企業の新しい働き方への取り組みや、ワークライフバランスなどについて紹介するこの企画。今回は仮想世界の設計・構築・運営を手掛ける仮想現実(VR)のリーディングカンパニーのひとつ、株式会社ambr(アンバー)を取材しました。同社は、最先端技術を駆使して、企業や個人向けに没入感のある仮想空間を提供しています。
株式会社ambrの事業概要
株式会社ambrは、メタバース構築プロダクト「xambr(クロスアンバー)」を活用し、有力IP(※)やブランド、イベントホルダーとともに仮想空間の企画開発を手掛ける、メタバースクリエイティブカンパニーです。仮想空間ならではのユーザー体験設計に強みを持ち、ユーザーに感動を届けるバーチャル世界の創造に取り組んでいます。
※:IP:Intellectual Property。知的財産権のこと
会社名 | 株式会社ambr |
---|---|
住所 | 東京都文京区小石川1丁目28-1 小石川桜ビル5階 |
事業内容 | 仮想世界の設計・構築・運営、及びメタバース基盤プロダクト「xambr」の開発、メタバースSNSの開発 |
設立 | 2018年8月 |
公式ページ | https://ambr.co.jp/ |
働き方 | ・10時〜15時をコアタイムとしたフレックス制度 ・リモートと出社の選択制(毎週木曜はStudio Dayとして原則出社) |
ambrには、リモートと出社を選択できる柔軟な働き方や、「遊びながら学ぶ」ことを目的とした独自の制度「Play to Learn」、リモートワークを支援する備品の無償レンタル制度などが導入されており、他社にはない独自のカルチャーが根付いています。
今回は、ambrで活躍する3名のメンバーに、同社の各種制度や利用することで得られるメリット、働く上での魅力などについて詳しく伺いました。
VR×メタバースで世界的企業を目指すambrのビジョン
▲株式会社ambrでは“The World Is a Playground.たのしみに満ち溢れた世界”を掲げている(公式サイトから引用)
編集部
はじめに、ambrさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
大柳さん
当社は「たのしみに満ち溢れた世界」を実現すべく、世界的なVR企業を目指すメタバースクリエイティブカンパニーです。ミッションは“Entertaining the world with unknown virtual experiences. 技術と創造の力で未知のバーチャル体験を”というもので、VR×メタバースを軸とした2つの事業を展開しています。
1つ目はエンターテイメントコンテンツを中心としたVRメタバース空間の制作です。過去には「TOKYO GAME SHOW VR 2021 / 2022」のVR会場や、「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」の企画制作をリリースまで手掛けた実績があります。
▲株式会社ambrでは現在、法人パートナーと共に新しい仮想空間とバーチャル体験の創造をおこなっている
大柳さん
2つ目の事業は2023年から新規事業として取り組んでいるメタバースSNS(※)サービスです。2018年から日本発のVR SNSをはじめとした仮想空間の創造に取り組んできた当社は、その知見と技術力を生かして、現在、スマートフォン向けにアプリのリリースを進めており、将来的にはVRへの展開を目指しています。
(※)メタバースSNS:メタバースの空間で、ユーザー同士のアバターコミュニケーションを楽しめるソーシャルサービス
編集部
こちらのメタバースSNSについて、どのようなサービスになるのか、概要を教えていただけますか?
大柳さん
昨今、韓国など国外でのアバターサービスがヒットしている中で、私たちが目指すのはグローバルで多くの方に楽しんでいただける、日本発のメタバースSNSサービスです。日本の漫画やアニメなどの文化は既に世界で幅広く評価されており、本サービス内でもそういったジャパニーズカルチャーを取り入れていく想定です。
編集部
さまざまな可能性を秘めたメタバースSNSを、ambrさんの開発力によってスマートフォンやVR上で楽しめるというわけですね。リリースがとても楽しみです。
柔軟な勤務体制:週1回のStudio Dayと選択制リモートワーク
編集部
2018年設立のambrさんは、現在(2023年6月)34名のメンバーが在籍されていると伺っております。どのような志を持った方が活躍されているのでしょうか。
大柳さん
VRやメタバース、エンターテイメントが好きなメンバーが活躍しています。各領域のプロフェッショナルが集結し、積極的に意見交換をしながら仮想空間と体験をデザインしています。VRの世界は発展途上であり、現状に満足することなく、挑戦を続けながら新たな価値を創造することを大切にしています。
編集部
まさにクリエイター集団といえるambrさんですが、勤務形態はどのようになっているのでしょうか。
大柳さん
当社は10時〜15時をコアタイムとしたフレックス制度を導入しています。毎週木曜日はStudio Dayとして原則全社員が出社します。それ以外の日はリモートワークと出社を選択できるようになっています。
編集部
週に1回の出社日を設けることで、メンバー間の交流を図られているのですね。
バーチャルオフィス「Gather」とSlackで実現する効果的なコミュニケーション
▲実際のオフィスと同様にレイアウトされたambrのリモートオフィス「Gather」
編集部
週1回の原則出社以外に、ambrさんがコミュニケーションで工夫されていることはありますか?
