「この会社ならでは」という独自の文化を持つ企業に、これまでの成長の軌跡やメンバーのエピソードなどを伺う本企画。今回は、結婚式業界に新風を巻き起こし、新規事業でも話題を集めている株式会社CRAZYにお話を伺いました。同社は、従来の結婚式の概念を覆す斬新なアプローチで注目を集めており、顧客のニーズに合わせた柔軟なサービス提供を特徴としています。
株式会社CRAZY:「愛を感じる機会」をプロデュースする結婚式事業の展開
「私たちは、人々が愛し合うための、機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消します。」というパーパスを掲げ、ウェディングを中心にさまざまなイベントをプロデュースするのが、株式会社CRAZYです。
時代の大きな変化を経て人々が望む結婚式の形も変わり続けていますが、CRAZYは自社のブランド施設「IWAI OMOTESANDO」で開催するゲストを中心とした結婚式を新たな価値観として提示しています。その結果、東京都口コミ1位に輝くなど、多くのカップルから支持を得ています。また、結婚式で培ったノウハウは企業などのイベントプロデュースにも活かされています。
会社名 | 株式会社CRAZY |
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住所 | 東京都渋谷区神宮前5-6-15 |
事業内容 | ・ウェディングプロデュース ・法人イベントプロデュース |
設立 | 2012年7月2日 |
公式ページ | https://www.crazy.co.jp/ |
働き方 | リモートワーク可 フルフレックスタイム制 |
CRAZYが新たな事業を生み出し続けることができる背景には、「事業を通じて愛を可視化する」という強い想いと、それを達成するためのユニークな組織づくりがあります。今回は、それらのポイントについて執行役員の吉田さんと広報PRの浅田さんにお話を聞かせていただきました。
パーパス経営で進化する株式会社CRAZY:組織の結束力強化の秘訣
▲株式会社CRAZYのパーパス
編集部
いきなりですが、CRAZYさんがいったい何者なのか、読者の方にご説明いただいてよいでしょうか?
吉田さん
シンプルに言いますと、私たちは結婚式やイベントのプロデュースをしている会社です。ただ、各事業について細かく話すよりは、「我々の信念は何か」「何を大事にしている組織なのか」を先にお伝えしたほうが、よりCRAZYのことをおわかりいただけるのではないかと思います。
私たちは、2020年9月に「私たちは、人々が愛し合うための、機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消します。」というパーパス(存在目的)を新しく掲げました。それまでも「style for Earth」という創業理念はあったのですが、より事業との関連性が高いパーパスを軸に経営をしています。
編集部
パーパスを拝見して、非常に具体的で明確な表現をされていると感じたのですが、浅田さんはどのように受け止めましたか?
浅田さん
特に「愛しあうための、機会と勇気を提供する」という部分が、今行っている仕事と直接的に結びついていると感じましたし、まさにこういうものを求めていたと思いました。
私は大学で教育を専攻していたこともあり教育の分野に関心を持っているのですが、いつも思うのが、相手の理想の実現に向けて、「教えることでは他者を変えるのは難しい」ということなんです。でも、「理想を叶える」ためのきっかけや勇気を提供することはできるはずなので、結婚式などの人生の節目を通して、勇気を届けていきたいと改めて思いました。
吉田さん
このパーパスは、以前掲げていたビジョンと組織の在り方に乖離があったこと、「パートナーシップ」がより重視されるようになった時代の変化、そして夫婦で経営を行っていた森山(代表取締役社長の森山和彦さん)自身のパートナーシップの変化など、いくつもの要素が重なり合った結果として生まれました。
策定後にはコロナ禍という逆風もありましたが、新しいパーパスをもとにCRAZYという集合体を明確に再定義することで、もう一度メンバーで団結しましたし、パーパスに共感してくれた新しい仲間を迎えることもできました。
私は、会社も人間と同じで年齢分だけ成長するものだと思います。2012年に生まれたCRAZYは、お客様を中心に外部とのつながりを強めてきましたが、その過程では内側のつながり、いわば「自分とのパートナーシップ」も見つめ直してきたんです。
このパーパスは、設立から新しく策定するまでの約8年間かけて、CRAZYが自らの存在そのものと向き合ったことでたどり着けた言葉だと思いますし、だからこそメンバーのみんなも納得して受け止められました。結果として、現在(取材は2023年9月実施)の組織のコンディションは過去一で良くなっていると感じています。
株式会社CRAZYの「カルチャータイム」:組織づくりと事業成長の両立
▲毎週および毎月、定期的に開催されるカルチャータイムの様子。
編集部
CRAZYさんのパーパスについてお聞かせいただきましたが、組織としてまとまるためには言葉だけでなくさまざまな取り組みも必要かと思います。それらについて詳しくお教えいただけますか?
