「突っ張り棒」でトップを走る平安伸銅工業。進化系商品を生み出す開発者の挑戦に迫る

高い技術力を持ち、魅力的な商品を生み出し続ける企業を紹介する本企画。今回は、「突っ張り棒」のトップシェアメーカーとして知られる平安伸銅工業株式会社にインタビューしました。

「突っ張り棒」の技術を活かし新たな価値を生み出す平安伸銅工業株式会社

自社の製品である突っ張り棒を手にする平安伸銅工業株式会社の社員

平安伸銅工業株式会社は1952年に大阪で創業し、アルミサッシの製造から事業をスタートしました。1970年代に入って日用品に事業を転換し「突っ張り棒」を発売したところ大ヒット。現在も突っ張り棒のトップシェアメーカーとしてユーザーに支持されるモノづくりを行っています。

2015年に創業者の孫である竹内香予子さんが社長に就任してからは、『アイデアと技術で「私らしい暮らし」を世界へ』というビジョンの実現に向けて、初心者でも手軽に利用できるDIYパーツ「LABRICO(ラブリコ)」や、スタイリッシュでデザイン性の高いインテリアグッズ「DRAW A LINE(ドローアライン)」などを発表。突っ張り棒で培った技術を活かしながら時代に合わせた新しい提案を行い、新規需要を生み出し続けています。

会社名 平安伸銅工業株式会社
住所 大阪府大阪市西区江戸堀1-22-17 江戸堀イーストビル4階
事業内容 収納用品の開発・製造
設立 1952年
公式ページ https://www.heianshindo.co.
jp/

平安伸銅工業株式会社では、商品開発の担当者が企画からプロモーションまで携わっており、マーケティングなどにも開発者目線が生かされています。また、開発チームにはさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっており、互いに学び合って成長できる環境があります。

今回は、平安伸銅工業でエンジニアとして働く魅力や、若手社員の活躍を促すための制度について、開発チームの鈴木将太さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
平安伸銅工業株式会社 開発グループ企画開発チームの鈴木将太さん

平安伸銅工業株式会社
開発グループ企画開発チーム

鈴木 将太さん

開発からプロモーションまで伴走!平安伸銅工業のエンジニアの魅力とは

平安伸銅工業株式会社の社員が集まって商品開発するようす

編集部

まず、エンジニアの活躍をテーマにお話を伺いたいと思います。鈴木さんは商品開発を担当されていますが、平安伸銅工業で開発に携わることの魅力や特徴はどのような点にあるとお考えですか?

鈴木さん

メーカーさんによっては、開発担当者は設計までしか関らず、自分が担当した商品がどのような形でいつ発売されるのか分からない場合もあると思うのですが、弊社の場合はひとりの開発担当者が設計から量産までの開発業務を一気通貫で行っています。

はじめに企画を担当するメンバーから商品のアイデアや素案をもらい、開発担当者は企画立案者を初め、各部門の担当者と話し合いながら設計や具体的な形に落とし込んでいきます。それだけでなく、商品が出来上がったあとのパッケージの設計や取扱説明書の制作にも開発担当者がしっかりと関わっています。

編集部

分業制ではなく、担当した商品が世に出るまで伴走するのですね。

鈴木さん

そうです。パッケージづくりなどのプロモーションに至るまで技術者が関わり、発売されるところまで見届けることができるため、やりがいや達成感を感じることができます。

平安伸銅工業株式会社がイベントに出展したときのブース
▲DIY初心者からベテランまで利用できる「LABRICO」シリーズを展開している

編集部

開発担当者がプロモーションに関わるメリットとしては、どのようなものがありますか?

鈴木さん

弊社が製造する突っ張り棒やDIYのパーツといった商品は、設計構造がそのままデザインに反映されていることが多いんです。そのため、プロモーションでは「商品をどう使うか」とか「どのように取り付けられるか」といった点をいかに打ち出せるかが肝になります。

だからこそ、商品の構造を知り尽くす開発担当者がプロモーション担当者に対して「ここはお客さんにもっとプッシュして伝えた方が良い」といったアイデアを伝えることが大切なんです。

編集部

開発者が一気通貫で担当することは、自身のやりがいだけでなく、商品をより魅力的な形で打ち出す点においてもプラスに働いているのですね。

ユーザーやほかの部署の声を大切にし、製品開発に役立てる

平安伸銅工業株式会社の自社ブランド商品「DRAW A LINE」
▲鈴木さんは、突っ張り棒を再定義したブランド「DRAW A LINE」の商品開発も担当している。

編集部

商品開発を行う際、ユーザーの声をどのように生かしていますか?

