成長著しい企業にスポットを当て、成長を支える若手活躍についてインタビューをする本企画。今回は中堅・中小企業を対象に専門コンサルタントを擁する経営コンサルティング会社、株式会社船井総合研究所を取材しました。
経営者に寄り添い、実践的コンサルティングを行う株式会社船井総合研究所
株式会社船井総合研究所は、中堅・中小企業を対象に業種業界、テーマごとに専門性の高いコンサルタントが年間約5,500社の経営をサポートする経営コンサルティング会社です。
業種・テーマ別に「月次支援」と「経営研究会」を両輪で実施すると共に、「成長実行支援」「人材開発支援」「企業価値向上支援」「DX支援」を通じて社会的価値の高いサステナグロースカンパニーを多く創造することを目指しています。
船井総合研究所では、中堅・中小企業の経営効率化、事業のDXを図るため、ゾーホージャパンが展開する「Zoho(※)」のSaaSプラットフォームの各種アプリケーションを活用しています。その機能は多岐にわたり、あらゆる業種・業態のビジネスプロセスを網羅。同社はZoho認定パートナーとして500社を超えるクライアント企業のZoho導入をサポートしています。
(※)Zoho:企業のIT化、業務効率化の促進をサポートするクラウド型ソフトウェア
会社名 | 株式会社船井総合研究所 |
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住所 | ■東京本社 東京都中央区八重洲二丁目2番1号 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー 35階 ■大阪本社 大阪市中央区北浜四丁目4番10号 |
事業内容 |
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設立 | 1970年3月6日(現、船井総研ホールディングス) 設立:2013年11月28日 (2014年7月に持株会社体制に移行) |
公式ページ | https://www.funaisoken.co.jp/ |
今回は、同社のZohoの導入事例を中心にZohoを活用した人材育成や、若手社員の成長要因について、エンプロイーサクセス本部執行役員の砂川大茂さんにお話を伺いました。
成長を支える医療・介護・福祉分野へのコンサルティング
編集部
中堅・中小企業に特化したコンサルティングを行っている船井総合研究所さんですが、現在、主力となっている部門や目覚ましい成長を遂げている事業などがあればお聞かせください。
砂川さん
当社の主力部門は近年、10年おきぐらいに変化しており、現在は私が任されている医療や介護、障がい福祉などの分野がコンサルティングの中では最も伸びてきているところです。
特に医療分野は30億円規模と一番成長率が高くなっています。とはいえ、前年の成長率は130〜140%ほどなので、部門として200%を目指しています。
編集部
前年比200%に達するための施策などがあればお聞かせいただけますでしょうか。
砂川さん
中堅・中小企業向けのDXコンサルティングをバーティカルSaaS(※)のようなかたちで、住宅不動産や医療などの業界に「Zoho」というSaaS型の業務アプリを提供しています。200%程度の成長を見込んでその辺りを獲得しつつ、これまでわれわれがタッチできなかったクライアントに対しても、コンサルティングができることを目指した商品開発を進めています。
(※)バーティカルSaaS:業界・業種に特化したSaas
船井総研グループの船井総研デジタルにはエンジニアが多数在籍しており、業種特化型のコンサルタントと商品開発がシームレスに連携を図り、急ピッチで各業種ごとに開発を進めているというところです。環境的にも東京ミッドタウン八重洲のほぼワンフロアに両社が入り、パーテーションなど壁がないオープンな状態で日々の業務にあたっています。
デジタルツールZohoで生産性向上と早期戦力化を実現
編集部
船井総合研究所さんがコンサルティングをする中小企業の中には、まだ古いシステムで運用をしているところもあると思われます。その中で生産性向上と早期戦力化を実現するにあたり、Zohoはどのような働きをもたらすのでしょうか。
砂川さん
おっしゃる通り、中小企業のDX化は大企業と比べると少し遅れているのが正直なところです。Zohoというのは同じような会社でいうところのセールスフォースにあたるのですが、セールスフォースは大企業向けのCRMやSFAに関して、一括で1つのビジネスアプリケーションの中で管理をします。
当社は中堅・中小企業が導入しやすいZohoをまずは選択していただき、お客様をCRMカンパニーにすることを目指し、業種向けのバーティカルSaaSの開発をイメージして進めています。
