ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、久喜市にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、久喜市で働く魅力をご紹介します。
男性の育児休業取得率4年連続100%、女性管理職比率約20%など、ワークライフバランスとキャリア形成の両立に力を入れている埼玉県久喜市。令和5年4月には職員の健康支援を専門とする「職員健康支援室」を設置するなど、職員の働きやすさを重視する久喜市の魅力に迫ります。
今回は、そんな久喜市の働き方改革や職場環境について、職員健康支援室で室長を務める中繁さん、保健師の若元さん、事務職の稲垣さんにお話を伺いました。
年休取得14日以上を達成!休暇を取得しやすい職場環境を実現
編集部
まずはじめに、久喜市の年次有給休暇の取得状況について教えてください。
中繁さん
久喜市では、年間最大40日間の有給休暇を1時間単位で取得可能です。令和5年度は、久喜市の年次有給休暇の年間取得目標である平均14日を上回る14.3日取得を達成しました。この結果は、「できるだけ有給休暇を取得し、リフレッシュしてほしい」と、職員に何度も呼びかけた成果だと思います。
稲垣さん
加えて、有給休暇に限らず様々な休暇が非常に取りやすい環境でもあります。例えば、自分自身や家族の体調不良などで当日急に休まなければならないときも快く受け入れてもらえ、その間の業務はできる限り周りの職員がサポートしてくれる体制があります。
「休んだ分、次の日に仕事が溜まってしまった」ということもなく、安心して休暇を取得することができ、ウェルビーイングな働き方が実現できていると思います。
男性の育児休業取得率100%を継続中!育児参加を積極支援
編集部
育児休業取得について、現在の状況を教えていただけますか?
中繁さん
久喜市の男性職員の育児休業取得率は、4年連続100%を達成しています。これは他の自治体ではなかなか見られない成果で、大変誇りに思っています。久喜市では、お子さんが生まれた職員が、育児休業を取得しやすい風土が定着してきています。
編集部
100%という高い育児休業取得率を維持できている理由はどこにあるとお考えですか?
稲垣さん
女性に限らず、男性もお子さんが生まれた場合は、育児休業を積極的に取得するよう周知が徹底されており、育児休業の取得が当たり前という雰囲気があるからだと思います。
また、久喜市は、上司や管理職が部下のワークライフバランスを考えながら、自らも仕事や私生活を充実させることを目的とした「イクボス宣言」を実施しており、上司や管理職も育児休業取得を推進する姿勢を示しているため、長期の取得も気兼ねなく申請できる環境です。
実は私自身も半年間の育児休業を取得したのですが、温かく受け入れてもらえたと感じています。
充実した両立支援制度で仕事と育児の両立をサポート
編集部
仕事と育児の両立支援について、具体的な制度を教えていただけますか?
中繁さん
久喜市では、子どもの小学校就学前まで、希望する日や時間帯に勤務できる「育児短時間勤務」や、勤務時間の始まりや終わりに30分単位で1日最大2時間取得できる「部分休業」という制度があります。
育児短時間勤務は、午前中は休んで午後から勤務するなど、ライフスタイルに応じて4つの勤務体系から働き方を選べる制度です。
具体的には、①月~金曜日に1日当たり3時間55分勤務する形態(週19時間35分勤務)、②月~金曜日に1日当たり4時間55分勤務する形態(週24時間35分勤務)、③月~金曜日のうち3日を7時間45分(週23時間15分勤務)、④月~金曜日のうち2日を7時間45分、1日を3時間55分勤務する形態(週19時間25分勤務)が選択できます。
部分休業については、育児休業から復帰した職員の半数以上が取得しています。主に保育園の送迎のために取得している職員が多い印象です。
若元さん
私自身、昨年度まで部分休業を取得していました。保育園や子どもの習い事の送迎があるので、朝や夕方に休みが取れる部分休業は大変助かりました。
また、部分休業だけでなく、年次有給休暇も時間単位で取得可能です。例えば、午後だけ有給休暇を取得して子どもの参観日に参加する、昼に数時間だけ有給休暇を取得して病院を受診する、というような使い方もできるので、非常にありがたかったです。
残業削減の取組で、平均残業時間10.7時間を実現
▲朝のあいさつ運動で「仕事」の手話をする稲垣さん
編集部
残業を減らすための具体的な取組はされていますか?
