ワークプレイスを提供するNovolBaが挑戦する「働きやすい場づくり」

注目企業の躍進の秘密を探る本企画。今回は「挑戦者が輝く世界を創る」をミッションに掲げ、スタートアップにワークプレイスの提供を行う株式会社NovolBa(ノボルバ)を取材しました。

社内ベンチャーとして設立されたNovolBaは、自らも「挑戦者」であるという意識がとても強く、その熱い思いが事業やカルチャーづくりに活かされていました。

株式会社NovolBaとは

株式会社NovolBa(ノボルバ)は、オフィス家具メーカー「オカムラ」と新規事業創出支援を行う「ボーンレックス」のジョイントベンチャーとして、2021年に設立されました。

オフィスや家具をサブスクリプションで提供するというNovolBaのビジネスモデルは、スタートアップの労力やコストを大幅に削減させる、と注目を集めています。

会社名 株式会社NovolBa
住所 東京都千代田区神田錦町1-7-3 錦町1丁目ビル 2階
事業内容 ・オフィス事業『BASIC OFFICE Service』『家具ホーダイ!! 』『ノボルバディ』
・メディア事業『WITH by NovolBa』
設立 2021年11月12日
公式ページ https://novolba.com/
働き方 コアタイムなしのフルフレックス

今回、お話を伺ったのは、NovolBa代表取締役の鄧雯(とう・ぶん)さんです。NovolBaの事業がスタートアップにもたらす価値やSDGsへの貢献、働く環境づくりへの思いを伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社NovolBa代表取締役の鄧雯さん

株式会社NovolBa
代表取締役

鄧 雯(とう・ぶん)さん

ワークプレイスの提供で「挑戦する人」を応援

株式会社NovolBaのウェブサイトのトップ画面
▲NovolBaという社名には「スタートアップが“昇る場”を提供する」という意味が込められている(公式サイトから引用)

編集部

まずは、NovolBaさんの事業についてご紹介いただけますか?

鄧さん

私たちは、挑戦者に「働く場」であるワークプレイス、それに付随するソフトの価値を提供しています。

ここで言う「挑戦者」は、日本の未来を担っていく人たち、新しい価値を世の中に届けていく人たちを指します。ゼロから起業をする人はもちろん、大企業の中の新規事業も、トラディショナルな産業で改革を志す2代目・3代目社長も、私たちにとっては応援すべき「挑戦者」です。

未来を志向する人すべてが「挑戦者」であり、そんな挑戦者が世の中に注目されて活躍して、仲間が増えていく世界を創っていきたいと考えています。

社名の「NovolBa」には日本のスタートアップが成長する環境、「昇る場」を創っていきたい、という想いが込められています。

編集部

NovolBaさんの社名には、そのような思いが込められているのですね。スタートアップを中心に、挑戦していく人たちを環境面でサポートしていきたいという考え方は、すごく魅力的に感じました。

手間もコストも軽減!家具やWi-Fi付きオフィスのサブスク

株式会社NovolBaが提供しているオフィス
▲サブスク『BASIC OFFICE Service』で提供しているオフィス。人数や規模に応じて選ぶことができる

編集部

NovolBaさんの主要事業である「ワークプレイスの提供」について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

鄧さん

具体的には、スタートアップ企業向けオフィスのサブスク『BASIC OFFICE Service』と、オフィス家具のサブスク『家具ホーダイ!!』、そして、オフィス移転丸ごとお任せ『ノボルバディ』の3つの事業を行っています。

編集部

さまざまなサブスクリプションサービスが出ていますが、オフィスのサブスクというのはおもしろいですね。

鄧さん

『BASIC OFFICE Service』は、渋谷・五反田といった都内主要エリアを中心に開設している「NovolBaオフィス」を、月額定額制でスタートアップ企業に提供するサービスです。

物件の賃貸契約をしているのはNovolBaなので、ご利用いただいている企業は面倒な不動産賃貸契約について考える必要はありません。家具やWi-Fiを設置した状態で提供しますので、すぐに利用できて、初期コストを格段に抑えることができます。

編集部

事業の立ち上げ時はなにかとコストがかかりますから、家具やWi-Fi、プリンター、ホワイトボードなどが設置されているのはとても助かりますね。

起業後の大変な時期を支えるサービスに加え、メディア事業も展開

株式会社NovolBaのオウンドメディア『WITH』の画面キャプチャー
▲オウンドメディア『WITH』はスタートアップ企業へのインタビューやコラムなど情報満載

編集部

NovolBaさんで展開されているオフィスのサブスクサービスは、起業のハードルを下げることにもつながりますね。

鄧さん

創業してまだ間もない、売上実績がないフェーズだと、仲間と一緒に働ける場所を持つことが難しい場合もあります。そこをサポートするのが私たちの事業です。

コスト面でのメリットだけでなく、NovolBaの「場」を通して「メンバーみんなが集まることができて、コミュニケーションしやすくなった」「オンボーディングしやすくなった」といった声をいただいています。