大柳さん
リモートワークをメインとした働き方をしている当社では、コミュニケーションツールとしてバーチャルオフィス「Gather」と「Slack」を活用しています。
Gatherに展開するオフィスは、実際のオフィスと同じレイアウトになっており、その中でメンバーのアバターが行き来しています。Slack上で「会議室で待ってます」「カフェで少し話をしませんか?」などの待ち合わせを交わしてから、Gatherで音声ベースでのやりとりをすることが多いです。
視覚的にもメンバーとの距離が近くに感じられることで、リモートでも対面に近いコミュニケーションを図れることが最大のメリットだと感じています。
編集部
コミュニケーションツールとしてはもちろん、遊びのエッセンスがあるのも楽しいですね。Slackはどのように活用されていますか?
大柳さん
テキストでのコミュニケーションを図る時はSlackを活用しています。業務における活用はもちろんですが、メンバーの個人チャンネルである「times」では、社内SNSのような感覚で業務以外の雑談が活発に行われています。
例えば、「このゲーム面白いです」という会話がきっかけとなり、「私もやりました」とリアクションを返すことで会話が広がります。timesは全メンバーに公開されているので、チームやプロジェクトの垣根を越えたコミュニケーションにも役立っていると感じます。
1人ひとりの“働く”体験向上のため、組織調査を実施
編集部
リモートワークで全メンバーが定期的に集まる機会はありますか?また、個々のメンバーへのフォロー体制についてお聞かせください。
大柳さん
全メンバーは毎日、チームごとにGatherというバーチャルオフィスツールで朝会を行います。また、Gather内のソファや会議室を使って、必要に応じてミーティングを行うこともあります。
朝会では、各メンバーの業務状況や課題を確認し、対面と同等のコミュニケーションを維持するよう努めています。
さらに、従業員の働く体験を重視する当社では、毎月組織調査を実施し、組織の変化を定量的に把握しています。この情報を基に、メンバーの人間関係や健康状態を確認し、EX(※)担当者が個別面談を行います。
※EX:Employee Experience(従業員体験)。社員が企業で働くことを通して得る経験や体験のこと。
編集部
ambrさんは全体のコミュニケーションだけでなく、メンバー1人ひとりにもしっかりとケアをされているのですね。
個々の最適な働き方を尊重:時間と場所の自由度
編集部
働き方を各自が選択できるメンバーの方々の、具体的な働き方を紹介いただけますか?
大柳さん
例えばambrのメンバーには朝型の人がいて、早朝から仕事を始めて夕方の早いタイミングで切り上げ、21〜22時頃には就寝するという働き方をしています。このように、コアタイムを含む形で、かつ各自がベストなパフォーマンスを発揮できる時間帯であれば、特別なルールは設けていません。それぞれがリモートワークの利点を活かした働き方をしているのが特徴です。
伊藤さん
出社を選択した場合も自由度は高く、オフィスにあるハンモックで昼寝をすることも可能です。30分ほど昼寝をすることで午後のパフォーマンスを上げるなど、メリハリを付けて働いている人が多いように感じます。
ambrの独自文化:「Play to Learn」で実現する遊びと学びの融合
編集部
ここからはambrさんの各種制度やカルチャーについてお聞きします。御社には独自に設定された「Play to Learn」という制度があると伺っております。こちらについてまずはご紹介いただけますか?
