ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、愛媛県の県庁所在地で四国最大の都市である松山市を支える松山市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。
松山市役所は新卒を除く入庁者の4割以上が民間企業出身という、公務員未経験者の比率が非常に高い自治体で、職員の皆さんは市民との距離の近さにやりがいを感じながら勤務しています。また、1対1の専任制による手厚い育成体制や、充実したオンライン研修、支え合いの風土により、未経験の中途入社でも安心して働くことができます。
今回は、松山市役所における組織の特徴や業務のやりがい、働きやすい環境などについて、文化・ことば課の河野さん、まちづくり推進課の渡部さん、人事課の二宮さんにお話を聞かせていただきました。
松山市役所の組織:中途採用者の4割以上が公務員未経験!
▲渡部さん(左)の勤務風景
編集部
最初に、松山市役所の中途採用の特徴についてお教えいただけますか?
二宮さん
新卒を除く入庁者の4割以上が民間企業の出身であることは大きな特徴です。同席している渡部もその一人で、金融機関で勤めた後、愛媛県庁への派遣を経て入庁しました。
編集部
渡部さんは、市役所業務の働きがいはどんなところだと感じていますか?
渡部さん
市民との距離が近く、直接接しながら業務を行える点です。
私は前職で愛媛県庁に出向していた際に、「より市民に近い距離感で行政の仕事に携わりたい」と考えて松山市役所への転職を決めました。現在所属するまちづくり推進課では、地域の方々と意見交換や対話をしながら地域振興事業を行っているため、まさに自分が願っていた業務に携われていると感じています。
▲地域のシンボル・松山城の魅力を活かした地域振興にも注力
渡部さん
具体的な業務としては、松山市が推進する『坂の上の雲』フィールドミュージアム構想のサブセンターゾーンに設定されている地域で、にぎわいの創出を目的としたイベント開催や、住居と仕事の両面から移住定住を促進する町家バンク・お仕事バンクの運営管理、食文化のPRなど、市民と協働で様々な施策を展開しています。
行政事務の知識が少ない状態で入庁しましたが、周りの職員に助けていただき、学びながら日々の業務に励んでいます。
編集部
民間と比較して、違いを感じる部分があれば教えてください。
渡部さん
「公益性」や「公平性」など、公務員ならではの視点で業務を行うことでしょうか。また、公務員は地域の方々からの信頼が厚く、非常に仕事がやりやすいです。その半面、地域の方々からの信頼を裏切ることのないよう、「ひとつひとつの行動に気をつけなければいけない」とも感じています。
1対1の指導やオンライン研修など安心のサポートあり
編集部
民間からの転職者を含め、新規採用職員をサポートする制度や取り組みについて教えていただけますか。
二宮さん
特に力を入れているのが、新規採用職員に対する1対1のインストラクター制度です。これは、同じ課の中で年齢が近い職員をインストラクターとして選任し、新規採用職員の成長をサポートする取り組みです。
インストラクターは、身近な相談相手として、担当業務の知識を正しく教えるのはもちろん、コミュニケーションを通じて、新規採用職員の不安や迷いを解消するという役割もあります。
具体的には、インストラクターは所属長をはじめとした上司と協力しながら育成計画書を作成し、それに基づいて助言や指導を行います。制度としては1年間ですが、その後も個人的に飲みに行ったり、さまざまな相談をしたりと、近い関係性が続くケースも多くあるようです。
編集部
他に特徴的な取り組みはありますか。
二宮さん
最近導入したのが、インターネットでの動画研修です。自分のパソコンや市役所から貸与されるテレワーク用端末を使って、自宅でも研修を受けることができます。
内容は民間の講師による法制度やSDGs、時事問題、リーダーシップ、メンタルヘルスなど多種多様です。研修はテレワークの業務時間中に受講することもできますし、休日に自己研鑽として活用することも可能で、職員それぞれの状況に合わせて柔軟に受講できる環境を整えています。
編集部
河野さんは、ご自身の市役所での経歴の中で、成長に繋がったような出来事はありましたか?
