ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、英語イマージョン教育(※1)や国際バカロレア(IB)(※2)の認定校として、新しい時代の教育に挑戦し続けるホライゾン学園仙台小学校にインタビューしました。
(※1)英語イマージョン教育:さまざまな授業を英語で提供し、英語力を自然に身につける教育メソッド
(※2)国際バカロレア(IB):国際的な視野で行動するための能力やスキルを育む、世界共通の教育プログラム
同校は教員の働き方改革に積極的で、週17〜18時間という適正な授業時間の設定や、日本人教員と外国人教員の協働による効率的な業務分担など、働きやすい職場環境の実現に注力。7カ国以上の多様な国籍の教員が在籍する国際的な環境で、教員同士が学び合い、成長できる職場として注目を集めています。
今回は、そんなホライゾン学園仙台小学校の教育環境や働き方改革への取り組みについて、校長のサム・フセインさんにお話を聞かせていただきました。
教員の担当授業は週17〜18時間。負担が少なく働きやすい環境
編集部
最初に、御校の働き方についてお聞きします。ワークライフバランスに関する具体的な取り組みについて教えていただけますか?
サム校長
はい。ホライゾン学園仙台小学校ではワークライフバランスを重視しており、特に注力しているのが「授業時間数の適正化」です。これは多くの教育現場で課題となっている長時間労働の解消に向けた、本校独自の取り組みです。
1日7時間、週35時間の授業時間が設定されている中で、各教員における実際の担当授業時間は週17~18時間程度であり、これは一般的な学校と比べてかなり少なく設定されています。
これは、日本人教員と外国人教員が分担して授業を行う本校だからこそ叶う取り組みなのではと思います。教員たちは空き時間に授業準備や保護者対応を行うなど、効率的に業務をこなせている印象です。また、会議の進め方も効率重視で、必要以上に長引かないよう工夫しています。
編集部
保護者対応における働き方の工夫について教えていただけますか?
サム校長
これは保護者向けのオリエンテーションで毎年お話ししているのですが、児童たちにより良い教育を提供するためには、教員が心身ともに健康であることが非常に重要であると考えています。教員も一人の人間であり、きちんと休息を取れる時間が必要不可欠です。
そのため、保護者には17:00以降は緊急時を除いてメールや電話を控えていただくようお願いしています。また、子どもたち同士のトラブルについても、まずはお子様の話をよく聞いていただき、どのように解決したのかまで確認していただくようお話ししている次第です。
こうした工夫によって、教員たちが残業せずになるべく早く帰宅できる環境づくりを徹底しています。
編集部
具体的な残業時間の状況や、削減に向けた取り組みの成果を教えていただけますか?
サム校長
外国人教員に関しては残業時間はほぼゼロで、日本人教員も徐々に減少傾向にありますね。もちろん仕事は際限なくありますが、バランスを取らなければどこかで限界が来てしまいますので、「8:00に来て17:00に帰りましょう」といった声掛けを日常的に行っています。
また、もし問題を抱えている場合は早い段階で相談してもらい、一緒に解決することを目指しています。場合によっては他の教員に依頼できることもあると思いますし、AIやICTを活用すればもっと効率的にできるかもしれない。そういった様々な方法を検討しつつ残業時間の削減に努め、ワークライフバランスが整った労働環境を整備しています。
グローバル教育の最前線で、教員としての経験を積める職場
編集部
御校の教育の特徴について教えてください。
サム校長
本校の教育における最大の特徴は「先進的」であることです。これはすべての教員にとって魅力的な点です。また、本校では先進的な教育手法を取り入れながらも、伝統的な教育とのバランスを重視しています。
義務教育の一条校でありながら、英語イマージョン教育の実践校として授業の約50%を英語で行っています。例えば英語、算数、図工、探究学習、理科(3年生以降)は英語で、国語、体育、音楽、社会、家庭科は日本語で、道徳は単元の内容に応じて英語あるいは日本語で教えている形です。そのため、各クラスには日本人教員と外国人教員が1名ずつ担任として就いています。
また、国際バカロレア認定校として国際的な視野を持つ児童を育てる教育を展開しているほか、児童が中心となって学びを進める探究型の学習を重視していることも本校の特徴です。探究型学習は探究の授業だけでなく全ての教科において取り入れており、この教育スタイルは現代、そしてこれからの時代に求められる教育のあり方であると考えています。
編集部
御校のような教育現場で働くことのメリットについても教えてください。
サム校長
ホライゾン学園仙台小学校では、日本語と英語を使ったバイリンガル教育とIB認定のPYPカリキュラムを採用しています。多文化環境での教育経験により、教員の視野が広がることに加え、IB資格取得支援や研修参加がキャリアの成長を後押しします。また、探究型学習を通じて、生徒の興味や個性に応じた教育スキルが磨かれる点もメリットの1つと言えるでしょう。
編集部
教員にとっても自身のスキルアップが望める環境なのですね。
サム校長
そうですね。異なる背景の教職員と協働する機会があり、チームティーチングや行事を通じて、教員同士がサポートし合える環境です。また、働きやすさにおいても努力を正当に評価し、メイクアップホリデーや追加手当で教員の負担軽減を図っています。
▲ホライゾン学園仙台小学校の授業風景。児童の主体性を高める教育を展開している。
7カ国以上の教員が在籍する国際的な職場環境
編集部
外国籍の先生方はどのような国々からいらっしゃっているのでしょうか?
