新しい働き方を取り入れている企業を紹介するこの企画。今回は、あらゆる企業の人材不足をオンラインで解消しつつ、「働き方の多様化」を実現されている株式会社ニットをご紹介します。インタビューに応じてくださったのは、人事の宇治川さんと広報の中野さんです。
新しい働き方を取り入れ、あらゆる企業の課題を解決する「ニット」
株式会社ニットは、多様なスキルやキャリアを持つ人材を集め、さまざまな企業の人材不足の解消・業務効率化をサポートする企業です。企業からオンラインで業務を受託し、代行業務もすべてオンラインで行う、完全オンライン型のアウトソーシングサービス「HELP YOU(ヘルプユー)」を運営しています。
会社名 | 株式会社ニット |
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住所 | 東京都品川区西五反田 7-22-17 TOCビル 10F 41号 |
事業内容 | オンラインアウトソーシング・オンライン特化型アウトソーシング・海外進出支援・オンライン学習・メディア運営 |
設立 | 2017年8月 ※2015年 HELP YOUサービス開始 |
公式ページ | https://knit-inc.com/ |
ニット/HELP YOUでは、さまざまなバックグラウンドを持つスタッフが、住む場所や環境に捉われず自身のスキルを活かし仕事をしています。国内はもちろん、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカなど世界各地に住んでいるスタッフもいるそう。距離だけでなく時差もある中、どのような働き方で業務をこなしているのか、今回は、ニット/HELP YOUの働き方の特徴やこの働き方ができる理由についてインタビューしました。
自分らしい生き方・働き方ができる社会を目指して創業
編集部
御社の掲げるビジョン「未来を自分で選択できる社会をつくる」について教えてください。どのようなきっかけで創業にいたったのでしょうか。
広報・中野さん
弊社代表の秋沢が前職を辞めた後、アメリカで一人旅をしていたのですが、その時にパソコン1つで仕事を請け負っていました。この経験がきっかけとなり、「フルリモートで業務を請け負うことができれば、働く場所・住む場所にとらわれることなく自由に働ける」と考え、オンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」を立ち上げました。
弊社は、「HELP YOU」を利用されるお客様(企業様)に喜ばれるサービスを提供することはもちろん、弊社で働くスタッフにも自分らしい生き方・働き方を提供することを目指しています。
パートナーの転勤に伴い転居の多い人、子育て中・親の介護中の人など、プライベートを理由に働くことが難しかった人たちが、HELP YOUのメンバーとなってプライベートと両立させながら、フルリモートで働いています。
HELP YOUのメンバーが幸せに働くことで、生産性を高め、お客様のかゆいところに手が届くようなサービスを提供できていると思います。
企業を支え、働く人を応援するサービスを提供
編集部
御社の事業内容について教えてください。
広報・中野さん
ニットでは、大きくわけて「企業の支援」「HELP YOUメンバーを応援する取り組み」の2つを実践しています。
「企業の支援」としては、経理や総務などのバックオフィス業務を代行するオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」、マーケティングや海外調査など特殊な業務を代行するオンラインアウトソーシングの特化型「HELP YOU +plus」がございます。
そして、「働き手を応援する取り組み」の1つとして、新しい働き方を提案するオウンドメディア「くらしと仕事」を運営しています。
「HELP YOU」「HELP YOU +plus」では、企業が抱える「バックオフィスの業務」や「プロに任せた方が効率が上がる業務」をクライアントからオンラインで受託し業務を行っております。業務内容としては、主に経理や人事・採用・総務といったバックオフィス業務、営業用資料の作成などです。最近は、企業アカウントのSNS運用代行のご依頼も増えてきました。
オウンドメディア「くらしと仕事」では、新しい働き方・生き方を実現させている弊社で働くメンバーのインタビュー記事を掲載しています。
フルリモートで住む場所も自由!日本各地、世界35カ国にメンバーが点在
編集部
ニット/HELP YOUで働くみなさんの、働き方や働く環境について教えてください。
広報・中野さん
ニット/HELP YOUでは、社員とフリーランスメンバーを含め、約500人ほどのスタッフがフルリモートで働いています。フルリモートなので住む場所に縛りがなく、地方や海外で暮らすメンバーが多いです。
社員は9時から18時の時間で働いていますが、フリーランスメンバーは特に縛りはなく、無理のない範囲で、それぞれが働きやすい形で仕事をしています。
編集部
海外で暮らす方も多いということですが、どのくらいのスタッフが海外にいらっしゃるのでしょうか。
人事・宇治川さん
私を含め、今、海外に住んでいるスタッフは全体の23%で、だいたい4人に1人は海外で仕事をしている状況です。(この日、宇治川さんは、アフリカ・ルワンダから取材に応じてくださいました!)
