ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、直方(のおがた)市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。
直方市役所は、DX推進やSDGs(持続可能な開発目標)の先進的な取り組みで全国的な注目を集める福岡県直方市を支える役所です。特に行政サービスのデジタル化などの取り組みが高く評価され、2024年の「全国市区SDGs先進度調査」では人口10万人未満市区の中で第2位という結果を残しています。
同市役所の特徴は、若手職員の提案やチャレンジを推奨する風土が根付いていること。従来のやり方を変革するようなボトムアップでの業務改善の事例も多く生まれています。また2021年に初の女性消防職員が誕生するなど、性別問わず活躍できる環境も魅力です。
今回は直方市役所の若手活躍や女性活躍、働き方の魅力について、秘書広報課の重岡さん、直方市初の女性消防職員である森さんという20代のお二人にお話を聞かせていただきました。
直方市役所の若手職員の活躍:多くの部署で業務改善が進行中!
▲インタビューにご対応いただいた重岡さん(お写真左)、森さん(同右)
編集部
直方市役所では多くの若手職員がご活躍されていますが、そのお一人である重岡さんにお聞きします。これまでの業務の中で思い出深いエピソードをお聞かせいただけますか?
重岡さん
それでは、これまで数回の異動を経験してきたため、過去の部署も含めて印象に残っている業務改善の事例をご紹介します。
まず、現在の秘書広報課では、市広報誌の作成プロセスの効率化について提案しました。広報誌は各担当課の原稿を取りまとめていく形で制作を行っていくのですが、これまで決まった様式がなく、各課とのやり取りや取りまとめに非常に時間がかかっていました。
そこで箇条書き形式で記入いただく統一フォーマットを新たに作成して導入したところ、制作時間短縮に大きく貢献することができたんです。具体的には担当課とのやり取り、原稿作成も含め、従来の工程の約半分程度まで短縮できました。
また、保護・援護課では生活保護関連での調査業務の電子化について改善に挑みました。通称「29条調査」という金融機関や保険会社への調査業務において、従来は完全に紙ベースで行っていた作業の電子化を提案したんです。
これによって業務時間を大幅に短縮できたことはもちろん、従来その作業にかかっていた時間を生活保護受給者や相談者へのケースワークに割けるようになった点でも、大きな意味のある改善だったと考えています。
編集部
さまざまな部署で作業効率化やDX化を進めてこられたのですね。重岡さん以外の事例もあればご紹介ください。
重岡さん
秘書広報課の前任者による「Catalog Pocket」という多言語翻訳アプリの導入事例があります。直方市内には多くの外国籍の方が在住されているため、言語の違いによる情報格差が生まれないよう前任者が導入を提案し、実際に2024年から運用を開始しています。
また、学校教育課の取り組みで、中学生の海外派遣事業を若手職員が担当した例もあります。これはアントレプレナーシップ(起業家精神)を主軸とした当市の教育施策の一環として新たに始まった事業で、企画から報告会までを若手職員が主導し、前例がない中で無事にやり遂げました。
チャレンジを後押しする組織風土あり。前例がないことにも耳を傾けてくれる
編集部
直方市役所では、お話しいただいたような若手職員の新たな提案やチャレンジを後押しする風土があるのでしょうか。
重岡さん
その通りです。年齢や役職に関係なくフラットにコミュニケーションができる雰囲気があり、若手の意見やチャレンジを推奨する姿勢が組織全体に根付いています。
秘書広報課では特に、その空気感が強いと感じる場面が多いですね。先ほどの広報誌作成の提案に関しても、周囲から非常に前向きにとらえていただき、実現に向けて背中を押してもらえました。
編集部
部署によっては従来のやり方の変更に対して慎重に対応するところもあると思いますが、その点はいかがですか?
重岡さん
もちろん、市民の方を巻き込む場合などは慎重に判断すべき部分も多いです。特に生活保護に関する業務の電子化に関しては、生活保護受給者に携帯電話を所有していない方も多いことから、当初は導入に慎重な反応もありました。
しかし、相手方への不利益がなく業務効率化につながることを、視察なども行いながら丁寧に説明することで、実現にこぎつけることができました。前例のないハードルの高いことでも、しっかりと耳を傾けてくれる風土があるからこそできたことだと考えています。
若手中心のDX推進プロジェクトチーム発足!新システムの導入も
▲スマート申請サービスの導入など、窓口業務も含めたDX化も進む直方市役所
編集部
他にも、若手活躍に関する特徴的な取り組みがあれば教えてください。
重岡さん
若手職員を中心とした部課横断的なDX推進プロジェクトチームを立ち上げているのが特徴です。メンバーには窓口業務を担当する職員が多いため、実務経験と若手ならではの視点を活かし、市役所のDX化に関する施策検討を行っています。
なお、当市ではDX推進やSDGsの取り組みに力を入れており、「全国自治体DX推進度ランキング」「全国市区SDGs先進度調査」などでも上位にランクインするなど、全国的に高い評価を受けています。このプロジェクトチームの活動で、さらなる先進的な取り組みに向けて柔軟な意見を取り入れています。
編集部
プロジェクトチームでの検討をきっかけに新たに取り入れた仕組みはありますか?
重岡さん
GrafferとKintoneという新たなシステム導入の実績が生まれています。Grafferは市役所に来庁しなくても手続きができる市民向けのスマート申請サービスで、Kintoneは庁内の事務処理の効率化に資するクラウドサービスです。
庁内外でのDX推進に向けて、プロジェクトチームでは他にもさまざまな検討を進めているところです。
直方市役所の女性活躍:初の女性消防職員が語るやりがいとは
▲森さんも参加した訓練の様子
編集部
森さんは直方市初の女性消防職員とのことですが、現在のお仕事内容について教えていただけますか?
