「入社1年半で子会社社長」の例も。株式会社アシロのキャリアデザインと働き方

現在ご活躍されている企業様に、新しい働き方や企業カルチャーなどのお話を伺っていくこの企画。今回は、「ベンナビ」シリーズ(旧弁護士ナビ)などのリーガルメディアの運営を中心に、新事業を次々と展開されている株式会社アシロさんを取材させていただきました。

いろいろとお話を伺った中でも、「社員のアイデアを実現する社内制度」や「結果を重視するが、ギスギスしない社内カルチャー」などは、多くの皆様に興味を持っていただけるかと思います。ぜひご覧ください!

株式会社アシロとは

株式会社アシロさんは、法律問題で悩んでいる方が弁護士を探すためのポータルサイト「ベンナビ」シリーズを中心にさまざまなメディアを運営されています。法律業界における「食べログ」や「ぐるなび」のようなインフラとしての役割を果たすべく、事業展開を続けている会社です。

ベンナビシリーズの特徴は、「ベンナビ離婚」「ベンナビ相続」など相談のジャンルごとにサイトが分かれている点で、ワンストップで専門分野の信頼できる弁護士を紹介してもらえるのが他サービスとの大きな違いとなっています。

また、テクノロジー企業の成長率ランキングでも3年連続受賞されており、まさに今が伸び盛りという印象です。
※デロイトトーマツ「日本テクノロジーFast50」(2019年〜2021年)

会社名 株式会社アシロ(英語表記 ASIRO Inc.)
住所 東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング4F
事業内容 リーガルメディア事業、派生メディア事業、HR事業、保険事業
設立 2016年4月
公式ページ https://asiro.co.jp/

そんなアシロさんの年齢・経験にとらわれない人事評価システムやハイブリッド勤務を中心とした働き方、またフラットに話し合える企業カルチャーなどのトピックについて、広報の森川さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社アシロ広報の森川さん

株式会社アシロ
広報

森川さん

「ベンナビ」を中心に次々と新事業を展開

編集部

まず、主力メディアである「ベンナビ」シリーズについてお聞かせください。ベンナビはジャンルごとに9サイトに分かれていて、ここまで細かくジャンル分けされていることに驚きました。

森川さん

やはり時代の移り変わりによって発生する事件なども変化するので、そのニーズに応じてサイトを増やした結果として現在に至っています。

たとえば、SNSを中心としたメディアを誰もが利用するようになった結果、弁護士に「掲示板に書かれた口コミを削除してほしい」というような相談が持ち込まれることが増えました。そのニーズに対応するため、「ベンナビIT」を立ち上げたというのが一例です。

また「ベンナビ」のリーガルメディア以外には、現在は「派生メディア事業」「HR事業」「保険事業」の3つの事業を展開しています。どの事業も、入り口は弁護士というところから始まっていますね。

株式会社アシロの事業内容一覧
▲アシロさんの事業内容(採用資料より引用)

編集部

弁護士の紹介という柱から派生して、新規事業を次々と展開されているんですね。

森川さん

そうですね。新規事業にはかなり力を入れていますので、今後もいろいろと立ち上げていく予定です。当初は弁護士が関連する分野に軸足を置いていたのですが、今ではHR事業であれば「プロフェッショナル人材」という点が弁護士と共通する公認会計士や税理士、管理部門のスタッフの転職支援も行っています。

また、一時期は起業ブームがあって現在もその流れは続いていると思いますが、それに伴って社外取締役や非常勤監査役が必要な会社も増えています。そういったマーケットに対して、企業と適した人材のマッチングサービス「ExE(エグゼ)」をローンチするなど、環境の変化に対して敏感に反応する企業であることはずっと継続していますね。

編集部

なるほど。沿革を拝見すると、2012年にベンナビをリリースされて以来、ほとんど毎年のように新サービス・新事業を立ち上げていらっしゃいます。これも、「こういうサービスがあったら」というユーザーの要請に応え続けてきた結果ということなんですね。

社員のアイデアが新しい事業を生み出す!

株式会社アシロのオフィスで談笑する社員

編集部

毎年のように新事業やサービスが立ち上がるとのことですが、それが可能な理由を教えてください。

森川さん

弊社はもともと新規事業を立ち上げたいというメンバーが多く、そのメンバーたちで事業を起こしていました。

2022年8月からは新しく「ゼロワン」という新規事業創出制度を設けており、設定した期間内なら全メンバーが新規事業案や会社の改善案を何回でも提案できるようになっています。通過した場合はインセンティブも支給されます。

また、全社員に関わる新しい施策が動き出すときは、「社内公募プロジェクト」という制度を利用するケースもあります。これは、全社的なプロジェクトを立ち上げる際に各チームからプロジェクトメンバーを集められるもので、日常的な業務の垣根を超えた経験やネットワークを得ることが可能になります。

やはり、「自分の手で新しい事業や制度を生み出せる」というチャンスがあることは、社員のモチベーションになっていますね。

編集部

普通の企業だと、新しい事業のアイデアがあっても、発言する機会さえ与えられないことがほとんどだと思います。ましてや事業化するなんてレアケースなので、社内制度としてチャレンジできるのはすごく嬉しいですよね。

結果を残せば責任あるポジションを任せられる人事制度

編集部

入社後は、どのようなステップでキャリアを積むことができるのでしょうか?