吉田さん
はい、まずご紹介したいのは「カルチャータイム」です。これは社員全員が集まり、組織カルチャーや社員個人の人生、人間的な成長について話し合う機会です。週1回2〜3時間の場を設けるほか、月1回は丸一日かけて実施しています。
重要なのは、「これはビジネスミーティングではない」ということです。CRAZYは職場の環境づくりに非常に多くの時間を投資しています。仕事の手を止めてまでここまで徹底的に取り組むのは珍しいと思います。
ただ、「カルチャーづくり」は「事業づくり」とも密接に結びついています。メンバーが自分の人生と向き合い、成長することは、お客さまの人生に深く寄り添い、より良い結婚式やイベントを提供することにもつながるのです。個人として、組織としてどうあるべきかという問いに向き合い続けることがCRAZYの競争優位性だと、全員が認識しています。
当日のテーマは、組織の現状を踏まえて、浅田を含めたHRのメンバーが直前まで入念に準備しています。
▲メンバーの笑顔があふれるカルチャータイム。個人の気づきが仕事に良い影響を与えるケースも多い。
編集部
浅田さんはカルチャータイムのテーマ設定や準備などをされているということですが、どんなイベントだと感じていますか?
浅田さん
カルチャータイムは、メンバー自身が本来持つ感性に触れたり、一人の人間として仲間と繋がり合う時間だと考えています。冒頭に全社員で握手をしたり、「今どんな感情なのか」を共有し合う時間を設けているのは、仕事上の役割や肩書きを一度脇に置き、一人の人間としてお互いに向き合うためです。
共有される内容は多岐にわたります。「お客様からこんな感動的なメッセージをいただいた」というポジティブな話から、「現在困難に直面している」という率直な苦悩の吐露まで様々です。メンバーが感情を素直に表現し、涙を流すこともよくあります。
事業との関連について吉田も触れていましたが、実はカルチャータイムの質が事業面での成果にも影響を与えると認識しています。この時間は組織だけでなく事業全体、そしてお客様にも還元されていくため、HRとしては責任重大ですが、非常にやりがいを感じています。
吉田さん
カルチャータイムは単に個人の出来事を話すだけの場ではなく、日々の仕事に変化をもたらすほどの影響力があります。CRAZYを象徴するような取り組みだと考えています。
編集部
人と向き合う仕事だからこそ、まずメンバー同士で率直に話し合うことに時間を割かれているんですね。経営会議ではないのに、結果として事業にも大きな影響を与えているのが印象的です。
「CRAZYのお昼ごはん」:社員とゲストが一体となるユニークな取り組み
▲「CRAZYのお昼ごはん」でのワンシーン。社員だけでなく仕事関係者、さらには結婚式を予定しているお客様も参加することがある。
編集部
CRAZYさんが実施されている組織づくりに関して、他の取り組みについてもご紹介いただけますか?
吉田さん
2023年6月にスタートした「CRAZYのお昼ごはん」についてお話ししたいです。これは、全社員が手づくりの食事を一緒に囲むという制度です。現在は月に2回実施していますが、今後は状況を見て回数を増やすことも検討しています。
この取り組みの狙いは二つあります。一つは、仕事の土台となる健康面を食事からサポートすることです。もう一つは、社会情勢により一緒に食事をする機会が減少していたため、愛情のこもった温かい料理を通じて仲間とつながる時間を設けることです。
編集部
食事を共にすることで、新入社員でも他のメンバーとの関係性が深まりそうですね。参加者は社員の方だけですか?