中繁さん
水曜日と木曜日をノー残業デーとし、職員に定時退庁を呼びかけています。
具体的には、毎朝の取組として、手話を使った「あいさつ運動」や30秒程度の簡単な体操を実施しているのですが、ノー残業デーの日には、各課で「今日はノー残業デーです。課内全体で業務効率を高め、定時に退庁しましょう」とアナウンスしています。
加えて、職員のパソコンの画面上に「今日はノー残業デーです」というポップアップを表示するなど、様々な方法で意識づけを行っています。
また、夏季には明るい夕方の時間に仕事を終わらせ、家族や友人と過ごす時間を楽しむことを推進する「ゆう活」を実施しています。ゆう活実施期間中のノー残業デーには、17時15分以降に部長や副部長といった幹部職員が庁舎内を巡回し、早期退庁を呼びかけています。
民間企業では残業削減が非常に進んでいますが、私たちも職員の健康とワークライフバランスを第一に考え、できるだけ早く退庁できる環境づくりを心がけています。
編集部
これらの取組の結果、どれくらい残業時間が減少したのでしょうか?
中繁さん
令和4年度の職員1人当たり・1月当たりの平均残業時間が11.8時間だったのに対し、令和5年度は10.7時間と、およそ1時間減少することができました。今後さらに残業時間を削減できるよう、様々な取組を続けてまいります。
久喜市の充実した女性向けキャリア支援
編集部
女性の活躍推進について、具体的にどのような取組を行っているのでしょうか?
中繁さん
女性職員のワークライフバランスの実現に向けた不安の解消を図りつつ、将来のビジョンを思い描く機会としてもらうことを目的に、毎年「働く女性のためのステップアップ研修」を実施しています。管理職に占める女性職員の割合は、令和6年度現在19.7%で、目標の25%には届いていませんが、より多くの女性が活躍できる職場づくりを目指しています。
編集部
研修でどのような効果が出ているのでしょうか?
中繁さん
この研修では、仕事と家庭生活の両立、キャリア形成や管理職としての心構えなどについて、女性管理職から体験談を共有してもらうほか、女性管理職を交えたグループワークを通じて、参加者同士が将来のキャリアプランについて話し合いを行っています。
先輩職員の経験を聞くことで、具体的な目標設定や課題解決の方法を見出し、「自分にもできるかもしれない」と前向きになったり、管理職として必要なスキルについて新たな気づきを得たりと、キャリアアップへの意欲が高まった職員が多くいます。
編集部
先ほど、管理職の女性比率は19.7%とお話していただきましたが、女性職員のキャリア形成について、どのように感じていますか?
中繁さん
管理職は係長級から課長補佐級、課長級へと上がっていくのですが、女性の課長として40代で活躍している職員も増えてきている印象があり、活躍できる女性には昇進の機会がしっかり与えられていると感じます。
女性の場合、結婚や出産などライフステージの変化に伴って働き方の変更を余儀なくされることも多いですが、久喜市の場合は、部分休業や育児短時間勤務などの制度をうまく活用しながらキャリアを止めることなく働ける環境だと思います。
編集部
管理職を目指す職員に対して、どのようなサポートをされているのでしょうか?
若元さん
久喜市では、一定の勤続年数を積めば自分のタイミングで昇任試験を受験することができます。例えば、子育てが忙しい時期は受験を見送り、少し落ち着いてから挑戦するといった柔軟な対応が可能であり、自分のペースでステップアップできる環境が整っているのは大きな魅力だと思います。
中繁さん
また、係長級以上の女性職員による「雅(みやび)の会」という交流の場を設けており、若手女性職員のキャリアアップに向けた意見交換や親睦を深める交流会を行っています。
育児をしながらの管理職というと大変そうというイメージがありますが、そのような先入観の払拭にも努めています。交流会などのイベントを通して女性職員同士の交流を図ることで、庁内ネットワークの構築につなげています。
編集部
実際に女性職員が管理職として活躍している事例があれば教えていただけますか?