国もさまざまで、世界35カ国に渡ります。
アジア圏だと時差が1〜2時間なので、時間的には日本で働くのと大きな差はないですが、ヨーロッパ組・アメリカ組は時差が8〜14時間ある中で働いています。
編集部
それだけ時差があっても問題なく業務を行えているというのはすごいですね。スムーズに業務を行うために、時差があるからこそ気をつけている事などはあるのでしょうか。
人事・宇治川さん
時差があるからこそのメリットを利用しています。
例えば、私がいるHRチームは、ルワンダにいる私のほかに、日本に住んでいるメンバーと、私と同じタイムゾーンのトルコに住んでいるメンバー、ニューヨークに住んでいるメンバーがいます。
時差がありますが勤務時間が少しずつ重なっているので、それぞれが引き継ぎ、時間が途切れることなく業務を行えます。まるでリレーのように、次のメンバーへとバトンを繋ぐイメージです。ここまでやったのであとはヨーロッパ組へ、ヨーロッパ組が終わったらアメリカ組へ、という感じで動いています。
また、この時差は、人事という立場でもメリットがあります。平日の昼間は面談希望者もみなさん仕事で忙しいですが、時差があるおかげで、夜間に面談をしたい方がいても勤務時間内に対応することができます。
編集部
日常的なコミュニケーションはどのように取られているのでしょうか。例えば、社員が一同に集まっての会議などはありますか?
人事・宇治川さん
時差があるゆえ、メンバー全員で同じ時間に集まることはできませんが、全社員に向けたメッセージなどは録画して共有したりしています。
また、フルリモートだからこそ、まずは顔を合わせて仕事がしやすい環境をつくることを大切にしていて、2ヶ月に1回のペースでジョインしたフリーランスのメンバーを歓迎するためのウェルカムパーティーを開催しています。
世界各地にメンバーがいて時差もさまざまなので、無理のない範囲で参加を呼びかけていますが、結構みなさん積極的に参加してくださいます。今月はペルーのメンバーは深夜、イタリアのメンバーは早朝にも関わらず、参加してくれました。
▲ウェルカムパーティーの様子。みなさんイキイキした表情が素敵です。
編集部
「無理のない範囲で参加」と伝えてはいるものの、早朝や深夜に時間を作る人がいるあたり、メンバーのみなさんもオンラインで顔を合わせる温かいつながりがある機会を大切にしているということがわかります。
ウェルカムパーティーのお写真からも、楽しそうな雰囲気が伝わりますね。
共通点別のコミュニティで横の繋がりを生み、働きやすい環境を創る
編集部
働きやすさにつながることについて、御社ならではの取り組みがあれば教えてください。
広報・中野さん
ニットには、仕事以外でも横の繋がりができるように、オンラインコミュニティの運営やイベントを開催しています。オンラインコミュニティは現在45個もあるのですが、これは全て会社がつくっているものではなく、メンバーが自発的に立ち上げたものです。
参加メンバーはニットの社員だけに限らず、HELP YOUのフリーランスのメンバーも含めた全員が対象です。
コミュニティの内容はさまざまで、仕事のスキルアップを目指すもの、趣味でつながるもの、ただ雑談をするものなどがあります。仕事のスキルアップをするための場というのはよくありますが、仕事以外のコミュニティが多いという点が、弊社のユニークな特徴だと思います。
今、一番盛り上がっているのは「韓国沼の会」です。その名の通り、韓国好きのメンバーがオンラインで集まって、BTSなどK-POPの話とか、旅行解禁になったけど状況はどうなのか、などの話をチャットでやり取りしています。
人事・宇治川さん
私は「時差ワーク組の部屋」というコミュニティに入っています。
