独自のビジネスを展開し、エンジニアが活躍できる環境を整え成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、社会・産業インフラ向けロボットソリューション、AI・XR・3Dデータソリューションを提供している株式会社イクシスにお話を伺いました。
社会・産業インフラ向けロボットによるソリューションを提供
▲ロボットを社会・産業インフラの現場に派遣し、収集したデータを活用したソリューションを提供している(公式ページより)
株式会社イクシスが展開しているのは、道路やトンネル、工場、物流施設などの社会・産業インフラ向けロボットの開発・販売・レンタル事業です。インフラに関するデータをロボット等で収集し、AIなどを活用しながら分析するデータソリューションも提供しています。
会社名 | 株式会社イクシス |
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住所 | 神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 かわさき新産業創造センター(AIRBIC)内 |
事業内容 | ・社会・産業インフラ向けロボットソリューション ・AI・XR・3Dデータソリューション |
設立 | 1998年6月2日 |
公式ページ | https://www.ixs.co.jp/ |
もともとは大手企業向けのメンテナンスロボット等を開発していたという株式会社イクシス。社会インフラの老朽化や人手不足といった社会課題を解決するためビジネスモデルを転換し、毎年170%の成長を実現しています。
同社の成長の要因やエンジニアの働く環境について、代表取締役Co-CEO兼CTOの山崎文敬さんとTechnology Div. Senior Managerの石塚高秋さんにお話を伺いました。
株式会社イクシスが展開しているのは技術者を補助するロボット
▲インフラの状態についてデータを収集するロボットを展開している
編集部
初めに、イクシスさんの事業内容について伺わせてください。
山崎さん
イクシスが展開しているのは、社会・産業インフラ向けロボットの開発・販売・レンタル事業です。道路や工場などに派遣されたロボットは、インフラの状態についてデータを収集しています。また、ロボットが集めたデータをAIや3Dなどを用いて解析するデータソリューションも提供しています。
現在、社会インフラの老朽化が課題となっています。インフラの安全性を担保するためには点検が必須となりますが、熟練の技術者の高齢化による退職が相次いでいることで、技術の伝承が難しくなっているという問題もあるのです。
そこで、私たちはロボットを活用して点検作業の一部を担う、または技術者のスキルを向上させるようなソリューションを提供しています。私たちが展開しているロボットは技術者の仕事を奪うものではなく、あくまで補助する役割を担っています。
技術者からシステム・ロボットへの置き換えは、簡単にはできないと考えているためです。
編集部
「AIが普及すると仕事が奪われる」という声もありますが、現状ではそんなことはないということですね。
山崎さん
現状では、インフラの現場においてロボットが完全自動で全ての役割を担うのは難しいと考えています。これはロボットの性能が足りていないというわけではなく、ロボットを受け入れる環境がまだ現場で整っていないためです。
なので、イクシスが提供するロボットは、あくまで現場の技術者の業務を手助けするものとなっています。例えば、物流倉庫の床面のコンクリートのひび割れ点検は、従来は人の手によってなされていました。何万平米という床面を全て人の手で点検するのは、やはり大きな負担がかかります。
そこで、現場の技術者がロボットを活用することで負担が減るだけでなく、漏れなく常に最新のデータが手に入るのです。
点検やデータ収集などはロボットが担い、データを活用したインフラの状態の分析や判断などの部分で、技術者の知見を活かしていただければと考えています。
編集部
ロボットが担う部分、人が担う部分をわけることで、より効率的に業務を進められるということですね。
社員数は4年で10倍以上、新たなビジネスモデルが生んだ成長
編集部
イクシスさんの成長のスピードがわかるような数字をお教えください。
山崎さん
2019年ごろのイクシスの社員数は10名程度でしたが、2023年は100名を超えています。同年に大きな資金調達をして、ビジネスモデルを転換したことが社員数増加の背景です。
イクシスは1998年に創業し、2023年で25周年を迎えます。立ち上げから20年は、大手企業様から依頼をいただき、メンテナンスロボット等を受託開発するビジネスを展開していました。
しかし、インフラの老朽化や人手不足という社会課題があるなかで、私たちの技術を本当に必要としているのは、リソースに余裕がない地方の中堅中小企業なのではないかと考えたのです。
比較的低価格でロボットをレンタルできるという仕組みを作り、全国隅々の現場に提供できるような営業網を敷いて、現在の成長に結び付けました。
編集部
社会課題を解決したいという思いが新しいビジネスを生んだのですね。
山崎さん
「私たちのテクノロジーで社会課題を解決したい」。そのような思いから、イクシスの現在のビジネスモデルが生まれました。もともとロボット開発というノウハウは20年で積み上げたノウハウをいち早く全国に届けたいという思いが強かったですね。
残念なことですが、まだまだ日常生活でロボットがいるという光景が当たり前のものにはなっていません。ロボットやロボットテクノロジーを活かして解決できるテーマはまだまだあると思いますので、私たちとしてもビジネスをさらに進めていきたいと考えています。
編集部
これからもビジネスが広がっていく予感がしますが、社員数も同時に増えていきそうでしょうか?
