株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの成長を支えるエンジニアの存在

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの成長を支えるエンジニアの存在

先進的な働き方や社内カルチャーで注目を浴びている企業にインタビューを実施し、その魅力や特徴についてお届けする本企画。今回は、2029年の創業100周年を間近に控え、IT・デジタルを活用した新たな経営戦略を遂行している株式会社ポーラ・オルビスホールディングスにお話を伺いました。

化粧品市場をリードする株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスは、主力ブランドの「ポーラ」「オルビス」に加え、国内外の個性豊かなブランドを多様な販売チャネルで展開する企業グループです。多様化が進む「美」の価値観に応える個性的な事業の集合体を目指し、IT・デジタル技術を活用した体制構築を進めています。

会社名 株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
住所 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル
事業内容 グループ全体の経営管理
設立 2006年9月29日
公式ページ https://www.po-holdings.co.jp/
働き方 リモートワーク制度あり
フレックスタイム制度

IT・デジタル戦略に特化した組織を立ち上げ、エンジニア採用にも力を入れている同社。今回は、お客様に寄り添いながら迅速に良質なプロダクトやサービスの開発体制を構築するために、エンジニア採用に注力している同社にて、グループデジタルソリューションセンターの所長を務める土屋衛史さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス/グループデジタルソリューションセンター所長の土屋衛史さん

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
グループデジタルソリューションセンター
所長

土屋 衛史さん

多様なブランド展開により新たな「美」を提案し続ける企業グループ

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの展開するブランドポートフォリオ
▲ポーラ・オルビスホールディングスは国内外の様々なグレードのブランドを保有・展開している(公式HPより引用)

編集部

まず最初に、ポーラ・オルビスホールディングスさんの事業内容について教えてください。

土屋さん

弊社は、化粧品などの美容関係の商材を中心に、様々なサービスを提供している会社です。1929年に化粧品の製造・販売を行うポーラが誕生したところから弊社の歩みが始まり、2029年には創業100周年を迎えます。

成長を続ける中で、多様化する「美」の価値観を尊重する企業グループとして、よりブランド一つ一つの個性を活かす経営を行なっていくため、2006年に株式会社ポーラ・オルビスホールディングスを設立し現在(2023年10月取材時点)に至ります。

社名通り、ポーラとオルビスの2つのブランドが主力事業となっていますが、それ以外にもTHREE(スリー)やDECENCIA(ディセンシア)、Jurlique(ジュリーク)などの国内外の様々なブランドを持ちながら、多様なチャネルで事業を展開しています。

より良い価値を提供しながら収益性強化を図る組織

編集部

土屋さんが所長を務められているグループデジタルソリューションセンター(以下、GDSC)というのは、どういった部門になるのですか?

土屋さん

GDSCはグループ全体のDXを加速すべく、それまで事業会社ごとに分散していたIT部門を統合し2022年に設立された部門です。その中で今まで以上にエンジニアリング力を高めるべく、内製開発チームやCCoE(※)といったチームも組成しています。
CCoE(※):「Cloud Center of Excellence」の略で日本語では「クラウド活用推進組織」と訳される。クラウド化推進を全社横断型で展開していくために経営資源を集約させた組織を意味する。

GDSCでは、組織として2つのミッションを掲げており、1つはお客様に対して新たな価値を提供すること。そしてもう1つは、グループ経営の効率化・合理化です。

編集部

それぞれのミッションについて教えてください。

土屋さん

まずポーラ・オルビスグループにおいて、お客様に対して直接商品を販売したり、体験する機会を提供したりする、D2Cのビジネスモデルが基本となっています。

そこにデジタル技術を取り入れて、それぞれのブランドの価値をしっかりと体験していただけるようなサービスを事業会社と一緒に作り上げていこうというのが、1つ目のミッションになります。

次に、ポーラ・オルビスグループにとって非競争領域となるITインフラや業務システムを共通基盤化することで経営を合理化し、コスト効率を高めていこうというのが2つ目のミッションです。

より良い価値の提供と会社としての収益性向上の2つの軸が、私たちGDSCという組織の活動の柱となっています。

編集部

より良い価値を提供するためのデジタルソリューションとは、具体的にどのようなお仕事内容になるのでしょうか?