森さん
現在は、事務仕事と現場業務を概ね半々の割合で行っています。事務では採用試験や統計関係、表彰等といった多岐にわたる仕事を行っており、現場業務では救急現場と火災現場の活動をしています。重量物の取り扱いなどに関する規制はあるものの、基本的に性別の差なく活躍できる環境です。
編集部
森さんの思う、消防職員としての仕事の魅力をお聞かせください。
森さん
消防職員の仕事は、現場で人を助け、感謝のお言葉をいただけるとてもやりがいのある仕事です。また社内見学などで小さいお子さんに「かっこいいね」と言っていただくことも多く、私自身幼少期から消防士に憧れていたことから、そういう点でもやりがいを感じています。
▲消防イベントでは子どもに仕事の魅力を伝える場面も
女性だからこそ消防の現場で貢献できる面も。職場の雰囲気も良好
▲イオンモールで開催された「防災フェス」では、消防服の着用体験などを通して市民と交流した
編集部
女性消防士は全国的にもまだ少数かと思いますが、お仕事をされる中で、女性だからこそのメリットなどを感じた場面はありますか?
森さん
直方市の消防職員も、全体で62名の内、女性職員は私を含め2名と非常に少数です。しかし、だからこそ救急現場では「女性消防士がいて良かった」というお声をいただくことが多いですね。
特に現場にお子さんや女性の方がいる場合、女性消防士が対応することで安心感を持っていただけるようです。お子さんの不安を和らげるためにキャラクターグッズを持ち歩くなど、少しでも安心してもらえるような工夫をしています。
編集部
男性中心の現場であることを含め、職場環境についてはどのように感じていますか?
森さん
他の自治体の女性消防士の方々のお話を聞いていても、体調面を考慮する必要があったり、現場対応で体力的に厳しいケースがあったりと、いくつかの課題は感じています。男性の多い環境だからこそ、言い出しにくく我慢してしまう場面も少なくありません。
しかし、普段の職場の雰囲気は和気あいあいとしており、性別関係なくやり取りできる良好な関係性が築かれています。私が直方市初の女性消防士として入署してから「職場の雰囲気が柔らかくなった」と言っていただくことも多いんです。女性が加わることで、職場環境にも良い効果を与えられているのであれば嬉しいなと感じています。
直方市役所のカルチャー:部活動を中心に、職員同士の交流が活発
▲部署を超えた交流が生まれる部活動。重岡さんはソフトテニス部に、森さんはフットサル部に所属
編集部
直方市役所では、職員同士の交流機会などもありますか?
重岡さん
秘書広報課では、市長を交えて市のイベントに参加する機会がよくあります。また全職員の約4分の1は何らかの部活動に参加しているのではないかというほど部活動が非常に活発なため、部署を超えた交流が生まれているのも直方市役所の特徴です。
私は現在ソフトテニス部に所属していますが、これまで4つの部活を経験させていただき、その関係で100人以上の職員の方々と知り合うことができました。
編集部
消防署内にも部活動はありますか?
森さん
はい。消防署内には陸上部、野球部、フットサル部があります。私自身フットサルの経験はなかったのですが、「未経験者も大歓迎」という雰囲気で誘っていただき、現在フットサル部に所属しています。
重岡さん
部活動には遠征もあるため、他自治体との親交が生まれるのもポイントです。部活動だけでなく広報の仕事を通じて他自治体とやり取りをする機会が多く、市の垣根を超えた交流も生まれています。
編集部
部活動以外にも、特徴的な交流機会があれば教えてください。
重岡さん
若手職員を中心としたグループがあり、自主的に集まって課題を話し合っています。市役所の目の前にある直方オートキャンプ場でバーベキューをしながら新入職員の歓迎会を開催するなど、他部署との交流機会を定期的に設けています。
直方市役所から読者へのメッセージ
▲市役所の庁舎外観
編集部
最後に、転職を考えている方々へメッセージをお願いします。
重岡さん
直方市役所は、新しい視点を活かした変革に積極的にチャレンジできる職場です。今回お話したDX推進の取り組み以外にも、現在「働きやすさ」と「働きがい」のある職場づくりを目指し、職員によるプロジェクトチームを立ち上げて人事や福利厚生など各種制度を再構築しているところです。
市民の皆さんの生活や職場環境をより良くするために、新しいことにチャレンジしたいという方をお待ちしています。
▲職員代表者で構成するプロジェクトチームでのミーティング風景
森さん
直方市役所では全体の8割が中途採用者で、消防部門でも昨年から経験者採用枠を設けています。直方市出身者だけでなく、九州一円から職員が集まっているため、性別や出身地などを問わず、消防の実務経験をお持ちの方を広く募集しています。
編集部
重岡さん、森さん、本日はありがとうございました!
直方市役所の働き方のまとめ
組織の特徴 |
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社風 |
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若手の活躍 |
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女性活躍 |
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職場環境 |
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直方市役所の基本情報
▲市内で開催されている「のおがたチューリップフェア」の風景
市役所名 | 直方市役所 |
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住所 | 福岡県直方市殿町7-1 |
公式ページ | https://www.city.nogata.fukuoka. jp/ |
採用ページ | https://www.city.nogata.fukuoka. jp/shisei/_1243.html |
募集職種 | 事務職、土木・建築技士 |