注目企業の成長の要因や新しい働き方などについてインタビューをしていくこの企画。今回は、ロボティクス、AI、デザインという3つの軸で、インフラ業界における設備点検や災害対策、警備・監視などの業務を自動化するソリューションを提供し、急成長を遂げている株式会社センシンロボティクスにお話を伺いました。
株式会社センシンロボティクスとは
株式会社センシンロボティクスは、産業用ドローン、カメラ、スマートデバイス等を活用した業務ソリューションを提供し、業務の完全自動化を実現することで、様々な領域における「労働人口の減少」「インフラの老朽化」「災害の激甚化」といった社会課題の抜本的な解決を目指しています。
会社名 | 株式会社センシンロボティクス |
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住所 | 東京都品川区大井一丁目28番1号 住友不動産大井町駅前ビル4階 |
事業内容 | 産業用ドローン、カメラ、スマートデバイス等を活用した業務ソリューションの提供 |
設立 | 2015年10月1日 |
公式ページ | https://www.sensyn-robotics.com/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) フルフレックス |
今回は、株式会社センシンロボティクスの上野さんと金谷さんに、急成長の理由や、リモートワークやフルフレックスを取り入れた働き方について、お話を聞かせていただきました。
ロボティクス×AI×デザインで業務の完全自動化を支援
▲株式会社センシンロボティクスさんは「ロボティクスの力で、社会の『当たり前』を進化させていく。」というミッションを掲げている(公式サイトから引用)
編集部
まず最初に、御社の事業内容と強みについてお聞かせいただけますでしょうか。
上野さん
私たちは、産業用ドローン、カメラ、スマートデバイス等を活用した業務ソリューションの提供を行っています。ドローンなどのロボティクスの力で業務の自動化・省力化を実現することで、設備点検や災害対策、警備・監視を中心とする様々なインフラの領域における、「労働人口の減少」「インフラの老朽化」「災害の激甚化」といった社会課題の抜本的な解決を目指しています。
弊社の最大の強みは、ロボティクス、AI、デザインという3つの軸を持っていることです。我々のソリューションはデータ取得が目的ではなく、解析や管理など、その後のお客様のビジネスをより良くするために「活用」していただくことに焦点を当てています。データの取得や解析、管理に特化した会社はたくさんあると思いますが、弊社であればシームレスに対応することが可能です。
「デザイン」の部分が少しわかりづらいと思いますので補足すると、ここでいうデザインとはユーザーインターフェースを伴うアプリケーションの開発です。弊社のお客様は必ずしもITスキルに精通している方々ばかりではありません。使っていただくためには、いかにわかりやすく、使いやすいインターフェースを提供するかが非常に重要になってきます。だからこそ、「デザイン」にはこだわりを持っています。
この3つをすべて自社で行っている会社はかなり少ないので、お客様からは「センシンロボティクスとは手を取り合って本質的な課題解決ができる」という評価をいただいています。
例えば、インフラの保守や点検を行う場合は、ドローンで撮影して映像データを取得、AIで映像データを解析することになります。どのように撮影を行って、どのように解析するかが1セットなので、一社ですべて実施したほうが速く、精度の高い結果を得られます。
2番目の強みは、産業に精通していることです。石油化学系の工場や電力設備、建設現場に足しげく通って、現場の課題や要望を理解しながら製品開発やプロジェクトを進めています。
社員115名(2023年7月時点)のうち30~40名は、現場に通ってプロジェクトを回しています。弊社は先にテクノロジーがあってプロダクトアウトする会社ではなく、お客様のリアルな課題を捉えてサービス化していることが強みですね。
編集部
競合他社が少ないのは、ロボティクス、AI、デザインの3軸を持つことが非常に難しいからでしょうか。
上野さん
ロボティクス、AI、デザインを同じ比重で扱うことが難しいかもしれません。私たちはあえてハードウェアを持っていません。ハードウェアを作ってしまうと、それを売りたくなってしまい、そのハードウェアに依存したソフトウェアの開発、というようにコア事業が限定されてしまうからです。
私たちはあくまでもお客様の課題を解決することを目的としています。なので、データ取得の方法は特定のデバイスに限定せず、真に業務に役立つソフトウェアの開発を行うことで、事業を手広く展開できていると思います。
また、システム開発や運用を請け負うソフトウェア系の会社、いわゆるSIer(エスアイヤー)だと、ロボティクスやAIには本腰を入れていなかったりします。弊社と似たような事業をしていても、本腰を入れていない場合はエース人材が集まりません。我々はこの3軸に特化して良いチームを作っているので、そこが他社と差別化できているところだと思います。
編集部
ロボティクス、AI、デザインの3軸で、お客様のリアルな課題を捉えてサービス化していることが御社の強みなんですね。
お客様の課題を解決する会社へと方針転換し、急成長
▲株式会社センシンロボティクスのオフィス
編集部
センシンロボティクスさんは2015年創業で、創業から5年で売上高が57倍に増えたと伺っています。会社の急成長は上野様自身も感じられていますか?