海外で仕事をするメンバーが入っていて、コロナ禍には「日本への帰国はどうだったか」「子連れで大丈夫だったか」「日本に入国する際はこういうことが面倒くさかった」などの情報交換をしたり、趣味の話をしています。最近だと、納豆作りの話題で盛り上がっていますよ。
▲海外にいると食べたくなる納豆!海外メンバーならではの話題ですね。
45個もあるので紹介しきれませんが、他にもキャンプ好きが集まっている部屋や、ペットを自慢しあう「ペットわんにゃんの会」というコミュニティもあります。参加人数はコミュニティによって全然違って、10人ほどの少人数のものから、100人近い規模のものまであるんですよ。
どのコミュニティも強制ではないので、入っても入らなくても良いですし、参加してもただ見守るだけで、見る専門でも全く問題ないです。それぞれテンションは違いますが、それがまた良いと思っています。
「幸せな働き方」ができているか、幸福度診断でメンバーの仕事環境を測定
編集部
他にも御社ならではの取り組みがあれば教えてください。
広報・中野さん
ニットの企業理念『「働く」を通じて、みんなを幸せに』が実現できているかどうかを測る目的で、年に2回、すべてのメンバーを対象とした「幸福度診断」を実施しています。
この「幸せ度」は仕事だけでなくプライベートとの両軸で調査を行っており、気持ちよく働けているか、仕事場の環境の他、仕事以外の身近な人・家族との関係は良好かというような項目もあります。
弊社の特徴としては「職場の幸せ度」がとても伸びており、コミュニティで横の繋がりができたこと・仕事以外でコミュニケーションを取ることで仕事がスムーズになったことなど、コミュニケーションの場が多いことがこの成果に大きく関係していると思われます。
編集部
仕事とは関係ないことで繋がりができると、親近感もわき、これまで以上に協力しよう、助け合おうという気持ちが強くなりますね。お互いの人間性を知ると信頼関係もより強くなると思いますが、信頼できる仲間と一緒に仕事ができるというのは、確かに幸せな職場環境だと思います。
広報・中野さん
プライベートも幸せであってほしいので、アンケートでは他にも「これからチャレンジしてみたいこと」について聞いています。後日、このアンケート結果をもとにインナーブランディング※担当がプロジェクトを立ち上げ、参加者を募り、みんなで一緒にチャレンジしたりしています。
※インナーブランディング:自社の従業員に向けて行うブランディング活動のこと。企業理念を会社全体に浸透させ従業員一人ひとりの行動を変え成果に結びつける目的で行う。
例えば、最近立ち上げたプロジェクトだと、「〇〇はじめます」というものがあります。目標が大きくなりすぎると参加しづらいので、みんなが気軽に参加できるよう軽いテーマにしました。みんなそれぞれ「部屋を片付けます」「英語勉強をします」など別々の目標を立て、実行できたことを報告したりしていますよ。
編集部
「ニット/HELP YOUで働くことを通じて、プライベートも幸せであってほしい」という思いで、一人ひとりの「やりたいこと」が実現されるような環境をつくっていらっしゃるのですね。チャレンジしたいと思いつつ、自分の意志だけだとつい後回しにしてしまうことは大いにあると思うので、背中を押してもらうことで実現に一歩近づけそうです。
ブランクがあっても活躍できるよう、しっかりフォロー
編集部
中には働くことにブランクがある方もいらっしゃるということですが、フルリモートという環境で働けるのか、不安になる方もいるのではないでしょうか。
人事・宇治川さん
そうですね、今バリバリ仕事をしてくれているメンバーの中にもそういった方はいました。