土屋さん

まずポーラ・オルビスグループの基本的な考え方としては、人と人のつながりを通した価値提供が重要であると捉えています。

しかし、人による価値提供には限界があります。特定のスキルを持つ人しか提供することができない価値もありますし、「お客様に寄り添ったサービス」のために24時間365日お客様の側にいることは難しいですよね。

そこで、しっかりとしたデジタルプラットフォームがあれば、人が時間的、距離的な制約で常にサポートができない時も、あたかも目の前に人がいるような血の通ったコミュニケーションを構築することができると考えています。

人を直接介在させることなく、お客様ごとによりパーソナライズされた接客をデジタルプラットフォーム上で実現するために、GDSCでは様々なサービスの開発や環境整備などを行なっているのです。

具体的な内容をあげると、ECサイトであればお客様のストレスとならないようなUI/UX設計や、個々の肌分析のデータを活用したパーソナライズカウンセリングの提供などです。

編集部

人による価値提供を補強するために、どのようにデジタル技術を活用していくかを考えている組織なんですね。

デジタル領域における自走力の高い組織づくりを実施

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス社内のミーティングの様子

編集部

ポーラ・オルビスホールディングスさんでは、全社をあげてデジタルシフトに取り組まれているとのことですが、どのくらいのエンジニアの方が働かれているのですか?

土屋さん

現在(2023年10月取材時点)、80名ほどの社員が在籍しているのですが、これはIT・デジタルの専門領域で仕事をしている人も含めた数なので、エンジニア人材というと、もう少し少なくなります。

ちょうど、これまでの外部依存体質を改善して、お客様接点で提供するデジタルサービスは自社でプロダクト開発を迅速に進めていけるような自走型の体制を作っていこうという方向に進んでいますので、今後はエンジニアの数を増やしていくことも課題の1つとなっています。

編集部

IT・デジタルの専門領域で働かれているという80名の方々は、具体的にどのようなお仕事をされているのですか?

土屋さん

GDSCはIT・デジタル領域において全方位的に網羅した仕事を行なっている組織ですので、仕事内容は多岐に渡ります。

ECサイトやアプリなどのWebサービスの開発・運用などフロントの部分を担うメンバーから、社内の業務システムの開発・運用を担うメンバー、そしてクラウドを中核としたシステム基盤、ネットワーク基盤の導入や活用推進を行うメンバーという区分けで仕事をしています。

他にも、お客様の個人情報の取り扱いやサイバーセキュリティ対策などを決めて管理していくといった、IT・デジタルを活用する仕事と同等に重要な、グループ全体のガバナンスの部分を担っているメンバーもいます。

編集部

下請け構造が一般的なIT業界の慣習に甘んじることなく、顧客満足や経営効率を追求していくために内製体制の強化に踏み切ったのですね。

エンジニア自らが文化も事業も作り上げていける楽しさ

編集部

GDSCという専門組織を設け、社内外の双方向においてデジタルシフトを進めているポーラ・オルビスホールディングスさんですが、エンジニアとして御社で働くうえで、どのような魅力があるとお考えですか?

土屋さん

IT・デジタルの活用という点において、弊社はまだまだトライ&エラーを繰り返しながら進んでいるというのが現状です。

そのため、すでに他の会社さんやこれまでの経歴の中で様々な経験やナレッジを蓄積されているエンジニアの方々は、その知見をぜひ弊社でご活用いただきたいと考えています。

仕事に対するより良いクラウドの活用法など、色々な場面でエンジニアの意見を求められることが多いので、自分のちょっとしたアイデアがきっかけとなって組織全体の文化として根付いていくといった経験もできると思います。

そういった組織としての作法や文化をゼロから試行錯誤して作り上げていくことができるという点で、やりがいや楽しさを感じられるのではないかと思います。

また、ポーラ・オルビスグループが提供しているサービスは、D2Cモデルのビジネスですので、自分が作ったプロダクトによって、利用された方の生活が豊かになっていることを実感することもできます。

お客様が抱える美容の悩みに対して、自分の手でデジタルソリューションを提供し、悩みを解決に導くことができるというワクワク感は、弊社で働くエンジニアにとって大きなやりがいにもなっています。

編集部

エンジニアというと、指示通りにシステムやサービスの設計・開発することが仕事だと思っていましたが、ポーラ・オルビスホールディングスさんでは、エンジニアがしっかりとお客様の顔を見て、自分たちで必要な設計を考えたうえで、システムやサービスを作り上げていくんですね。

入社3年で1億円規模のプロジェクトリーダーに。挑戦を歓迎する文化

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス社内のミーティングの様子

編集部

IT・デジタル技術の活用法について日夜模索を続けているポーラ・オルビスホールディングスさんでは、どのような方が活躍されているのですか?

