エンジニアが働きやすい環境を作り、成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、乳児の知育アプリや、小学生向け学習アプリの開発を手掛けるファンタムスティック株式会社にお話を伺いました。
「楽しい」を引き出す学習アプリ開発のファンタムスティック
ファンタムスティック株式会社は「ハイスピード 〜暗算が身に付く高速算数ゲーム〜」「国語海賊〜小学漢字の海〜」「算数忍者~九九の巻~」など26種類の乳児の知育アプリや、小学生向け学習アプリを開発しています。
アプリのターゲットにしているのは、学習に興味を持てない子どもたちです。何かしらの才能を秘めているものの学習の入り口になかなか立てない子どもたちの「楽しい」を引き出し、学習を好きになるきっかけを作れるような仕組みがアプリに施されています。
同社のアプリ「算数忍者AR」は、世界107カ国でダウンロード数が1位となりました。次に進みたくなるゲーム要素や愛されるようなキャラクターが登場することもあり、言語の壁を越えて世界中で愛されるアプリを提供しているのです。
会社名 | ファンタムスティック株式会社 |
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住所 | 東京都港区南青山3-1-3 |
事業内容 | 子ども向け知育アプリ開発および学習サービス開発 |
設立 | 2010年2月26日 |
公式ページ | https://fantamstick.com/ |
同社の開発環境はトップダウン型ではなく、それぞれのエンジニアが自分で考え行動する自律型です。フルリモート、フレックスタイム制という自由な環境のもとで、エンジニア一人ひとりが学びを深めながら開発を進めています。
同社の開発体制や働く環境について、CEOのベルトンシェインさん、COO・CFOの近藤洋平さん、CTOの菅栄伸さんにお話を伺いました。
エンジニア一人ひとりが自律し学びを深めている開発環境
編集部
ファンタムスティックさんには現在何名の社員さんが在籍されていて、エンジニアさんはそのうち何名勤務されていらっしゃるのでしょうか?
菅さん
ファンタムスティックには現在16名の社員が在籍しています。業務委託なども含めると、20人以上になりますね。そのうち、エンジニアは6~7名ほどです。こちらも業務委託を含めると15~16人になります。
編集部
エンジニアさんは普段どのような業務に当たられていらっしゃるのでしょうか?
菅さん
私たちは新規のネイティブアプリやWebサービス・アプリケーションを作っている会社です。ですので、各プロジェクトに必要なポジションに沿って人員を配置した上で各々の役割を踏まえつつチームで課題に取り組んでもらっています。
私自身もエンジニアですので、コードを書く機会も多くありますが、全体のアーキテクチャや方針の決定、フロントエンド・バックエンド・インフラなどあらゆる場面でのメンターや、環境づくりをメインに現場のサポートもしています。
また現在、受託案件で大規模な教育系プラットフォームの開発プロジェクトが動いているところです。プロジェクトに数名のエンジニアをアサインしていますし、フリーランスや副業のエンジニアにも参画いただいています。
編集部
ファンタムスティックさんの開発環境についても伺わせてください。
菅さん
ファンタムスティックでは、モダンな開発環境というのを常に心がけています。レガシーテクノロジーについてはなるべく使うことなく、業務効率が良くなるものを積極的に取り入れるようにしていますね。
技術を新しくすることで発生するラーニングコストを受け入れたうえで、プロジェクトを始めるようにしています。
エンジニアは新しい技術を研究しないと仕事に飽きが来てしまうでしょう。ですので、弊社の環境はエンジニア冥利に尽きるのではないかと考えています。
編集部
エンジニアのモチベーションを保たせる工夫が施されていると感じましたが、そのような環境を作っている背景にはどのような思いがあるのでしょうか?