河野さん
私の場合は市役所から県庁に出向したのですが、このときの経験は大きかったですね。
県庁には愛媛県内の20市町から出向者が来ていたのですが、同時期に出向した方々とは自然と親しくなりました。その人脈は市役所に戻ってからも活きており、他市の状況を確認する必要がある時や、県庁に問い合わせが必要な際などに自分が窓口となって連絡・調整を行っています。
公式なルートでは聞きづらいような内容でもスムーズに情報収集ができるのは、出向経験があったからこそだと感じています。また、広域的な仕事を経験したことで、調整力が身についたことも大きな収穫でしたね。
松山市役所の働き方:育児支援が充実、男性の育休取得率85.5%!
▲市役所内観
編集部
松山市では、ワークライフバランス重視の働き方を推進されているそうですね。特徴的な取り組みについて教えていただけますか。
二宮さん
特に育児休業の取得推進に注力しており、女性職員はもちろんのこと、男性職員も100%取得を目標に掲げています。若手職員や所属長、リーダーなど様々な職員を対象に、出産・育児支援に関する説明会を実施し、制度の周知を徹底するなどの工夫により、令和5年度には男性の育休取得率が85.5%まで達しました。
取得期間は1週間から1年までと幅広く、職員の状況に応じて柔軟に対応している形です。目標達成に向けて、今後もさらに推進していこうと意気込んでいます。
また、育児中の職員に対して、部分休業など、様々な制度を組み合わせて活用できる環境を整えています。年次有給休暇は15分単位で取得できるというのも好評ですし、お子さんの送り迎えなどに利用している職員が多い印象ですね。60分間のお昼休みを45分にし、その分早く帰ることも可能です。
編集部
渡部さん、そして河野さんもお子さんがいらっしゃるそうですが、こういった松山市役所での育児支援制度についてどのように感じていらっしゃいますか。
渡部さん
私には2人の子どもがいるのですが、実は入庁してまだ1年が経過していないにもかかわらず育児休業を取得させていただきました。理解してくれる上司や取得しやすい雰囲気があったほか、制度の内容が1つの冊子にまとめられていて、不安なく活用できる点もありがたかったです。
河野さん
私には3人の子どもがいて、学校行事や子どもの病気など様々な場面で休暇を活用させていただいています。例えば卒業式や入学式の話をすると、上司や同僚が「それは休まないとね」「行ってあげないと」などと声をかけてくださるので、家族サービスやワークライフバランスを確立しやすい環境が整っていると感じています。
テレワークや時差出勤も推進。ライフスタイルに合った働き方が叶う
編集部
テレワークや時差出勤など、柔軟な働き方の制度についても教えていただけますか。
二宮さん
テレワークについては窓口業務がある部署では難しい面もありますが、コロナをきっかけに積極的な活用を推進しています。市役所から貸与されるテレワーク用端末を使用する方法と、自宅のパソコンで職場環境を構築できる方法があり、課の状況に応じて活用していただいている形です。
時差出勤については、誰でも利用できる早出・遅出勤務制度があり、10段階のパターンを用意しています。利用は各課の状況に応じて柔軟に対応しており、子育て中の職員に限らず、広く活用されていますね。
渡部さん
私も、子どもを保育園に送迎する関係で時差出勤を利用しており、通常の8時30分~17時15分という勤務時間を、9時30分~18時15分に変更して働いています。ライフスタイルに合わせて柔軟な勤務形態で働くことができ、とても助かっています。
松山市役所ならではの特徴:「文学のまち」独自の部署あり
▲文化・ことば課が手がけた催し「街はことばのミュージアム」では、市内の各所にことばを掲出した
編集部
松山市役所には「文化・ことば課」という全国的にも珍しい部署があるそうですが、どのような役割なのでしょうか。
二宮さん
松山市は正岡子規や高浜虚子といった俳人を輩出し、司馬遼太郎の「坂の上の雲」や夏目漱石の「坊っちゃん」の舞台として知られる文学的土壌が豊かな都市なので、ことばを使ったまちづくりを推進するために文化・ことば課が設置されています。
編集部
河野さんは文化・ことば課に所属されているとのことで、具体的な取り組み事例について教えてください。
河野さん
例えば「街はことばのミュージアム」という取り組みでは、全国・世界から募集したことば作品を、松山市の様々な場所に掲出しています。空港や松山観光港、松山城へ向かうリフトの下のネット、ロープウェー商店街、路面電車など、街のいたるところで作品を観られる環境を整えており、「ことばを大切にするまち」としてアピールしています。