土屋さん

中途採用で弊社に入社して来て、2023年で3年目になる社員ですが、1億円規模のシステム開発プロジェクトでリーダーに抜擢されて活躍しています。

プロジェクトリーダーは、プロジェクトの進行管理や技術力の高さが求められるだけでなく、事業を運営している担当者を含む各方面と交渉・調整を行う力も必要であるため、大変なことも多いと思いますが、リーダーとして頑張っているなと感じています。

編集部

入社されて2年程度で1億円規模のプロジェクトのリーダーを任されることはかなりの大抜擢だと感じるのですが、どのような経緯でリーダーに任命するに至ったのでしょうか?

土屋さん

何か特別な計らいがあったとかそういったことは特になく、ごく自然に任命に至ったと思います。

ポーラ・オルビスホールディングスのグループ全体において、年功序列でポジションを決めていくということは行なっておらず、本人の能力や適正、やる気といった部分を見てアサインしています。

特にやる気の部分は大切にしていて、やる気がある社員はどんどん抜擢されていきます。

これは成長には場数を踏むことが必要だと考えており、そういった方針をベースとしたアサインをしているので、勤続年数などの余計なバイアスが効くことなく、純粋に任せられる人に任せています。

編集部

ご本人にとっては異例の大抜擢でも、「やってみよう」と前向きに捉えられる雰囲気が社内にはあるのでしょうか?

土屋さん

そうですね。会社の基本姿勢として、何か新しいことにチャレンジすることに対しては比較的ポジティブだと思います。

新しいチャレンジであることや、他社との差別化が明確に理解できる企画ほど経営にも受け入れられやすい傾向にあるので、ちょっと人と違った角度から見れる人というのは活躍の機会が生まれやすい雰囲気があると思います。

自由度の高い働き方でエンジニアのパフォーマンスを最大化

編集部

「常にチャレンジできる社風がある」と語っていらっしゃいましたが、そういった社風が醸成される背景にはどのような制度や仕組みがあるのでしょうか?

土屋さん

エンジニアたちがのびのびと挑戦できる環境づくりにつながる取り組みとして、基本的に本人の裁量に任せた自由度の高い働き方を取り入れています。

弊社はコアタイム1時間のマンスリーフレックスタイムなので、長時間拘束することなくそれぞれのライフスタイルや仕事の進め方に合った時間で働くことができます。

さらには、働く場所も柔軟に選ぶことができるので、自宅でもオフィスでも好きな場所で仕事をすることができます。

こういった自由度の高い働き方は、特にお子様がいる社員にとってプラスな面が多く、例えば「保育園に送って行った後10時半から業務を開始します」や「お迎えに行くので、16時から17時まで抜けます」といったことがとても自然にできるんです。

社員みんながお互いに生活があるということを理解していて、仕事の仕方にも多様性が生まれることを受け入れているので、特に周りに気を遣いすぎることなく、それぞれがプライベートも含めた柔軟なスケジューリングをしています。

編集部

働く時間も場所も柔軟で良いという働き方に至った背景には、会社としてどのような想いがあるのでしょうか?

土屋さん

これはGDSCに限ったことではないのですが、会社として仕事も生活の一部として考えているため、社員のワークライフバランスという点をとても大切にしています。

1日のうち何時間も仕事に向かわせても、集中した状態が続く時間には限りがありますし、ただ長時間拘束されるだけの働き方では疲弊してしまうだけで、やりがいも薄れていってしまいます。

それよりも、短期集中型でやるべきことをしっかりとやって、仕事から離れた時間は自己啓発や新しいアイデアにつながるような活動に使ってもらうほうが良いですよね。

もちろん休息時間も仕事のパフォーマンスを高めるためには不可欠ですから、それぞれのバランスが取れていてこそ、生産的なやり取りが会社と社員の間で生まれるのだと思います。

