全従業員がリモートワーカー。キャスターが提供するオンライン人材事業とは

株式会社キャスターが実現する新時代のリモートワーク。成長と多様性が共存する働き方とは

魅力ある働き方をテーマに、企業の取り組みを紹介しているこの企画。今回はリモートアシスタントとして、秘書、採用、経理、労務など企業の幅広い業務をトータルでサポートする株式会社キャスターにお話を伺いました。

株式会社キャスターとは、リモートアシスタントをはじめとしたリモートワークでの人材事業を手掛ける企業です。

2014年の創業時から従業員に出社義務を設けず、フルリモートワークで事業を展開してきた株式会社キャスターでは現在、従業員約800人のメンバー全員がリモートワークで業務にあたっています。

新時代のワークライフバランスを実践する企業として注目を集める株式会社キャスターの働き方や独自のカルチャー、リモートワーカーに求める資質などについて、同社の採用ご担当者にお話を聞きました。

本日お話を伺った方
女性スタッフのアイコン

株式会社キャスター

採用担当

事業内容:企業のルーティン業務から専門領域までをリモートで徹底サポート

株式会社キャスターのミッション
▲株式会社キャスターでは“リモートワークを当たり前にする”をミッションに掲げ、企業の日常業務から専門領域まであらゆる仕事をサポートしている(公式サイトから引用)

編集部

はじめに、キャスターさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか?

採用担当

“リモートワークを当たり前にする”をミッションに掲げ、リモートアシスタントをはじめとした人材事業を展開しています。

リモートで企業の業務をサポートするサービス「CASTER BIZ」シリーズのほか、さまざまなサービスを展開しています。「CASTER BIZ」シリーズでは、日本全国から集まった優秀なスタッフが日常業務から経理・採用・労務・マーケティングなどの専門業務まで幅広い業務内容に対応し、人材不足や業務効率化などの課題を解決します。

株式会社キャスターが提供する「CASTER BIZ」シリーズをはじめとするサービス一覧

採用担当

ありがたいことに2021年9月~2022年8月の1ヶ月あたりの求人の平均応募者数は約3,800名で、部署によっては採用倍率が100倍となっています。フルリモートワークなので、居住地に限らず優秀なメンバーが各地から活躍しているのが当社の特徴です。

編集部

なるほど。キャスターさんに在籍する各分野のプロフェッショナルが業務にあたることで、企業側は自社採用や人材育成に関わる時間やコストを削減できるというわけですね。

従業員数800人という規模で全員がリモートワークというキャスターさんは他に類を見ない組織と思われます。従業員に出社義務を設けない理由についてお聞かせください。

採用担当

代表の中川は2014年の起業時から、“全員がリモートワークで働く”ことを前提としていました。

前職ではオンラインで働くクラウドワーカーとやりとりをする機会があり、同じ仕事でもオンラインになるだけで報酬が減らされてしまうリモートワーカーの現状に、もどかしさと疑問を感じたことが起業のきっかけです。

当時から働き手がリモートワークをしたいという需要は高かったことから、居住地や勤務地に縛られることなく自分の能力を発揮できるリモートワークに将来性を見いだし、当社の基幹事業であるリモートアシスタントが生まれました。

働き方:フレックス制度を導入しながらもオフィスと変わらないリモートワークを実施

株式会社キャスターのスタッフによる、自宅でのリモートワークの様子

編集部

全従業員がフルリモートで勤務されているキャスターさんでは、勤務時間はどのように設定されているのでしょうか?

