SDGsへの取り組みや若手活躍が特徴的な企業を紹介していく本企画。今回は、「格之進」のブランドで食品事業と飲食事業を行う「株式会社門崎(かんざき)」をご紹介します。
肉にこだわって食品・飲食事業を展開する株式会社門崎
1999年創業の同社は「門崎熟成肉『格之進』」のブランドで食品事業と飲食事業を展開し、食を通じた地域創生を行う企業です。本社は岩手県一関市に置き、飲食事業では東京と岩手を中心に飲食店の直営やFC(フランチャイズ)で展開しています。
志をもって生産に取り組む岩手の生産者を支えていきたいとの思いから、「一関と東京を食で繋ぐ。岩手を世界に届ける。」を経営方針に掲げています。
会社名 | 株式会社門崎 |
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住所 | 岩手県一関市川崎町門崎字宮畑5番地 |
事業内容 | 食品事業、飲食事業、飲食店運営サポート事業、牛肉の啓蒙活動 |
設立 | 平成20年10月1日(外食事業は平成11年4月より事業展開) |
公式ページ | https://kakunosh.in/ |
生産者を哲学者、消費者を投資家と考えるなど、こだわりを持って事業に取り組む同社。今回はSDGsへの取り組みや若手活躍の実態について、管理部人事総務課/法人営業部の西野さんと、インターンから入社したオンライン営業部/未来創造室の平さんの、社員2人にお話を伺いました。
岩手の廃校を本社に。体育館をハンバーグ工場に再生
▲製造工場は、廃校となった小学校の体育館を使用したもの。地域への貢献であるほか、床が高いため製造工程においてもメリットがある。
編集部
門崎さんは「格之進」のブランドで展開されています。採用ページでまず目に飛び込んでくるのが「格之進は世界で一番、お肉に真剣な会社」という文言です。この言葉はやはり社員の皆さんにも深く浸透しているのでしょうか?
西野さん
そうですね。私たちは、世界で一番、お肉に真剣な会社でありたいと考えています。牛に向き合い、お肉に向き合うという愚直な姿勢に魅力を感じる人が集まっており、みんな、志を持って働いています。
編集部
お肉に真剣に向きあう「お肉のプロ」の集まりでいらっしゃるんですね。経営方針には「一関と東京を食で繋ぐ。岩手を世界に届ける。」を掲げています。地域創生につながる取り組みについて、教えていただけますか?
西野さん
まず、岩手県の一関に事業の拠点を置いているということです。東京・六本木などにも出店していますが、社長の千葉が生まれ育った一関から東京、そこから世界に届けていくという気概を持っています。今、SDGsの取り組みとして地産地消や循環型農業が注目されていますが、これはSDGsという言葉が知られるようになる前から一貫して取り組んでいることです。
編集部
事業規模を拡大されても、本社は岩手県一関市に置いていらっしゃるんですね。
西野さん
はい。実は本社がちょっと特徴的でして、廃校をリノベーションしているんです。千葉社長は母校でもある廃校となった岩手県の一関市門崎小学校をリノベーションし、『格之進』の本社を移転したと同時に、最新設備のハンバーグ工場を設立いたしました。校舎は本社にして、体育館をハンバーグ工場に再生しました。SDGsの取り組みとして、先日、テレビ番組にも取り上げられたんですよ。
編集部
そうなのですね!再生しましたとさらっとおっしゃいましたが、学校や体育館を工場にリノベーションするのは大変ですよね?
西野さん
はい。外から見ると完全に小学校と体育館なのですが、中に入ってみてやっと会社や工場になっていることがわかる感じです。工場内の設計は色々と工夫して作ったと聞いています。
工場長から聞いた話では、体育館はもともと床が高く作られており、工場にするにはとても相性が良かったそうです。工場は水はけの良さが求められるため、床に傾斜をつけて作るのですが、体育館はこの勾配をつけるのに良い作りということでした。
編集部
地域貢献だけでなく、実務面でも利点があったのですね。
西野さん
弊社がモデルとなって、こういう取り組みが他の会社さんでも広がっていくと良いなと思っています。
生産者を守り、フードロスを削減する「一頭買い」にこだわる
▲門崎熟成肉『格之進』の東京の店舗
編集部
廃校をリノベーションして本社にしたというお話からは、門崎さん発祥の地である岩手県への想いが伝わりました。食品や飲食事業において、SDGsにつながる取り組みがあれば、教えてください。
西野さん
弊社はできるだけ一頭買いをすることに重きを置いています。この業界では従来、焼肉屋さんなどがお肉を仕入れるときには、人気の部位だけをピックアップして購入することが多いそうなのですが、そうすると人気のない部位や希少部位を販売することに苦労したり、廃棄したりすることもあります。これは生産者の方を苦しめてしまうことにつながると考えています。
そこで、弊社では牛を一頭で仕入れ、解体して、ほとんど捨てるところがないくらいまで各部位に分けていきます。
編集部
一頭買いは、フードロスを削減することにつながるのですね?