森川さん

部署によっても異なりますが、まずは所属するチームのリーダーを目指すことになります。その後、ひとつのスキルを極めてスペシャリストとなるか、「キャリチャレ」という制度を利用して横断的なスキルを身につけるか、選択していきます。

社内異動制度であるキャリチャレは、四半期に1回のペースでオープンポジションを周知し、「この部署で働きたい」という希望者と異動先の部署の責任者が合意したときに、異動できるというものです。

実際に、ベンナビの新規営業を担当していたメンバーが採用チームに異動したり、同じくベンナビのマーケティングを担当していたメンバーが新規営業チームに異動した例があります。

編集部

入社後まもなく責任者に就任されるケースも少なくないようですが、これは御社の人事評価制度が関係しているのでしょうか?

森川さん

そうですね。弊社は目標設定を完全に定量評価にしており、結果志向が強い会社なんです。すべて数字で判断されるので、それまでのキャリアや年齢は関係なく、きちんと数字を上げているメンバーが役職に就いていくという文化があります。

だから、結果を残した社員には思い切った人事をおこなっています。一例として、執行役員の横尾(謙佑さん)は2018年に入社して、わずか1年半後の2019年12月に子会社の代表取締役に就任しました。

それは新卒で入社した場合でも同様です。結果を残すことで2年目で営業責任者に就任した例や、営業チームからディレクションチームに異動して同じく2年目でWEBマーケ責任者になった例があります。

編集部

キャリアアップに関して、入社年次や前職の経験は関係ないんですね。自分が行動して残した結果がすぐに目に見える形で返ってくるのは、社員の方々のモチベーションにもつながりそうですね。

フラットな社内カルチャーと成果主義の両立

株式会社アシロさんの会議室「すなおにまなぼう」

編集部

先ほど人事評価は数字で判断されるというお話がありましたが、先入観としてどうしても「成果主義だとギスギスしてしまうのではないか」というイメージがあります。実際の社内の雰囲気はいかがでしょうか。

森川さん

意外と思われるかもしれませんが、めちゃめちゃフラットで和やかだと思いますね。私は前職もベンチャー寄りの会社で、そこもかなり上下関係の薄い企業文化だと思っていたんですが、アシロでは「こんなにフラットでいいのか」と思ってしまうくらいです(笑)。

編集部

それは特定のチーム内だけではなく、全社的にフラットなんですか?

森川さん

そうです。しかも役員などを筆頭に、経験のあるメンバーが率先してその雰囲気をつくり出してくれていますね。年齢が若いメンバーはどうしても気を遣ってしまうと思うんですけど、上の世代がフランクに「最近どう」などと雑談を振ってくれるので、自然と話しやすい環境ができています。

弊社のサイトでも、新卒メンバーと役員陣が対談するなどいろいろな試みを実施していますので、ぜひご覧いただいて社内の雰囲気を感じていただければと思います。

公式:ASIRO INTERVIEW「役員×新卒|新卒メンバーが役員陣へインタビュー」

編集部

結果を残すことが求められるカルチャーにもかかわらず、上下関係も厳しくなく、雑談も混じえた和やかな雰囲気で仕事をしているんですね。役員の方々など経験豊かな人とフランクに接して、いろいろな話が聞けるのは、飛躍的に成長するチャンスにもなりそうです!

社員は「倫理観をちゃんと持つこと」が求められる

編集部

その他に、アシロで働く皆様に共通している文化はあるのでしょうか。

森川さん

はい。代表の中山(博登さん)を中心に発信して、社内に浸透していることがあるんです。それは「倫理観をちゃんと持つこと」です。

結果を重視する傾向があるからといって、「数字を残すことが最優先だから誰かを陥れる」ということはあってはならないですし、弊社ではそんなことは起きていません。全員がモラルを持って行動しながら、各々の目標に向かっています。

編集部

数字を重要視しながらも、それ以前に「人間としてどうか」ということに重きを置いているんですね。

森川さん

そうです。代表がよく言うのは、「大切な商談があるときでも、もし目の前でおばあさんが倒れたらかならず救助を優先しろ」ということです。倫理観を持つことに関しては、ことあるごとに社内で共有していますね。

編集部

社会の一員である企業として、そして人として、優先すべきことを明確にしていることがわかります。アシロさんに入社したら、社員同士でお互いに信頼しあえる関係を築けそうですね。

アシロでの働き方は、フレキシブルなハイブリッド勤務

株式会社アシロのオフィスで打ち合わせをする社員

編集部

現在、皆様はどのような勤務体系で働かれているのでしょうか?