鈴木さん

弊社が手がける突っ張り棒などの収納に特化した商品では、社内の主婦メンバーの方に意見を聞くこともあります。また、新規性が高い商品を作る際は、ユーザー様へのヒアリングを行い、実際に商品を必要とする方の声を開発に活かすこともあります。

また、弊社社長の竹内も子育てをする母親なので、ユーザー視点を持って、意見を頂くこともあります。

編集部

社内のほかの部署の声が開発に生かされるケースもありますか?

鈴木さん

私は現在、「DRAW A LINE」という自社ブランド商品の開発を担当しています。これまでは単なる便利グッズとして扱われがちだった突っ張り棒を、暮らしを豊かにする「一本の線」として再定義したもので、インテリア専門店などで販売していただいています。

この商品の場合、お客様には単に「便利」というだけではない付加価値をお届けすることが大切になります。そのため、プロダクトデザイナーのTENTさんを初め、社内の開発以外のメンバーと協力をし、製品の方向性について深堀して考えるようにしています。

トライアンドエラーを高速で繰り返せる環境がある

平安伸銅工業株式会社の社員が集まって商品開発するようす

編集部

平安伸銅工業さんは、より良い商品づくりを行うために設備投資にも積極的だと伺いました。鈴木さんは、自社の開発環境についてどのようにお感じですか?

鈴木さん

弊社には、トライアンドエラーを高速で繰り返しながら開発できる環境があります。

私たちが手がける収納用品の場合、荷重に耐えて安全に使える商品であることが非常に重要です。そのため、商品の安全性を確保するためにも試作を繰り返し行うことが大切になります。以前は試作品を外注で作ってもらっていたのですが、これでは開発に時間がかかるという課題がありました。

そこで、2023年に試作のための工房を新設し、簡単な溶接や金属の切断などを社内で行えるようにしました。これにより、簡単な構造検討や、強度検証のための試作品づくりなら1日〜2日でできるようになり、スピード感を持って開発することが可能になりました。

編集部

先端技術を利用した開発も行っているのでしょうか?

鈴木さん

はい。先ほどお話ししたトライアンドエラーの高速化にも関わる話ですが、DIYのパーツアイテムを開発する時には3Dプリンターを活用した試作品づくりを行っています。強度や構造的な問題を検証するための簡単な試作品づくりなら、3Dプリンターを使って短期間でできるため、こうした先端技術も積極的に取り入れています。

多様な強みを持つ開発メンバーが集まり、互いを高め合う

編集部

平安伸銅工業さんには、エンジニアのスキルアップを支える仕組みはありますか?

鈴木さん

弊社の開発チームにはさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。家電メーカーでプロダクトデザインに携わっていた人や、知育玩具の開発をしていた人、弊社の営業から開発に転向した人もいます。

商品が変われば必要な技術やノウハウも大きく変わってきますが、弊社の開発チームには多様なメンバーがいるので、それぞれの技術ノウハウや考え方を学び合うことができます。

編集部

ここまでお話を伺い、平安伸銅工業さんには設備面でも組織面でも開発者にとって理想的な環境が整っていると感じました。

ユーザーや収納のプロのフィードバックが喜びと自信につながる

編集部

鈴木さんが、お仕事にやりがいを感じるのはどのような時ですか?

鈴木さん

新しい商品が実際に使用され、お客様からの「こういう商品が欲しかったんです」といった喜びの声を聞く時ですね。
 
また、日頃から収納アドバイザーさんと一緒にお仕事させていただく機会が多く、収納のプロから「この商品はすごくいい」と認めていただくことは、開発者としての自信につながります。

編集部

開発者が一気通貫で商品づくりに携わるからこそ、利用者の声を聞いた時の喜びも大きいのかもしれませんね。

20代社員が活躍する平安伸銅工業はキャリア支援にも積極的

平安伸銅工業株式会社の全社総会のようす

編集部

平安伸銅工業さんの20代〜30代前半の若手社員は、どのような形でお仕事に携わっていますか?

鈴木さん

開発担当の場合、比較的早い段階から深く商品開発に携わることができると思います。私は20代後半で中途入社したのですが、2、3ヶ月後には自分が担当する商品が決まり、大きな裁量で開発に携わることができました。

2年目からは安全で手軽なDIYパーツブランド「LABRICO」のブランド立ち上げにも参加させてもらいました。

編集部

どの商品の開発を担当するか決める際、ご自身の希望が反映されることもあるのでしょうか?

