新しい働き方を取り入れている企業を紹介していくこの企画。今回はクラウドワーカー542万人が利用するクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を中心に、人材マッチング事業を展開している株式会社クラウドワークスさんを取材させていただきました。
株式会社クラウドワークスとは
▲株式会社クラウドワークスのミッション(公式サイトより引用)
株式会社クラウドワークスは「個のためのインフラになる」をミッションに、個人が持つ才能や経験を企業のニーズとマッチングさせるプラットフォームを開発・運営する会社です。
時間・場所・年齢などによる制約を受けない”インターネットを活かした新しい働き方”を通して、さまざまな状況下にある個人に報酬を得るチャンスを提供する環境・基盤・仕組み=インフラをつくることを目指しています。
会社名 | 株式会社クラウドワークス |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー6階 |
事業内容 | クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を中心としたインターネットサービスの運営 |
設立 | 2011年11月11日 |
公式ページ | https://crowdworks.co.jp/ |
働き方 | フルリモート フルフレックス(コアタイムなし、フレキシブルタイム5:00-22:00) 標準となる1日の時間:8時間 |
クラウドサービスでは、社会情勢が今のようになる以前の2019年から「フルフレックス・フルリモート制度」の運用をいち早くスタートさせていました。また、副業を推奨しており、社員の約半数は副業経験者だといいます。
多様でありながら生産性が高い働き方、若手や女性も多く活躍するチャレンジングな環境、ワークライフバランス、採用に際して求めている人物像などについて、組織開発部の佐々木緑さんと近麻衣子さんにお話をうかがいました。
新しい働き方を世に広める人材マッチング事業を展開
編集部
まずは、クラウドワークスさんの事業内容を教えてください。
佐々木さん
私どもはオンライン人材マッチングサービスを中心に運営している会社です。インターネットを活用していただくことで、子育てをしていたり、遠隔地に居住していたり、身体的または年齢的に通常勤務をすることが困難であったりするなど、さまざな状況下にある個人が時間・場所・年齢にとらわれずに働くことができます。
新しい働き方を提案し、「世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる」ことがクラウドワークスが掲げているビジョンです。個の才能・経験・スキルを役立てていただき、お金という「金銭報酬」だけでなく、達成感や相手からの感謝といった「感情報酬」を多くの方に届けるための事業を展開しています。
国内最大級のクラウドソーシングサービスを中心に事業を拡大中
編集部
具体的にはどのようなサービスを提供されているのでしょうか。
佐々木さん
メインとなるサービスは、社名にもなっている「クラウドワークス」です。日本最大級のクラウドソーシングサービス(※)で、仕事を受けたい542万人のクラウドワーカーの方々と仕事を発注したい87.5万社の企業様に利用していただいています。
(※)群衆(クラウド)と調達(ソーシング)からなる造語。依頼主がインターネットを通して不特定多数の人たちに業務を発注すること
インターネットを通じて個人の方と企業様が直接業務を受発注できるため、個人の方にとっては報酬を得るチャンスが広がり、企業様にとっては個の才能や空き時間を手軽かつ効率的に利用できるWin-Winのサービスです。
編集部
「クラウドワークス」ではどのような業務を受発注できるのか教えてください。
近さん
動画の制作・編集、ホームページ作成、記事のライティング、ソフトウェアやアプリの開発といった依頼や、ロゴやイラストのコンペなど、250種類以上のお仕事に幅広く対応しています。
編集部
「クラウドワークス」以外には、どのようなサービスがあるのでしょうか。
近さん
エージェントがエンジニア・デザイナーなどのフリーランスワーカーと企業をマッチングする「クラウドテック」、オンライン業務に特化して事務アシスタントと企業をマッチングする「ビズアシ」などがあります。
佐々木さん
現在、「クラウドワークス」を軸にして、扱う領域・事業を拡大しているところです。今は副業を持つこと・することがトレンドのようになっていることもあり、副業・兼業人材のマッチングサービスである「クラウドリンクス」「リンクスエージェント」などにも力を入れています。
編集部
なるほど、完全なるフリーランスの方、通常勤務が難しい方、本業とは別に副業として自らのスキルや経験を活かしたい方など、働きたいという個人と仕事とをマッチングするサービスをさまざまに展開されているわけですね。
福利厚生ではないフルフレックス・フルリモートとは
▲クラウドワークスさんの人事制度「ハタカク!」(公式サイトより引用)
編集部
クラウドワークスさんの勤務形態はどのようになっているのでしょうか。
佐々木さん
2019年の7月から、「フルフレックス・フルリモート制度」を全社に適応しています。2016年に「ハタカク!」(働き方革命の略)という新人事制度をスタートしたときにすでに、副業の自由化とともにフレックスとリモートワークを取り入れていました。そのもともとあった制度を、コアタイムや週の利用上限日数を撤廃してアップデートした形です。
ただ、この制度はあくまで働き方の選択肢を提供しているだけで、フルフレックス・フルリモートで働くよう定めるものではありませんし、実は福利厚生でもありません。
編集部
福利厚生ではないというのは、どういうことでしょうか?