菅さん
人を活かすというのが弊社の考えです。それを遂行する為には、モチベーションを高めてもらう必要があります。目標に向かって何に挑戦する必要があるのかを明確にし、課題に対してどう取り組むべきなのか、エンジニア一人ひとりに考えて行動してほしいという姿勢でいます。
エンジニアである以上、プロダクトのビジョンやエンドユーザーや技術のことを考えて設計しなければなりません。それらすべてをチームで分担して解決していく必要がありますので、それぞれのモチベーションに合わせた課題に取り組めるような人員配置を心掛けています。
編集部
自律型の開発組織といえるのですね。それぞれのエンジニアさんのレベルの高さが伺えます。
近藤さん
ファンタムスティックに入社したエンジニアは、最初は開発現場のレベルの高さに驚くようです。また、受託元の会社さんからも、レベルの高さに関する評価の声をいただいていますね。
弊社にはエンジニアとして学びを得られるきっかけが豊富にありますし、自分のやりたいことを実践して新しい経験を吸収できる環境にあるといえるでしょう。
編集部
成長を望むエンジニアにとっては魅力的な環境といえそうですね。
フラットなコミュニケーションによって可能になる自由な働き方
編集部
ファンタムスティックさんの働き方について伺わせてください。
シェインさん
ファンタムスティックはコロナ禍をきっかけにフルリモート勤務となりました。また、午前10時半から午後5時半をコアタイムとしてフレックスタイム制も導入しています。
事務所はもちろんありますが、いつも私一人しかいないです。一応集まれる場所として事務所があるというイメージですね。月に一度リアルの場で集まる交流会を実施しており、そこには参加できる人だけ参加してもらっています。
編集部
フルリモートでも滞りなく仕事を進められる理由としては何が考えられるでしょうか?
近藤さん
私たちは基本的な就業ルールというのは設けつつ、そのなかで自由に仕事をしていただくという形を取っています。
そういうなかでも日々の業務でわからないことは発生するでしょう。ですので、さまざまなツールを駆使しながらコミュニケーションを取り合っているというのが、フルリモートを実現できている要因だと思います。
編集部
実際にどのようなツールを活用してどのようにコミュニケーションを取られていらっしゃるのでしょうか?
菅さん
弊社ではZoomやSlackを使って社内コミュニケーションを取っています。また、タスクマネジメントツールを使って日々のタスクを管理しているというのが基本的な体制です。
加えて、なるべくオンラインで顔を合わせる機会を作るようにしています。毎日「朝会」を開いて、30分程度昨日自分がやったこと、今日やること、今つまづいていることなどを共有していますね。
編集部
自分の現状について日々共有する時間が設けられているのですね。自分のことを話すためには組織の雰囲気というのも重要になると思いますが、その点はいかがでしょうか?
菅さん
私はCTOという役職が付いていますが、フラットなコミュニケーションを取るよう努めていますね。立場は関係なく、社員から「こうしたほうがいいんじゃないですか」などと指摘を受けることも普通にあります。
上下関係ではなく、あくまでもそれぞれの役割をもとにコミュニケーションを取るというのが会社の文化として根付いていますね。
求職者と面接する際に、弊社の開発メンバーが面接を担うことがあるのですが、求職者からは「皆さん仲が良さそうですね」という言葉をよくいただきます。
シェインさん
フラットなコミュニケーションという文化はフルリモートを導入する以前から根付いていたもので、フルリモート以降も継続できています。
フルリモートをやってみてコミュニケーションの難易度が上がったと感じた時期もあったのですが、そのなかでも事業の課題を解決できたのはこの文化があったからこそだと考えています。
編集部
意見を言いやすい環境にいるからこそ事業の課題について社員さんそれぞれが見解を出し、解決できるのですね。
小さい会社だからこその機動性と大きい会社のような明確な評価制度を両立
編集部
ファンタムスティックさんで働く上で魅力的な部分を一言でいうとどう表現できるでしょうか?
近藤さん
ファンタムスティックの魅力を一言でいうと、小さい会社の良い部分と大きい会社のしっかりした部分が合わさっているということでしょう。規模的には小さい会社なのですが、その割にはしっかりした部分があるなというのは入社時に感じていただけると思います。
弊社は小さい会社だからこそ、一人ひとりの成果が見えやすいです。また機動性や自由度も高いといえます。一方で、人事制度や承認フローという部分は、ある程度大規模な組織でも通用するレベルのものを導入していると自負しています。
編集部
人事制度という部分でいうと、どのような評価の仕方を導入されていらっしゃるのでしょうか?
