青藍会グループの女性活躍:山口市の医療福祉を支える職場のキャリア支援策に迫る

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、青藍会グループにインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同グループで働く魅力をご紹介します。

青藍会グループは1922年に第1号の医院を開設した歴史ある組織(※)です。山口県を代表する地域包括ケア団体として山口市内を中心に多数の医療・福祉・育児施設を運営しており、医師・看護師・介護士・保育士など約40の職種がチームとして連携することで地域の健康を支えています。
(※)グループは医療法人社団青藍会、社会福祉法人青藍会、 有限会社あんのメディカル、有限会社みずほ企画、有限会社あんの企画により構成されている

同グループは従業員の70%が女性で、結婚・出産・育児といったライフステージに寄り添った柔軟な働き方や、正社員とパート間の雇用形態の切り替えなど、女性が長く活躍できる環境が整っていることが特徴です。また、介護関連の資格取得補助やエルダーメンター制度による教育など、キャリア面での支援も充実しています。

今回は青藍会グループの女性活躍の実態や働き方の特徴について、人事部部長の小田村滋さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
青藍会グループ・人事部部長の小田村さん

小田村 滋

青藍会グループの人事部部長。2004年10月1日入職、21年目(2025年3月現在)。本部各課をはじめ、介護・障がい・食事・保育・日本語学校などのさまざまな事業を経て、現場での経験を活かし、現在は管理職として人事部部長を務めている。

女性比率70%!ライフステージに寄り添う青藍会の働き方の魅力

青藍会グループの勤務風景

編集部

最初に、青藍会グループでの女性活躍の実態がわかるデータなどがあれば教えてください。

小田村さん

当グループの従業員1,116名のうち、女性が782名で全体の70%(2025年3月現在)を占めており、多くの女性が看護師や保育士、介護士として活躍しています。また管理職に占める女性の割合は39.7%と、他業界と比較しても高い水準を維持しています。

特に青藍会グループで特徴的なのが、子育て世代の女性を中心としたリファラル採用(※)が非常に活発だということです。「青藍会グループならこういう働き方ができる」と、同じ子育て中の人にも勧めたくなるような環境が整っている証だと自負しています。
(※)勤務している社員・職員から友人や知人などを紹介してもらう採用手法

編集部

具体的に、どういった部分が子育て世代に支持されているのでしょうか。

小田村さん

結婚・出産・育児といった、女性のライフステージに寄り添った多様な働き方が実現できる点だと思います。例えば働く場所に関しても、さまざまな地域で複合型施設を運営する青藍会グループの強みを活かし、職員の最寄りの勤務地での働き方を提案可能です。日々忙しく仕事と子育てを両立する職員にとって、自分の生活圏域で仕事ができることは大きな魅力となっています。

またライフステージの変化に応じて、正社員からパート、パートから正社員への切り替えも非常に柔軟です。パート職員に毎年継続意向調査を行い、希望に応じて雇用形態の切り替えを行っています。パート職員に関しては勤務日数の調整にも柔軟に応じており、週1日からの勤務も可能です。

さらに、青藍会グループでは多くの職員が子育てをしながらキャリアを築いてきた経験を持っているため、子育て中の女性職員に対する深い理解が根付いています。それは子育てをしながら安心して働き続ける上で、大きなメリットといえるでしょう。

編集部

青藍会グループでは保育園も運営していらっしゃいますが、こちらを利用する職員の方も多いのでしょうか。

小田村さん

おっしゃる通り、当グループではまだ組織が小規模な頃から職員の子育て支援の一環として無認可保育園を開設していました。現在では認可保育園として山口市内に保育園を3か所、病児保育施設を2か所運営しています。

認可保育園となったことで職員の子どもを優先的に受け入れることには制限がありますが、本部のある吉敷の保育園では従業員枠を確保しています。また、職員の子どもたちがグループ内の保育園や病児保育を利用する際の保育料(延長保育料・実費を除く)は、福利厚生の対象とし、グループが負担しています。

働きながら資格取得可能。女性の継続的なキャリアアップを手厚くサポート

青藍会グループの勤務風景

編集部

女性のキャリア形成に関する支援体制についても教えていただけますか?