佐々木さん
私どもの会社では、個人の可能性や提供価値を最大化する手段として、フルフレックス・フルリモートという制度を設けています。自分に合った働き方や高いモチベーションを保つことができる環境をつくり生産性を向上させるための選択肢として、フルフレックスやフルリモートがあるということです。
クラウドワークスには、会社としての思い・目指すこと・重視する価値観・基本となる行動などをまとめた「カルチャーブック」という社員向けの資料があります。そのなかで、どういう状況・業務のときに出社をして、どういうときにリモートワークをすればいいのかという定義が、きちんと図式化されていますので、その図をもとにオフィスとリモートの使い分けがされています。
編集部
では、状況や業務によってリモート率や出社率が変わるということですか。
佐々木さん
はい、事業部によってまったく運用が異なっています。例えば、営業の方はやはり出社が多いですし、私たちのようなリモートが多いバックオフィス系の業務でも対面で作業をしたほうが効率がよいものもあるわけです。全社一律ではなく、事業部・チーム・職種・業務などによって、「皆で出社日を合わせて出社しよう」などとそれぞれ合意して運用しています。
もちろん、チームで合意をすれば週5リモートということもできますので、地方在住である、自宅を離れられない、ワーケーションをしたいなどという場合にはフルリモートで働くことも可能です。
自分たち自身も場所や時間にとらわれない新しい働き方を
編集部
まだ社会的にリモートワークがなかなか広がらずにいた時期に、フルフレックス・フルリモートの導入に踏みきった理由を教えてください。
佐々木さん
「時間や場所などにとらわれない新しい働き方」を世に広げていくためには、私ども自身がそうした働き方にチャレンジして、その結果として得られた検証結果や知見をシェアしていく必要があるのではないかと考えたというのが1つあります。
また、クラウドワークスはエンジニアやデザイナーが多い組織です。フルフレックス・フルリモートと親和性があるなか、能力の高いエンジニアデザイナーが毎日出社する必要はあるのかという意見もあったそうです。会社の事業や社員特性に合わせて最適化した結果、「フルフレックス・フルリモート制度」の導入にいたりました。
編集部
制度の導入に際して、現場では戸惑いや混乱などはなかったのでしょうか。
佐々木さん
いきなり導入をしたというわけではなく、デザイナーやエンジニアが多く在籍するプロダクト事業部で、試験的にフルフレックス・フルリモートを取り入れて働き方を検証した上で、生産性の向上につながるということで全社での導入となりました。
フレックスとリモートワーク自体はすでに導入されていましたし、フルフレックス・フルリモートに移行してほしいという声も少なからずあがっていましたので、それぞれのチーム内での試行錯誤はありましたが戸惑いや混乱というのはなかったと思います。
クラウドワークスではSlackの活用やGoogle Meetでのコミュニケーションが以前から定着しており、どこにいてもタイムリーにコミュニケーションが取れる土壌ができていたことも大きいです。
編集部
フルフレックス・フルリモートを福利厚生という”権利”ではなく、自分に合った働き方をすることで自分の持つ可能性を最大化して生産性を向上させるために”選び得る手段の1つ”と定義しているわけですね。
社内の約半数が経験者、クラウドワークスの副業事情
編集部
先ほど、「ハタカク!」の一環として副業の自由化を挙げていらっしゃいましたが、クラウドワークスさんでは実際に副業をやっている方も多くいらっしゃるのでしょうか。
近さん
調査をしたところ、26.1%の方が副業をしていると回答されました。今はしていないけれどしていたことがあるという人を加えますと、社内の47.7%、約半数が副業経験者ということになります。
編集部
副業というのはどういったことをされているのでしょうか。
