れていると思います。

アライブメディケアの採用方針:資格や経験よりも「人間力」を重視

株式会社アライブメディケアが運営する「アライブ代々木大山町」の屋上風景
▲「アライブ代々木大山町」の屋上風景

編集部

アライブメディケアには、介護業界経験者だけでなく、異業種からの転職者や未経験者も採用されているとお聞きしました。具体的にはどのような方針で採用を行っているのでしょうか。

伊藤さん

以前は資格や経験を重視した採用を行っていましたが、現社長の過去の現場経験を基に、近年は採用方針を変更し「人間力」を重視しています。具体的には、素直で優しく謙虚な方であれば、未経験でも積極的に採用していますね。経験や資格は働きながら獲得できますが、人としての基本的な資質は簡単には変わらないとの考え方に基づいています。

編集部

異業種からの転職者の活躍事例を教えてください。

伊藤さん

例えば、自身で飲食店を経営されていた方が、現在は幹部として活躍されています。また、イベント企画会社でフェスの運営を担当していた方や、スポーツトレーナーの経験者なども現場で活躍していますね。特にサービス業出身の方々は、その接客経験を活かして活躍しやすい傾向にあります。

ちなみに、当社では社長自ら海外人材の採用ルートを開拓し、2025年2月時点では約20名が在籍しています。出身国はインド、ネパール、中国、韓国、モンゴル、フィリピンなどで、特にインドやネパール出身の方々は、高いホスピタリティと素直な姿勢を持ち合わせており、ご入居者からも社員からも非常に高い評価を得ています。

編集部

採用に関して特徴的な取り組みはありますか?

伊藤さん

採用にあたっては、まず1日体験での職場見学を実施しています。応募者の方に実際の職場の雰囲気を体感していただくことで、お互いにミスマッチを防ぐことができています。

メッセージ:ウェルビーイング経営を推進中。理念に共感する方は応募を!

株式会社アライブメディケアの伊藤さんがパンフレットを見ている様子
▲取材にご対応いただいた伊藤さん

編集部

御社に興味を持たれた転職希望者の方々へメッセージをお願いできますでしょうか。

伊藤さん

アライブメディケアは1980年設立ですが、2021年に現社長が就任してから方針が大きく変わり、理念を重視した経営に大きく転換しています。

理念としては冒頭でお伝えしたビジョンのほか、ミッションに『情愛と意志で、ご本人とご家族の「真の望み」を叶える。』、バリューに『「人を大切にする気持ち」をベースに、お一人おひとりと向き合いつづける。』を掲げ、ウェルビーイング(Well-being)(※1)経営へと舵を切りました。
(※1)ウェルビーイング:個人の権利や自己実現が保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念のこと

日本のウェルビーイング研究の第一人者、武蔵野大学ウェルビーイング学部長 慶応義塾大学名誉教授の前野隆司教授を顧問に迎え、社員のウェルビーイングを高める社内研修などを行っています。人事評価制度に幸福度の項目も取り入れ、仕事の成果が幸福度の軸で語れる環境を目指しています。

その取り組みが評価され、「WELLBEING AWARDS(※2)2024」のファイナリストに選出されたほか、2025年「ホワイト企業大賞(※3)」の推進賞も受賞しています。
(※2)WELLBEING AWARDS:ウェルビーイングな社会への推進を目的とした朝日新聞社主催の表彰制度
(※3)ホワイト企業大賞:ホワイト企業大賞企画委員会による、社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業を表彰する制度

なお、社長の経営方針として利益追求を第一としていないにも関わらず、結果として2024年度は過去最高益を達成できていることは、当社のウェルビーイング経営がしっかりと機能している証だと感じています。

最後になりますが、当社は「綺麗事を本気で取り組む会社」だと自負しており、理念を単なる言葉として唱えるだけでなく、確実に実践に移している会社です。また、「人財」として社員一人ひとりを大切にし、育成にも力を入れています。それだけに謙虚に学び続ける姿勢が必要となり、決して楽はできないかもしれません。

そういった当社の理念や方針に共感していただける方であれば、資格や経験の有無にかかわらず、ぜひご応募いただきたいです。

編集部

本日はありがとうございました!

編集後記

介護業界を牽引するというビジョンを掲げるアライブメディケア様にお話を伺い、認知症ケアに本気で取り組む実行力や現場の裁量権を重視する方針など、ベンチャー的な姿勢が強く印象に残りました。また、社員の幸福度が高いという結果が出ていること、さらに取材時の温かい雰囲気からも、「人」を大事にされていることが伝わってきました!

株式会社アライブメディケアの働き方のまとめ

企業文化
  • 提案に対してNoと言わない文化
  • 現場への裁量権が大きい
  • 新しい取り組みに積極的にチャレンジ
社内制度
  • 全社員の状況を毎週確認する会議
  • 積極的な部署異動制度あり
  • 月1回の全体定例会議開催
  • 情報共有の透明性を重視
事業方針
  • 利益より理念重視の経営
  • 認知症ケアに特化
  • 他社との連携による症例研究
採用方針
  • 資格・経験より人間性重視
  • 多様なバックグラウンド歓迎
  • サービス業経験者との親和性が高い
人材育成
  • 本社メンバーも全員現場経験あり
  • 1日職場体験制度あり
  • 異動による多様な経験機会の提供

株式会社アライブメディケアの基本情報

企業名 株式会社アライブメディケア
住所 東京都渋谷区神宮前6-19-20 プレファス神宮前
事業内容 介護付ホーム(特定施設入居者生活介護事業所)の企画・運営
設立 1980年6月
公式ページ https://www.alive-carehome.co.jp/
採用ページ https://www.alive-carehome.co.jp/recruit/
募集職種 介護リーダー
※主体性をもって動ける方・アライブメディケア様の理念に共感している方を募集
※経験&学歴:不問
取材・編集
大滝雄介のプロフィール写真

ミライのお仕事
編集部

大滝 雄介

企業の採用や働き方に関する取材を担当し、これまでに三井物産株式会社やヤマハ発動機株式会社、サイボウズ株式会社など、約650件の取材実績あり。編集歴は15年にわたり、出版社勤務時代には官公庁や健康保険組合の機関誌・パンフレットなどを企画段階から多数制作。