西野さん
そうです。さらに私たちは生産者の方に「これだけ仕入れさせてもらう」とお約束をさせてもらうことで、生産者の生活を守っています。これも、地域創生につながっています。
編集部
無駄なくすべて使い切ることができるのは、お肉のプロだからこそできることですね。
西野さん
はい。弊社の主力商品の1つであるハンバーグについても、「この部位とこの部位を掛け合わせるとおいしい」とか「牛脂の部分も捨てずに入れるとうま味につながる」とか、こだわりとフードロス削減の観点を持って作っています。
編集部
岩手県産を中心とする食材にこだわるのは、お肉だけではなく、他の食材についてもでしょうか?
西野さん
お店で出すお米も、一関市の農家さんのものを使わせてもらっています。あとは、お野菜や調味料もそうです。ハンバーグには塩こうじを使っていますが、原材料となるお塩や米こうじは岩手や一関産のものに一貫してこだわっています。
消費は「未来への投資」。消費者とともに農業や食を支えたい
編集部
門崎さんはECサイトでのコラムやSNSを通じて消費者とのつながりも大切にしていらっしゃると感じました。消費者に農業や食を支えるという意識を持ってもらいたい、というお考えからなのでしょうか?
西野さん
門崎ではお客様、消費者の方を「投資家」という呼び方をさせていただいています。先ほどお肉の仕入れの話がありましたが、弊社は生産者の方に2年後、3年後の牛を買うことを約束しています。そのため、お客様にも「投資家」という意識を持っていただき、2年後、3年後も良いお付き合いをさせていただきたいと思っています。
編集部
ホームページで「消費者は食に対する投資家、生産者は安心と美味しさを届ける哲学者」という社長の言葉も拝見しました。消費者はお肉を消費して終わりではなく、こだわりや哲学を持つ生産者の方に投資するという意識を持ち、長くその関係性を続けてほしいと考えていらっしゃるんですね。まさにSDGsの考えにつながるものですね。
西野さん
はい。会社全体として、食の未来を見据え、販売や流通に取り組んでいます。
編集部
門崎さんは持続可能な日本の農業や畜産のために、さまざまな取り組みをされていることがわかりました。
▼格之進のSDGsへの取り組みはこちら
https://kakunosh.in/kanzaki-aging-beef/cat-passion/sdgs/
インターンから入社した若手社員、平さんの話
編集部
ここからは、門崎さんで働く皆さんについて伺います。平さんは学生時代にインターンを経験され、その後入社されたそうですね。インターンを始めたきっかけは、何だったのでしょうか?
平さん
最初のきっかけは、Wantedlyで門崎の会社ページを見たことです。ただ、商品を売るだけではなく、地方創生に貢献するという点に惹かれました。また、社長が肉を見つめている印象的な写真があり、「何かちょっと変わった会社があるな」と興味を持ちました。
そこからカジュアル面談を何度か重ね、大学在学中にインターン生として業務に入るようになり、そのまま2022年4月に新卒入社しました。
編集部
インターンのときは、どのような仕事をされたのでしょうか?
平さん
インターン時代は、何か企画を考え、そこに合わせて商品のセットを組んだり、SNSのキャンペーンを企画したりしていました。月替わりでコラムを書きながら、毎月1つ施策を行っていました。
当時は私ともう1人メンバーがいまして、2人で話し合ってやりたいことをどんどんチャレンジさせてもらえる環境でした。
編集部
商品企画やキャンペーン企画など、重要な仕事を任されていたのですね!平さんはインターンを経て入社され、門崎さんでどんなことを実現したいと思われていますか?