しかしながらZohoは、アプリケーションを100%理解している社員が必ずしも使えるものではありません。まず、自分たちのシステムにZohoを搭載し、実際に運用しながらお客様に薦めていこうというプロジェクトを実行しています。
編集部
なるほど。実際に社内で運用することでより効果的な使い方をクライアントに提供できるというわけですね。
若手社員の生産性向上にもZohoを活用
編集部
Zohoを用いたプロジェクトの具体的な事例を教えていただけると幸いです。
砂川さん
当社では若手コンサルタント育成に「コンサルイネーブルメント」を導入し、自社の業績を上げるコンサルタントとしての要素を分解しています。
若手の成長促進に関するプロジェクトは当社のエンプロイーサクセス本部が中心となって行っています。入社から独り立ちをし、大企業で言うところの生産性以上になるには6年ほどかかるのが一般的ですが、コンサルイネーブルメントにより昨今は3年ほどになり、早い場合は約2年半で到達する社員もいます。
2021年卒のメンバーからするとさらに1年早くなっており、現状では1年半〜2年ほどで人材が育っています。毎年150名ほど新卒者を採用している当社ですが、平均生産性も年々上昇しています。
自分に合ったタイミングで必要なものを選択し、勉強することができる
編集部
船井総合研究所の若手社員の生産性の向上にZohoはどのように関わっているのでしょうか。
砂川さん
特性に合わせて個人の課題を見つけてデジタルで管理し、「今あなたにこれが足りないですよ」という課題を自動で提案をして勉強してもらうことにZohoが関わっています。ZohoPeople(個人の目標管理)、ZohoAnalytics(BIツール・ダッシュボード)、ZohoLearn(学習コンテンツDB)という各種アプリを勉強することで個人の目標管理や状況がわかります。また、部門やグループなどあらゆるセグメントで今の自分の位置を把握することも可能です。
ZohoLearnで勉強をしていくと点数が高まり、仕事面でも成果が出せるようになるBIツール(アナリティクス)でいつでも見れるようになっています。つまり、1人ひとりが自分に合ったタイミングで必要なものを選択して勉強することをアプリ上で行います。
結果、Zohoの成果だけではないかもしれませんが確実に稼ぐスピードは上がってきており、1年半ほどで大企業の一般的な平均生産性は超えているという印象です。
編集部
若手新入社員の学習内容や習熟度が実際にどのように役立てられているかをビジュアル化し、上長や連携している部署に共有、自らも把握することで、船井総合研究所さんの若手社員はスピーディーに実践で役立てることができるというわけですね。
業界トップの中堅企業を入社2年目の若手社員が担当
編集部
Zohoを使い、戦力として活躍されている船井総合研究所の若手社員の活躍を物語るエピソードなどがあればご紹介いただけますでしょうか。
砂川さん
医療分野において100〜200億円規模の業界トップの中堅企業様を新卒入社2年目の女性社員が担当しています。
その背景にあるのが人材育成の強化です。10年前の船井総研は、丁稚奉公のように上司や先輩について自分で学ぶという教育方針でしたが、約6年前からカリキュラムを作り、この1年ほどでそこにデジタルを載せて管理するかたちになりました。
業績を上げるための学習コンテンツがかなり整理されてきたこともあり、入社1年目や2年目の新入社員も業界トップ10社といったお客様と対峙し、業績を上げることができているように感じます。
編集部
充実した育成カリキュラムにより、本来、現場で学ぶ知識などが入社1年半〜2年経過した時点で身につき、一人前のコンサルタントとして企業と対峙できるというわけですね。
砂川さん
おっしゃる通りです。社歴15年のベテラン社員と、社歴1〜2年の若手社員で上げられる業績というのもほぼ変わらないというのが実情です。ベテランコンサルタントの中には「自分の時代にこういうのがあったら」と感じている者もいるのではないでしょうか。
成長意欲が高く、素直に学びを吸収する社員が活躍
編集部
次に、船井総合研究所さんのカルチャーについて伺います。在籍する社員の特徴についてお聞かせください。
砂川さん
成長意欲が高く、スキルアップを目指している者が多い印象です。成長するために自ら学び、チャレンジしている者が活躍しています。
また、素直と言われる者が多いことも当社の特徴です。わからないことや知りたいことを教えてもらったら素直に吸収し、自分のモノにしています。教える側も聞かれたこと以上の知識をレクチャーするので、面倒見が良い者がとても多いです。
編集部
勉強が好き、素直な方が多い船井総合研究所さんの社員のみなさんは、どのようなことにやりがいを感じていると思われますか?