上野さん
そうですね。私が入社した2019年11月当時は社員数が40人程で、2023年の現在は115人に増えました。4年弱で社員数が3倍になり、売上高も比例して伸びています。
会社の方針として、お客様の課題にフォーカスし、お客様の課題を解決する会社になると方針転換をしたのが4年前で、そこから成長が加速度的に上がりました。それまでは、まず技術を作ろうというフェーズでしたが、技術ができたので、それをどこにどう持っていくかを改めて考えたことが成長の要因のひとつだと思います。
もうひとつは、非常に優秀な人材を採用できたことです。今、中間層のマネージャーやリーダーを担っている社員は、多様なバックグラウンドを持った人材が揃っています。自動車会社で自動運転の研究をやっていたり、事業会社でバスの自動運転の事業を立ち上げていたり、あるいはテレビ局のドローン撮影事業のチーフだったメンバーもいます。
前職で実績があり、軸足をしっかり持っているプロ人材が多いので、平均年齢は30代後半と、ベンチャー企業としては高めだと言えます。単にソフトウェアのエンジニアがたくさんいるということではなく、さまざまなバックグラウンドを持ち、社会課題の解決を自分ゴトとして捉え、ビジネスの面から解決しようとする志があって、協調性を持って仕事をできる人材を多く採用できたことが成長につながっていると考えています。
編集部
優秀な人材はどのように採用されたのでしょうか。御社からスカウトされたのか、それとも御社の公式サイトを見て共感して向こうから応募をされたのでしょうか。
金谷さん
両方あります。採用活動に関しては、スタンダードかつ愚直なやり方をしています。ダイレクトリクルーティング、エージェントからのご紹介、社員からのリファラル、もちろんホームページからの直接流入もあります。
その中でも、ダイレクトリクルーティングで入社する社員がとても多いと思います。上野も言っていましたが、「ロボティクス×AI×デザイン」という他社との差別化ができていること、また、社会課題の解決という理想と、そのためにビジネス面でしっかり成果を上げていくという現実との両輪が、売上や取引先企業様からもわかるところが強みだと言えます。
だからこそ、採用候補者の方の中でも、「何をミッションに今後、仕事をしていきたいか」「自分のプロフェッショナル性をもって、何を成し遂げたいか」という軸がしっかりある方とマッチングしやすいと感じています。
編集部
御社の事業が他社と差別化できていることで、優秀な人材が集まってきやすく、その結果急成長を遂げているということですね。今後の目標はございますでしょうか?
上野さん
成長速度をさらに加速していきたいと思っています。また、世の中的なインパクトを大きくしていきたいですね。ロボティクスやドローンの活用は、みんながやりたいけれどなかなか踏み出せない分野だと思っています。
私たちは業界のトップ企業のお客様との事例を作ることで、ほかの企業も積極的に使いやすくなっていくと考えています。それによって、例えば工場に関する規制が変わるなど、世の中のインパクトも出していけると思います。まずは大企業の方々とシンボリックな事例を作り、それから一般的に普及するフェーズに入っていければいいなと思っています。
編集部
まだまだ御社は成長のフェーズにあるということですね。
社員個人がもっとも生産性が高まる場所での業務を推奨
▲オフィス内風景。個人の裁量でリモートが選択できる。
編集部
センシンロボティクスさんはリモートワークを導入されているそうですね。現在運用されているルールを教えていただけますか。
金谷さん
ルールはとくに設けておらず、週何日出社をしないといけないなどの制限はありません。「今日はリモートワークにします」といった申告も必要なく、個人の裁量で好きな場所で仕事をしていただきます。
前提として、個人がもっともパフォーマンスを発揮できる、一番生産性が高まる場所で業務を行うことを推奨しています。ですから、ほぼ毎日出社している社員もいれば、月に一度も出社しない社員もいます。職種によっても違います。ドローンなど、ロボティクスの現物に触れる必要がある社員は、出社率が高いです。
また、弊社には働き方改革手当の支給があり、リモートワークをする、しないに関わらず支給しています。リモートで働く設備を整えたり、自宅で働くことにより増える電気代の補填の意味合いです。
▲ハードウェアを使って作業をおこなうときはもちろん出社!
編集部
リモートワークは設立当初から導入されていたのですか?