編集部

また、成長して規模が大きくなるにつれ、リモートだけだとうまくいかない場面もあるでしょう。メンバーが一緒にいる場をもてるのは大きいでしょうね。

鄧さん

『BASIC OFFICE Service』は契約期間が柔軟なので、その時々の、会社の成長段階に合わせた最適なオフィスをもつことができます。

そのほか『NovolBa 家具ホーダイ!!』は椅子1脚からサブスクができますし、『ノボルバディ』ではオフィスの移転・運用・構築を一括サポートいたします。さまざまな形でスタートアップの成長に繋がるサポートをしています。

編集部

一口にスタートアップといっても規模も状況もそれぞれです。必要に応じてサービスをチョイスできるのも助かりますね。

鄧さん

スタートアップは特に、自社のサービス内容、価値を広く届けていく必要がありますが、自分たちの力だけではなかなか難しいため、ステークホルダーを増やしていくことが大切です。そこをフォローするのが、スタートアップに光を当てるメディア『WITH by NovolBa』です。

メディア事業では、起業家のインタビューやスタートアップ関連のイベントレポート、コラムなどの記事の発信に加えて、セミナーや交流会などのイベントも定期的に開催しています。

編集部

NovolBaさんのオウンドメディア『WITH』がスタートアップの交流の場になっているのですね。それもまたある意味、場の提供ですね。

SDGsの達成に貢献する「オフィス・エコシステム」

株式会社NovolBaのオフィス
▲靴を脱ぐスタイルのNovolBaのオフィス。リラックスして仕事ができそう

編集部

NovolBaさんの事業はスタートアップへの支援ではありますが、同時に、環境負荷軽減への貢献度も高いのではないでしょうか。

鄧さん

そうですね。会社が成長して人数が倍々に増えて、新しいオフィスへの引っ越しを繰り返していくのは、とても喜ばしいことです。一方で退去時には、キレイな状態でも原状回復工事をするのが、日本の不動産業界の慣習です。経年劣化していない、まだまだ使えるものでも廃棄するのが当たり前な世界に、疑問を持っています。

オフィス移転をすると環境への負荷がかかるので、NovolBaの事業を展開していく上で、使えるものを捨てるのは勿体ないし、環境にできるだけ負荷をかけたくない、という思いが根底にありますね。

編集部

そうした環境への配慮や、企業の社会的責任に対しては、設立の段階から意識されていたのでしょうか。

鄧さん

当初から「せっかくビジネスをやるのだから、環境に配慮して取り組んでいきたいね」という話は、メンバーとしていました。
自分たちが場を持ち、その場所をスタートアップが循環していくビジネスモデルは、スタートアップにとって利益があることですし、かつ、環境への負担を軽減させます。本当の意味での「スタートアップ・エコシステム」をつくることを計画していました。

編集部

NovolBaさんの事業はまさに、SDGsの目標の9番「産業と技術革新の基盤を作ろう」と、12番「つくる責任つかう責任」に合致するもので、目標達成に貢献する素晴らしいビジネスモデルだと思います。

スタートアップの間で家具が引き継がれるということ

お客様とワークショップをする株式会社NovolBaのメンバー

編集部

NovolBaさんが行っている家具のサブスクリプションもまた、同じように環境負荷を軽減させるものですね。

鄧さん

スタートアップが成長する過程で、「次はもっとかっこいいオフィスにしたい」「もっと良い家具を使いたい」と、使っていた家具を処分することがあります。NovolBaのサブスクを活用していただくと、廃棄の費用が発生しませんし、何よりも処分される家具を減らすことができます。

そして、先人の挑戦の汗や涙を記憶した「家具」や「場」を、次の挑戦者が引き継いでいくことは、縁起もいいですし、素敵なことだと思うのです。

編集部

スタートアップとしては、自らのカルチャーを打ち出すためにオフィスを個性的にしたいという思いは当然あるでしょう。でも、NovolBaさんのサービスはコスト的にも助かりますし、次の会社さんに受け継いでもらえるのもうれしいですよね。

若い起業家の共感を呼ぶシェアカルチャー

編集部

NovolBaさんの事業がスタートして1年半がたち、お客様からはどのような声が届いていますか?