弊社ではChatWorkを使ったテキストコミュニケーションをメインにしているのですが、テキストコミュニケーションスキルはオンラインで仕事をする上でとても重要です。お客さまとのやりとりはもちろん、メンバー同士で円滑に業務を行う上でも必須スキルだと思っています。
そのため、ブランクがあるスタッフがスムーズに仕事に復帰でき、活躍できるよう、自社のオンライン学習サービスの中で提供している「テキストコミュニケーション講座」を受講してもらっています。
受講することでテキストでのコミュニケーション能力が上がりますし、コミュニケーション能力が上がることで企業様により良いサービスを提供することにも繋がっています。
合宿やオンラインで顔を合わせて集まることも
▲オウンドメディア「くらしと仕事」メンバーの企画会議の様子。楽しそうな様子が伝わります。
編集部
メンバーと対面で会う機会などはあるのでしょうか。
人事・宇治川さん
今年の夏に、ニットメンバーが集まる夏合宿をリアルで行いました(2022年)。
コロナ禍以前には、年に1回、フリーランスのメンバーも含め、リアルで会うミートアップを開催していましたが、コロナでそれも難しくなり、今はすべてオンラインでやっています。
▲合宿の様子。普段は話せないことも語り合えそう!
ニット/HELP YOUでは社内だけではなく、社外にも情報発信をしていて、オンラインのイベントではメンバーの得意なスキルを社外へシェアしています。あとは、育児と両立しながら働くメンバーが多いので、子供向けにオンラインイベントをやったりもしています。
旅をしながら働く人も!多種多様な生き方・暮らし方をするメンバーが多い
編集部
ニット/HELP YOUで働く方はどういう方が多いでしょうか。共通点があれば教えてください。
人事・宇治川さん
お子さんがいる方、パートナーの転勤が多く1ヵ所で働くことが難しい方など、フルタイムで外に出て働くことが難しい方、出社しづらい環境の方が多いです。
インターネット環境が整っていればどこに行っても働けるので、いろいろな生き方・暮らし方をされています。
例えば、夫婦で旅をしながら仕事をしているスタッフもいて、今は南米から仕事をしてくれています。今トルコにいるスタッフはアドレスホッパー※で、世界中を転々と渡り歩きながら仕事をしているので、会議の際にどこにいるか聞いています。
※アドレスホッパー:どこかに定住せずに、さまざまな土地を転々としながら生活する人のこと
そういう生き方や暮らし方には、私自身もいつも刺激をもらっています。このように「自分らしく働いて生きていく」という人同士が集まる場となり、「さまざまな生き方をしている人たちと出会える場」であることが、ニット/HELP YOUの特徴でもあり魅力なのではないかと思っています。
ニットから求職者へのメッセージ
編集部
最後に、ニットに興味をお持ちの求職者に向けて、メッセージをお願いします。
人事・宇治川さん
ニットは、「未来を自分で選択できる社会をつくる」ことを目指しています。「こんな未来を実現したい」というビジョンをお持ちの方、その未来を実現するために「HELP YOU」という組織に入り、私たちと一緒に盛り上げてくださる方と仲間になって働きたいと思っています。
働く意欲や能力が高いにも関わらず、さまざまな理由で仕事から離れなければならなかった方、ぜひ気軽にご連絡ください。
編集部
宇治川さん、中野さん、本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ニット:https://knit-inc.com/
採用ページ:https://knit-inc.com/recruit/
オンラインアウトソーシング「HELP YOU」:https://help-you.me/
オウンドメディア「くらしと仕事」:https://kurashigoto.me/