近さん
趣味を副業にされる方もいらっしゃいますし、本業を生かした副業をされる方も、本業に活かせる副業をされている方もいます。シンガーとして舞台出演されていたり、スタートアップで広報をやっていらっしゃったりと、そこは人それぞれです。
編集部
本業に注力する時間が減ってしまう場合もあるのではないでしょうか。
佐々木さん
生産性が下がってしまう場合はマネージャーから指摘が入ることもありますが、クラウドワークスにはチャレンジしたいという意志を持った者には相応に応えるというカルチャーがあります。例えば、事業責任者を任されている社員がいるのですが、彼はマネージャーでありながら週4勤務の契約社員なんです。
もともとは週5のフルタイムで正社員として働いていたのですが、副業のほうでも成果を上げてメインメンバーとして活躍するなかで「週に1日は副業に注力したい」ということになりました。「事業責任者としてクラウドワークスの仕事もやっていくし、かつ副業の方もちゃんとコミットしていく」という強い意志を持っていましたので、会社としてもその気持ちに応えた形です。
編集部
なるほど、副業は単に年収を上げるためだけのものだと思われがちですが、自分らしく輝くための手段としてもとらえられるということですね。クラウドワークスさんでしっかり成果をあげていて、なおかつ当人の強い意志がある場合という前提があるにしても、社員の方が描くキャリアやビジョンを会社がサポートしてくれるというのは心強いカルチャーだと思います。
入社半年で部長に。若手や女性にもチャンスが多い環境
編集部
クラウドワークスさんの職場環境について教えてください。
佐々木さん
2014年に東証マザーズに上場して以来ずっと事業を拡大・成長させ続けており、若手や女性なども意志と能力次第でどんどん大きな仕事をさせてもらえる、非常にチャレンジングな職場環境です。早い者ですと、入社半年で営業部長になって200名をマネジメントしているというケースもあります。
編集部
佐々木さんご自身もマネージャー職に就いていらっしゃいますよね?
佐々木さん
そうですね。実は、私は正社員としてキャリアを積んでいくことを一度あきらめかけているんです。出産後すぐに子どもに疾患が見つかって、出社がままならない状況のなか、当時勤めていた会社を退職しました。採用業務の経験を活かしたいけれど、状況的に近所でできるパート業務などをするしかないのかなと。
そんなときに先ほどお話した「ビズアシ」というサービスと出会って、マッチングしていただいたのがこのクラウドワークスでした。最初はクラウドワーカーとして業務委託という形で参画し、2019年にフルフレックス・フルリモートが全社適用になったタイミングで正社員にしていただき、現在はマネージャーのポジションにいます。
クラウドワーカーという働き方、そしてクラウドワークスのような働き方にしても人にしても本当に多様なものを受け入れてくれるカルチャーの会社があってこそ、今私がここにいられるのかなと感謝しています。
転職をしなくても新たなチャレンジができる社内公募制度
編集部
チャレンジングな職場環境ということですが、どういったところがチャレンジングなのか、もう少しお話を聞かせてください。
近さん
私は昨年の10月に入社しました。まだ半年も経っていないにもかかわらずかなり挑戦をさせていただいてると感じております。佐々木さんと一緒に採用の仕事をしているのですが、新たな案などを出すと、型にとらわれずに受け入れていただける、その案の実現に向けてチャレンジさせていただけるという環境です。
また、「これをやりたいけれど、今の事業部や環境ではできない」となってしまったときには、社内公募制度というものがあります。新たにやりたいことが見つかったときに、転職という形ではなくて社内の異動でそれが叶えられる環境が整っているというのは魅力的ですね。
編集部
身近にも社内公募制度を利用された方というのはいらっしゃるのですか?