近藤さん
弊社では会社として実現したいこと、そしてそれを実現するために各部門が達成しなければならないことを明確にし、社員に対し説明会を開いています。そのうえで来期の事業計画を明らかにしたうえで、会社の目標を達成するために自分が何ができるのかを考えてもらっています。
その考えをもとに個人目標を設定してもらいますので、何を達成すれば評価されるのかが明確になっています。社員の評価は、私たちが時間をかけて大切に進めているものの一つです。
編集部
自由度は担保しつつ、締める部分は締めることで社員さんのモチベーションを維持されていらっしゃるのですね。
個性を尊重する文化、同時に求められるセルフマネジメント力
▲フラットなカルチャーだからこそ個性的なメンバーが揃っている
編集部
ファンタムスティックさんの社員さんはどんな方が多いでしょうか?
シェインさん
ファンタムスティックにはもともとゲームが好きという人が多いですね。「自分が子どものころにこういうのがあったらおもしろかったのに」という思いで働いている社員が多いのかなと思います。
また、フラットな文化にあるということで個性を大切にしている会社ではあるので、個性的な社員ばかりです。
菅さん
弊社にはいわゆる「変人」といえる人が多いと思います。それぞれが個性を出しながら、和気あいあいと楽しみながら仕事をしています。
そんな環境にあるからこそ、離職率も低いです。ここ6年で退職したのは一人だけで、その方もご家族問題でアメリカに帰らないといけないというケースでした。
編集部
非常にフラットで、自由度の高い雰囲気が伝わってきます。
菅さん
確かに弊社はこれまでお話ししてきた通り、自由度の高い職場ではあります。一方で、セルフマネジメントが大変な会社だともいえるでしょう。自己管理ができる方でないと難しい環境ではあると思います。
裏返せば、エンジニアとしてしっかりビジョンを持っている方、スキルを上げていきたい方にとっては魅力的な職場であることは間違いありません。
世の中のエンジニアはレガシーテクノロジーに振り回されている方も多いと思いますが、先ほどもお話しした通り私たちは新技術は積極的に受け入れています。
弊社はエンジニアとはそもそも何なのか、何をするための職業なのかというところにフォーカスしている会社です。ファンタムスティックで築いたキャリアが、その人のエンジニア人生において重要なステップだったという環境を作りたいと考えているのです。
エンジニアとして成長したいという思いを持った方は、その思いを実現できる環境があると自信を持って言えます。
編集部
エンジニアとして成長するために障壁となるような非合理さをなくそうという思いを持っていらっしゃるのですね。
菅さん
受託開発では、ときに非合理的とも思えるような機能を求められることもあります。そのような場合、より良いプロダクトにしていくべくクライアントも含めて話し合うようにしていますね。
「何のために」という目的をクライアントにも理解してもらうというのは、弊社で大切にしているスタンスです。
編集部
社内の非合理さだけでなく、社外の非合理さにも目を向けていくというところに、ファンタムスティックさんならではの姿勢を感じました。
エンジニアが成長できる環境、学びの意欲が高い人材を歓迎
編集部
今後、ファンタムスティックさんが取り組んでいきたい事業は何でしょうか?
シェインさん
ファンタムスティックは現状さまざまな子ども向けのアプリを展開していますが、2023年度中に大人向けのアプリをリリースする予定です。内容は、検定の勉強を始めるきっかけを作るものとなっています。
検定といっても国家試験だけではなく、チョコレート検定など趣味系のものも含まれています。
また、依然受託開発の需要も高いです。現在は教育者向け学習コンテンツを作っていますので、受託開発についても引き続き力を入れていきたいですね。
編集部
最後に、ファンタムスティックさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
シェインさん
ファンタムスティックは学習という部分をベースにしている会社です。学習は日々進化していかなければならないと考えています。
私たちはエンジニアの教育や学習というのを大事にしていますので、社内の学習の体制をアップデートさせていくという姿勢を大切にしています。それが、サービスのアップデートにもつながると考えているためです。
弊社の環境やビジョンに共感した方は、ぜひご応募ください。
編集部
成長意欲が高いエンジニアにとって魅力的な環境だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
ファンタムスティック株式会社:https://fantamstick.com/
採用ページ:https://fantamstick.com/recruit