成長企業や若手が活躍する企業などを紹介していくこの企画。今回は株式会社爽育communityをご紹介します。爽育communityは、導き方の本質やエンターテインメント性を重視した、新しい学習空間の創造に挑戦しています。
株式会社爽育communityとは?
▲「爽数研」のホームページ
株式会社爽育communityは、神戸市で小学生から高校生までを対象にした学習塾「爽数研」を運営する企業です。大学生のキャリアコンサルティング、株式会社楽天を経て、教育業界に飛び込んだ代表の兼平洋紀さんが2017年、「塾業界にインパクトを!」と自らの教室を開校しました。
兼平さんは独立前に、あえて社長一人、一教室の塾に入社して経営を学びます。そこから中学受験、高校受験、大学受験、それぞれの専門教室の事業立ち上げを担当。また30教室ほどの新規教室を立ち上げ、責任者として軌道に乗せてきました。
こうした教育現場と運営の両方の経験から、「自分(わが子)に合う塾を選ぶのはとても難しい」「そもそも市場に合う塾がない生徒たちがいる」ことを実感したといいます。そこで、自分に合う塾を探すのは難しい子どもたちや保護者の方の声に応えたいと、「爽数研」を開校しました。
現在は学習塾「爽数研」を中核に、そろばん教室、保護者への教育カウンセリング、個人塾のコンサルティング事業などを行っています。
会社名 | 株式会社爽育community |
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住所 | 兵庫県神戸市東灘区岡本2-5-6 3F |
事業内容 | ・教育事業 ・地域教育活性化事業 ・教育カウンセリング事業 ・個人塾コンサルタント事業 |
設立 | 2018年11月 |
公式ページ | https://souiku-community.jp |
今回は、爽育communityの事業の特長や若手社員の活躍について、代表取締役の兼平洋紀さんにお話を伺いました。
数学の快感やエンターテインメント性を重視した学習塾を運営
▲「爽数研」では数学を中心とした独自の教育プログラムを作っている
編集部
爽育communityさんの主軸事業は学習塾「爽数研」でいらっしゃいますが、その特長について教えていただけますか?
兼平さん
「爽数研」は私が7年前に作った学習塾です。それまでに学習塾をたくさん作ってきた中で、勉強というのは本来、子どもたちが自信をつけるためのものなのに、勉強や学習塾によって、逆に「勉強が苦手だ」「できない」と自信を失っている子がたくさんいると感じました。
そこで、「勉強ぐらいで自信を無くす生徒を0にしたい」というコンセプトで学習塾を作りました。自信のスタートは「できる!」と感じることです。「できる!」と思っていなければ、勉強はそもそもできるようになりませんよね。では、一番「できる!」を実感しやすい教科は何かなと考えたときに、それはもっとも面白くてワクワクする教科「数学」だと思ったのです。
そこで、数学を中心とした教育プログラムを作り、「数学から圧倒的に成績を拓く新しい空間」と打ち出しています。
編集部
「できる!」を実感してもらうための入口として、「数学」が最適なんですね。
兼平さん
そうです。私自身が、数学で子どもたちに自信をつけさせてきた経験がたくさんあります。数学は問題を解いた時に一番快感を伴いやすい教科だと感じています。また、考える力や、論理的思考力など土台の学力も育むことができる教科です。一番エンターテインメント性の高い教科でもあります。
そこで、苦手意識を感じている子も数学で「できる!」体験を積み、自信をつけてもらいます。数学以外にももちろん、入試に向けて全科目の対策をします。
編集部
数学を苦手と感じている生徒は多いのでしょうか?
兼平さん
小学生のときは、算数が苦手かどうかはあまり気づかないんですよ。でも、中学生になって一気に数学ができなくなる子はたくさんいます。数学のせいで勉強が嫌いになる子たちをなくしたい、という想いから、このプログラムを作りました。数学の天才を創出するというよりも、数学から勉強自体を楽しいと感じるようになってほしいという思いが強いです。
編集部
数学も他の教科も、楽しく教えることを重視しているのですね?
兼平さん
「できる!」という実感や楽しいことから成績を創るのが私たちのメソッドですので、エンターテインメント性を大事にしています。他の学年の生徒同士でチームを組んで対抗戦を行ったり、カリキュラムにゲーム性を取り入れたりしています。
「自分に合う塾がない」と感じる生徒のための教室を作った
▲「爽数研」は集団指導と個別指導の両方のメリットを取り入れた少人数指導スタイルで行う
編集部
学習塾には大手塾から地域密着塾まで幅広くあり、少子化の中で飽和状態とも言われています。こうした中で、爽育communityさんはどのような経営方針やこだわりをお持ちなのでしょうか?
