女性がいきいきと活躍し、グローバルな視野を持って事業を推進している企業にインタビューする本企画。今回は、美容とエンジニアリングという異なる事業領域で躍進を続ける株式会社システムデバイステクノロジーにお話を伺いました。
美容&ITで時代を先取りする株式会社システムデバイステクノロジー
IT人材の派遣、美容スタッフの派遣や業務委託、IoTやAI関連の受託開発に加えて、いろいろな新規事業に取り組む部署「TOTB」という4つの柱を持ち、独自の戦略で各事業を展開している株式会社システムデバイステクノロジー。美容部員のキャリア応援、グローバル人材大歓迎と、既成概念に捉われない思考の人材活用で成果を上げています。
会社名 | 株式会社システムデバイステクノロジー |
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住所 | 大阪府大阪市西区新町1-28-3四ツ橋グランスクエア4F |
事業内容 | ・エンジニアのアウトソース ・美容業界専門のアウトソース ・IoTに関するビジネスの展開 ・新規ビジネスの推進 |
設立 | 2006年6月 |
公式ページ | https://www.sysdt.com |
今回は、株式会社システムデバイステクノロジーの執行役員兼フィオレンテ事業部マネージャーの長谷由紀さんに、美容のスペシャリストの女性スタッフや、グローバルなITエンジニアが活躍する社内風土についてお話を聞かせていただきました。
エンジニア・美容人材の派遣やIoT、AIの受託開発まで幅広く
編集部
はじめに、システムデバイステクノロジーさんの事業内容を教えてください。
長谷さん
弊社は2006年6月に創立し、当初はエンジニアの派遣業をメインとしていました。翌年の2007年からは、美容業界の人材不足にも着目して、当初はまだ珍しかった美容関係の派遣業をスタートしています。
もともと私は美容業界の人間なので、今も美容関連の業務を主に担当しています。2016年に代表が変わった後は、美容人材の業務委託に加えて人材派遣業務にも力を入れています。
例えば百貨店のコスメ売り場には、美容部員やメイクアップアーティストの皆さんがいますよね。そういった美容人材を、必要な日程だけスポットで提供する仕事を業務委託ではメインとしています。
編集部
代表が変わったことによる変化は、他にもありましたか。
長谷さん
事業部がさらに2つ増えました。1つはIoTやAIを受託開発する事業部「J-all」、もう1つは「TOTB」といって時代とマッチしたビジネスをいろいろと展開していくチームです。今現在、先ほど説明したエンジニア派遣と美容人材の業務委託・人材派遣と合わせ、計4事業部で業務を推進しています。
編集部
J-allではIoT関連の事業を行っているとのことですが、具体的にはどのような実績があるのでしょうか。
長谷さん
受託開発がメインです。具体的な企業名などを出すことができないのですが、例えば数年前に流行った落とし物タグの分野では、Amazonで日本のシェアで一番売れたと言われている製品を共同開発し、量産まで繋げた例があります。
あとは、生まれたての赤ちゃんは無呼吸の状態になってしまうことがあるのですが、それをモニタリングして異常を知らせるために心拍を測定する機械も、メーカーと一緒に開発しました。
編集部
テレビのニュースで、保育所でそういった機械を導入した事例を観た記憶があります。
長谷さん
はい、話題になりました。具体名は挙げられませんが、J-allが携わっている話題の商品が、実は多数あります。
編集部
もうひとつの新部署、TOTBはどのような事業を行ってますか。
長谷さん
東大阪の例をお話します。下町ロケットの舞台とも言われていて、工場が多い地域なのですが、技術はしっかりあるのに、宣伝や営業が苦手な方たちが多かったんです。TOTBではOSASというチームが、「物作りが得意」、「営業が得意」、「見せ方、広告宣伝が得意」という各会社を集めて、1つのプロジェクトを作っています。
例えば、ある案件があったとき、技術面はこの会社に任せて、営業はあっちの会社に任せる、と分担し、各会社みんなが利益を取りやすくするという仕組みです。
編集部
ビジネスを活性化するための、新しいコミュニティづくりを行っているんですね。従業員数は全体で何名ぐらいですか?
