外国籍店長が3名在籍。株式会社リンガーハットの多様性のある環境とは

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」などを全国に展開する株式会社リンガーハットにインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。

同社は現在、16名の外国籍正社員が在籍し、そのうち3名が店長として活躍しています。2030年までに外国籍社員100名体制を目指すほか、国籍に関係なく平等な評価制度や充実した教育支援など、ダイバーシティ経営を積極的に推進中です。また、社員の声から生まれた独自の休暇制度や、月額2万円の住宅補助制度など、働きやすい職場環境の整備にも注力しています。

今回は株式会社リンガーハットのグローバルな組織体制やインターンシップの取り組みなどについて、総務人事チーム主任の黒須さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社リンガーハット総務人事チーム主任の黒須さん

株式会社リンガーハット総務人事チーム主任

黒須 裕太さん

株式会社リンガーハット総務人事チーム主任。外国人採用や教育、学生のインターンシップなど幅広い採用活動に従事。

外国人採用の強化により、組織のグローバル化を推進

株式会社リンガーハット総務人事チーム主任の黒須さん
▲インタビューにご対応いただいた総務人事チームの黒須さん

編集部

御社は外国人採用を強化されているとのことですが、現在どのくらいの外国籍メンバーが在籍していらっしゃるのでしょうか。

黒須さん

現在正社員として在籍している外国籍メンバーは16名です。また特定技能(※)外国人の採用も強化しており、2023年度と2024年度でベトナムとインドネシアから合計で20名の採用を行っています。2030年をめどに、外国籍社員を100名程度まで増やすことが目標です。
※特定技能…国が定める、特定の技能を持つ外国人を対象とした在留資格。技能の習熟度や日本語能力などに応じて「1号」と「2号」に分けられる。

編集部

外国人採用を強化されている背景は何ですか?

黒須さん

当社のダイバーシティ経営の推進が背景にあります。外国人だけでなく女性や男性、高齢者、障害のある方など多様性のある人材活用を進め、社員活躍と企業価値向上を図っています。

平等な評価制度やキャリアサポートで、外国籍人材の活躍を促進

株式会社リンガーハットの外国籍社員向け勉強会の様子
▲外国籍社員を対象とした勉強会の様子

編集部

外国籍メンバーの働き方やキャリアアップについても教えていただけますか?

黒須さん

外国籍メンバーも日本人も、基本的に同じ労働条件で働くことが可能です。評価も国籍に関係なく平等に行っており、実際に3名の外国籍メンバーが店長として活躍しています。今後は外国人採用強化に合わせて、外国籍店長のさらなる登用も進めていけたらと考えています。

ただし特定技能外国人の正社員登用に関しては、国の制度の都合上、当人の一定のキャリアアップが必要です。そのため就労期限後もリンガーハットの正社員として働き続けてもらえるよう、外国籍社員対象の勉強会の開催や相談支援などによって長期的なキャリア支援を行っています。

編集部

外国籍社員を対象とした勉強会では、どのような内容が実施されていますか?

黒須さん

まず人事制度の説明を行いキャリアアップの目標を明確にしてもらうことに加え、来期から制度として新たに取り入れた「帰国手当」の説明を行いました。帰国手当という会社からのサポートに関しては、満面の笑顔で喜んでくれましたね。

また、座学だけではなくグループディスカッションも実施しました。話し合うテーマは、自分たちの出身国のすばらしいところを紹介する「自国自慢」で、みんな盛り上がっていました。

単に制度の説明や知識の習得で終わるのではなく、コミュニケーション能力を高められる内容を実施しているところが、この勉強会の特徴ですね。

知識習得だけでなく「目的」を考えさせる教育制度が、成長を加速

株式会社リンガーハット総務人事チーム主任の黒須さん

編集部

外国籍メンバーを対象とした教育を行う際に、特に意識されていることはありますか?

黒須さん

これは外国人だけでなく日本人の教育でも同様なのですが、一方的に知識を伝えるのではなく、「なぜこういうやり方なのか」といった目的を理解してもらうことを最も大切にしています。そのため研修でも最初から答えを教えるのではなく、グループでの意見交換などを行いながら、自ら考える過程を重要視しています。それが学ぶ意欲の向上、本質的な業務理解につながっていると考えます。

先日、私が指導を行ったベトナム国籍のメンバーに会う機会があり、その方から「ここまで丁寧に詳しく教えてくれる方は初めてです」という言葉をいただきました。当社の教育に対する姿勢が伝わっているんだと嬉しくなりましたね。

編集部

外国籍メンバーの活躍に関して、現場からはどのような意見があがっていますか?

