ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、国士舘中学校にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同校で働く魅力をご紹介します。
国士舘中学校は、中学・高校・大学を擁する総合学園として、生徒の6年間にわたる成長をサポートしています。「子どもが好き」という気持ちを大切にしながら、一人ひとりの生徒に寄り添った教育を実践。男女共学への移行を経て、現在は多様な価値観を持つ教職員が協力し合い、生徒の可能性を伸ばす教育環境を創り上げています。
今回は、国士舘中学校の教育環境や職場の魅力について、渡邊隆校長先生と30年の教職経験を持つ神山優子教頭先生にお話を伺いました。
国士舘中学校の6年間一貫教育で広がるキャリアの可能性
▲男女共学で学ぶ国士舘中学校の生徒たち
編集部
中学・高校・大学を擁する総合学園として、国士舘ならではの魅力や特徴についてお聞かせください。
神山教頭
本校の特徴的な点は、まず中高一貫校として6年間の生徒の成長に関われることです。中学・高校両方の授業を担当できるため、12歳から18歳までの成長過程に深く関わることができます。これは中学3年間や高校3年間だけよりも、はるかに幅広い教育経験を得られる機会となっています。
さらに、隣接する大学キャンパスがあることで、卒業生の大学生としての姿も間近で見ることができます。中学入学時から大学卒業までの約10年間という長いスパンで、生徒の成長を見守れることは本校ならではの魅力です。
特に私学として大切にしているのは、建学の精神「誠意・勤労・見識・気魄」を踏まえた教育の実践です。中高大と一貫して学んだ学生と、大学からの入学生との違いは明確で、私たちの教育理念がしっかりと根付いていることを実感できます。
また、私立学校ならではの独自性を活かせる環境も魅力の一つです。もちろん一定の枠組みはありますが、「どうすれば生徒にとって楽しい授業や行事になるか」「教員同士でどう協力して運営できるか」など、創造性を活かせる機会が豊富にあります。
編集部
行事などでの新しい試みもありますか。
渡邊校長
伝統を大切にしながらも、合理的な範囲での新しい試みは積極的に受け入れています。
神山教頭
教員それぞれが持つ「楽しさ」の視点を大切にしています。既存の枠組みの中でも、「これはどうだろう」「あれを試してみては」という提案を重ねながら、より良い教育活動を模索しています。確かに制約はありますが、チャレンジできる範囲は非常に広いと感じています。
編集部
具体的な独自の行事や特別な取り組みについて教えていただけますか。
渡邊校長
体育祭もそうですし、修学旅行では長崎に行って被爆者の方々の話を聞くという経験をします。事前指導もするのですが、講話が始まると普段はうるさい生徒たちも、ピシッと聞くので注意する。その姿勢を見るとやはりうちの教育ならではのものなのかなと感じます。講話が始まると先生方も注意する必要がないのです。
思春期の生徒に寄り添う指導方針は「子どもが好き」という心
▲黒板の前で授業を行う国士舘中学校の教員
編集部
外部から見ると、国士舘中学は男子生徒が多く、部活動も盛んな学校というイメージがあります。女性教員として働くことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際の環境はいかがでしょうか。
渡邊校長
最も大切なのは「子どもが好き」という気持ちです。生徒たちはその気持ちをしっかりと感じ取ることができます。もちろん経験も必要ですが、その好きという気持ちが伝われば、必ず生徒たちはついてきてくれます。
神山教頭
教員側が生徒に対して好意的な気持ちを持っているかどうかが重要です。教育という仕事を選ぶ方は基本的に子どもが好きな方が多いと思います。その気持ちが生徒に伝わるまでの時間は人それぞれです。
生徒は第一印象で判断することもありますが、じわじわと人柄を理解してくれることもあります。3年間の関わりを通じて、卒業時に「あの先生はこういう思いで接してくれていたんだ」と理解してもらえることもあります。
編集部
具体的にはどのような指導を心がけていらっしゃいますか。
神山教頭
中学校の教員の仕事は、即効性のあるものはほとんどありません。思春期の生徒たちなので、「うるせーな」と言い返されて、その場では理解してもらえないこともことは少なくありません。
しかし3年後、5年後、時には10年後になって「そういうことだったのか」と気づいてもらえることが多いのです。それは私自身の経験でもあり、現場の多くの先生方も同じ思いを持って指導されていると思います。
編集部
保護者の方からは、どのような評価の声が届いていますか。
神山教頭
保護者の方からよく聞くのは、国士舘中学校に入って挨拶ができるようになったという声です。また、学校の話をよくするようになったという声もいただきます。教えていることがじわじわと効いてくることもありますが、特に1年生で今まで十分に挨拶ができていなかった子が、先輩たちの姿を見て真似をするようになり、それが家庭でもできるようになるということは、面談や保護者会でよく聞かれます。
渡邊校長
本校の行事、特に体育祭や野球応援、サッカー応援の準決勝・決勝では全校応援になりますが、その時の学校の一体感を見て、保護者の方から「国士舘中学校に入れてよかった」という声をいただくのが非常に嬉しいですね。
また、子供たちも保護者も、子供たちが社会に出たときに本当に助かったという声を後からいただきます。兄弟で入学されるケースも非常に多く、お兄ちゃんお姉ちゃんがいきいきと活躍できるようになって、下の子も入れようという方が非常に多いです。そこは保護者にも本当に感謝していますし、ありがたいと思います。
女性教員が活躍中、ときには寮生にとって母親的な存在に。
▲男子生徒に寄り添った指導をする国士舘中学校の女性教員
編集部
専任教員の人数と、その中での女性教員の割合について教えていただけますか。
渡邊校長
専任教員は全部で60〜70人ほどおりますが、その中で女性教員は3分の1より少ないぐらいですね。
編集部