長谷さん
オフィスの中で働いているメンバーは常時10~15名ぐらいです。外で働く派遣業、業務委託業の稼働も合わせると、50~80名ぐらいになります。
社内の部署の中で人数が一番多いのは、「フィオレンテ」という美容事業部です。業務委託・人材派遣をしている関係もあり、女性を中心としたチームとなっています。
エモーショナル&ロジカル、両者が理解しあうことで独自のシナジーが生まれる
▲美容チームとエンジニアチームが常にコミュニケーションを取ることで強みを発揮できる
編集部
部署によって、雰囲気やカルチャーの違いはありますか。
長谷さん
全然違いますね。外部に弊社の社風を説明するときも、「エモーショナルとロジカルが共存する企業」だと言っているくらいです。
編集部
どういうことでしょうか。
長谷さん
美容事業部は、感性を重視して対話をしていく人が多い、明るい感じの事業部です。まさにエモーショナルな雰囲気があります。
一報で、同じフロアにエンジニアのJ-allという事業部があるんですが、J-allは香港人のリーダーのもとで、香港、台湾などグローバルなエンジニアがIoT、AIの開発をしていて、とてもロジカルなチームです。
編集部
エモーショナルな美容人材と、ロジカルなエンジニア人材が隣同士で働く環境なんですね。
長谷さん
ここが実は、システムデバイステクノロジーの強みです。エンジニアが開発をするとき、今のシステムはユーザビリティが弱い、つまりユーザーが使いにくいものが多いと言われているんですよ。
当社ではITリテラシーの低い美容事業部が、エンジニアが開発したシステムを実際に使用して、「このボタンの配置は使いにくいかも」「デザインをイマドキの配色にした方がいいかも」など、率直な意見をフィードバックしているので、ユーザービリティーの高いシステムやツールを提供することができています。
逆に、美容事業部は感情豊かなチームである一方、論理性が弱い傾向があります。ここにエンジニアのロジカルシンキングを入れることによって、美容業界の中でも少し異質な考え方ができるという強みになっています。
編集部
美容部員の方がロジカルシンキングを身に付けることで、具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。
長谷さん
例えば、今私は百貨店に入っている、ある大手の化粧品ブランドのマネージャー研修を行っています。美容部員の現場は、マネージャーレベルでもどちらかというと感情を重視する傾向があり、好き嫌いが判断材料の多くを占めてしまうこともありがちです。
そこに論理性を持たせることにより、メタ認知の仕方や組織力についての考え方を提供することができています。フィオレンテでは常に、「なぜうまくいかなかったのか」と原因を追究する姿勢が根付いているのですが、他の美容関係の会社の方からは異質だと言われることが多いですね。
編集部
エンジニアと美容部員、ある意味カルチャーの違う者同士が一緒に働くことで、どちらの部署にとってもプラスの効果が生まれているということですね。
有能な美容スタッフのキャリアを、結婚・育児で断絶させない
編集部
システムデバイステクノロジーで働く女性スタッフの皆さんの、美容事業部での働き方について教えてください。
長谷さん
美容業界というのは、せっかく何年、何十年とスキルを磨いてキャリアアップをしても、結婚や出産を機に退職すると、技術がリセットされてしまう問題があります。人材側に落ち度があるのではなく、企業側が「ブランクがあるから、最初からやり直しね」と言ってしまう傾向があるんですよ。
編集部
ライフステージが変化すると、ベテランの美容スタッフのキャリアが失われてしまうんですね。
長谷さん
さらにキャリアを継続する上でもうひとつ問題なのが、フルタイム勤務を要望される現場だということです。技術があっても短時間しか働けない、有能な人材が余る状態になっています。この状況を、私たちフィオレンテは変えたいと思っています。
例えば、外資系の百貨店やブランドで10年ぐらい働いていた方が結婚・出産を機に辞めて、美容業界に復帰したいと考えてもどこも受け入れ先がなかったんです。弊社では、例えば月のうち数日しか働けない方、時短でしか働けない方にも、業務委託という形で好きな時間に働ける環境を提供しています。
編集部
企業側が望むフルタイムでなくても、フィオレンテさんではきちんと成果を出していけるということでしょうか。