小田村さん

キャリアアップ支援に関しては、人事部のキャリア開発課を中心にさまざまな研修事業を行っています。

特徴的なのは、働きながら資格取得を目指せる環境です。福利厚生の一環として、認知症介護基礎研修、介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修、喀痰吸引等研修という四つの資格取得を支援しています。受講料を法人が負担するため、個人の金銭的負担なく資格を取得できる仕組みです。

また、実務経験に応じてさらなるキャリアアップ支援を行っているのも特徴です。実務経験3年でチャレンジできる国家資格の介護福祉士、5年で受験資格が得られるケアマネジャーの資格取得もサポートしています。

編集部

実際に、キャリアアップして活躍されている女性職員の事例を教えていただけますか?

小田村さん

20年、30年と長期的にキャリアを形成して管理職として活躍されている方がいます。面白いのが、お子様も医療福祉人材を志しており、青藍会グループでのキャリアを目指していることです。青藍会グループは家族で勤められているケースも多く、これまでも親子で、夫婦で、兄弟で活躍されている例があります。

また無資格・未経験で入社した職員で、入社後に資格取得した職員も多くいますよ。キャリアアップの例として、介護職からスタートし、准看護師を経て正看護師になった方もいらっしゃいます。ただし正看護師を取得された方は、総合病院でのキャリアにチャレンジするために退職される方も多いんです。そういう場合であっても、当院は「卒業」という形で快く送り出しています。

編集部

他院に活躍の場を移す職員さんに対しても、寛容に背中を押す方針なんですね。

小田村さん

はい。その背景には、地域医療に広く貢献していきたいという思いがあります。また、地域の中での医療福祉人材はある程度循環しているところがあるため、一度総合病院など他の機関に行った方であっても、キャリアの集大成として青藍会グループに戻ってきてくれるケースも少なくありません。広い目で見て、地域医療の人材育成を行っていくのが当グループの方針です。

未経験者の成長を支える「エルダーメンター制度」の丁寧な指導

青藍会グループの勤務風景

編集部

未経験で入るケースも多いとのことですが、資格取得支援の他にも未経験者へのサポート体制があれば教えてください。

小田村さん

全職種共通で、正規・非正規問わず3か月間のエルダーメンター制度を導入し、専属の先輩職員がマンツーマンで指導を行っています。最初の3か月では全業務の内の30%程度から始め、新人職員と先輩職員、直属上司の3者で成長度合いを確認しながら徐々に増やしていくという方針です。

さらに人事部による定期面談も実施しており、エルダーと新人のマッチング状況を客観的に確認し、必要に応じて変更を行うなど軌道修正を行っています。現場でのOJTと、人事部による二段階のサポート体制があるのが特徴です。

編集部

エルダーメンター制度では、具体的にどのような指導を行うのでしょうか。

小田村さん

業務内容に限らず、職場での基本的な過ごし方まで幅広くサポートしています。特に入りたてのときは右も左もわからない状態のため、1日の業務の流れから始まり、具体的な作業手順、休憩の取り方、施設内の設備の場所なども丁寧に教えていきます。

青藍会グループのエルダーメンターのようす

特徴的なのは「交換日記」方式のコミュニケーションです。業務終了後、新人が1日の振り返りや相談事項を記入し、それに対して先輩職員が回答を書き込みます。これを3か月間継続し、上司も内容を確認することで、きめ細かなサポート体制を実現しています。

青藍会の組織風土:医療・介護など40職種が連携する体制あり

青藍会グループの勤務風景▲青藍会グループでは医師、看護師、介護士、保育士、事務員など約40職種がチームで医療・福祉を提供している

編集部

青藍会グループならではの組織風土について教えていただけますか?