黒須さん

意欲的に学ぶ姿勢を評価する声が多いです。店長から「日々自分から学ぶ意欲が素晴らしい」という評価をもらうこともありますし、営業部長から「外国籍メンバーの方が早く店長になるのでは?」という声があがることもあります。私自身も、外国籍メンバーの短期間での成長に驚かされることが少なくありません。

社内風土:社員が自らの提案を活かした制度改革が可能

株式会社リンガーハットの仕事風景

編集部

御社の社内風土について、特徴的だと感じている点はありますか?

黒須さん

ダイバーシティ推進のため、部署や性別、国籍、年齢などに関わらず話し合いができる環境を整えているのが特徴です。具体的には「ダイバーシティみらい座談会」という場を設置し、役員も社員も一体となって働きやすい職場づくりに向けた話し合いを行っています。

ただ話し合うだけでなく、社員の提案は実際に新しい制度として実現しています。社員自身のアイディアで、より良い会社に変えていける環境があるのが魅力です。

編集部

社員の皆様の声を受けて、制度が変更された具体例を教えていただけますか。

黒須さん

直近では3つの事例がありますね。1つ目がお孫さんを持つ社員の声から生まれた「育孫(いくまご)休暇」です。育休のように、お孫さんの行事などの際に休暇を取得できる制度となっています。2つ目が「社会貢献休暇」で、会社が認めた地域での社会貢献活動に参加する際に取得できます。3つ目が服装規定の変更で、オフィスカジュアルとして私服での出勤が可能になりました。これらはすべて従業員からの声を反映して実現したものです。

充実の住宅補助や食事補助が社員に人気!

株式会社リンガーハットのオフィス内観

編集部

福利厚生も充実されているようですが、特に好評な制度を教えてください。

黒須さん

最も好評なのが「住宅補助」です。一人につき2万円の補助が出て、地域ごとの上限額の範囲内で自由に物件を選べる点が、社員から高く評価されています。

もう1つ、リンガーハット店舗での食事補助も人気です。店舗での食事が通常価格の60%で利用できるため、地域にもよりますがちゃんぽん一杯を300円台で食べることができます。私自身も店舗勤務の際によく利用しており、非常にありがたい制度だと感じていました。

事業の特徴:調理工程の自動化と健康志向が差別化ポイント

株式会社リンガーハットに掲示されるグループの歩み

編集部

御社の事業の特徴をご紹介いただけますか?

黒須さん

大きく分けて2つあります。

1つ目の特徴が「国産野菜の使用」です。他社でも国産野菜の使用を進めているところはありますが、当社の場合は安全・安心面だけでなく健康志向の観点を重視しているのが差別化のポイントになっています。

実際、採用面接でも学生の方から「健康という部分に焦点を当てた取り組みは、リンガーハットさんくらいではないでしょうか」という声をよくいただいています。

2つ目の特徴が、「調理の自動化」です。当社では切る、炒める、スープを煮込む工程などの調理の各工程のほとんどを自動化しています。そのため包丁を持つ時間はほぼゼロ。調理経験がない方でも1日程度の研修で、ある程度の調理技術を習得できる環境になっています。

これによって安全面の確保と業務効率化が図れるだけでなく、どの店舗でも同じ品質の料理提供が可能となります。働き手の負担を軽減し、誰もが活躍できるダイバーシティの実現の上でも重要な取り組みとなっています。

社会人に必要なスキル習得ができるインターンシップ

株式会社リンガーハットのインターンシップの様子
▲インターンシップの様子

編集部

御社で実施されているインターンシップの概要を教えてください。

黒須さん

2024年度から新たに、大学3年生を対象とした夏の短期インターンシップをスタートしました。このインターンシップでは当社の採用活動だけでなく、業界理解や自己分析など、参加学生が社会で必要なスキルの習得につながるような機会の提供を目指しています。

編集部

具体的なプログラム内容をご紹介いただけますか?