鄧さん

「新品で購入したら高価な家具を、格安で利用できるのがありがたい」「入居から退去までの手間がない」「椅子ひとつでこんなに身体への負担が違うのかと驚いた」といった、嬉しいお声をいただいていて、皆さんのお力になれていることを実感しています。

若い世代のみなさんは総じて環境への意識が高く、家具を買うときには、捨てることまで考えている方が多いように感じます。新品であることに対するこだわりは少なく、むしろ自分たちが使う分だけ使い、あとはみんなでシェアするということに、価値を見出している方が多いのではないでしょうか。

編集部

NovolBaさんのビジネスコンセプトは、社会的な流れにも沿ったものですし、若い起業家のマインドにもマッチしているのですね。

オカムラグループ初の、30代女性社長が誕生した意味

イベントに登壇する株式会社NovolBa代表の鄧さん
▲ボーンレックスのオフィスで開催されたイベントに登壇する鄧さん(リハーサル風景)

編集部

日本には女性社長はまだまだ少ないのが現状です。鄧さんがNovolBa代表に就任されたことは、オカムラグループにとっても大きなことだったのではないでしょうか。

鄧さん

私は自ら手を挙げ、社長に立候補してNovolBaの会社設立に至ったわけですが、それは私のバックグラウンドと無関係ではありません。

私は中国の福建省で生まれ育ちました。共働きの家庭で女性が働くのは当然だと思っていましたし、起業や独立に対して憧れも抱いていました。ただ、中国や日本、韓国などアジアの国々では「女性は仕事か家庭かどちらかを選ばなくてはいけない」といった考え方が、未だに根強く残っています。

しかし、人生は1回しかありません。私自身は、めいっぱい仕事もしたいですし、プライベートも充実させたい。仕事も家庭もどちらも諦めたくない、という思いを持っています。

編集部

そういった思いがあって、「NovolBa」という新規事業にチャレンジをされたのですね。

鄧さん

挑戦したのは私だけではないと思っています。オカムラは歴史ある企業ですから、これまでは関連子会社の社長は部長職など役職のある男性が就任するのが一般的でしたが、NovolBaの社長には30代女性の私が就任しました。これは、会社としても新たな一歩を踏み出したことを意味します。

決定にいたるまでにはさまざまな議論があり、結果として、その経緯も含めとても意味のあることでした。オカムラの社内起業であるNovolBaは「若い世代が新しいことにチャレンジする機運を醸成する」という役割も担うことになったからです。

編集部

これまで進めてこられたのは鄧さんのチャレンジであり、オカムラ様のチャレンジであり、ひいては女性全体にとっても意味を持つチャレンジだったということなんですね。そういった思いが、NovolBaさんという企業の根底にあるのだとわかりました。

柔軟な働き方が可能。出社を推奨しつつ、リモートもOK! 

株式会社NovolBaのお客様との懇親会「NovolBa Family会」の様子
▲お客様とのコミュニケーションを大切にしていて、「NovolBa Family会」と名づけた懇親会を開催

編集部

NovolBaさんの働き方についてお聞かせください。現在、メンバーは5人と伺っています。

鄧さん

オフィスには私も含め4人いまして、男女半々です。あと、海外からリモートで業務を行なっているメンバーがいます。総勢5名で、うち子育て中のメンバーが2人います。

夢に向かって走っていくときには、いろいろな人が仲間になってくれたほうが刺激が多くなりますし、発想の幅が広がります。その意味でも、性別や国籍などにとらわれない多様性を大切にしています。

編集部

子育て中の方はフレックスで働いているのですか? それとも、オンラインでしょうか?

鄧さん

みんなが働きやすいように、コアタイムなしのフルフレックス制度にしています。出社を大切にしていますが、個々の裁量に任せてリモートにすることもできます。たとえば、「家の事情で、今日は子どもを見る必要がある」という日は在宅にすることも可能で、柔軟な働き方ができるようにしています。

編集部

その時々で、状況に応じて決められるのですね。

鄧さん

目指す方向が明確にあって、でもそこにハードルがあるとき、「何かを諦める」のではなく「実現するためにはどうしたらいいのか」をポジティブに考えるようにしています。働き方についても、少しでもより良い制度にしていきたいと考えています。

大切にしているのは、リアルで会うことで生まれる偶然の刺激

株式会社NovolBaが行ったイベントの様子

編集部

NovolBaさんでは柔軟な働き方を認めつつも、出社を基本としているのは何か理由があるのでしょうか?