採用担当

フレックスタイム制度を導入しています。ただし、コアタイムは部門ごとに異なります。例えば、クライアント企業の勤務時間に合わせて業務を行う場合は、夜間の出勤では対応が難しくなります。部門の機能や業務内容によってコアタイムを設定するようにしています。

当社の働き方はフルリモートワークですが、出社義務がある企業と全く異なる働き方をしているというわけではないんです。月内の決められた時間の中で、ライフスタイルや業務内容に合わせてフレックスを適用しながら仕事をしています。

つまり、出社しないこと以外は、オフィスワーカーと大きく乖離していないことがおわかりいただけるかと思います。

編集部

キャスターさんにおけるリモートワークとは、オフィスワークと大きな違いはないことがよくわかりました。次に、社内ルールや従業員間のコミュニケーションについて、対策されていることがあればお聞かせください。

採用担当

リモートワークだからといって、特別なルールを設けていないことが当社らしさだと思います。リモートワーカーでも、出社して業務にあたるオフィスワーカーと同じ業務を実践するのが、当社が目指す“リモートワークを当たり前にする”ことです。

例えばコミュニケーションツールですが、当社ではSlackを使用しています。Slackでのやりとりは報告などがメインになっている会社も見受けられますが、当社の場合、Slackそのものがオフィスなんです。

新しいメンバーが入社した際のキャスター社内のチャットの様子
▲オフィスで交わされる会話を全てSlackで再現することで、円滑なコミュニケーションを図っている

採用担当

朝の出勤は、光回線に乗ってクラウドに出勤してるような感覚と言えばわかりやすいでしょうか。リモートワークでも出勤時間があり、朝の挨拶もするといったように、当たり前のことを徹底しています。

また、リアルオフィスではデスクの配置や打ち合わせスペースなどを用途に応じてレイアウトしますよね?私たちのSlackオフィスも同じようにレイアウトされています。

各チャンネルのネーミングは規則に沿って運用し、年末の大掃除代わりにチャンネルを整理することもあります。先日は当社のロゴが変わってアイコンがリニューアルされ、オフィスの引越しのような体験をしました。

編集部

リモートワークを理由に特別なルールを設けず、オフィスワークと同じことをリモートで行うことが、御社が追求するミッションなんですね。

カルチャー:理由がないことは極力実施せず、生産性向上を意識

編集部

Slackがオフィスというキャスターさんですが、定例ミーティングや全体会議などはどのようにされているのでしょうか?

採用担当

当社には、数値化や言語化できないことは極力実施しないというカルチャーがあります。その1つが全体会議です。定期的なミーティングは必要に応じて部門ごとに行なっていますが、全従業員が出席する定例会議や朝会、年に1回の決起会のようなものは行っていません。

会社主導で会議を行なう場合、運用するための業務が発生します。業務の負担を強いてまで全体会議をすることにどれだけの生産性があるかを考えたとき、現段階では当社では必要ないと判断しました。ただし、今後必要性を感じることがあれば、柔軟に対応するつもりです。

編集部

次に、リモートワークならではのコミュニケーションの難しさや、解決方法などがあればぜひ教えていただきたいです。

採用担当

入社時に非同期コミュニケーションであることは共有するのですが、やはり慣れるまではSlackで送ったメッセージに対し、すぐに返事が来ないことに不安を感じる方が多いようです。解決方法としては、即レスを期待しないこと、空気を読まないことです。

表情が見えないテキスト上でのやりとりは、見えないものを想像したり、感情まで読み取ろうとしてしまいがちです。そのような疑心暗鬼は、結果的に業務にマイナス思考をもたらすことになるので、テキスト通りの事実のみを捉えることが、リモートワークにおけるコミュニケーションのコツだと思います。

編集部

事実のみを捉えることで、非効率につながる感情は持たないということですね。ここにもキャスターさんの生産性に関する考えが表れているように感じます。

研修・支援:入社時の丁寧なオンボーディングを始め、定着支援を重要視。

編集部

全従業員がフルリモートで仕事をするとなると、研修の実施やチームで業務をサポートするのが難しいことがあると思われます。キャスターさんで工夫されていることはありますか?