鈴木さん

そうですね。私は入社3年目から「DRAW A LINE」の商品の一部を担当させてもらいました。DRAW A LINEは、クリエイティブユニット「TENT」とコラボしたデザイン性のあるラインナップが特徴で、以前からデザイン性のあるインテリアに興味があった私は強く希望して担当にしてもらいました。

編集部

自分の興味や得意なことに合った業務を担当できれば、よりモチベーション高く仕事に臨むことができそうですね

なりたい姿を目指すための「未来志向」の人事制度

平安伸銅工業株式会社の社員が集合するようす

編集部

若手社員の成長を後押しするような制度があれば、ご紹介いただけますか?

鈴木さん

弊社では、「短期業績ではなく未来志向」を重視した人事制度を導入しています。そのため、個人の短期的な業績の良し悪しで賞与や給与を決定することはありません。

人事制度では「将来的にどのような姿になりたいか」を明確にし、「そのために次の1年間をどう過ごしていくか」を上長や経営メンバーと対話を行います。

編集部

そのような人事制度を設ける狙いは何でしょうか。

鈴木さん

目先の数値目標にとらわれることなく、長期的な視点で会社の成長や良い商品づくりを行うためです。

弊社では2023年より、年間に開発する商品の数を増やすという目標を掲げています。そのため、開発チーム内では開発の効率化をより進めるための方法を模索してトライアンドエラーを繰り返しているところです。効果が見え始めるまでには時間がかかりますが、弊社が継続的に成長するための基礎を作るためには欠かせない取り組みです。

こうした状況においては、未来志向の人事制度があることで「自分が今やっていることは間違っていない」と感じられますし、目先の目標ではなく会社の未来を作るという大きなチャレンジがしやすいと思います。

編集部

ヒット商品を開発した場合など、個人が実績を上げた場合に賞与などに反映される仕組みはあるのでしょうか。

鈴木さん

実績というのは、個人の能力以外にもさまざまな要因が関わってできるものです。たまたまその商品の開発を担当しただけかもしれませんし、外部要因に左右されることもあります。個人の短期的な実績にフォーカスしすぎることは、長期的に見ると社員の安心感につながらないと考えています。

社員のスキルアップを補助する制度あり

編集部

社員の学びやスキル向上を支える仕組みはありますか?

鈴木さん

普段の業務に必要なスキルについては、指定の研修を受けることもあります。

それとは別に、弊社にはキャリアや業務に関連する自己研鑽を会社が支援する「スキルアップサポート」という制度もあります。本人が目指すキャリアに合ったスキルや資格の取得を応援しています。

編集部

希望すれば、誰でも制度を利用できるのでしょうか?

鈴木さん

はい。自分が目指すキャリアを明確にしたうえで、「だからこういうことを学びたい」ということをしっかりと経営メンバーに説明できる社員なら、誰でも金銭面のサポートを受けることができます。

編集部

平安伸銅工業さんは社員の長期的なキャリアを重視し、それを支えるための制度も充実しているので、一人ひとりが安心して強みを伸ばすことができそうだと感じました。

平安伸銅工業には社員が強みを活かして自分らしく働ける環境がある

平安伸銅工業株式会社の鈴木さん

編集部

平安伸銅工業さんにはどのような社風があるとお感じですか?

鈴木さん

弊社は、『アイデアと技術で「私らしい暮らし」を世界へ』というビジョンを掲げています。「私らしい暮らし」とは一人ひとりがその人にあった暮らし方で、自分らしく自然体で過ごせる状態のことを指します。

そんな「私らしい暮らし」を支える製品開発を行う弊社には、メンバー自らも「私らしい暮らし」を大切にしようというカルチャーがあります。みんな一人ひとりの違いを認め合い、協力し合いながら自分らしく働いています。

編集部

メンバーが自然体で働けるようなカルチャーがあるのですね。最後に、平安伸銅工業さんのお仕事に興味を持つ読者の方にメッセージをお願いします。

鈴木さん

弊社の開発メンバーはさまざまな業界から集まっており、それぞれが強みを活かして活躍しています。物づくりが好きで、何らかの専門的なスキルをお持ちの方なら、必ず即戦力になっていただけると思います。

ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひご応募ください。

編集部

突っ張り棒で培った技術を活かした新たな価値創造に力を入れる平安伸銅工業さん。エンジニアは若手のうちから大きな裁量で開発に関わることができるため、新製品の開発や新ブランドの立ち上げといった責任あるお仕事に興味がある人にぴったりの職場だと感じました。

本日は、ありがとうございました。

■取材協力
平安伸銅工業株式会社:https://www.heianshindo.co.jp/
採用ページ:https://www.heianshindo.co.jp/recruit/