ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンにインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。
災害支援や国際協力など、幅広い社会課題の解決に取り組む日本最大級のNGOとして知られるピースウィンズ・ジャパン。組織の約7割を女性が占め、平均年齢は30代と若い組織構成の中、年齢や経験に関係なく実力で評価される環境が整っています。また、一般企業での経験を活かせる職場としても注目を集めています。
今回はピースウィンズ・ジャパンの組織の特徴や働き方について、広報担当の町さんと企業連携担当の新井さんにお話を聞かせていただきました。
平均年齢は30代!一般企業の経験も活かせる職場
編集部
若手活躍のテーマについて伺います。まずはピースウィンズの年齢構成を教えてください。
町さん
新卒採用は実施していませんが、最近では20代の職員も増えてきており、10代から70代まで幅広い年齢層が在籍しています。平均年齢は37.73歳と、比較的若い年齢構成です。
フラットな組織で、年齢や年数、前職での経験に関係なく実力や成果で評価するカルチャーがあるのが特徴です。実際に新井のように、若手であってもマネージャーなど責任あるポジションで活躍する職員も少なくありません。
編集部
新井さんのご経歴や、現在のお仕事内容を教えていただけますでしょうか。
新井さん
私は前職ではITコンサルティング会社で働いていました。学生時代から国際協力に興味があったことからピースウィンズに転職し、現在は企業連携マネージャーとして働いています。SDGsやESGに取り組む企業と支援現場の間に入ってコーディネートを行うのが主な業務内容で、企業の窓口の役割を担っています。
編集部
企業間のコミュニケーションにおいて、NGO団体ならではの違いを感じる部分はありますか?
新井さん
営利活動と社会貢献活動という大枠の違いはありますが、コミュニケーション面での大きな違いはありません。また新しいアイディアを考えるプロセスや、実際に進めていくにあたってのプロジェクト管理など、業務の進め方も一般企業と概ね同じです。前職でも企業とのやり取りが多いポジションを担っていたため、一般企業での経験をピースウィンズでも活かせています。
企業経験を活かして実現!Amazonとの災害支援プロジェクト
編集部
新井さんが携わった企業連携の事例で特に印象的なものをご紹介いただけますでしょうか。
新井さん
Amazon Japan社との災害支援物資の備蓄プロジェクトが好例です。私たちは広島県に災害支援の拠点を設けているため、災害時には広島から持って行ける支援物資の量にも、備蓄できる倉庫の床面積にも限界を抱えていました。
そこでAmazonとのコラボレーションによって実現したのが、Amazonが全国各地に持つ巨大な倉庫を活用した支援物資の備蓄です。実際に2024年1月の能登半島地震の際には、必要な物資をすぐに避難所に届けることができました。
編集部
プロジェクトの中で特に工夫したのはどのような点ですか?
新井さん
支援現場の実情と、企業側の労務などの諸条件や取組みの位置づけをすり合わせながら、本当に意味のある支援に落とし込んでいく調整には特に配慮しました。事前にしっかりと検討したつもりでも、実際の支援現場では梱包の仕方や外箱への表記方法など改善点も浮き彫りになりました。現場のフィードバックを受けながら、今現在もブラッシュアップを続けています。
支援の最前線での経験を通じて実現する職員の急成長
▲国内初の災害医療支援船を使用した災害対応訓練を広島港で実施。部署問わず支援現場を経験できる
編集部
新井さんのように一般企業など別のジャンルから転職されてくる方も多いと思いますが、そういった方のスキルアップや成長サポートに寄与する取り組みはありますか?
新井さん
職種問わず、現場を経験できる環境があるのは大きいと思います。例えば東京事務所に所属していても、ただパソコンに向かって仕事をするだけでなく、災害支援チームの訓練を見学したり、被災地に足を運んだりする機会があります。現場の様子を自分の目で見ることで、活動の意義を実感しながら成長していける環境があると思います。
町さん
広報の立場からも、活動の最前線で直接支援を行うことは大きな意味があると思っています。人に伝えるためには、自分で実際に見て感じることが大切であるため、できるだけ最前線で活動することを意識しています。
もともと人道支援活動を行いたくてピースウィンズに入ってきている人がほとんどなので、事務所でただじっとしていると不満が溜まるという側面もありますね(笑)。私自身も広報マネージャーとして、メディア対応を行うだけでなく能登半島地震の支援や、トルコ地震、ウクライナ戦争など海外での人道支援にも積極的に関わっています。
7割が女性!女性が輝く職場環境と、多様な活躍事例
編集部
続いて女性活躍のテーマについて伺います。御社の女性職員の割合や管理職への登用状況を教えていただけますか?
町さん
全体の7割超を女性が占めており、次長以上の管理職の女性比率は3割弱となっています。特に東京オフィスは約9割が女性職員と、非常に多く女性が活躍している状況です。
編集部
新井さんは女性職員として、ピースウィンズの環境をどのように感じていますか?