兼平さん
今、私たちは神戸市東灘区という教育熱が高く、学習塾の激戦区のど真ん中で、大手にも負けない地域密着型の学習塾を作っています。
これまで私が塾経営に関わってきた中で感じたのは、「合う塾を選ぶのはとても難しい」ということです。地域に学習塾はたくさんあるのですが、例えば大手学習塾は勉強の得意な子には合うかもしれないけれど、そうでない子には合わないことが多い。勉強が得意な生徒とそうではない生徒とでは、導き方が異なるからです。
そこで、「自分に合う塾がない」と感じている生徒のための教室を作りました。授業スタイルは、個別指導と集団指導のメリット・デメリットを知り尽くしたうえで、双方のメリットを取り入れた少人数指導スタイルにしました。
編集部
塾選びに困っている保護者にはどのようなお話をされるのですか?
兼平さん
私がカウンセラーの資格も持っているので、お子さんの現状や今後の要望などをよく聞いています。そして、他の塾タイプの特徴も説明しながら、マッチする環境を一緒に探します。「爽数研」が合いそうだと思っていただければ、どのようにサポートさせていただくかを伝えています。
神戸市の学習塾激戦区で生徒数を拡大中
▲「爽数研」は学習塾激戦区の神戸市東灘区で生徒数を伸ばしている
編集部
爽育communityさんは学習塾激戦区で新しい学習空間づくりにチャレンジされ、7年目でいらっしゃいます。生徒数はどのくらい増えているのでしょうか?
兼平さん
開校1年で100名になり、現在は200名以上になっています。開校時には1フロアだった教室は3フロアまで拡大しましたが、最近はもうずっと満席状態でした。そこで、2023年の夏から隣のビルも借りて増席することにしています。面積としてはかなり広くなります。
編集部
規模の拡大フェーズにいらっしゃるのですね。塾の実績というと、有名大学や有名高校の合格実績を打ち出したものが多いと思います。爽育communityさんではそのような実績PRをされているのでしょうか?
兼平さん
いいえ、あまりしていません。トップ校合格と、基礎レベル校合格を隣にチラシに掲載したりもしています。トップ校合格はもちろんすばらしいのですが、生徒それぞれが頑張った結果をしっかりと承認してあげたいと考えています。また進学塾の実績合戦が、塾選びを間違える要素の一つにもなっている気がしています。
爽育communityの価値観に共感した保護者や生徒が集まっている
▲社名には地域でコミュニティをつくりたいという想いが込められている
編集部
「爽数研」を選ばれるのは、どのような生徒さんや保護者が多いのですか?
兼平さん
うちの塾のチラシやホームページには、ものすごくたくさん文章を載せています。そのため、有名校の合格実績を見ただけで何となく入塾を決めるような保護者や生徒さんではなく、きちんと文章を読み込んで、私自身の信念も知ってくださり、「この人と一緒にわが子を鍛えたい」と思ってくださる方が多いです。
編集部
兼平さんの想いや教育メソッドに共感される方が増えてきて、生徒数の増加や増席という事業成長につながっているのですね。
兼平さん
これからは、共感型のビジネスの時代だと思っています。私がなぜ会社名を爽育communityにしたかというと、コミュニティビジネスが大事だと思ったからです。「爽やかに育み、コミュニティを作りたい」という考えがベースにあります。損得勘定とかではなく、みんなでこの地域を盛り上げていきたいと思っています。
生徒からの喜びの声:「考えるレベルが変わった」「勉強が楽しくなった」
編集部
通われている生徒さんからはどのような声が聞かれますか?
兼平さん
生徒からは「大手塾に行っていたときは勉強が面白くなかった。でもここに来て勉強が楽しくなった」とか、「これだけ話を聞いてくれる大人はいない」とか、そんな声をもらいます。ホームページの生徒インタビューで、たくさん紹介しています。
編集部
塾内のイベントでやる気が上がったという声、数学の授業を受けて「考えるレベルが変わった」という声など、先ほど伺った「爽数研」の特長であるエンターテインメント性や数学についてのコメントもありましたね。
兼平さん
嬉しいです。ただ、塾の授業というのは、活字のマニュアルを読んだだけで誰でもできるというものではありません。今は私が社長として1人でやっているところもありますが、これからは部下たちに任せて再現性を上げていきたいと思っています。
■「爽数研」に通う生徒さんのインタビュー記事はこちら
生徒インタビュー
経営者のそばで仕事哲学も学ぶ若手メンバーたち
▲代表兼平さんは若手メンバーの育成に力を注いでいる
編集部
「部下たちに任せていく」というお話がありましたので、ここからは爽育communityさんの若手活躍について伺いたいと思います。「爽数研」の教室運営では、若手のメンバーが多いのでしょうか?
兼平さん
新卒入社のメンバーが3人いて、みんな活躍しています。
編集部
早くから裁量を持って活躍されているのですね。若手メンバーが生徒指導で悩まれたとき、例えば「自分の解説がなかなか生徒に伝わらない」という時には、どういうふうにアドバイスされていますか?
