エンジニアが成長できる環境を作り、地方の人材が活躍しながら成長を続けている企業をインタビューする本企画。今回は、RPAなどで独自のソフトウェアを開発している株式会社MICHIRUにお話を伺いました。
独自のソフトウェアを展開している株式会社MICHIRU
▲RPAなどで独自のソフトウェアを開発している(公式ページより)
株式会社MICHIRUが手掛けているのは、業務効率化支援の自社ソフトウェア製品の開発と提供、ソフトウェアシステムの受託開発事業です。独自のソフトウェア「MICHIRU RPA」などを展開しています。
会社名 | 株式会社MICHIRU |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿1-15-9 シルク恵比寿403 |
事業内容 | 「MICHIRU RPA」、「MICHIRU OCR」をはじめとした業務効率化を支援するためのソフトウェア製品開発・提供およびソフトウェアシステムの受託開発 |
設立 | 2018年11月15日 |
公式ページ | https://michiru.co.jp/ |
株式会社MICHIRUは東京に本社を置いていますが、創業メンバーの一人が熊本出身という背景もあり、ほぼ全ての社員が熊本で勤務しています。リモートワークやフレックスタイム制を取り入れ、場所や時間にとらわれず社員が活躍しているのです。
同社の働くスタイルについて、取締役の相馬章人さんにお話を伺いました。
中小企業向け業務改善支援ソフトウェア「MICHIRU RPA」
▲ソフトウェアに関する知見がない中小企業でも使いやすい「MICHIRU RPA」
編集部
初めに、MICHIRUさんの事業内容について伺わせてください。
相馬さん
MICHIRUは業務効率化支援のソフトウェア製品開発・展開と、ソフトウェアシステムの受託開発事業を手掛けています。特に主力となっているのが、独自開発のソフトウェア「MICHIRU RPA」です。
サービスを展開して5年になりますが、これまで840ユーザーにご使用いただいています。
RPAは「Robotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション」の略語です。導入いただくことでデータ入力や社員のスケジュール管理、顧客データの管理・更新などあらゆる社内の業務を自動化できます。
編集部
MICHIRU RPAを導入したことで、実際にどんなクライアントがどんな課題を解決したのか事例をお教えください。
相馬さん
ある新聞社さんが、MICHIRU RPAを導入しています。サービスを導入する以前、その新聞社さんは新聞に掲載された記事を手作業でコピペしてウェブサイトにアップされていたそうです。MICHIRU RPAを導入いただくことで、その作業が自動化されました。
具体的にどのようなソリューションを提供しているかというと、まず新聞社さんの記事が蓄積されているデータベースから指定の条件で検索して出てきた記事を取得します。
1日20~30件ほどの記事を少し加工し、WEBサイトの管理画面で投稿して公開するという作業を全て自動化しました。
MICHIRU RPAを導入したことで、これらの記事アップまでの作業時間は1日1時間ほど、一月では30時間ほど短縮できたそうです。
編集部
MICHIRU RPAが業務効率改善に大きく貢献しているのですね。RPAを開発・展開している企業はほかにも多くあると思いますが、そのなかでもMICHIRUさんの強みとして挙げられるのは何でしょうか?
相馬さん
MICHIRU RPAは2019年4月にリリースされましたが、当時でもRPAのソフトウェアはたくさんありました。ただ、多くのRPAがシステムに関する業務を担当する部署を持っているような大企業向けだったのです。
一方で、MICHIRU RPAは中小企業に向けて作っています。ソフトウェアに関する知見がない企業でも使いやすい、かつ価格も大企業向けに比べると手頃なものとなっております。
また、弊社はサポート体制も充実させております。クライアントのサポートを担当するカスタマーサクセスチームを社内に設けおり、クライアントに寄り添ったサービスを展開できている点が、私たちの強みだといえます。
編集部
単にソフトウェアを提供するのではなく、サポートも充実させることで多くの中小企業の信頼を得ているのですね。
開発環境が整っているエンジニアが働きやすいフラットな組織
編集部
MICHIRUさんには現在何名のエンジニアが在籍されているのでしょうか?
相馬さん
MICHIRUは社員が15名在籍しており、役員や業務委託の方も含めると23名となっております。そのうち、業務委託も含めエンジニアは13名です。正社員のエンジニアは11名になります。
大きく分けるとWindowsアプリケーションエンジニアとWebアプリケーションエンジニアにわかれています。いずれにせよ、基本的にはソフトウェアの設計やプログラミング、テストまで一貫してやってもらっています。
編集部
エンジニアが働きやすい環境を作るためにMICHIRUさんでこだわっていることは何でしょうか?