新井さん
当団体では災害支援や紛争地域での活動など、現場で即応的な対応が必要な場面でも多くの女性職員が活躍しています。部長やマネージャーといった立場で子育てと仕事を両立している先輩女性が多くいるため、多くのロールモデルを参考にして働ける環境があるのが特徴です。
編集部
海外駐在のイメージもありますが、その点はいかがでしょうか。
新井さん
もちろん海外での人道支援に携わる場合、生まれたてのお子様を連れて家族で海外に駐在する職員もいます。しかし現地での駐在だけでなく日本拠点でのモニタリング、会計管理などさまざまなポジションがあるのがポイントです。例えば20代前半で難民キャンプに駐在していた職員が、出産・子育て期は日本拠点で働き、子育てが落ち着いてから出張ベースで海外活動を再開するケースもあります。本人の希望とライフステージに応じて柔軟な働き方を選択できるのが魅力です。
個人の事情に寄り添う!働き方の選択肢
編集部
女性の働き方に関連して、ワークライフバランスを保つための制度や仕組みについてもお聞きできますでしょうか。
町さん
週2、3回の在宅勤務制度があり、職員全員が活用できます。子育て中の職員も多いため、育児休暇の取得事例も非常に多くなっています。
新井さん
各職員に大きな裁量権があるので、業務の調整がしやすく、休暇も計画的に取得できます。突発的な出張や休日出勤があった場合も、必ず代休を取得するなど、メリハリのある働き方ができています。
災害発生時など緊急対応が必要な際は集中的に業務に当たることもありますが、普段は慢性的な長時間労働というわけではありません。勤務時間もフレックスというわけではないのですが、8時から10時までの勤務開始時間を選べるなど、個々の事情に応じて調整可能です。
社会貢献への志で繋がる、刺激的な職場環境
編集部
普段の社内の雰囲気はいかがですか?
町さん
私の部署では一緒にお昼を食べに行ったり飲みに行ったりと、プライベートも含めた交流が活発です。全社的にもコミュニケーションを取りやすい雰囲気があると思います。
新井さん
良好なコミュニケーションが生まれる背景として、同じ志を持って集まったメンバーが揃っているということが挙げられます。皆が社会課題に対して高い関心を持っているため、ランチタイムでも気候変動や国際情勢などの社会課題について自然に会話が生まれる環境があるんです。別のコミュニティでは少し話しづらいような話題でも、皆が興味関心を持って前のめりで聞いてくれるので、安心して話すことができるのが職場環境の魅力です。
またピースウィンズの場合、戦争や自然災害などニュースで聞こえてくる社会情勢が仕事に直結するため皆、常にアンテナを張っているんですね。実際に職員の関心から事業につながった例もあるため、気になったことをシェアし合うカルチャーがあるのも活発なコミュニケーションの一因となっています。
編集部
社内コミュニケーション活性化のために取り組んでいることはありますか?
町さん
Slackを活用してコミュニケーションを図っています。業務連絡だけでなく、さまざまな情報交換の場としても活用しており、例えば最近ではDXに力を入れているため新しいツールの使い方について気軽に相談できるチャンネルも設置しています。
また美味しいお店の情報を共有するチャンネルなど、Slack上で業務外の気軽なコミュニケーションができるのも特徴です。オリジナルスタンプもたくさん導入して、コミュニケーションを活性化しています。
一般企業経験者歓迎!求める人材像と募集要件
編集部
最後に、ピースウィンズ・ジャパンで働きたいと考える読者に向けてメッセージをお願いします。
町さん
ピースウィンズでは自ら考えて能動的に動ける人材を求めています。もちろん業務はしっかりと教えますが、指示待ちではなく自分なりに工夫して新しいことにチャレンジできる姿勢がある方に活躍のチャンスがあると思います。自分のやりたいことにどんどん挑戦し、自分もチームも成長させていきたいという意欲のある方は、ぜひ当団体に来ていただけると嬉しいです。
新井さん
ピースウィンズは「あきらめない集団」というキーワードを掲げ、「世界中の皆が解決できないと考えることでも、私たちだけは立ち向かう」という志を持って活動しています。国際協力や国内の子どもの支援など特定のテーマに関する活動をする団体が多い中で、ピースウィンズではテーマを絞らず自分たちにできる支援をできる限り行うというスタンスを取っています。複数の社会課題に携われる点が、私たちの大きな特徴であり魅力です。
NGOというと海外駐在経験者や専門的な知識を持つ人材しか働けないというイメージを持たれがちですが、一般企業の経験者も歓迎しています。同じ志を持つ方は、ぜひ転職先の選択肢の一つとして検討していただきたいと思います。
編集部
町さん、新井さん、本日はありがとうございました!
編集後記
社会貢献を志す職員が集まり、ランチの際も社会課題や情勢に関する会話が交わされるというピースウィンズ。国内外の災害や海外の戦争・紛争などに駆けつける仕事はとても責任があると同時に、大きなやりがい、意義を感じられると思います。
この記事のまとめ
組織の特徴 |
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評価・キャリア |
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働き方の特徴 |
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職場環境 |
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求める人材像 |
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特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンの基本情報
住所 | 広島県神石郡神石高原町近田1161-2・2F |
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事業内容 |
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設立 | 1996年2月 |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
公式ページ | https://peace-winds.org/ |
採用ページ | https://peace-winds.org/recruit |
募集職種 | 広報・ファンドレイザー(個人や企業から寄付を集める仕事)、会計担当等幅広く募集 ※勤務地は職種による |