また、全国の高校生が参加する「俳句甲子園」の実行委員として、地方大会から全国大会まで運営に携わっています。さらに、複数人で詩や歌詞を発表する「群読(ぐんどく)コンクール」を小中学生から大学生までを対象に毎年開催しているほか、市内外や海外にも「俳句ポスト」を設置し、投句された作品の中から優れた句に記念品を贈ったり、句集を制作したりする活動も行っています。
▲俳句甲子園の様子
編集部
文化・ことば課でのやりがいはどんなところでしょうか。
河野さん
たくさんの方と出会えることですね。例えば俳句甲子園では、松山市内の様々な職種の方や市民、学生たちがボランティアとして集まるため、そういった多様な方々と一緒に仕事ができる楽しさがあります。
この課の業務を通じて知り合った方とは、課を異動した後に別の現場で一緒に仕事をする機会もあるでしょう。人脈は一番の宝であり、人生を豊かにしてくれるものであることを、文化・ことば課での業務を通じて日々実感しています。
市役所内に根付く助け合う風土。部署の垣根を超えた交流も盛ん
編集部
松山市役所の職場の雰囲気についても教えてください。
渡部さん
風通しが良い職場環境ですね。部署や課によって違いはありますが、現在所属しているまちづくり推進課では会話や対話が活発です。報告・連絡・相談が密に行われており、仕事が終わった後に飲み会に行くこともあります。
プライベートでも仲良しで、先週末は課内旅行と題して1泊2日で九州と下関に行きました。参加は任意でしたが、27名中13名が参加しましたね。今後の地域課題解決に向けた研修も兼ねて、大分県の豊後高田市にある「昭和の町」というまちづくりの先進事例を視察し、充実した課内旅行になりました。
二宮さん
私は、松山市役所には職場全体で学び合い、助け合う雰囲気があると感じています。分からないことがあれば気軽に課員や他の係の方、前任者などに聞くことができ、職員同士の支え合いが充実している組織だと感じますね。実際、私自身右も左もわからない状態で人事課に異動して1年が経ちますが、この風土に大変助けられました。
松山市役所の採用担当から転職検討者へのメッセージ
▲市内の有名観光地である道後温泉本館
編集部
最後に、採用に関連して転職を検討されている方々へのメッセージをお願いできますでしょうか。
二宮さん
市役所は、市民の方と非常に近い距離感で仕事をする職場です。松山市役所では市長の公約にもある「現地現場を大切に、市民目線を大切に」という姿勢を、職員一人ひとりが意識して業務に取り組んでいます。
私たちは、「松山市をより活気のある街にしたい」「市民サービスをより良くしたい」といった想いをお持ちの方に、ぜひ一緒に働いていただきたいと考えています。職員同士の良好な関係性や充実した福利厚生など、働きやすい環境も整っていますので、安心して松山市役所での勤務をご検討いただければ嬉しく思います。
編集部
本日はありがとうございました!
編集後記
松山市役所の働き方のまとめ
育成制度 |
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ワークライフバランス |
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職場の雰囲気 |
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特色ある仕事 |
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求める人物像 |
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松山市役所の基本情報
自治体名 | 松山市役所 |
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住所 | 愛媛県松山市二番町四丁目7番地2 |
事業内容 | 松山市の行政業務全般 |
働き方 | テレワーク・時差出勤可 |
公式ページ | https://www.city.matsuyama.ehime.jp/ |
採用ページ | https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/saiyojoho/index.html |
募集職種 | 土木・建築(大学卒) ※経験者枠の場合:実務経験を重視 |