上野さん
コロナ禍の2020年4~5月頃に導入しました。それまではフル出社で、机に座席表がある会社でした。コロナ禍になり、これでは立ち行かないと感じて大きく舵を切りました。代表の北村や私は前職でフルフレックスやリモートワーク前提で働くことが多かったので、その感覚を持ち込んだという経緯です。
編集部
リモートワークとともにフレックスも導入されているのですね。
金谷さん
はい。弊社はほとんどの社員がフルフレックスで、子育て世代はリモートワークとフレックスを組み合わせている方が多いです。朝早くに業務を開始して1、2時間仕事をし、お子さんを保育園に送るために抜けて、また業務を再開して、夕方少し早めに3時、4時に業務を終えるとか。さらに夜にファミリータイムを取って、20時や21時に業務を再開する社員もいます。
働き方に関しては、いろいろな社員に人事からインタビューをおこなっていますので、ぜひ弊社のブログをご覧いただきたいです。
■センシンロボティクスさんの公式ブログ「SENSYN Navi」のインタビュー記事はこちら!
https://www.sensyn-robotics.com/sensyn-navi/tag/%E4%BA%BA%E4%BA%8B
編集部
御社では社員の方の自主性に任せたフレキシブルな働き方が可能なのですね。
Slackで密に情報交換し、四半期ごとに対面キックオフを実施
編集部
リモートワークの方は直接顔を合わせる機会が少ないと思いますが、社内のコミュニケーションで工夫されてることはありますか?
金谷さん
Slackをメインのコミュニケーションツールとして使い、機密性が高い情報を除いてオープンに情報交換をしています。
情報の特性によりチャンネルを分類しており、週に1度、役職者や管理監督者以上が掲示するウィークリーレポートは「全社周知」のチャンネルに上がり、バックオフィスからのジェネラルな「締め切り守ってね」「こういうことはやってね」といった内容は別途専用のチャンネルに上がります。
また、問い合わせチャンネルやプロジェクトやプロダクトごとのチャンネル、職種関係なく交流を促すような雑談チャンネルや同じ趣味を持ったメンバーが集うチャンネルもあります。
弊社では口頭だけでやり取りすることがあまりなく、Slackと、もうひとつナレッジをシェアするのにConfluence(コンフルエンス)を使っています。Confluenceには議事録をのせて、誰でも情報をキャッチアップできるようにしています。
それ以外では、毎週月曜日に「情報共有会」というオンラインミーティングを実施しています。お客様先への訪問や出張などがなければ、全社員が参加します。そのほか、頻度や開催方法は任せていますが、チームやグループ、プロジェクト単位でも定例などのミーティングを行っています。
そのほか、全社員が対面で集まるイベントとして、四半期に1度キックオフを実施しています。キックオフでは、経営陣からクォーターの振り返りと、次クォーターの方針発表があります。経営陣から人事制度やメインとなるプロダクトの説明があり、その後プロジェクトのオーナーから、現状のサービスやプロダクト、プロジェクトの進捗についての説明があります。
以上のオフィシャルなパートが終わった後に、懇親会を設けています。オフィスでデリバリーをとったり、お酒を用意して飲食しながらコミュニケーションをとっています。
編集部
日々のコミュニケーションはSlackやオンラインミーティングで密に行い、3ヵ月に1度実施されるキックオフで対面のコミュニケーションを促進しているのですね。
多彩なバックボーンを持つ社員と、裁量を持って働きたい方を歓迎
編集部
センシンロボティクスさんに興味を持った方に、御社ならこんな仕事や働き方が実現できますよといったメッセージをいただけますか。
上野さん
弊社は社員数115名と一定の大きさがある組織ですが、フラットな環境なので、まだまだ個人が裁量を持って仕事ができるフェーズにあると思います。また、お客様は日本のインフラを支えている方々なので、我々自身の生活を支えるお客様をサポートすることで、日本の将来に寄与できることが魅力だと思います。
金谷さん
先ほども申し上げましたが、弊社には多彩なバックボーンを持つ優秀な社員が揃っているので、そのようなメンバーと一緒に働きたいという思いがあって入社した社員も多いです。もちろん弊社も退職者がゼロではないのですが、退職者のヒアリングをしていると、人間関係が嫌で辞めるという方はほとんどいません。
エンジニアは個人事業主として独立されたり、新たなステージを求めて転職されたりという理由がほとんどで、弊社での経験を「みんないい人で優秀で、そういう会社で働けたことはすごく良かった」と言ってくれています。
当社では、人事ポリシーでもある「Professional」と「Respect」に示されている通り、何かのプロであり、そのプロフェッショナル性で結果を出し期待に応えていく、またそれを相互に尊重する、というカルチャーがあります。弊社の良さはこの人事ポリシーにすべて内包されていると言えます。
上野の申し上げた裁量ある環境も、マーケットを作っていくという責任ある大胆な行動を促す「Challenge」を推奨しているからこそです。
上野さん
弊社はリモートワークやフルフレックスを導入していますが、それは社員を大人として扱い、成果を出すことを信用しているからです。ただ単に働きやすいだけではなくて、成果にもこだわるという意識が浸透しているので、その環境こそが成長環境かなと思いますね。
編集部
良好な人間関係のもとで、裁量を持って自由度が高く働ける御社はとても魅力的だと思います。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社センシンロボティクス:https://www.sensyn-robotics.com/
採用ページ:https://www.sensyn-robotics.com/recruit