黒須さん

対面で2日間、オンラインで1日間という短期プログラムを実施しています。1日目は座学やグループディスカッション、先輩社員とのコミュニケーションが中心です。2日目は実際の店舗で調理体験をしていただきます。最後に、これからのリンガーハットについて若い視点での提案と発表をグループワークで行っていただいています。

編集部

学生からはどのような提案が出たのでしょうか。

黒須さん

バリアフリー店舗や子供向けの遊び場を備えた店舗の提案、契約農家との連携を活かした野菜の販売などの提案がありました。インターンシップでの学びと若者ならではの視点が活かされた提案となっていたと思います。

参加者の約4割が採用ステップに進む!インターンからの内定者も

株式会社リンガーハット総務人事チーム主任の黒須さん

編集部

インターンシップの参加から次の採用ステップにつながった例はありますか?

黒須さん

インターンシップ参加者の約4割が選考に進んでいます。中には既に内定を出している学生も数名います。

編集部

多くの参加者が選考に進まれた理由は何だと思われますか?

黒須さん

やはりインターンシップの内容に満足していただけたことが大きかったと思います。インターンシップにおいても「なぜそうなのか」という目的を伝え、業務の本質を学んでいただける内容を意識しました。

例えば調理体験では、機械によって自動化された当社の調理工程を体験してもらうだけでなく、一つひとつの機械の意味や目的をお伝えしました。それにより、「なぜそうしているのか」ということまで理解でき、感銘を受けたという声が大きく聞かれました。単なる職場体験を超えた、本質的な業務理解に寄与できたのではないかと思います。

リンガーハットから求職者へのメッセージ

編集部

最後に、リンガーハットに興味を持たれた読者の方々へメッセージをお願いできますでしょうか。

黒須さん

リンガーハットは自分のやりたいことを提案し、それを実行に移せる会社です。

私自身、店舗勤務時代から現在まで、数多くの提案、チャレンジを経験させてもらってきました。これから100年先、さらにその先のリンガーハットの継続的な発展のために、さまざまな知恵や知識を持って新しいことを提案していける人材を求めています。これからのリンガーハットの中心となって活躍していただける方をお待ちしています。

編集部

黒須さん、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

編集後記

ガッツリと野菜が食べたいときなど、編集部もすごくお世話になっているリンガーハット。取材では、外国籍人材を始めとする多様性あふれる環境、インターンの取り組みについて熱心にお話しいただきました。今後店舗に行った際の見方も変わりそうです!

この記事のまとめ

業務効率化の特徴
  • 包丁作業がほぼ不要で、1日研修で基本的な調理技術を習得可能
  • 調理工程の自動化により品質を標準化
  • 誰でも働きやすい環境を実現
ダイバーシティへの取り組み
  • 女性、高齢者、外国籍社員など多様な人材が活躍
  • 外国籍社員の店長登用を積極的に推進
  • 国籍に関係なく同一基準で評価
教育・研修制度
  • 外国籍メンバー向けの定期的な勉強会を実施
  • グループディスカッションを重視した実践的な研修
福利厚生
  • 月額2万円の住宅補助制度
  • 店舗での食事が60%オフで利用可能
  • 育孫休暇や社会貢献休暇など、ユニークな休暇制度
社風・企業文化
  • 社員からの制度改革の提案を積極的に採用
  • 座談会を通じて社員の声を反映

株式会社リンガーハットの基本情報

住所 長崎県長崎市鍛冶屋町6番50号(本店所在地)
事業内容 長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」やとんかつ専門店「とんかつ濵かつ」などを全国に展開
創業 1962年(会社設立は1970年)
公式ページ https://www.ringerhut.co.jp/
採用ページ https://www.ringerhut.co.jp/
recruitment_n/
募集職種 総合職(店舗運営管理者)
取材・編集
大滝雄介のプロフィール写真

ミライのお仕事
編集部

大滝 雄介

企業の採用や働き方に関する取材を担当し、これまでに三井物産株式会社やヤマハ発動機株式会社、サイボウズ株式会社など、約650件の取材実績あり。編集歴は15年にわたり、出版社勤務時代には官公庁や健康保険組合の機関誌・パンフレットなどを企画段階から多数制作。