兼平さん
どう解説したらいいのかということよりも、そもそも生徒が聞く姿勢になっているのかということを確認します。例えば、「その生徒と授業前にコミュニケーションを取ったか?」とか、「生徒は今日どんな顔をしていたか?」とかです。
ひょっとすると授業がわかりにくかったのではなく、生徒が部活でうまくいかないことがあって、今日は聞く姿勢になっていなかったのかもしれませんよね。
こうした抽象的なことや根本的なことを教えるためには、私自身がそばにいて空気感を伝えることが大事だと思っています。
編集部
若手メンバーは兼平さんのそばで指導法だけでなく、仕事哲学も学んでいるのですね。
兼平さん
多店舗展開する塾の場合、社員は1人で1校舎とか、多いときには1人で3校舎とか見ることになります。その場合、仕事中は上司がほとんどそばにいないため、社員が育ちにくいんです。でも、爽育communityでは、1校舎に社員を6人置いて、今、私が徹底的に教えています。しっかり鍛えてから新店舗を出さないと、1人で行き詰ってしまいます。
編集部
爽育communityさんでは、若手に裁量を持たせながら、学ぶ環境を作っているんですね。
高校部門は大学院修了の新卒2年目社員がリーダーを務めている
▲高校部門リーダーを務める新卒3年目の松本さん
編集部
実際に若手メンバーで活躍している方の例を教えてください。
兼平さん
慶応大学大学院で数学を研究していた松本は、24歳で新卒入社し、今、3年目です。彼は数学がとても好きなので、「数学から世の中を楽しくする」というコンセプトで子どもたちを楽しませるようなオリジナルコンテンツをどんどん作っています。
しかし、先生業が上手になるだけでは、将来キャリアが行き詰まります。先生業を長く続けたいのであれば、将来1人でも塾運営ができるぐらいの力をつけないといけません。
そこで、彼はまだ3年ですが、これから事業として大きくなる「爽数研」の高校部門のリーダーを務めてもらっています。高校部門のチラシ作りや企画作りは、彼を中心に進めています。
編集部
企画や広報にも関わることで、指導現場と教室運営の両方の視点を身に付けていくのですね。
■数学の「優しさ」を子どもに伝えたいと語る松本さんのインタビュー記事
https://www.wantedly.com/companies/company_2707727/post_articles/458613
理念に沿って柔軟に進む未来。一緒に歩む人を募集
▲「社員には理念を持ち、やりがいを持って働いてほしい」と語る兼平さん
編集部
最後に、採用や今後に向けてのお話を伺います。爽育communityさんの今後については、どんな展望を描いていますか?
兼平さん
「経営者は長期計画を立て、そこから逆算して考えるもの」と皆さんかっこよく言うんですけど、10年前に自分が10年後の今、こんなことをしているなんて読めませんでした。ですので、ガチガチに計画を組むのではなく、その都度、理念に沿って柔軟に進んでいきたいと思っています。
編集部
今、一緒に働いている社員の方やこれから入社される方には、どのように育ってほしいとお考えですか?
兼平さん
爽育communityには、アカデミックで情熱的な人たちが集まっています。社員には理念に沿って、やりがいを感じながら、熱く働いてほしいです。また、仕事を通じて成長できる人になってほしいと思います。
もちろんプライベートの充実も大切。メリハリを付けて楽しんでほしいと思っています。
▲爽育communityさんにはアカデミックで情熱的なメンバーが集まっている
「出会えたことが奇跡」。代表は社員1人ひとりの話を聞く時間も大切にしている
編集部
Wantedlyのブログ記事などを拝見すると、社員には情熱的な方が多く、チーム内コミュニケーションもとても活発なのだなと感じます。
兼平さん
そうですね。コミュニケーションは多いと思います。また塾の先生になりたいっていう皆さんは生徒の話をじっくり聞くのも得意です。ただ、自分の話をしっかり聞いてほしいという思いは、みんなあると思うんです。ですので、私は2ヵ月に1回ぐらいは社員全員とマンツーマンで飲みに行くようにしています。
その時は私からアドバイスや説教はしないと誓っています。「そうだね」「うんうん」「いいと思うよ」と言いながら、ずっと社員の話を聞いています。
編集部
保護者や生徒さん1人ひとりに向き合うのと同じように、社員の方一人ひとりに向き合って、支えていらっしゃるんですね。
兼平さん
すごく嬉しいんですよ。国立大卒だったりエリートと言われたりする経歴の人たちが、こんな立ち上げたばかりの会社に来てくれるなんて。1人ひとりと出会えたことが奇跡だと思っているので、社員には感謝しています。頑張ってくれた社員とは、ずっとさわやかな関係を築きたいと思っています。
編集部
兼平さんの教育や一緒に働く方への熱い思いが伝わるインタビューでした。兼平さん、本日はありがとうございました!
■取材協力
株式会社爽育community:https://souiku-community.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/company_2707727