浅田さん
いいえ、このお昼ごはんには外部のゲストも参加しています。社員に加えて、パートナー企業の方やIWAI OMOTESANDOで式を挙げたお客様も一緒に食事をしています。最近では、これから結婚式を挙げる予定のカップルも参加してくれました。
吉田さん
CRAZYのメンバーは、「人として」「人間対人間で」という言葉をよく使いますが、これはお客様に対しても同じ姿勢です。将来的には、結婚式をプロデュースさせていただくすべてのお客様と、お昼ごはんを共にしたいと考えています。
お客様を担当するメンバーだけでなく、当日関わるスタッフ全員とお食事を共にすることで、人間としてのつながりが生まれます。これにより、結婚式当日の感動やクオリティが更に高まると確信しています。結婚式を挙げるおふたりと私たちで「ワンチーム」になるイメージです。
このような取り組みは特殊かもしれませんが、「CRAZYのお昼ごはん」がこのような交流の場として機能することを目指しています。
「ライフプレゼンテーション」:株式会社CRAZYの新入社員リスタート制度
編集部
CRAZYさんの個性的な取り組みについて、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
吉田さん
もちろんです。先ほど説明したカルチャータイムやお昼ごはんの他に、「ライフプレゼンテーション」という制度もCRAZYにとって非常に重要だと考えています。
ライフプレゼンテーションは、新入社員が入社3ヶ月後に全社員の前で必ず行う10分間のプレゼンです。テーマは「自分がどんな人生を送りたいのか」で、この制度は会社設立初年度から一貫して実施し続けています。
編集部
なぜ入社後3ヶ月というタイミングで実施するのでしょうか。
吉田さん
入社して約100日が経つと、ひとつの区切りになると考えているからです。入社前から多くの面談を実施しているので、社員は覚悟を持って仕事に取り組んでいますが、3ヶ月経つと自分の課題や会社への疑問が見えてくるものです。
このタイミングで、自分の目指す将来像や、なぜCRAZYでそれを実現したいのかを改めて深く考え、他のメンバーと共有することで、新たなスタートを切ることができます。
実際に、ライフプレゼンテーションを行った社員は、お客様への対応が改善されたり、営業成績が向上したりするなど、目に見える変化が現れています。
編集部
入社間もない忙しい時期に、自分の人生と向き合いプレゼンするのは大変ではないでしょうか。
浅田さん
おっしゃる通りです。そのため、プレゼン実施前の2週間、内容作成を一緒に進める「バディ」を付けています。これは発表者だけでなく、バディにとっても他者の人生に深く関わる貴重な機会となり、双方の成長につながっています。
吉田さん
バディだけでなく、組織全体にも大きな影響があります。定期的に新メンバーの新鮮な想いを聞くことで、部署を超えて「あのときプレゼンした◯◯さん」という人間関係を築くことができます。
ライフプレゼンテーションは準備も含めて大きな時間投資ですが、社員同士の結びつきを強め、組織力を高める重要な要素だと考えています。
株式会社CRAZYの「GREAT JOURNEY」:長期海外休暇で得る新たな視点
▲長期休暇制度「GREAT JOURNEY」を活用して海外に飛び出したメンバー。
編集部
ここまでCRAZYさんの組織づくりに関する独自の制度について伺ってきましたが、その他に特徴的な取り組みはありますか?
吉田さん
最近復活したのが、「GREAT JOURNEY(グレートジャーニー)」という長期休暇制度です。これは、旅の目的を決めて7日間以上1人だけで海外で生活するというもので、新型コロナウイルスの影響でしばらく休止していましたが、2023年春に再開しました。
この制度の目的は、海外という自宅やオフィスから圧倒的に離れた場所で1人で過ごすことで、もう一度「どう生きるか」を見つめ直すことです。海外での気づきにより自分をアップデートすると、再スタートが切れて、結果として仕事にも良い影響があらわれるんです。
▲日常から切り離された場所で自分と向き合うことと、一期一会の出会いを通して大きな変化が生まれる。
編集部
ちなみに、吉田さんは「GREAT JOURNEY」の機会でどこに行かれたのですか?
吉田さん
私の場合は、制度休止以前になりますが、インドを2週間ほど訪ねました。何も計画せずに行って、ビジネス人格から離れた肩書のない「吉田勇佑」として過ごした結果、本来持っていた感性や直感力が取り戻せたと感じています。
そこでは思いがけない出会いもありました。偶然にもダライ・ラマ14世に謁見する機会があり、本当に驚きました。そのような予期せぬ瞬間の連続が、非常に貴重な経験となりました。
浅田さん
「GREAT JOURNEY」から帰ってきたメンバーは、旅の中での感情の変化などを社内で共有してくれます。私はまだこの制度を利用していませんが、そのような体験談を聞くことで自分の中に新しい可能性を感じ、周囲にもポジティブな影響が広がっています。
編集部
単なる旅行ではなく大きな変化が生まれるということに加え、自分自身の気づきだけでは終わらないということですね。リセットする機会、そして再び動き出す機会の多さこそが、CRAZYさんの特徴なんですね。
株式会社CRAZYの「ゲスト中心の結婚式」:時代に合わせた新たなウェディングスタイル
編集部
CRAZYさんが大切にされている「人として自分にも他人にも向き合う」という想いをもとに、事業をどのように展開されているのでしょうか?