相馬さん
MICHIRUはエンジニアの業務環境を充実させることを心掛けています。椅子は全てゲーミングチェアですし、4Kのモニターを支給しています。また、キーボードやマウスにこだわる社員もいますので、年間3万円を上限に周辺機器購入費について補助しています。
また、今年からGithub Copilotという生成AIを使ったプログラミングを支援するツールも全エンジニアが利用できるようにしました。
弊社には5名の取締役が在籍していますが、そのうち3名はエンジニア出身です。そのため、エンジニア目線で働く環境を構築しています。
編集部
エンジニアが働きやすいよう周辺環境を整えているのですね。MICHIRUさんはどんな雰囲気の会社だといえますでしょうか?
相馬さん
MICHIRUは現在20代の社員が半数を占めています。人数もそれほど多くありませんし、意見を自由に言い合える雰囲気があります。年次や役職によるピラミッドもなく、非常にフラットな組織だといえるでしょう。
チーム制で動いているためチームリーダーの役割はありますが、それ以外の役職のようなものはありませんね。役職としては取締役のみで、課長や係長というポジションもないです。
編集部
社員さん同士で上下の概念はないのですね。
プライベートの用事で2週間リモートワークする社員も
編集部
MICHIRUさんはどのような働き方を採用されているのでしょうか?
相馬さん
MICHIRUは午前11時から午後2時までをコアタイムとしたフレックス勤務制を採用しています。基本的には出社してもらっていますが、リモートワークも可能です。リモートワークについては特にルールは設けていませんが、毎日出社する社員、週1~3日で在宅で勤務する社員など様々ですね。
編集部
リモートワークを希望する社員さんはやはりご家庭の事情が理由ということが多いのでしょうか?
相馬さん
ご家庭の事情だけでなく、完全なプライベートの用事でリモートワークをすることもあります。弊社の社員は基本的に熊本で勤務しているのですが、プライベートの用事を理由に2週間ほど東京で勤務した社員もいます。
業務に支障がないことが前提になりますが、様々な働き方ができるようにしています。
編集部
働き方が個人の裁量に任されているのですね。
自社サービスを展開しているため顧客の声をダイレクトに聞けることが魅力
編集部
エンジニアの採用については経験者や中途での採用というイメージが強いのですが、その点MICHIRUさんはいかがでしょうか?
相馬さん
MICHIRUでは中途採用中心ではありますが、エンジニア未経験者を採用していますし、新卒採用も実施しています。これから社員数も増やしていきたいので、人材を見極めながら採用し育てていくというスタイルを取っています。
編集部
MICHIRUさんで働くことで得られる経験は何でしょうか?
相馬さん
MICHIRUは自社でサービスを開発し展開していますので、よりお客様に近いところで仕事ができます。
また、他企業様にOEM(※)という形で自社サービスを展開しておりますので、お客様や他企業様の意見をダイレクトに聞きながら働けるというのはエンジニアとして貴重な経験になると思います。
(※)「Original Equipment Manufacturer」の略語。「相手先ブランド製造」という意味で自社ブランド製品を他企業に手掛けてもらうことを指す。
自分たちが作ったものが実際に使われている様子をみれるというのは、エンジニアにとって魅力的でしょう。
編集部
自社サービスを展開しているからこその成長機会があるのですね。
多くの社員が熊本出身、Iターン入社や外国人材も
編集部
MICHIRUさんの社員さんは普段熊本で勤務されているとのことですが、やはり熊本出身の方が多いのでしょうか?
相馬さん
MICHIRUの社員は熊本出身の方が多いです。創業者の一人が熊本出身で、もともとは熊本で立ち上がった会社ということもあり、自然と熊本出身の社員が増えていきました。
熊本はTSMCが進出してくるなど、IT関連企業の誘致が進んでいます。結果的にですが、ITのビジネスを展開するのに熊本は合っていると思いますね。
私たちも本社は東京に置いていますので、企業誘致という形で熊本にオフィスを2021年に開設しました。オフィス開設前はそれぞれリモートで働いていましたね。
編集部
Iターンの形でMICHIRUさんに入社される社員さんもいらっしゃるのでしょうか?
相馬さん
MICHIRUにはIターンで入社する社員もいます。配偶者の転勤で熊本に来ることになった女性社員が入社したケースや、弊社での仕事に魅力を感じていただけて熊本に移住されたケースもあります。エンジニア、カスタマーサクセスどちらでもIターンで入社した例があります。
編集部
熊本から一番遠く離れた場所から入社したケースだと、どこになるでしょうか?