山崎さん
おかげさまで事業も順調に成長していますし、イクシスとしては今後も人材を増やし、私たちのサービスをより全国に広げていきたいですね。
全国のインフラのさまざまなデータを収集し、高い精度で解析して、お客様の望むクオリティでお返しする。今後も社員数を増やしながら注力していきたいです。
成長の原動力は社員、新たなソリューションを生み出し将来的には海外展開も
編集部
実際にどれぐらいのペースで成長されているのでしょうか?また、成長の要因についても伺わせてください。
山崎さん
イクシスは毎年約170%の成長を続けています。成長の要因は、やはり社員ですね。
私たちはロボット開発が祖業ではありますが、これまでお話した通り、現在はAIやAR・VRといった仮想空間、3Dなどさまざまな技術を駆使したソリューションを提供しています。
それぞれの分野で確かな技術を持ったエンジニアが弊社に集まっているからこそ、イノベーションを起こせているのだと感じています。
社員は会社にとって財産です。多種多様なメンバーが集まっていますし、これからもどんどん新しいサービスを作っていけると思います。
編集部
優れた人材が多くいるからこそ成長できているビジネスを展開できているのですね。
山崎さん
ロボットやAIといったディープテック(※)は、一般的にマネタイズが難しい分野だとされています。優秀な社員がいてビジネスモデルをしっかり作れているからこそ、今でも十分に収益が立てられているのです。
(※)ディープテック:最先端の領域に属し、社会に大きなインパクトを与えられるような技術
いくら社会課題を解決したいと思っていても、収益が立っていないということは実際に社会に貢献できていないといえます。テック系のベンチャーは赤字を出しながら新技術の開発を進めていくケースもありますが、その点私たちは最先端の技術を開発しつつしっかりと収益を出せております。
編集部
今後のビジネスの展開についてお教えください。
山崎さん
インフラの社会課題は根深い問題です。一つのソリューションで一気に解決できる課題でもないでしょう。
イクシスは多様なスキルを持ったエンジニアやバックグラウンドを持った営業が一堂に会した会社ですので、今後も新しいソリューションを提供して社会課題解決に当たっていきたいです。
一方で、日本は「課題先進国」と呼ばれています。今日本で起きている問題は、10~20年先に東南アジアなどの発展途上国で起こり得るのです。なので、まずは国内の課題を解決できるようなソリューションを提供し、今後は海外にも展開したいと考えています。
全世界のインフラの安心安全に貢献しながら、会社としては将来的な上場も目指していきたいです。
編集部
イクシスさんのロボットが海外で活躍する日も近そうですね。
エンジニア同士が雑談し新しいアイデアやサービスを生む
編集部
イクシスさんにはどれくらいの人数のエンジニアが在籍されているか、また選考基準についてもお教えください。
山崎さん
イクシスの社員のうち6割がエンジニアです。選考の際は、ロボットやAIなどに関するスキルを持っているかというのも注目ポイントですが、一番大切にしているのは社会課題を解決したいという意識を持っていることです。
また、先ほどもご説明した通り、弊社には多種多様なエンジニアが在籍しています。そのため、コミュニケーション能力というのも重視しています。
9時の始業時点で、弊社のオフィスは雑談でにぎやかになります。活発にコミュニケーションを取っている職場ですので、積極的に会話に参加される方が望ましいですね。
編集部
雑談ではどのようなことを話されているのでしょうか?
石塚さん
社内の雑談では、やはり新しいロボット技術のことが話題に上ることが多いですね。「他社でこのようなロボットが出た」といった内容です。
ロボットに限らず、イクシスの社員は新しいもの好きな方が多いので、AIなどで新しいモデルが出るとすぐに試してみる方が多いです。新しいものに関心が高い方にとってはとても楽しい職場だと思います。
編集部
そのような雑談から新しいアイデアが生まれることもあるのでしょうか?