そういった考えが根底にあるからこそ、社員の自由度の高い働き方に対して会社が寛容な姿勢でいられるのでしょう。

編集部

事業においてだけでなく、社員に対しても多様な価値観を尊重する姿勢が働きやすい職場を生み、従業員のエンゲージメント向上につながっていると感じました。

社外パートナーの育児参加も支援。キャリア形成を支える取り組み

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの社内勉強会の様子

編集部

ポーラ・オルビスホールディングスさんにおける、産休・育休の取得状況について教えてください。

土屋さん

男女とも育休の取得率は100%で、女性の育休からの復職率は2022年実績で92.6%です。先ほどお話にもあがった通り、育児に関して社内の理解はかなり進んでいる方だと自負しています。

復職後は、お子様が小学校3年生になるまでは時短勤務を選択できたり、チャイルドケア奨励金を支給したりと、会社全体で社員の育児をサポートする体制を整えています。

編集部

チャイルドケア奨励金とはどのような制度なのですか?

土屋さん

2ヵ月以上の育休を取得する場合に支給されるもので、休業による経済的な不安を軽減し、前向きに育休を取得できる環境づくりの一環となる制度で、弊社の全社員に加え、弊社の女性社員の社外パートナーも支給対象としています。

社外パートナーも支給対象に含めた理由は、パートナーも積極的に育児に参加してほしいという想いがあったためです。

育児支援に関する取り組みとしては、他にも出産・育児におけるジェンダーギャップ解消を図るワークショップや、育児とキャリア形成を両立する方法などを共有し合える座談会なども開催しています。

編集部

なるほど。キャリア形成を支援するという点では、他に取り組まれていることはありますか?

土屋さん

お子様のいる社員に限らず、社内では定期的に勉強会が開催されています。その時々でトピックを決めて、新しい技術や考え方などを学ぶ機会をそれぞれが自発的に設けていますね。

あと弊社は副業OKなので、副業の方で普段関われない人と触れ合ったり、別の仕事をしてみたりすることで発想が広がったり新たな気づきが得られたりして、本業の方に還元されるといった効果も生まれています。

編集部

成長支援やキャリアアップといったところに対しても、あくまで社員の方々本人の自発性や意志を尊重しているんですね。

求めるのは「異なる感性・個性を尊重し合える自走型エンジニア」

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスのコンピテンシー
▲ポーラ・オルビスホールディングスの掲げるコンピテンシー(採用サイトから引用)

編集部

ポーラ・オルビスホールディングスさんでは、エンジニア採用強化にあたり、採用時に重視するポイントを教えてください。

土屋さん

弊社では、役職業績とコンピテンシーの2軸の評価制度を設け、このコンピテンシーで定められた項目をしっかりと発揮することを評価しているので、採用においてもこういった観点は重視します。

大きな評価軸としては、「個を起点としたものの見方や考え方を実践する力・姿勢」に重きをおいているので、これまでお話にあがった「挑戦」や「多様な個人を尊重する」姿勢はコンピテンシーにおいても評価項目に含まれます。

その視点から求める人物像をあげるとすると、当事者意識を持ってチームで新しいことをぐいぐいと推し進めていける力のある方には、活躍する環境が整っていると思っています。

当然仕事には役割がありますし、ある程度決められた範囲をしっかりと守って仕事をしなくてはいけないんですが、いい意味でその範囲を飛び越えて、他の人の領域で「ああでもない」「こうでもない」と意見を出して話し合っていけるような人は、すごくいいなと思っています。

あとは、自分ならではの美意識を持っていることも、弊社では重視しています。仕事への取り組み方にも個々の感受性や見方、ひいては美意識をどれだけ反映させたうえで新しいことに挑戦していくかというところが評価される環境ですので、しっかりと自分の感覚で物事を考え行動できる人がフィットするのではないでしょうか。

編集部

なるほど。御社の雰囲気や社風にフィットしやすい性格や特徴はございますか?

土屋さん

社内の雰囲気としては、柔らかな人柄の人が多いというのが特徴ですね。みんなが周りに対して思いやりをもって接しているので、育児や多様な働き方、価値観に対しても寛容になれるというところはあると思います。

そういった環境で働きたい方にはすごくフィットする会社だと思うので、まずは気軽に話を聞きに来てほしいですね。

編集部

事業戦略から社内カルチャー、様々な制度設計に至るまで、一貫して「個」の多様な価値観を尊重した姿勢が感じられ、自分の裁量で成長機会を作り出していきたいエンジニアの方にはとても良い環境だと感じました。

本日は、貴重なお話をたくさんお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。

■取材協力
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス:https://www.po-holdings.co.jp/
採用ページ:https://engineer.po-holdings.co.jp/