相馬さん
Iターンとはまた違いますが、MICHIRUにはインド出身の社員が在籍しています。熊本には全く縁もゆかりもなく、Wantedlyを見て興味を持ってくれたようです。Wantedlyには日本語の記事しか載せていないため、Google翻訳を活用して記事を読んだとのことでした。
編集部
かなりの情熱を持ってMICHIRUさんに来られたのですね。その方は日本語ができるのでしょうか?
相馬さん
実は、そのインド出身の社員は入社時には日本語を全く話せませんでした。英語はできるとのことで、弊社に英語が話せる社員がいますので何とかなると思い採用しました。インドのインド工科大学という優秀な大学を卒業していますので、採用に当たってスキルは申し分ありませんでした。
今年には彼の後輩が一人入社し、現在リモートで勤務しつつ来日の準備を進めています。
編集部
言語の壁をものともせず思い切り飛び込んでみたいと思わせるようなMICHIRUさんの魅力はどこにあると思われるでしょうか?
相馬さん
やはりIT関連で活発な動きを見せている熊本という土地にある会社というのは大きな魅力の一つだと思います。また、熊本は暮らしやすいと感じます。物価もそれほど高くないですし、休みの日はゆったりできる環境が整っています。
子育てもしやすいといえるのではないでしょうか。
編集部
地方で働くメリットを得られるというのもMICHIRUさんの魅力なのですね。
地方にいながら実務経験が得られるというのがインターンの魅力
編集部
MICHIRUさんではインターンシップも実施されているとのことですが、どういった方がインターンシップに参加されているのでしょうか?
相馬さん
MICHIRUはインターンシップを始めて3年ほどになります。私が熊本高専という学校の出身者である縁もあり、同校の生徒さんに向けてインターンを実施しています。
高専は5年制で、専攻科に進学すればプラス2年通うことになります。弊社のインターンシップに参加するのは高専4年生と専攻科1年生、つまり大学1年生・3年生にあたる方を受け入れています。
また、来期の採用が決まっている方で、熊本学園大学の4年生も参加しています。
以前は公募でインターン生を募っていたのですが、人数が集まりすぎて大変だったこともあり、現在は公募は行っていません。学校からの応募であったり、個人的なコネクションからの応募が中心です。
編集部
インターンシップはどれぐらいの期間実施され、どのような業務を任されるのでしょうか?
相馬さん
高専生の場合、夏季インターンシップで期間は実働10日ぐらいです。インターンシップ後にアルバイトとして1~3年間残ってくれる学生もいますね。
業務としては、ほぼ社員と同様のことを任せていますね。プログラミングだけでなく、カスタマーサクセスの部分をお願いすることもあります。現在インターンシップに参加している熊本学園大の学生さんは、実際にカスタマーサクセスの業務を担ってもらっています。
編集部
MICHIRUさんのインターンシップで得られる経験は何でしょうか?
相馬さん
MICHIRUのインターンシップで得られるものとして挙げられるのは、やはり実務経験ですね。実際に社会人のような実務経験が得られる機会というのはないのではないかと思います。アルバイトでも難しいでしょう。
そんな実務経験を、熊本という地方で得られるというのは大きな魅力なのではないでしょうか。勉強したいと思っていること、将来進みたいと思っている仕事の経験を得られる環境がMICHIRUにはあります。
編集部
首都圏では実務経験を得られるインターンシップが充実していると思いますが、地方に住みながらそのような経験ができるというのは学生さんにとって大きいですね。
大切なのは「自分の作ったものを世の中に提供したい」思い
▲「自分でサービスを作ることに魅力を感じる方を歓迎したい」と話す相馬さん
編集部
最後に、MICHIRUさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
相馬さん
MICHIRUが求めているのは、「自分の作ったものを世の中に提供したい」という思いを持った人材です。プログラミングやソフトウェア開発の経験があるというのも魅力的なのですが、自社サービスを提供しているので、自分でサービスを作ることに魅力を感じる方を歓迎したいです。
弊社の社員は熊本を拠点に働いていますが、お客様は全国にいらっしゃいます。海外のお客様もいるので、ワールドワイドにビジネスを展開できています。そんな環境で成長したいという方は、ぜひ入社いただきたいです。
編集部
地方を拠点にしながら広いフィールドで活躍できることがMICHIRUさんの魅力だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社MICHIRU:https://michiru.co.jp/
採用ページ:https://michiru.co.jp/recruit/