森川さん

原則としては「週2日のオフィス勤務、週3日がリモート可能」というハイブリッド勤務を導入しています。月曜日と木曜日にオフィスで働いて、残りがリモート勤務可能日という設定です。ただ、実際はフレキシブルに勤務体系を変更していますね。

たとえばデザイナーであれば、業務の性質上リモート勤務のデメリットは少ないですし、在宅の環境のほうがデザインに集中できるという声も出ています。このようなケースでは、オフィス出勤をさらに減らしてリモート勤務の頻度を増やしています。

逆に営業のケースだと、「社内で直接リーダーとコミュニケーションを取りたい」という要望があるため、ほぼ毎日出社しているメンバーもいますね。なので、実際にはそのチームの特性や個人の志向に合わせて自由に働いているようなイメージです。

重要な打ち合わせがある場合などはリモート指定日の火曜でも出社に切り替えることもできますし、出社指定日に体調不良になってしまった場合などはリモート勤務にすることも可能です。ルールを前提として縛ることはないです。

編集部

オフィス勤務と在宅の環境が混在しているかと思いますが、「○○さんいますか?」などといった連絡を取りたい場合はどうされているでしょうか。

森川さん

基本的にはDiscordというツールで連絡を取り合っていますね。部署ごとのチャンネルには出社・リモートにかかわらず全員が入室している状態なので、チャットによるテキストコミュニケーションだけではなく、ボイスチャットで話しかけることもできます。

たとえばデザイナーのボイスチャンネルに行って、「〇〇さん」と話しかけるとデザイナーチーム全員に聞こえるようになっています。だから、オフィスにいるのと変わらずコミュニケーションが取れている環境だと思いますね。

編集部

なるほど。ちなみに、森川様はどのように働かれていますか?

森川さん

代表の取材対応やオフィスの取材など、直近は取材のご依頼をいただくことも多いので、基本的には取材スケジュールに合わせて出社とリモートを選んで活用していますね。

コミュニケーション不足解消のため、社内交流できるランチ会を開催

株式会社アシロで開催されている全社ランチ会
▲アシロさんの社内で定期的に開催されている全社ランチ。

編集部

出社日も設けてはいらっしゃいますが、それでもリモートのほうが多いので、メンバー間でのコミュニケーションが少なくなる傾向はあると思います。その点で工夫されていることはありますか?

森川さん

社会情勢の影響で頻度は減りましたが、「シャッフルランチ」の制度があります。希望者のリストから会社がランダムで指名したメンバーが、会社負担でランチに行けるという交流制度です。他部署の人と話すきっかけになるので、社員からも好評ですね。

あとは、「全社ランチ」も2ヶ月に1回ぐらい開催しています。会議室にかなりの量のケータリングを用意するので、いろいろな部署がローテーションして2時間くらいかけてランチをするというイベントです。

編集部

他部署のメンバーと対面で話せるような交流イベントを開催しているんですね。ランチで気軽に話しながらお互いのことを知れば、仕事面でも良い影響がありそうですね。

ワークライフバランスを重視!そのための福利厚生が充実

編集部

御社の採用ページを拝見したところ、福利厚生が大変充実していることに驚きました。数あるなかでも、よく利用される制度について紹介していただけますか?

森川さん

好評の声が多いのは「フタエキサポート」という家賃補助ですね。これは会社から2駅以内の物件に住んでいる場合、手当として月額2万円を支給する制度(距離などの要件あり)で、全社員の約30%が利用しています。

この制度は、「会社と家が近いから遅くまで残業できる」という意図でつくったものではないんです。単純に通勤にかかる時間を少なくすることで、社員のワークライフバランスをサポートしたい、仕事も私生活も充実してほしいというメッセージですね。

実際、弊社は残業に関してはかなり厳しく制限をおこなっています。PCのログから残業時間を取得しており、ルールとして45時間以上の残業はできません。管理部からも45時間を超えそうなメンバーにはアラートを出しています。

編集部

先ほどお話を伺ったハイブリッド勤務制度も、ワークライフバランスをサポートする一環として導入されたのでしょうか?