平さん
自分だけがうまくいくとか、利益が出るとかではなく、関わってくれるすべての人とより良い未来に向かってチャレンジしていきたいと思っています。ですので、消費者(=投資家)と生産者とのプラットフォームとなり日本の食の未来を創る会社のミッションにはとても共感しています。
編集部
ご自身のやりたいことが会社の経営方針やミッションにつながっているからこそ、平さんが活躍されているのだと思いました。
20代店長の発案イベントも。意思があればチャレンジできる風土がある
編集部
西野さんと平さんを含め、門崎さんでは若いメンバーが増えているのでしょうか?
西野さん
そうですね。新卒入社は毎年何人もいるわけではないのですが、ここ数年、比較的若い方の入社が多くなっていると感じます。東京の事務所は年齢の若い人が多く、20代から30代のメンバーが中心です。
編集部
若手メンバーの活躍について、他にも事例があれば教えてください。
西野さん
例えば、六本木の店舗にいる20代の店長が若手リーダーの会を開催したり、格之進のお肉を様々な形で楽しめるようなイベントを開催したりしています。
編集部
先ほどの平さんのインターン時代のお話からも伺えましたが、若手の方がチャレンジできる風土があるのですね!
西野さん
やってみたいことや挑戦してみたいことについて声を上げれば、自分で形にして実現することができる環境があります。若手のうちでも、意思があればどんどん仕事で挑戦できるのは、とても魅力的なのではと思います。
編集部
社員さんの雰囲気については、採用サイトのインタビュー記事からも伺えました。西野さんは人事として、入社された皆さんからどのような声をよく聞きますか?
西野さん
岩手で勤務しているメンバーは一関市出身の人が多く、一関に貢献したい、その土地で頑張りたいという人がとても多いです。また、自分で考えて色々な挑戦ができるところ、その挑戦を皆がサポートしてくれるところがいいという声をよく聞きます。「働いていて雰囲気がいい」という声も多いです。
編集部
若手でもチャレンジできる風土には、周りのサポートもあるのですね。
門崎にはダイバーシティの考え方を持った人が多い
編集部
「働いていて雰囲気がいい」とお聞きしましたが、平さんは率直に社内にはどんな方が多いと感じますか?
平さん
うちはメーカーですが、飲食店、工場、食品加工、EC、営業とさまざまな部門があり、働く場所によってまるで違う業界のように仕事内容もやり方も違います。その中で同じミッションに向かって支え合っています。こういった環境であるため、何か一つに凝り固まるというよりは、ダイバーシティの考え方を持った人が多いのかなと感じています。
編集部
働く場所や業務内容は違っても、お互いにリスペクトし合う雰囲気があるのですね。ちなみに、門崎さんでは女性も多く活躍されているのでしょうか?
西野さん
私は入社前は飲食業界は体力面でハードなところがあるため、女性の活躍は難しいのかなと考えていましたが、入ってみると結構、女性が活躍しているなと感じます。
実際に岩手では、マネージャーとして活躍している20代女性がいます。社長をはじめ社内で教える人もいるため、彼女はもちろんお肉を解体することができますし、お店をメインで作っているのも彼女です。
編集部
そうなんですね。ダイバーシティという点では、お店のスタッフの中には外国籍の方もいらっしゃるそうですね?
西野さん
お店にも外国人のお客様も来るようになり、グローバル化に順応できるようにしないといけないと思っています。そのためにも、お店のスタッフに外国人を受け入れています。
生産者・消費者と一緒に日本の食の未来を創りたい人を求む
編集部
最後に、今後の採用に向けて、お2人から「こんな人と働きたい」というメッセージをいただければと思います。
西野さん
食を通じた地域創生、そして、生産者や消費者とともに日本の食の未来を創るという、私たちが大切にしていることに共感していただける方です。また、現状の会社には課題もありますので、一緒に考えながら、一緒にチャレンジしていける方にぜひ入社していただきたいです。前職が食品とは関係のない方や未経験であっても歓迎します。
平さん
私も同じく会社のミッションに共感していただける方、そして、前向きに何でもチャレンジしたいっていう熱意がある方と働きたいです。本当に経歴とかスキルとかいうより、どんどん前向きに進んでいける方と一緒に働けると良いなと思っています。
編集部
西野さん、平さん、本日はありがとうございました!
門崎さんでは岩手や東京の飲食事業部や営業メンバーなどの人材を募集しています。消費者・取引先・生産者を繋ぎ、日本の食の未来を創る同社の取り組みに共感した方は、ぜひ採用サイトをご覧ください。
■取材協力
株式会社門崎:https://kakunosh.in/
採用ページ:https://kakunosh.in/recruit/