稲垣さん
中繁が室長として活躍しているのが何よりの事例だと思います。また私自身、入庁する前は「管理職は男性ばかりだろう」と思っていたのですが、入庁1年目は女性の課長補佐の下で働いていましたし、次に異動した部署も係長が女性の方でした。久喜市は管理職に一定数女性がいるということを、身をもって体感しています。
土木・建築など、専門職でも女性が活躍!
編集部
専門職での女性の活躍について教えてください。
中繁さん
久喜市の特徴として、職種による性別の固定観念にとらわれない人材活用を行っています。例えば建築関連の部署では1級建築士の資格を持つ女性職員が数名おり、それぞれ活躍しています。このように久喜市は、性別に関係なく様々な分野でキャリアを形成できる環境が整っていると考えています。
編集部
土木・建築関係の資格は、皆さんどのように取得されているのでしょうか?
中繁さん
学校で土木・建築の分野を専攻し、土木技師・建築技師として入庁後、仕事をしながら勉強して資格を取得した職員も多いです。おそらく、職員がもっと学びたいという前向きな姿勢で切磋琢磨しているのだと思います。
土木技師・建築技師の専門職は特に貴重な存在ですので、様々なライフステージを乗り越えて長く働き続けていただきたいと思っています。そのため、「土木・建築=男性の仕事」という考え方ではなく、女性でもしっかり活躍できる環境づくりが大切だと考えています。
職員の健康と働きやすさを支える専門部署を設置
編集部
職員健康支援室が設置された背景と目的を教えていただけますか?
中繁さん
全国的に病気休暇取得者が増加している中、心と体の両側面から職員の健康を重視するという考えのもとに設置されました。特に、心のケアに重点を置き、職員がいきいきと働ける職場環境づくりを目指しています。
支援室は人事課に設置され、保健師は室長である私と若元の2名、事務職である稲垣の計3名体制で運営しています。
編集部
具体的にどのような業務を行っているのでしょうか?
中繁さん
心の健康、体の健康、職場の健康の3つを柱として活動しています。睡眠、感染症や生活習慣病予防など様々なテーマについて、定期的に「支援室通信」を発信することで、日々の健康づくりの働きかけを行っています。
また、私と若元が健康診断のフォローアップやメンタルケアを担当し、特に若手職員の心の不調予防に力を入れています。
若元さん
職員からの相談を受けた場合や、悩みを抱えていそうな職員がいる場合は、随時面談を実施しています。面談では、堅苦しくならないよう、気軽に話せる雰囲気づくりを心がけています。経験豊富な中繁に話を聞いてほしいという職員もいれば、役職のない私の方が相談しやすいと感じる職員もいるようなので、どちらが面談するかは臨機応変に対応しています。
編集部
新規採用職員へのサポート体制について、具体的な取組を教えていただけますか?
若元さん
入庁から3年目までの職員には、自分の心の状態に気づくためのセルフチェックシートに毎月回答してもらいます。その結果を基に、個別連絡や面談を実施するなど、不安の解消に努めています。
新規採用職員は、「緊張からなかなか職場になじめない」「周囲が忙しそうで仕事上でわからないところがあっても質問しにくい」と訴える方もいます。そのような場合には、自分の体験談を踏まえながらどのような対応をすればいいのかを一緒に考えていきます。
そして、アドバイスしたことを今度は実際に職場で実践してもらい、1週間後や1ヶ月後に実践してどうだったかを確認しながら、次のフォローにつなげています。
▲面談はアットホームな雰囲気で行われるのでいろいろなことを相談しやすい、と職員からも好評
編集部
職員健康支援室の皆さまから見た久喜市の職場の印象を教えていただけますか?