小田村さん

10代から80代まで幅広い年代層の職員が活躍しており、医師、看護師、介護士、保育士、事務員など約40の職種があり、さまざまな職種の方々と関わり合える環境があることが青藍会グループの組織の特徴であり魅力です。

例えば保育園で何か困ったことがあっても、すぐに医療や福祉の専門職員に相談できるなど、連携のしやすさがあります。

編集部

普段から職種間の交流機会は多いのでしょうか。

小田村さん

はい、非常に積極的に交流しています。また当グループが実施する看護師向けの研修に保育士が参加するなど、職種の垣根を超えた学びの機会も豊富です。

医療福祉業界では「多職種協働」という言葉がよく使われますが、実際には医師を頂点としたピラミッド型かつ縦割りの組織構造が一般的で、なかなか真の連携が実現できていません。その点、当グループでは地域を面で捉え、約40職種が円形の組織構造でつながっているのが強みです。

それぞれの職種が持つ専門的な知識や技術を活かしながらも、チームとして地域の方々を24時間365日支える体制を構築しています。

青藍会からの採用情報:ブランクがある人も歓迎!

編集部

青藍会グループの採用に関するトピックを教えていただけますか?

小田村さん

結婚や出産を機に医療現場から一度離れていた看護師有資格者の力を活かしていくために、「看護師再就職プログラム」を導入しています。

このプログラムでは、ブランクのある看護師さんに対して個別アセスメントを行い、経歴やスキル、不安に思っていること、働き方の希望を事前にヒアリングした上で、適材適所の配置と個別指導を行っています。

例えば10年間のブランクがある場合、医療の世界では特に技術の進歩が速いこともあって、再び現場に戻ることに不安を感じる方も多いんですね。そういう方に対しては介護施設での働き方を提案することもあります。複合型施設を運営する青藍会グループだからこそ、多様な形でスキルを活かしていけるのが強みです。

編集部

最後に、どのような方に働いていただきたいかを含め、読者へのメッセージをお願いできますでしょうか。

小田村さん

当グループでは、多様な価値観を持つ者同士が共に協力し合いながら、地域を支える仕事ができる環境があります。これからの少子高齢化社会において、地域の医療や福祉を支えていきたいという思いをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ私たちと一緒に働いていただけると嬉しいです。

周囲の親身なサポートや資格取得支援などの育成体制のもとで確実に成長できる仕組みを整えているため、未経験者の方も安心してチャレンジしてください。

編集部

小田村さん、本日はありがとうございました!

編集後記

パート・正社員の雇用形態の柔軟な切り替えや、「看護師再就職プログラム」から、女性のライフステージに寄り添った働き方の実現に真摯に向き合う姿勢が感じられました。また他院への転職も「卒業」として快く送り出す姿勢から、地域医療全体の視点から人材育成を考える懐の深さ、社会貢献への思いが伝わってきました。

青藍会グループの働き方のまとめ

女性の活躍
  • 従業員の約70%が女性
  • 管理職の約40%が女性
  • 子育て世代からのリファラル採用が活発
働き方の特徴
  • 最寄り勤務地での勤務が可能
  • 正社員⇔パートの柔軟な切替
  • 週1日からの勤務も可能(パート職員のみ)
  • 職員向け保育園・病児保育を整備
キャリア支援
  • 国家資格も含め、資格取得を支援
  • 看護師の再就職支援プログラムあり
教育体制
  • 3か月間のマンツーマン指導
  • 交換日記方式での細やかなフォロー
  • 人事部による定期面談実施
職場環境
  • 40職種が連携して業務を推進
  • 10代から80代まで幅広い年齢層
  • 職種を超えた学びの機会が豊富

青藍会グループの基本情報

グループ名 青藍会グループ
住所 山口県山口市吉敷中東1丁目1-1
事業内容 在宅医療・看護・介護等
設立 1922年2月
公式ページ https://www.seirankai.or.jp/
採用ページ https://www.seirankai.or.jp/
recruit/index.html
募集職種 ・訪問看護師
・訪問介護士
・調理員
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。