砂川さん
お客様に対するやりがいとコンサルティングのやりがいというのはかなりプレッシャーもありますが、成果が出るとお客様から直接感謝の言葉をかけていただけます。結果、その業界を引っ張っているという自分なりのやりがいを得ることができます。
事実、企業に関する社員の口コミ情報を提供する「OpenWork」の20代の成長環境の総合点を見ると、上場企業ではかなり上位につけています。
デジタルツールで性格を分析。長期インターンシップ制度から採用へ
編集部
船井総合研究所さんではインターンシップ制度を導入されているとのことですが、その理由や目的についてお聞かせください。
砂川さん
コンサル業界では当社しか行っていない長期インターンシップ制度を導入しています。主に大学1、2年生が3ヶ月から半年ほど参加し、週3日の割合でさまざまな業務を経験しています。
当社のインターンシップはデジタルツールを使いながら船井総研という会社の雰囲気を理解してもらうことで、自分が成長するための要素が船井総研にあるかを見極めてもらうことを目的としています。その上で入社することで1年目からしっかり活躍ができ、長く働いてもらえるからです。
編集部
長期インターシップの成果は採用において、どのような効果をもたらしているのでしょうか。
砂川さん
インターシップをおおむね1年以上行ってきたことで、成果が少しずつ見えてきました。インターン志望の学生の最終面接では過去のデータベースから性格を分析し、退職や活躍の可能性を割り出します。
採用に至った場合はインターン生として現場の上長やコンサルタントと一緒に働いていただき、その働きぶりから「この人が欲しい」となれば、入社に関するお声がけをさせていただきます。
編集部
インターンシップのハードルを上げることで、入社後すぐに戦力として活躍できるのですね。
砂川さん
これまで生産性を上げるまでに1年半ほどかかっていましたが、入社直後から活躍できることをイメージしてインターンシップを行っています。若手が早く成長し、活躍するために、デジタルによる性格分析を使いながら実現したいと考えています。
編集部
長期インターンシップへの応募数と採用の人数はどのようになっているのでしょうか。
砂川さん
2023年の実績は1年間で500名ほどの応募があり、そのうち160名が参加、採用に至ったのは20名程度です。今年は1,000人弱の応募の中から100人を採用し、その半数に入社いただければと考えております。
業界のトップ層が参加する経営研究会を聴講できる
編集部
長期インターンシップに参加した学生はインターン生として働く中で、どのような実践的な業務に携わることができるのでしょうか。
砂川さん
現場のコンサルタントは実務経験があるため、インターン生の指導は基本的にマーケティング室が担当します。しかし、学生はコンサルタントを学ぶことを目的にインターンシップに参加しているので、今後は安全面を最大限考慮した上で、コンサルタントとの業務時間を増やす方針です。
例えば、業界トップ層のお客様が集まる経営研究会という会員制の勉強会に同席し、司会をしたりお茶を出したりすることで、一緒に聴講することを考えています。
編集部
船井総合研究所さんに入社するにしても他社に入社するにしても、学生にとって御社のインターンシップで得られる経験はかなり価値がありますね。
日本の将来のために信念を持ってコンサルをしたい方を歓迎
編集部
それでは最後に、船井総合研究所さんが求める人物像やフィットする人材を含め、本記事の読者に向けてメッセージをお願いいたします。
砂川さん
中堅・中小企業向けのデジタル × 総合コンサルティンググループである当社の事業を聞くと、大企業向けのコンサルティングと比べてダイナミックさに欠ける部分があると思われるかもしれませんが、私は全くそのようには思っていません。
当社は目先の業績を上げるだけではなく、しっかりベンチマークをして日本全体の中小企業の生産性を上げていくことを目指しています。つまり、業界の次のそのスタンダードをお客様と共に作ることが何よりダイナミックなことだと考えます。
99.7%が中小企業とされているわが国では、およそ367万社もの中小企業が日本経済を支えています。そのトップの企業と中小企業に対し、業種に特化したコンサルタントを担う当社は、業界をお客様と共に変えていけることができます。これは船井総合研究所最大の強みです。
現実問題として、日本の生産性を中小企業が下げていることも事実です。日本の将来のために覚悟と希望を持ち、信念を持ってコンサルタントをしていきたい方にぜひ、ジョインいただければ幸いです。
編集部
中堅・中小企業の課題解決に貢献する船井総合研究所さんの一員になることは、日本経済を根底から支える意義のある選択であることがよくわかりました。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社船井総合研究所:https://www.funaisoken.co.jp/
採用ページ:https://recruit.funaisoken.co.jp/