成長著しく、若手が精力的に働く企業を紹介する本企画。今回は、オンラインキャリアスクール事業を軸に、女性のキャリア形成を支援するSHE株式会社を取材しました。
女性の「私らしい働き方」を叶えるSHE株式会社
▲SHE株式会社が掲げるビジョン
SHE株式会社は、累計受講者数7万人を超えるオンラインキャリアスクール「SHElikes(シーライクス)」を運営し、Webデザインやライティング、マーケティングといった、パソコン一つで働けるスキルが得られる機会を提供しています。目指しているのは、女性の「私らしい働き方」の実現を通した多様性の推進です。
キャリアスクールのほかにも、学びを活かせる仕事にチャレンジする機会の提供や、女性向けのマネースクール「SHEmoney(シーマネー)」を運営しています。また、即戦力を求める企業とリスキリング人材のマッチングサービス「SHE WORKS(シーワークス)」を立ち上げるなど事業の幅も広げています。
会社名 | SHE株式会社 |
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住所 | 東京都港区南青山3丁目7-21 |
事業内容 | ・キャリアプラットフォーム ・人材マッチングサービス ・自社メディア |
設立 | 2017年4月11日 |
公式ページ | https://she-inc.co.jp/ |
今回は、そんなSHE株式会社で、PR・コミュニケーショングループのマネージャーを務める下垣恵さんと、HRユニット / サブユニット長の永田翔さんに、会社設立から6年で年間売上高が22億円に上った背景や、平均年齢30代半ばの若い社員が活躍する理由についてお話を聞かせていただきました。
キャリアスクール「SHElikes」で女性の働く環境を改善
▲SHE株式会社のオンラインキャリアスクール「SHElikes」の受講画面
編集部
まず最初に、SHEさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
下垣さん
SHEの主要事業は女性向けのオンライン完結型のキャリアスクール「SHElikes」です。Webデザインやライティング、マーケティングなど40種類以上のクリエイティブスキルやデジタルスキルが学べるコースを定額受け放題で受講できます。
多様性をとても大事にしているSHEでは、会社員として働くことがキャリアの唯一の選択肢ではないと考えています。なので、「SHElikes」ではフリーランスや副業を含め、さまざまなワークスタイルに応じたスキルを提供できるプログラムを用意しています。
また、「SHElikes」のほかにも、マネースクール「SHEmoney」、女性たちのキャリアに関するヒントを発信するオウンドメディア「SHEshares」などを運営しています。
永田さん
2023年7月には、人材マッチングサービス「SHE WORKS」を立ち上げました。ユーザーには「SHElikes」で学んだスキルを生かし、「SHE WORKS」で仕事の機会を増やしてもらいたいと考えています。
▲SHE株式会社が新たに立ち上げた人材マッチングサービス「SHE WORKS」
下垣さん
SHEには、一人一人の「私らしい」働き方を応援したいという思いがあります。その中でも、男性と比較して非正規雇用の比率が高く、給与総額にも差のある女性にまずは焦点を当ててサービスを運営しています。
オンライン・オフラインどちらの環境でも生かせるポータブルなスキルを身に付けてもらい、出産や子育てを経たとしても働き続けるという選択肢を選べる女性を増やせるよう、女性をスキルとマインドの両面でサポートをしていきたいと考えています。
「SHElikes」は累計受講者数7万人、売上22億円を突破
編集部
SHEさんの業績について伺えますでしょうか。
下垣さん
「SHElikes」は2017年にローンチし、現在(2023年10月)では累計受講者数が7万人、売上は22億円を超え、日本最大級のキャリアスクールに成長しました。2021年からはテレビCMも放映しています。
またSHE自体も、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」で行われた2021年のピッチコンテストで優勝したことをきっかけに知名度を広め、会社の累計資金調達額は24億円を超えました。
編集部
SHEさんがそれほどまでに大きな成長を遂げられたのは何故でしょうか。
永田さん
「コミュニティの熱狂」を醸成できているからだと思います。
「SHElikes」は運営スタッフの8〜9割を元受講生や現受講生が占め、そのスタッフが伝道師のような役割を果たしています。さらに、受講生のコミュニティサイト「SHEstation」では活動報告など月間9千件の投稿があるほか、受講生同士が交流できるイベントも開催しています。これにより、受講生の「SHElikes」への帰属意識を高めてきました。