他校と比較して特に少ない状況なのでしょうか。
神山教頭
やや少ないかもしれません。本校は元々男子校だった背景があり、そのため男性教員が多くなっているのだと思います。
編集部
神山先生は30年近く本校に在籍されているとお聞きしましたが、その経験についてお聞かせください。
神山教頭
私が最初に非常勤として着任したのは、本校が男子校から共学へ移行する直前でした。その後の共学化、そして女子生徒の増加など、学校の大きな変革期を教員として経験できたことは、非常に興味深い経験でした。特に本校では寮生活をする生徒も多く、女性教員として母親的な役割も担わせていただきました。生徒からは厳しい先生だと言われることもありますが、特に寮生に対しては母親目線での細やかな気配りを心がけてきました。
編集部
具体的にはどのような気配りをされているのでしょうか。
神山教頭
食事の心配をしたり、制服のボタンが取れていないかチェックしたりと、普段なら母親がケアするような細かな部分まで気を配るように心がけています。
編集部
渡邊先生、他の女性教員の特徴的な取り組みについてお聞かせください。
渡邊校長
年配の女性教員は特に母親のような存在として活躍されています。生徒たちの心をしっかりと掴み、最終的には慕われる存在となっています。特に生徒指導における「飴と鞭」の使い分けが非常に上手で、私たち男性教員も多くを学ばせていただいています。
神山教頭
生徒指導において重要なのは、男女の区別なく接することです。特に女子生徒に対して「女子だから」という特別な意識を持ちすぎると、かえってトラブルの原因になることがあります。全ての生徒を同じ集団の一員として扱うことで、より効果的な指導ができると考えています。
また、若手の女性教員から相談を受けることもありますが、特に男子生徒との関係づくりについての悩みが多いようです。そういった場合、一貫した態度を保ち続けることの重要性を伝えています。厳しい対応が必要な場面もありますが、ブレない姿勢を持ち続けることで、最終的には生徒との信頼関係を築くことができます。
職場環境:教員の結束が高く、家庭の事情は「お互い様」
▲職員室で談笑する国士舘中学校の教員たち
編集部
職員室の雰囲気や先生方の関係性について、お聞かせいただけますか。
渡邊校長
本校の特徴は、学年単位のまとまりがしっかりしているところです。各学年がチームとして固まっており、その中での調和が非常に良いと感じています。
神山教頭
中学校と高校がしっかり分かれていて、中学校は4階に独立した職員室があります。中学校の場合、1学年2クラスで担任の先生が6人いらっしゃいますが、まさに一心同体のような関係性です。学年主任を中心に、様々な意見を出し合いながら学年運営をしています。3年間という期間を通じて、家族のような一体感が生まれる環境だと感じています。
編集部
女性教員の長期的なキャリア継続に向けて、どのようなサポート体制を整えていらっしゃいますか。
渡邊校長
就業規則による制度面の整備はもちろんですが、それ以上に個々の家庭状況に応じて柔軟な対応を心がけています。例えば、保育園の送迎のために勤務時間を調整するなど、可能な範囲でできる限りの配慮をしています。これは「お互い様」という考えのもと、全教員で支え合える環境づくりを目指しています。
神山教頭
本校では、制度としての枠組みはしっかりと整備されていますが、それ以上に個々の状況に応じたきめ細やかな対応を大切にしています。特に女性教員の場合、年代や個人によって異なる身体的特徴や生理的な条件があります。そのため、「この先生が今必要としているサポートは何か」という視点で個別に対応を考えていただいています。
また、最近では育児だけでなく介護の問題なども出てきており、これは男性教員にも共通する課題です。性別に関係なく、一人ひとりの状況に合わせて「学校としてどのような支援ができるか」を考え、実際の運用に反映させています。このような柔軟な職場環境づくりが、教員のキャリア継続を支える重要な要素となっています。
国士舘中学校が求める教員像:「人としての成長を支える」視点のある人
編集部
最後に、この記事を読んで国士舘中学に興味を持った読者に向けて、採用に関するメッセージをお願いします。
渡邊校長
教科指導や生活指導なども大切ですが、人としての成長をどう支えていくかという視点を持っている方を求めています。教員の仕事は確かに大変ですが、3年後、6年後の子どもたちの成長を見られることが、何よりの喜びとなります。
また、一人ひとりの生徒と真剣に向き合う姿勢も絶対に欠かせません。単に厳しいだけでも、優しいだけでもいけません。生徒一人ひとりの個性を理解し、適切な指導ができる方を歓迎します。
編集部
思春期の生徒たちを、長い目で温かく見守っているからこそ、国士館では建学の精神が生きた芯のある人材が育っているんですね。本日はありがとうございました。
編集後記
この記事のまとめ
職場環境・雰囲気 |
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仕事の特徴 |
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教育方針・特色 |
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やりがい・成果 |
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求める人材像 |
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国士舘中学校の基本情報
住所 | 東京都世田谷区若林4-32-1 |
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設立 | 1917年に私塾「國士館」創立 |
公式ページ | https://jhs.kokushikan.ed.jp |
採用ページ | https://jhs.kokushikan.ed.jp/news/details_16900.html |
募集職種 | 中学校教員 |