大柳さん
Play to Learnには3つの制度があります。
1つ目は「Play to Learn Night」です。これは遊びながら学ぶことを目的とした制度で、社員が自由に参加できるイベントです。EXメンバーやその他の社員が提案したコンテンツやテーマに基づいて、VRゲーム、エンターテイメントイベント、映画、バーチャル展示会などに参加します。参加後は感想や学んだことを共有し、業務に活かしています。
2つ目は「Play to Learn Support」です。この制度では月5,000円までの補助があり、VRアプリやゲームソフト、各種エンターテイメント施設のチケット購入費用の半額を補助します。参加後は簡単なレポートを作成し、面白かったポイントや感想をまとめることで、ambrの製品開発やサービス改善の参考にしています。
編集部
各自が作成したレポートは、ambrのメンバーに共有されるのでしょうか?
大柳さん
はい、もちろんです。他のメンバーのレポートを読むことで、社員同士の興味や関心を知ることができ、コミュニケーションのきっかけにもなっていると感じます。
3つ目は「Play to Learn Award」というカルチャーです。これはPlay to Learn Support制度の利用有無に関わらず、自分のお気に入りのコンテンツや感銘を受けた本の感想などをプレゼンする機会です。メンバーがプレゼン力と学びの深さに対して投票し、上位者にはAmazonギフト券が贈呈されます。
Play to Learn Awardは、プレゼンを聞く楽しさがあるだけでなく、自分の好きなものを発表する機会にもなっているので、プレゼン力向上にもつながる、非常に有意義なカルチャーだと考えています。
週1回の出社日を活用:「Play to Learn Night」でのチーム交流
編集部
直近で参加されたPlay to Learnの内容を教えていただけますか?
麻賀さん
Play to Learnの一環として、出社日である毎週木曜日の夜に「Play to Learn Night」というイベントを開催しています。VRChatやVRゲームなどを楽しみながら感想や学びを共有することで、言語の共通化や体験の蓄積を行っています。
このPlay to Learn Nightでは、VRゲームを通じて業界理解を深めることができます。また、VRの新たな活用方法のアイデアを生み出したり、自分たちの目標や現在の状況を確認したりする機会にもなっています。さらに、新しく入社したメンバーの交流の場としても機能しています。
編集部
とても興味深い制度ですね。まさに"遊びながら学ぶ"を実践されていると感じます。
快適なリモートワークを支援:「リモートHQ」制度の詳細
編集部
自由度の高い働き方やPlay to Learnというユニークなカルチャーをお持ちのambrさんでは、メンバーの働きやすい環境に尽力されていると感じます。普段の業務をサポートする制度などはありますか?
麻賀さん
メンバー1人ひとりの働きやすい環境や心理的安全性を重視する当社では、さまざまな支援制度を導入しています。その1つが、リモートワークに必要な備品を無償でレンタルできる「リモートHQ」というサービスです。
リモートワークの生産性向上を目的に、モニターやキーボードといった作業に必要な基本的なツールに加え、コーヒーマシンや観葉植物なども対象になります。アイテムごとにポイントが設定されており、5,000ポイントを上限に自由な組み合わせでレンタルができるようになっています。
麻賀さん
2023年4月に入社した私は、当初リモートワークに必要なものは揃っていると考えていました。しかし、リモートHQのコンシェルジュサービスに相談したところ、姿勢改善に効果的な椅子や、使いやすさに優れたキーボードなどを提案していただき、より快適なリモート環境を整えることができました。
オフィス環境の整備に力を入れる企業は多いですが、リモートワークにおいてもパフォーマンスを高める支援をしてくれるのは、非常にありがたいです。この制度のおかげで、自宅でも効率的に仕事ができる環境が整いました。
VR技術への理解を深める:社員向けVRデバイス・ソフト購入支援制度
編集部
その他に、ambrさんの制度で魅力的に感じるものはありますか?
麻賀さん
入社時にMeta Quest 2(※)が全社員に貸与されるのはすごいと思いました。業務使用だけでなく、日常的にVRに触れることで知見を高め、新たなアイデアの創出につなげてほしいというambrの思いが込められているように感じます。
(※)Meta Quest 2:Metaが開発した仮想現実(VR)用ヘッドセット。Oculus Questの後継機種。
個人で購入したいVRアプリがある場合、1つあたりの購入費用の半額を会社が負担します。また、Questシリーズを個人で購入する際は、今後発売される製品も含め、購入金額の半額を会社が負担します。さらに、開発チームのメンバーを対象に、高性能PCの貸与制度もあります。
編集部
リモートワークが多い環境でも、高性能機器を使って業務にあたることができるのですね。素晴らしい制度だと思います。
業務効率化を目指すAIツール活用:補助金制度のトライアル実施
編集部
今後、ambrさんが新たに検討されている制度はありますか?