石塚さん
雑談から新しいアイデアが生まれることは、もちろんあります。例え他業界の新しい技術でも、どうにかしてインフラ業界に活かせないかと社員みんなが常に考えています。雑談から発展して新しいサービスが生まれることもありますね。
編集部
社内でコミュニケーションが密に取られていることもイクシスさんの強みといえるのですね。
「0から1」「1から10」、物作りのプロセスをトータルで経験できるのが魅力
編集部
イクシスさんでエンジニアとして働く醍醐味にはどういったことが挙げられるでしょうか?
石塚さん
イクシスで働く醍醐味としては、ものづくりに最初から携われるということが挙げられます。
弊社は営業担当の社員が現場の声を聞き、その声をすぐにサービスに活かせる環境にあります。メカやエレキやソフト、AIなどさまざまな知見を持ったエンジニアが意見を出し合って、現場の声を反映したプロトタイプの製品をすぐに作るのです。
試作品を現場に出した後はお客様の反応を見ながら、その都度改善していきます。
0から1にするところはもちろん、1から10にするというプロセスをトータルで経験できるというのは、エンジニアにとってやりがいがあるでしょう。
編集部
なぜイクシスさんには多様なエンジニアが集まるのでしょうか?
石塚さん
イクシスに多様なエンジニアが集まる理由としては、やはりインフラの社会課題を解決したいというビジョンを掲げているからだと思います。
「自分の力を発揮して社会課題を解決したい」という思いを持って社員は入社してきますので、掲げているビジョンが魅力的なのは人が集まる理由として一番に挙げられます。
編集部
イクシスさんのビジネスの原点はやはりビジョンにあるのですね。
専門外であっても自分が興味を持った分野に挑戦できる環境がある
編集部
エンジニアの成長を促すような制度はございますでしょうか?
石塚さん
イクシスでは、仕事関係の書籍の購入費について、1人年間1万円を上限に補助しています。
やはりエンジニアには勉強が必要です。書籍を買って、書いてあったことを試してみて、社員が自分の能力を伸ばしていくことが会社の成長に欠かせないと考えています。
編集部
勉強のための補助制度があるのはありがたいですね。社内的にもエンジニアを成長させていこうという環境があるのでしょうか?
石塚さん
先ほども申し上げた通り、イクシスでは新しいプロダクトを生み出す際に試作品を作るというプロセスを踏みます。そういったさまざまなことを積極的に試していけるような環境がありますね。
新しいものを作るときは、どうしてもいろいろなことを試していく必要があります。スピーディーに意思決定をして試作品を作って、「次はこれをやってみよう」という空気が社内で作れていることは、イクシスが成長する上で大きな要素となっているでしょう。
編集部
イクシスさんのエンジニアはどういったキャリアパスを歩まれるのでしょうか?
石塚さん
イクシスでは、エンジニアとして技術を積み上げていくキャリア、マネジメントを担っていくというキャリアのどちらも選択できます。
やはりいろいろなバックグラウンドを持っているエンジニアが在籍していますので、いろいろな領域の業務を担えるでしょうし、さまざまな可能性を担保してくれる会社だといえますね。
例えば、私の専門はAIなのですが、多くのプロジェクトに携わるなかで興味が生まれる分野もあります。興味を持った分野に携われるキャリアパスも用意されていますので、日々刺激が絶えない環境です。
編集部
部門ごとの垣根が低い職場であるといえるのですね。
自分のスキルアップを事業の成長に結び付けられる人材を歓迎
▲「ミッションに共感して、果敢にチャレンジしていける方を歓迎したい」と話す山崎さん(左)と石塚さん(右)
編集部
最後に、イクシスさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
山崎さん
イクシスは急激に成長しているベンチャー企業です。弊社の「インフラにおける社会課題を解決したい」というミッションに共感いただいて、果敢にチャレンジしていきたいという方を歓迎します。
また、弊社はさまざまな業種のお客様、社内でもさまざまなバックグラウンドを持った社員と交流します。先ほども申し上げた通り、積極的にコミュニケーションを取れるかというのも採用における注目ポイントです。
ベンチャー企業ですので、指示待ちの姿勢はあまり望ましくありません。自ら課題を見つけ、必要な情報を自分から取っていく方だと活躍できると思います。
刺激的な環境で自分のスキルアップを実現しつつ、最終的に自分の成長を事業の成長につなげていけるような方に入社いただきたいです。
編集部
さまざまなことに挑戦しながら自分を高められると同時に、サービスを大きくしていく過程を体験できるというのがイクシスさんの魅力だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社イクシス:https://www.ixs.co.jp/
採用ページ:https://www.ixs.co.jp/recruit