鄧さん

フルリモートでも事業を進められるというスタートアップさんもいて、それぞれのやり方があると思います。でも私自身は、他人から偶然に受ける刺激が、自由な発想を更に拡げていくと考えています。

人は五感で感じ取る生きものですから、画面越しの音声と映像だけでは伝わらないものが必ずあります。その場の雰囲気や空気感、オフィスのにおいや飲んでいたドリンクの味など、すべてが刺激となって、人間の可能性を最大限に発揮できると思うのです。

それはゼロからイチを作り出す、クリエイティビティが求められる場面ではなおさらです。スタートアップだからこそ、リアルな刺激を大切にしながら事業を進めていきたいと考えています。

編集部

NovolBaさんの事業自体がまさに、そうしたゼロからイチを生み出す「場」の提供ですものね。

「NovolBaのチームは愛がある」と称される理由

地元の神田祭で御神輿を担ぐ株式会社NovolBaのメンバー
▲地元の神田祭で御神輿を担ぐNovolBaのメンバー

編集部

NovolBaさんのオフィスの雰囲気はどのような感じなのでしょうか。

鄧さん

外部のスタートアップの方から、「NovolBaのチームってすごい愛があるね」と言っていただいたことがあるんです。中にいても、メンバー同士、お互いを支え合っているのを感じますが、その雰囲気は外の方へも伝わっているんだなと思いました。

編集部

NovolBaさんは愛があふれる組織だということですね。

同席していた神成さん

全員が明るい性格ということもあり、シリアスに考え込むことはほとんどないですね。仕事の話はもちろんですが雑談もよくしていて、業務に関係ないコミュニケーションも活発です。

私は子育て中なのでリモートワークをすることもあるのですが、オフィスで仕事をするほうが好きです。出社したほうが業務がはかどるというのもありますが、場の雰囲気がやっぱりいいんですね。日曜日の夜に「明日、会社に行くのが嫌だな…」と思ったことは、一度もありません

編集部

それは多くのワーキングパーソンが羨む話です。NovolBaさんのカルチャーがよく伝わりました。

神成さん

弊社に限らず、最近のスタートアップは一昔前のように徹夜で仕事するとか、プライベートを犠牲にして仕事をバリバリ進めるといった人は少なくなっているように思います。

プライベートも大切にしながら、頑張るところは全員でアクセル踏んで頑張り、休むときはみんなでちゃんと休むといった感じで、最初からワークライフバランスがとれた働き方を目指していますよね。

鄧さん

確かに、近年は男女問わず子育てしながら起業される方も増えていて、とてもサステナブルな働き方だと感じています。

日本社会をもっと良くしたい、という挑戦者がもっと増えて、輝いている世界を創るのが私たちの理想です。そのベースとなるオフィス部分を提供して、挑戦する方が活躍しやすいようにしていきたいですね。

求めるのは「ゼロから作り出すことに興味がある」人

株式会社NovolBaのオフィスで開催したスタートアップの方々との懇親会の様子
▲スタートアップのみなさんが集まって懇親会を開催することも。皆さんのポーズはNovolBaの「N」のマークです!

編集部

NovolBaさんの将来的な目標をお聞かせいただけますか?

鄧さん

「挑戦者が輝く世界を創る」というミッションの実現に向けて、スタートアップだけでなく、大企業や投資家、行政や大学なども巻き込みながら、みんながWin-Winになれる世界を作っていきたいですね。

理想はNovolBaが中立的なポジションに立って、熱量を持っている人たちを巻き込んで、コミュニティを作っていくことです。限られた世界に閉じこもって大きくするのではなく、小さなコミュニティをさまざまな産業や領域、地域で同時多発的に発生させたいです。そんな世界をオープンにみんなで作っていけたら素敵だと思っています。

編集部

最後にこの記事を読んで、NovolBaさんに興味をもった方にメッセージをいただけますか?

鄧さん

NovolBaはオカムラとボーンレックスのジョイントベンチャーですが、一般的なスタートアップと同じようにゼロイチでプロダクト・サービスを作り出して拡大していくフェーズにあります。

「大企業から新規事業は生まれるのか」「それが存続して大きくなっていけるのか」、こうした問いに対し、私たちがモデルケースになっていきたいですし、それが私たちの挑戦です。言うまでもなく、私たちも挑戦者なのです。

事業においても組織においても、新しくゼロから作り出すことに興味をもっている方、それに自分の力を注ぎたいという方、大歓迎です!まずはカジュアル面談で、気軽にNovolBaのオフィスに遊びに来てください。美味しいコーヒーを入れてお待ちしています。

編集部

スタートアップを応援するNovolBaさんの事業はとても意義深く、かつ、NovolBaさんご自身もまた、「挑戦者が輝く世界を創る」というミッションに向かって挑戦されていることを強く感じました。本日はどうもありがとうございました。

■取材協力
株式会社NovolBa:https://novolba.com/