麻賀さん
全社員を対象に、月額1万円を上限としたAIツールの利用補助金制度をトライアル中です。この制度を活用し、ChatGPT(※1)やGitHub Copilot(※2)、Midjourney(※3)などを導入しているメンバーもいます。
(※1)ChatGPT:AIを使用したチャットサービス
(※2)GitHub Copilot:AI駆動のコード補完ツール
(※3)Midjourney:テキストから画像を作成する人工知能プログラム
AIツールの活用については、人事業務の効率化など、バックオフィスでのChatGPTの利用も検討しています。
具体的には、採用面接におけるFAQ対応や面接の日程調整など、これまで人の手で行っていた業務をChatGPTが担うことで効率化を図ることができます。人事部門としても、このような取り組みを積極的に推進していきたいと考えています。
編集部
エンジニアに限定せず、バックオフィスの作業効率化も含めた幅広い制度を設けられているのですね。
ambrの採用プロセス:対話重視の面接と入社後の印象
編集部
伊藤さんは取材の半年前にambrさんに入社されたとのことですが、面接時の印象や、入社を決定づけたエピソードなどがあればお聞かせいただけますか?
伊藤さん
私の面接では大柳さんが担当でしたが、志望動機などはあまり聞かれず、自己PRを中心とした、対話を大切にした面接だったことが印象に残っています。
事前にカジュアル面談という形で話をする機会があり、ambrが目指す方向性やVR業界の現状の他、素朴な質問にもざっくばらんに答えてもらえました。また、私自身の考えをしっかり伝えられたことで、ambrに入社したい気持ちがより強くなったことを覚えています。
入社前にしっかり対話ができたので、入社後にギャップを感じることはありません。ベンチャー企業ならではの日々の変化を実感しながら、ambrのスピード感のある展開に、しっかりついていきたいと思います。
編集部
伊藤さんのお話からも、役職や立場で物事を決めるのではなく、メンバーで会社の文化を築かれている様子が伺えますね。
ambrが求める人材像:VR市場の可能性に挑戦する熱意ある人材
▲ambrが世界的なVR企業を目指していく中、創設期のメンバーと共に事業を盛り上げていく方を募集
編集部
ambrさんのカルチャーや充実した支援制度について伺いました。最後に、読者やVR市場に興味を持つ方に向け、メッセージをお願いします。
麻賀さん
ambrの全メンバーに共通するのが、お互いをリスペクトしていることです。強圧的なコミュニケーションを取る人はおらず、物腰の柔らかいメンバーが多い当社には、自分1人で成果を上げるのではなく、周りを上手く巻き込みながら業務を進める方がフィットすると思います。
VR市場はまだ未知数で、今後どのように進化していくかは予測が難しい状況です。ただし、1年後には確実に現在とは異なり、VR/メタバース業界がさらに進歩していることは間違いありません。
このような状況下で、常に最新の情報をキャッチアップし、自身もアップデートしながら、当社のバリューの1つである"Just Play On/遊びぬく"というマインドを持てる方を歓迎します。
大柳さん
我々が挑戦し続けているVRやメタバースは、日々状況が更新されていく一方で、領域やコンテンツ、サービスなどがまだまだ未開拓な分野です。新しい体験を生み出すにあたり、自分の意見を明確にし、建設的な議論を重ねることで、ambrはVR、メタバースの領域で"たのしみに満ち溢れた世界"を実現することができます。
自分の考えを臆することなくしっかり伝えることは、ambrにとって大きな力になります。VR、メタバースの最高のコンテンツを作るため、熱意を持って取り組める方が、当社にはマッチすると思われます。
当社の事業やカルチャーに興味を持たれた方は、まずはカジュアル面接という形でお話をしてみませんか?皆さんの応募をお待ちしています。
編集部
今回の取材を通し、VRのリーディングカンパニーとして、さまざまなコンテンツを提供し続けるambrさんには、学びと遊びのカルチャーが最適なバランスで根付いていることがわかりました。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ambr:https://ambr.co.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/ambr