また「SHElikes」では、多様なコースから得られたデータを活用し、受講生一人一人に推奨される学習方法を提示しています。つまり、着実に仕事に結び付くようなスキルを習得できる設計になっているんです。そのことも、ユーザーからの支持につながっていると思います。
18億円の資金調達を契機に、社員数は1年間で50人から130人に
編集部
そのほか、SHEさんの成長を示すようなデータは何かありますか。
永田さん
SHEは事業だけではなく、組織も拡大しています。社員数は2023年10月現在、約130人で、50人ほどだった1年前から2倍以上に増えました。
人員増加の原資としたのは2022年、シリーズB(※)で実施した約18億円の資金調達です。ここで調達した資金を、プロダクトの開発とともに、「インパクト人材」の採用に充てました。
(※)スタートアップの投資段階の一つで、事業が軌道に乗り始めたフェーズ
「インパクト人材」とは、既存の枠組みにとらわれない「ウルトラC」のような取り組みをどんどん生み出していけるような人を指します。この募集に応じ、新たにジョインしてくれた人たちが、SHEの成長を一層後押ししています。
編集部
ジョインした方々は、SHEさんのどんなところに魅力を感じたのでしょうか。
永田さん
SHEのビジョンである「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を創る」に共感してくれた人が多かったですね。SHEは女性向けの事業を展開していますが、ビジョンに共感してくれた人の中には、男性も多くいました。
顧客像であるミレニアル世代の女性の気持ちに寄り添うことを常に意識
▲受講生の挑戦を讃えるイベント「SHE AWARDS」は社員が一体となって準備・運営。大きな熱狂を共創するイベントに
編集部
SHEさんが事業を行う上で、心がけていることはありますか。
下垣さん
私たちは、顧客像であるミレニアル世代(※)の女性の、等身大の気持ちや悩みに寄り添うことをとても大切にしています。2019年の年始に、ミレニアル世代の女性に向けた「平成最後の4ヶ月。あなたは、どう過ごす?」という広告を出しました。
(※)1980年から1990年年代半ばに生まれた世代
その広告は「セーラームーン」や「たまごっち」など、ミレニアル世代が体験してきたであろうブームに触れつつ、自身のなりたい将来像について問いかける内容で、SNSで数万の「いいね」がつくほど話題になりました。
反響の大きさを目の当たりにし、私たちが事業に込めている思いや、社長の福田恵里を中心にさまざまな場で発信してきた考えが、ブランドへの愛着につながっているのだと実感しました。
▲イベント「SHE AWARDS」で話すSHE株式会社の福田恵里社長
編集部
「ミレニアル世代の女性の気持ちや悩みに寄り添う」ことは、ほかの事業ではどのように反映されているのでしょうか。
下垣さん
例えば、私たちはキャンペーンやイベントを行う時、「同世代の女性として目指したいロールモデル」の人選に強くこだわります。
SHEが主催した女性起業家やリーダーをテーマにしたサミットでは、大企業の幹部のような方を呼ぶのではなく、等身大で、ミレニアル世代の女性が憧れる姿を体現している方をアサインしました。AKB48の元メンバーで、女性向けブランド「Her lip to」を立ち上げた小嶋陽菜さんや、ファッション雑誌「VERY」専属モデルの申真衣さんらです。
令和の時代では「死力を尽くして働く」という価値観は、あまり受け入れられないと思います。それよりも、彼女たちのイメージのような「仕事とプライベートの両方を全力で楽しむ」という新しいリーダーの在り方を示していきたいと考えているんです。
社員の平均年齢は35歳前後。経歴は多種多様
編集部
SHEさんには若い社員が集まっているそうですが、平均年齢はどのくらいなのでしょうか。
下垣さん
平均年齢は2023年10月現在、35歳前後です。
編集部
どのような業界を経験した方が集まっているのでしょうか。
下垣さん
さまざまなキャリアを持った人がいます。経営陣で言うと、社長の福田はリクルート出身です。大学時代から女性向けのデザインイベントを主催をしていて、それが「SHElikes」の前身となっています。
また、CMOは電通でずっと働いてきた人物で、CTOはIndeedで日本で初めてアメリカに派遣され、シニアプロダクトマネージャーを担っていたグローバルな経歴の持ち主です。CFOはリクルートやABEJAで経営企画を経験してきました。
編集部
多彩なバックグラウンドを持つ方々が知恵を持ち寄り、SHEさんの事業が推進されているのですね。
「自己研鑽手当」でリスキリングを後押し
編集部
SHEさんで、社員の成長を促進させるために注力していることは何かありますか。
永田さん
1年で組織が急拡大したこともあり、経営と現場の「結節点」となるミドルマネジメント層の強化に注力しています。
下垣さん