若元さん
コミュニケーションが非常に活発な職場だと思います。私自身、業務で他のフロアに行くことも多いのですが、どの課の前を通っても職員が明るく話す声が聞こえてくるので、職場がいきいきとしていると感じています。
また、定期的に人事異動があるので、そのたびに知り合いや仲間が増えていくのは公務員の魅力だと思います。部署を超えた顔見知りが増えるほど情報共有もスムーズになるので、仕事がしやすくなるのではないでしょうか。
都心へ好アクセス&子育て環境が充実した働きやすい街「久喜市」
編集部
久喜市で働き、暮らす魅力について教えてください。
中繁さん
久喜市は、自然が豊かで交通の利便性が高いとてもバランスのよいところです。JR宇都宮線と東武伊勢崎線、東武日光線が通っており、東北道や圏央道が整備されているなど、都心部へのアクセスが良好です。また、公園も大小含めたくさんあるので、子育てもしやすい環境だと思います。
稲垣さん
最近、JR東鷲宮駅の近くにスーパーや屋内型こどもの遊び場がオープンしたので、1歳の子どもと一緒に気軽に出かけることができ、とても便利になったと実感しています。
また、市が様々な子育てファミリー対象のイベントを開催したり育児支援を行ったりしているので、子育てするのが楽しい街だと感じています。
若元さん
私も子育て中のため、母親視点で考えると、やはりショッピングモールや公園が点在しているのでお出かけ場所に困らないことが最大の魅力です。
例えば、外遊びを満喫したいときは大きな公園に行ったり、散歩がてら少しだけ遊びたいときは小さな公園に行ったり、室内で遊びたいときは屋内型こどもの遊び場やショッピングモールに行ったり…と、その日の気分によって臨機応変な楽しみ方ができるので、とても助かっています。
▲3月上旬に満開を迎える青毛堀川沿いの河津桜を眺めながら親子で散歩するのも久喜市で暮らす楽しみのひとつ
土木・建築職員募集中!長期キャリア形成を支援
編集部
採用において特に力を入れている職種や、どのような人材を求めているのかを教えていただけますか?
中繁さん
特に専門職である土木技師・建築技師については、どの自治体でも人材の確保に苦心している状況です。久喜市では、年齢や性別に関係なく様々な経験を積みながらキャリアを形成できる環境を整えることで、専門性を高めながら長く活躍できる職場づくりを心がけています。
土木や建築に関する専門的な知識や経験をお持ちの方は、ぜひ久喜市でその能力を存分に発揮していただきたいです。
編集部
最後に、皆さんそれぞれ久喜市での勤務に興味を持たれた方へメッセージをお願いできますでしょうか?
中繁さん
職員健康支援室の存在は自治体としては珍しく、それだけ職員を大切にしている姿勢の表れだと考えています。市民への貢献と職員の幸せの両立を目指しており、職員の健康と幸せを第一に考えています。皆さんと一緒に、市民と職員が共に幸せになれる市を作っていきたいと思っています。
若元さん
私自身、転職して入庁しましたが、新人であっても必要な制度をしっかりと活用できる環境が整っています。私は入庁後すぐに部分休業を取得しましたが、そのような制度を利用しにくい雰囲気は全くありません。
子育て中の方はもちろん、これから結婚・出産を考えている方にとっても、長期的なキャリアを築きやすい職場だと実感しています。
稲垣さん
育児休業は男女ともに取得率100%を4年連続で達成しています。仕事は20年、30年、40年と続けられますが、育児の期間は限られています。その大切な時期に、しっかりと育児に向き合える環境が整っているのは大きな魅力です。ワークライフバランスの実現を目指す方にとって、久喜市は特に働きやすい職場だと思います
編集部
久喜市は職員が仕事も私生活も充実できるような制度がしっかり整っていると感じました。子育て中の女性がキャリアを諦めずに働ける環境は素晴らしいと思います。本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!
編集後記
取材にご協力いただいた皆さんが所属されている久喜市役所職員健康支援室は久喜市の「職員の健康を支える」という強い想いのもと設立された部署であるということがよくわかりました。また、子育て中の若元さんと稲垣さんの実体験を聞くことで、久喜市が育児と仕事が両立できる職場であることも伝わってきました。久喜市は育児真っ最中、もしくは将来的に育児と仕事を両立させたいと考えている方におすすめの職場である、と言えるでしょう。
この記事のまとめ
ワークライフバランス |
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女性活躍 |
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キャリア形成 |
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職場環境 |
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