サム校長
外国人教員の国籍は、オーストラリア、アメリカ、カナダ、フィリピン、南アフリカ、北マケドニア、トルコなどです。生徒たちは早い段階から多様な文化に触れることができ、将来的に国内だけでなく海外でも大きく活躍できるような基盤づくりができていると感じます。
編集部
現在在籍されている教員の方々は、どのようなキャリアパスで入職されたのでしょうか?
サム校長
例えば公立学校からの転職者もいれば、タイやシンガポールといった海外の日本人学校での経験を持つ者もいるなどさまざまです。どの教員も多文化に触れることにとても積極的ですね。
なかには本校の職場環境を気に入り、知人の教員を紹介してくださる方もいます。そのような形で仲間が増えていることを大変嬉しく感じています。
編集部
知人の教員からの紹介が多い理由は、どのような点にあるとお考えですか?
サム校長
ホライゾン学園仙台小学校では教員同士のコラボレーションを重視しており、教員同士が協力し、意見を出し合い、より良い教育を生み出していく文化が深く根付いていることが大きな理由だと思います。実際に働いている教員からも「何事も相談しやすく、自分の意見を自由に発言できる雰囲気がいい」といった声をよく聞きますね。
また、本校では、失敗を次への学びの機会として捉え、チャレンジを推奨する文化があります。日本人教員と外国人教員の間でも意見交換が活発で、新任教員の良い姿勢や取り組みを既存教員が積極的に取り入れているなど、学び合いのカルチャーがしっかりと浸透しています。
編集部
多国籍な環境というのは、日本人の教員にとっても魅力的なものと言えそうですね。
サム校長
そうですね。多様な価値観や教育スタイルに触れることで新たな視点を得られますし、その経験が国内外のキャリアに役立つと思います。実践的な英語環境なので、自然に英語のスキルも磨かれます。
編集部
教員の成長をサポートする具体的な制度や取り組みを教えていただけますか?
サム校長
新任の教員には、入職時のオリエンテーションから始まり、日々のコラボレーションの方法、経験豊富な教員の授業見学や、管理職からの丁寧なフィードバック、定期的な研修機会を提供しています。また、着任後1~2年以内に国際バカロレアのワークショップを受講してもらい、IBの理念をしっかりと理解していただけるようサポートしていることも特徴です。
もちろん、新任以外の教員へのワークショップやセミナーも毎年実施しており、教員がスキルアップできる機会を計画的に提供しています。
教育理念の実現に向けて協働できる方を歓迎
▲インタビューに応じてくださったサム・フセイン校長
編集部
どのような方が御校で活躍できると考えていらっしゃいますか?
サム校長
本校では『グローバルな人材の育成~輝の追求~』といった教育理念に共感し、その実現に向けて協力していただける方を積極的に採用しています。特に重視しているのは、多文化環境での教育に興味を持ち、他の教員との協働によって、より良い教育を生み出そうとする姿勢があるかどうかです。
そのため、「自分のやり方だけを通したい」という方には向いていないかもしれません。もちろん、協働する中で意見が合わないこともあると思いますが、お互いを高め合える関係性を大切にできる方であればきっと本校で活躍できると考えています。
編集部
最後に、転職希望者の方へメッセージをお願いします。
サム校長
社会は確実に変化しており、政府も働き方改革の必要性を認識していますが、実際の教育現場への浸透にはまだ時間がかかっているのが現状です。
そんな中で、本校は日々の業務の中で、理想的な働き方の実現に向けて継続的に取り組んでおり、着実に成果を上げている学校です。また、教員同士のコラボレーションを大切にし、一人ひとりが活躍できる環境を整えています。これからの時代に求められる「協働」の力を教える立場からも学び、実践できる場所です。
そして、多文化環境での経験はきっと皆さんの大きな財産になると思います。教員同士が切磋琢磨しながら良い教育を目指していることが生徒たちの成長に直接つながり、子どもたちは確実に世界へ羽ばたいていける力を身につけています。
このような環境で共に成長していきたいと考えている方は、ぜひ本校の門戸を叩いていただければと思います。
編集部
本日はありがとうございました!
編集後記
この記事のまとめ
働き方改革 |
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教育環境の特徴 |
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キャリアバックグラウンド |
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職場文化 |
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育成・サポート体制 |
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ホライゾン学園仙台小学校の基本情報
住所 | 宮城県仙台市泉区高森4丁目2-540 |
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設立 | 2016年4月 |
公式ページ | https://sendai.horizon.ac.jp/ |
採用ページ | https://sendai.horizon.ac.jp/ about9.html |
募集職種 | 教職員 |