採用担当

ELTV(※)を最大化するための取り組みをしています。ELTVは1従業員あたりの月次利益×勤続月数で算出されますので、現在は勤続月数を延ばす目的で早期離職率をKPIとし、オンボーディングプログラム(※)の提供をはじめとする定着支援プロジェクトを実施しています。当社では入社時にほぼ全てのカリキュラムを動画で受講します。
(※)ELTV:Employee Lifetime Valueの略称。従業員生涯価値という意味で、人事に関する実態を定量的に把握することができる
(※)オンボーディングプログラム:組織に新しく入った人が少しでも早く活躍できるように、チームでサポートする仕組み

入社時はまず、会社の文化を理解してもらうガイダンスと、それぞれのプログラム構成にある単元を視聴します。その後、簡単なテストなどを受け、それに対して会社が評価をする流れになっています。オンボーディングプログラムの効果をしっかり測定し、社内教育の設計にも役立てています。

動画はYouTubeで作成しているので、動画の再生回数を調べることができます。繰り返し再生している動画があれば、この単元でつまずいているなどの予測を立て、効果検証をしています。

編集部

動画の視聴回数などの具体的な数値を出すことで、エビデンスに基づいたオンボーディングプログラムを実施しているというわけですね。

採用担当

おっしゃる通りです。常にPDCA(※)を回しながらプログラムを改善しています。動画視聴後、目指す効果が得られなかった場合は、コンテンツやプログラムの構成設計に問題があるのか、原因が個人に起因するものなのかなどを検証します。
(※)PDCA:業務を改善するためのフレームワーク

まずは動画を見て、どのくらい理解できているかを把握し、早期離職につながりそうなつまずきをしている人には必要なケアをします。孤立しがちと言われるリモートワークですが、オンボーディングプログラムで問題箇所を早期に発見することで、従業員の定着を支援しています。

編集部

企業として生産性や効率性などを徹底分析することで、それに応じたフォローをされていることがよくわかりました。では、従業員一人ひとりがパフォーマンスを上げるために取り組んでいることはありますか?

採用担当

最近ではAIを活用するスタッフが増えています。例えば、アジェンダは「NotionAI」を使用して作成しています。議事録も最後にAIがブラッシュアップすることで精度を上げています。

この他にも、社内で日常的に使用しているクラウドツールが46個ほどあります。これまでも数百以上のツールを導入し、取捨選択をしてきました。個人のパフォーマンス向上、業務改善につながるものはどんどん使っていこうというスタンスです。

残業:平均月5時間未満と少ない秘訣は、オンオフの明確化とルール徹底で従業員を守っていること

カフェ×コワーキング「tomosite(トモシテ)」の店内の様子
▲株式会社キャスターでは、公共のWi-Fiを使わないなど、セキュリティに関するルールを徹底している

編集部

残業時間や休日など、勤怠管理はどのようにされていますか?

採用担当

そもそも残業時間が平均で月5時間未満とかなり少ないことが当社の特徴です。それを可能としているのが、退勤したらSlackは見ない、パソコンも見ないというオンオフの切り替えの徹底です。

業務時間外や休日に連絡が入っても返信しないことが前提としてあります。言葉にすると当たり前のことですが、徹底できている会社は意外と少ないのではないでしょうか。

働く場所が制限されないリモートワークは、自由を強調される傾向にあり、労務管理やセキュリティの面で誤解を招きがちですが、当社では法令に則った運用を徹底しています。

外で作業する際は公共のWi-Fiを使わないなど基本的なことではありますが、うっかり犯してしまいがちなリスクを減らすことを目的に、個人に責任を負わせないためのルールを設けています。

ルールを設けたり、業務をマニュアル化したりすることは、属人化を防ぐことにもつながります。ルールと言うと少し堅苦しいイメージになりますが、価値観を共有したり、共通理解を持ったりすることで、問題が発生した際に個人に責任を負わせるのではなく、“目の前の課題”に対処していこうという風土が根付いてるように感じます。

編集部

退勤後や休日の対応はそれぞれに任せるといった企業が多い中、休日はオフに徹することを会社が推奨していることに魅力を感じます。ルールを設け、マニュアルを作ることは、従業員を守るためでもあるんですね。

リモートワークが育む多様性と成長:自由な働き方がもたらすキャリアメリット

株式会社キャスターのスタッフがリモートワークを選んだ理由一覧
▲社内で実施した「リモートワークに関する意識調査」の結果。さまざまな理由でリモートワークを選んでいる