森川さん

おっしゃるとおりです。単純に「どの企業もリモートを採用しているから導入した」というわけではなく、時間・場所の制約を少なくして柔軟に働いてもらうことで、プライベートや会社の場以外での学びの時間を大切にしてほしいと考えています。

付け加えると、リモートワークを開始する際には、在宅の環境を快適にする備品を買うために3万円を補助しています。実際の例を見ると、デスクやイスを揃える費用の一部として使ったり、イヤホンを買ってみたりと、みんな自由に利用していますね。

編集部

採用ページには「とくべつ自販機」という制度が記載されていましたが、これはどういった制度でしょうか?

森川さん

社内に専用の自販機を設置し、水を30円、ペットボトルのコーヒーを60円などで販売する制度です。購入費の一部を会社で負担しているため割安で購入できるので、社員からはかなり好評で、利用頻度も高いです。

編集部

その他の福利厚生制度で、特徴的なものはあるでしょうか。

森川さん

業務に関連する教材や研修費用、資格取得費用などを補助する「マナビ応援制度」や、毎月の奨学金返済額の半分を会社が負担する「奨学金返還支援制度」は独自に設定している制度です。

メンバーが働きやすい環境をつくることは、最終的に仕事を通して顧客のメリットにもなると考えているので、福利厚生制度はかなり充実している会社だと思います。

編集部

家賃補助やハイブリッド勤務をはじめとしたさまざまなサポートは、余計な心配事を減らしてワークライフバランスを大切にしてほしいというメッセージなんですね。

「結果を重視する」企業文化に合致する人を採用したい

編集部

採用に関してお話を伺えればと思います。資料を拝見すると「少数精鋭の組織」という記載があったのですが、少ない人数で収益を上げるために、採用の条件も厳しめにしているのでしょうか。

森川さん

比較的、厳しいんじゃないかなと思いますね。応募していただいた方が入社に至るパーセンテージとしては、だいたい1%〜2%程度です。複数回の面接をしてその人の能力や人柄を確認し、絞り込んだ上でジョインしていただいているイメージですね。

また、2020年卒からは新卒の採用も始めていて、今では全体の採用者の3分の1を占めています。これからも新卒の比率は拡大していく予定です。

編集部

その採用の流れの中で、アシロさんにフィットするかどうか判断するポイントはどこになるのでしょうか?

森川さん

先ほどもお伝えしたとおり、弊社の企業文化として人事の目標はすべて定量評価されます。なので、立てた目標に対してどれぐらいコミットメントできるか、主体的にモチベーション高く取り組めるかという点は注力して確認するようにしていますね。

面接でも、その点については過去の経験や実績をもとにお伺いして、合致されるような方に入社していただいています。

編集部

結果志向が強い企業文化に対応して取り組める方というポイント以外に、「こういう人に応募してほしい」と考えていることはあるでしょうか。

森川さん

自分の中でやりたいことや、実現したい将来のビジョンがある方には、積極的にエントリーしていただきたいです。

なぜなら、弊社は個人のキャリアをサポートする制度をたくさん設けているので「こういう自分になりたいから、アシロでこんな経験を積みたい」という自分の将来像が明確であれば、アシロで実現のお手伝いができるからです。

採用において、さらに重要なのは「人間性」

株式会社アシロの会議室「私心なかりしか」
▲この「私心なかりしか」という会議室の名前でもわかるように、人柄も重視した採用を実施している。

編集部

最後に、アシロさんに興味を持った方にメッセージをいただければと思います。

森川さん

採用の際の人物評価に関しては、ぜひお伝えしたいことがあります。先ほどは、結果を残すことが重要なので仕事に関するモチベーションや達成意欲を重視すると話したのですが、見ているポイントはそれだけではないんです。

先ほどお話しした倫理観の話題とも共通しますが、弊社は応募者の人柄や人間性を重視しています。それは能力面や意欲と同じくらい、むしろそれ以上に見ているかもしれません。代表はよく「良い人を採用したい」と言っているくらいです。

現在社員の7割近くが中途入社ですが、経歴は本当にバラバラです。私も前職はまったくの別業界ですし、今の人事のチームリーダーはそれこそハンバーガーショップの店員から始めて、人材の営業を経て弊社にジョインしました。

全体を見ても、キャラクターグッズのショップスタッフをしていた者など小売業の出身が約1割いますし、反対に大手コンサルや公認会計士をしていたメンバーもいます。

入社前の段階で、自分のスキルに絶対的な自信を持っている人や、未経験の職種に対して「絶対できる」と感じている人はおそらくいらっしゃらないと思います。やる気があって努力できる人であれば、会社全体でサポートしていきますので、過去の経験にこだわりすぎずにエントリーしていただければと思います。

編集部

成果を出すことにはこだわりながらも、リーガルメディアを運営されているだけあって、採用ではモラルや人間性の面も重視しているんですね。

本日はありがとうございました!

■取材協力
株式会社アシロ:https://asiro.co.jp/
採用ページ:https://asiro.co.jp/career/