吉田さん
CRAZYはウェディング事業を主軸にしていますが、コロナ禍を経たこの数年間で、ビジネスモデルを大きく変更しました。
以前は「人生が変わるほどの結婚式」をコンセプトにオーダーメイドの結婚式を展開していました。しかし、社会の大きな変化に伴い、人々の価値観や市場の動向も変わりました。そこで現在は、本当に必要なものだけを残した「ゲスト中心の結婚式」を提案しています。
この方針転換に伴い、自社所有の結婚式場「IWAI OMOTESANDO」のブランド構築に力を入れました。また、これまで培ってきた企業文化をもとに、ゲストとお客様に満足していただけるよう全力で取り組んできました。その結果、IWAIは2024年春頃まで予約が埋まっている状況です(この取材は2023年9月に行われました)。
私たちが企業理念に基づいて取り組んできたことが、このような形で実を結んでいると感じています。一方で、多くのお客様をお待たせしてしまっている状況なので、今後はさらに受け入れ可能な人数を増やせるよう努めていきたいと考えています。
お祝いのノウハウを企業等のイベントで活かす「CRAZY CULTURE AGENCY」
編集部
ウェディング事業のほかに、CRAZYさんが展開している事業はあるのでしょうか?
吉田さん
「IWAI OMOTESANDO」と関連性の高い事業として、「CRAZY CULTURE AGENCY(クレイジーカルチャーエージェンシー)」があります。
これは、結婚式以外の企業イベントや個人の祝い事に、IWAIの空間を活用していただく事業で、現在急成長中です。平日は、この事業でほぼ会場が埋まっている状況です。
編集部
具体的には、どのようなシーンで利用されていますか?
吉田さん
多岐にわたりますが、企業の内定式や周年イベントなどでは、毎年リピートしていただくことが多いです。リピート率の高さがこのサービスの特徴で、私たちの「祝い(IWAI)」のノウハウが企業文化を表現する場面でも評価されていると考えています。
また、企業が重要顧客を招待するVIPパーティーでの利用も増加しています。ビジネスの場ではありますが、それ以上にお客様と「人と人」としてのつながりを深めるためにCRAZYの力を借りたいという要望も増えており、このような事例が最近目立っています。
編集部
なるほど。「IWAI OMOTESANDO」を拠点に、人と人がつながるお祝いのプロデュースをCRAZYさんに依頼するケースが増えているのですね。
株式会社CRAZYが求める人材像:愛のあるビジネスを創造する共感力のある仲間
▲カルチャー合宿の風景。社員のほか、CRAZYの公式コミュニティ「CRAZY PEEPS」のメンバーも参加する。
編集部
最後に、採用について伺えればと思います。CRAZYさんは、一緒に働く仲間としてどのような人を求めているのでしょうか。
吉田さん
まずはパーパスに興味を持ってくれる方というのは大前提です。CRAZYは本気でパーパスを掲げています。いきなりそのすべてに共感してくれなくても大丈夫ですが、方向性としては重なっていてほしいですね。
また、私たちはこれからさらなる成長期に入っていきます。「愛やパートナーシップ」関連の新しい領域において、いずれリーダーとして組織を引っ張っていきたいという方は歓迎しています。
さらに、ホスピタリティ産業に所属していて「もっと深くお客様と向き合いたい」と思っている方もマッチすると思います。実際にブライダル業界から転職したメンバーも多数活躍しています。人を祝うことの本質を突き詰めたいという方と、ぜひお話ししたいです。
浅田さん
結婚式に対する強い想いやプランナー経験が必要だと思っている方もいらっしゃると思いますが、決してそんなことはありません。メンバーの前職は、人事やセールス、人材業界出身など幅広いです。
むしろ、「人に興味を持っている」という要素のほうが大きいですね。他者の人生に深く関わりたい、そして自分の人生も大切にしたいという気持ちがある人はマッチすると思います。
編集部
本日ご紹介したCRAZYさん独自の制度やカルチャーを見て「面白そう」と感じる人は大歓迎でしょうか?
吉田さん
もちろんです。採用に関係なく、弊社のカルチャーに共感いただける人は、公式コミュニティである「CRAZY PEEPS」への参加もぜひご検討いただきたいですね。
CRAZYは成長期で、パーパスやカルチャーもどんどんと広げていきたいんです。ベースになっているのはパートナーシップ、そして「愛」なので、それらとビジネスを掛け合わせて新しい価値を創り出したいという人が応募してくれるとすごく嬉しいです!
編集部
本日はCRAZYさんがどういう会社なのか、その本質についてたっぷりとお話しいただきました。ここまで自分自身と、メンバーと、そしてステークホルダー全員と向き合うことを徹底されている企業は少ないのではないかと感じました。ありがとうございました!
■取材協力
株式会社CRAZY:https://www.crazy.co.jp/
リクルートページ:https://www.crazy.co.jp/recruit