近さん
はい、この制度は活発に利用されていて、一緒に採用担当をしている先輩も社内公募制度の利用者です。この方は大阪で営業をされていた方で、人事労務の枠に空きが出たときにチャレンジしたいということで手をあげて、異動の希望が叶いました。今、一緒に恵比寿の本社で働いています。
編集部
自分の意見を積極的に発信でき、チャレンジできる環境なんですね。それに加えて、部署を越えて新たな職種や事業に挑戦したくなったときに、社内公募制度が活発に利用されているというのも良いですね。
会社のサポートで男女ともに育児取得率は100%
編集部
ワークライフバランスを向上させるための制度を、何か1つご紹介ください。
佐々木さん
そうですね、1つということでしたら育児に関することでしょうか。クラウドワークスでは男性の育児休暇取得率が高く、2021年は男女ともに取得率が100%でした。育休取得をサポートをするために人事が個人用のSlackをつくって連絡を取り合うなど、会社も全面的にサポートをしています。
編集部
周囲の反応はどうでしょうか。
佐々木さん
育休取得経験者や現在妊娠中だという方も多いため、どこの事業部でも、当たり前のように祝福をして、当たり前のように復帰を迎えるという感じです。育休中にもSlackできちんとコミュニケーションがとられていて、育休中の本人が「いついつまでに帰りますので」などと報告もあげているようです。
編集部
生まれた赤ちゃんの写真をアップしたり、祝福のメッセージが書き込まれたりという感じでしょうか。
佐々木さん
おっしゃるとおり、育児をしているメンバー同士が集まるSlackチャンネルをつくって活発に交流をしている事業部もありますね。
そこでは赤ちゃんやお子さんの写真はもちろん、政府や都道府県の育児に関する制度の情報共有でしたり、育児に関する苦労話の共有でしたり、育児相談でしたりと、自由にコミュニケーションがとられています。今ですと、ちょうど育休からもうすぐ復帰するという方が多いので、「復帰時に何か用意するものはありますか?」といったような、復帰に関する質問が多いです。
編集部
育休取得率が男女ともに高く、周囲も当たり前のように育休取得や復帰を受け止めているのですね。赤ちゃんや子どもに関する情報共有などができる場を設けていらっしゃると、復帰に向けてのハードルも下がりそうです。
日本の社会を、働き方を一緒に変えていきたい
編集部
採用にあたって、こういう人を求めているというものがあれば教えてください。
佐々木さん
今は日本社会の組織開発がどんどん進み、女性の活躍、個を認めること、副業に関する理解や意欲、またそれらに対するビジネス的なニーズが高まっています。そういった市場の動きが追い風になって、クラウドワークスでは全社的にチャレンジングな雰囲気ができています。
リモートワークがしたいというような一面的な理由ではなく、「自分自身で日本社会を変えたい」「自分を変えたい」「長期間にわたってキャリアを築いていきたい」という強い意志をもってチャレンジしたいという方にとっては、本当に良い環境がそろっていると思います。
近さん
クラウドワークスは「個のためのインフラになる」というミッションに、社内の全員が手を抜かずに真剣に向き合っている会社です。働いて報酬を得たいというすべての人がクラウドワークスのサービスの対象になると考えて、そうした人たちに届ける報酬額を増やすべく邁進しています。
個人個人の方に仕事と報酬を提供していくことで世の中を変えていきたいと本気で考えて、まっすぐに頑張れる人と、ぜひ一緒に働きたいです。
佐々木さん
あと、フルフレックス・フルリモートという環境は、私のような子育てをしている方たちにとってはもちろん、スキルアップに意欲を燃やしている勉強熱心な方にとっても、趣味や副業を充実させたいという方にとっても、とても働きやすい環境だと思います。
フルフレックスのためコアタイムはありません。朝5時から夜10時までの間で8時間働いてきちんと成果を出しましょうということだけ決まっていて、時間の管理は個人に任されています。かなり融通が利くので、育児・介護・家庭の都合などで勤務時間が制限されているような方でも、多くの場合は働いていただけます。
一方で、自分のスキルをどんどん高めていきたいという方にも、非常に積極的にスキルアップの機会や、年間4万円の書籍購入サポート制度などが用意されています。自分を成長させられる会社だと思いますので、「とにかく成長したい、スキルアップしたい」という方も大歓迎です。
編集部
日本の社会と働き方を変えたいという理念に共感する方、そして柔軟な働き方を自ら体現しながら成長してチャレンジしていきたいという方には、クラウドワークスさんはうってつけではないかと感じました。本日はありがとうございました!
■取材協力
株式会社クラウドワークス:https://crowdworks.co.jp/
採用ページ:https://crowdworks.co.jp/careers/