編集部

専門的な知識を持ったキャスターのスタッフがオフィスワークではなく、リモートワークを選んだ理由についてお聞かせください。

採用担当

住む場所にとらわれない働き方は、働く人の選択肢を広げることができます。リモートワークを選ぶ理由は従業員の数だけあると言っても過言でないほどさまざまです。実際にリモートワークを選んだ理由についてアンケートを実施したところ、「学業のために時間を確保したかった」「雪道の通勤に疲れ果てた」「子供が学校から帰った時に家にいたかった」など、まさに十人十色の答えが返ってきました。

共通しているのは、生活も仕事も可能な限り自分でデザインしていることです。当社の契約形態は正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどとありますが、これは契約形態の選択肢があるだけです。選択肢があるからこそ、働き方をデザインすることが可能になっています。

株式会社キャスターのスタッフがリモートワークによって解消されたお悩みランキング一覧
▲社内アンケートの結果を見ると、リモートワークによってさまざまな悩みが解消されていることがわかる

編集部

働き方を自分でデザインするということは、自分らしい生き方にもつながると感じます。キャスターさんで働くことのメリットについても教えていただけますか?

採用担当

ポータブルスキル(※)が磨かれる環境に身を置けることが当社の強みです。ひとつの企業に留まって仕事を続けていると、企業内で活かせるスキルは身につけることはできても、転職先でその実力がどう生きるかは不確定です。
(※)ポータブルスキル:特定の業種・職種にとらわれず、どんな環境でも活かすことができるスキルを指す

当社のサービスは中小企業にご利用いただくことが多く、サービスによってセグメントも変わりつつあるのが実情です。一部、大手企業にもご利用いただいていますが、どちらのケースも社内での新しい取り組みや、新規事業を進める部門単位でご利用いただくことが多くなっています。

転職をせずとも担当する業務や企業が変わることで、コミュニケーションスキルや業務プロセスの最適化、プロジェクトマネジメント、柔軟性、適応力などが養われるのが当社のリモートワークの最大の特徴であり、メリットだと感じます。

成長意欲と自己管理力:キャスターが求める理想の人材像

宮崎県椎葉村との調印式に中川代表取締役CEOがリモートで参加している様子
▲日本三大秘境の一つと称される宮崎県椎葉村と連携し、ワーケーション体験を実施。宮崎県椎葉村との調印式には、中川代表取締役CEOがリモートで参加

編集部

最後に、キャスターさんのミッションや働き方にフィットする人材とはどのような方か、お考えをお聞かせください。

採用担当

さまざま業種の企業の業務をオンラインで支援する当社の毎日は、新しいことへの挑戦ばかりです。変化を恐れず、成長意欲がある方に、当社のリモートワークはフィットすると考えます。

当社が基軸としている業務支援は、クライアントに真摯に向き合うことが最も重要です。バックオフィスのような基本的な業務から専門的な領域までをプロとして担うことで、自身の成長につながります。そのような意識を持った方を歓迎します。

また、リモートワークは自由度ばかりが強調されがちですが、当社のリモートワークは楽な働き方を推奨するものではありません。ルールに則りながら仕事ができ、自己管理ができることも採用では重視しています。

バックオフィスアウトソーサーとしての経験は、自己成長や将来のキャリアアップに繋がる可能性があります。ポータブルスキルを徹底的に磨きたい方はぜひ、まずはキャリア登録(関心に合った募集ポジションの新着情報、採用イベントの案内が届きます)だけでもご登録ください。

編集部

“リモートワークを当たり前にする”というキャスターさんのミッションは、働き方のみを指すのではなく、オフィスワークと変わらない、むしろそれ以上の生産性を実現することへの挑戦であることを、今回お話を伺うことで理解することができました。

今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

■取材協力

会社名 株式会社キャスター
住所 宮崎県西都市鹿野田11365-1 神楽酒造内 アグリ館2階
事業内容 リモートアシスタントをはじめとした人材事業運営
設立 2014年9月
公式ページ https://caster.co.jp/
採用情報 https://caster.co.jp/
働き方 フルリモートワーク