SHEは、ミドルマネジメントが一枚岩になることにすごくこだわっているんです。研修では、「SHEとして求めるマネジメントはこれだよ」という話が丁寧に説明され、マネージャー層はそれを実行することが評価に直結します。明確に指針が示されていることは、マネージャーの仕事のやりやすさにもつながっていると感じます。
編集部
会社の規模が大きくなったことに合わせ、今一度会社の基盤を固めているのですね。そのほか、社員の活躍を後押しするような制度はありますか。
永田さん
「自己研鑽手当」など個人のスキルアップ、リスキリングをバックアップする制度は整っていますし、社長の福田も積極的に制度を活用するよう呼びかけています。
広報がネットドラマを盛り上げるイベントを企画。職種を越えた働き方を実現
▲SHE株式会社が、「ABEMA」のオリジナルドラマ「30までにとうるさくて」と実施した共同調査
編集部
SHEさんの若手社員が活躍した具体的なエピソードがあれば、ご紹介いただけますでしょうか。
下垣さん
自分の話をさせていただくと、広報として中途で入社しましたが、広報という枠組みにとらわれずに仕事ができています。
私は2018年に新卒で就職したたばこメーカー「フィリップ・モリス・ジャパン」でPRに配属され、その後、転職したPR代理店も含め、広報一筋のキャリアを送ってきました。
SHEでは、入社から間もない2022年に、ストリーミングサービス「ABEMA」が配信した「30までにとうるさくて」というドラマのコラボ依頼を受け持ちました。そこでは、最終回に向けてドラマを盛り上げるため、結婚や出産に関するアンケート、インスタライブなどを企画しました。それらは、ABEMA内の「ABEMAニュース」で放送され、Twitter(現X)のトレンド入りも果たしました。
この仕事は、いわゆるプレスリリースを書いてメディアアプローチをするという通常の広報の仕事の進め方ではありませんでしたが、役員陣から止められることはありませんでした。このように、SHEでは「この立場だからこうしなければいけない」という制約はありません。入社歴や社会人年次も全く関係ありませんね。
妊活・つわり時に利用できる「ケア休」など、出産・育児に助かる福利厚生が充実
▲SHE株式会社のポリシーである「ワークライフダイバーシティ」
編集部
SHEさんは福利厚生も充実していると伺いましたが、特徴的な制度があれば教えてください。
下垣さん
SHEでは、福利厚生制度のポリシーを「ワークライフダイバーシティ」としており、多様性を組織内でも推進しています。その中に、「Hello! Babyプログラム」という、社員の出産を応援する制度があります。
この制度では、病気や妊活、つわりなどの体調不良に応じた「ケア休」、パートナーの出産に立ち会うための「出産サポート休暇」、子育て中に使える「キッズサポート休暇」として、それぞれ5日間の有給休暇を取得できます。
さらに、産前産後に10日間の有休が取れる「キッズウェルカム休暇」のほか、社員や社員のパートナーの出産に対し30万円を支給する「出産祝金」など各種補助制度もそろえています。
編集部
いずれも、出産や子育てをする社員にとっては非常に助かる制度ですね。
下垣さん
産休育休の期間も個人の意思が最大限尊重されます。半年休む人も、1年以上休む人もいるし、パパでもマネージャーの立場でも、気兼ねなく取得しています。
また、SHEでは「産まない」という選択をする社員の自分らしい生き方や家族の在り方をサポートする制度も、「ワークライフダイバーシティ」(福利厚生)制度の中で、指針に基づいて作っています。
周囲と協調しながら個性を発揮し「熱狂」を創る人材を募集
編集部
最後にSHEさんが求める人材について、お二方の意見をお聞かせいただけますか。
下垣さん
アイデアを形にするのが好きで、実行力がある人に来ていただきたいと考えています。また、現在は広報のポジションを積極的に募集中です。
永田さん
SHEのビジョンである「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を創る」への共感は必須で、その実現に向けた使命感も持っていてほしいと思います。
かつ、熱量がすごく高い組織なので、自分一人ではなく周囲と力を合わせ、互いにリスペクトをし合いながら、会社が提供する価値を最大化することを目指してくれる人が望ましいです。固定観念にとらわれず、柔軟な考えを持てることも重要ですね。
あとは、SHEで働くことに面白みを見出してくれたら本当に嬉しいです。そんな方々と出会えればと思っています。
編集部
多様性を尊重するSHEさんの方針は、事業だけでなく、社員同士の関係性にも反映されているのですね。また、使命感と熱意を持って仕事に取り組みたい人にとって、SHEさんの環境はぴったりではないかと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
SHE株式会社:https://she-inc.co.jp/
採用ページ:https://recruit.she-inc.co.jp/