長谷さん
ポイントの1つは雇用形態だと思います。業務委託という形にすることで、フリーランスの方をスポットで入れるビジネスモデルを確立しました。
クライアント側は、本当に美容部員が必要なときだけしか人的コストが発生しないので、メリットは大きいと思います。さらにフィオレンテではスキルの高い人材を多く持っているので、「人手が欲しい日に有能な人が来る」というメリットも感じていただいています。
編集部
クライアントに明確なメリットがあるので、ビジネスとして成り立っているんですね。スキルの高い人材を確保できる理由はありますか。
長谷さん
基本的には、キャリアのある人だけを採用しています。キャリアのない方に対しては、社内で研修をして、技術や販売するためのコツ、心理学的な素養を身に付けてもらっています。
週3日・短時間でも第一線で働き続けられる、美容業界の働き方改革をしたい
編集部
フィオレンテではどういった方が活躍しているのか、具体例を教えてください。
長谷さん
主要都市ではない、首都圏外の主婦スタッフの例をお話しします。彼女は、もともと百貨店のブランドで働いていた方なのですが、結婚・出産を機に辞めたそうです。
その後、子育てをしながら、週3日、1日5時間程度という条件で復職したのですが、最初は「その条件でいいよ」と言われていたものの、「やはり雇用継続は難しい」ということで辞めざるを得なくなってしまったんです。今は弊社のフィオレンテ事業部に登録して、週3日、1日7時間ぐらいのペースで仕事を続けています。
編集部
実際にフィオレンテさんで働いて、その方からどのような感想を聞いていらっしゃいますか。
長谷さん
研修制度がしっかりしているということに加え、「好きな仕事を諦めずにいられることや、自分が働きたいタイミングでパフォーマンスが出せるのが何よりも充実している」という喜びの声を聞いています。
編集部
ライフスタイルに合わせた働き方ができるのはありがたいですよね。フィオレンテさんではスタッフが活躍するために、会社がバックアップしてくれる制度もありますか?
長谷さん
月に1回、フリーランスの業務委託スタッフとみんなでオンラインミーティングをして、各々の成功事例や失敗事例を共有しています。そして、その後失敗事例を分析してフィードバックすることも行っています。業務委託のスタッフは関東・関西などさまざまな現場にいるのですが、フィオレンテのメンバーとして1人で出勤しているので、ちょっと心細い面もあるんですよ。
月1回のオンラインミーティングで悩みを共有することで、「みんなが頑張っているんだから、私も頑張ろう」とか「こうやって悩みを解決していけばいいのか」という気づきにつながって、モチベーションアップになっています。
編集部
完全に独立しているフリーランスとは違って、全国に仲間がいることで働き続けやすくなるシステムなんですね。
長谷さん
第一線から離脱してしまった方たちが働きにくい現状は、時代にマッチしていないと考えています。フィオレンテ事業部は、そこに革命を起こしたいと思っているんです。
私達が何かしらの起爆剤となることで、美容業界の制度や各ブランドの雇用範囲が広がり、新しい雇用方法が生まれるなど、もっと今の時代に合う状況を作れると考えています。
編集部
長谷さんが思い描いているフィオレンテの未来像はありますか。
長谷さん
将来の夢は、フィオレンテ事業部を株式会社フィオレンテにすることです。今は部内に7つのチームがあるんですけど、それが将来的には7つの部署になるイメージで作っています。
今は人材を提供する仕事がメインですが、他にもいろいろな仕事をスタートしています。例えば化粧品ブランドの製品開発に弊社のノウハウやリソースを提供していたり、先ほど言ったようなマネジメント研修など美容部員の研修をするチームもあります。同社内のJ-allと組んだシステム開発も行っています。
編集部
1個1個の仕事がシナジーを生みつつ、幅広く働く女性をサポートしているんですね。
日本語が話せなくてもOK、グローバルな人材が活躍できる職場
▲代表取締役の本田稔さん(右)を筆頭に、多様な人材が活躍できる風土を創り出している
編集部
先ほど、J-all事業部では香港出身のメンバーなども多いと伺いましたが、システムデバイステクノロジーさんではグローバルな人材が活躍しているのでしょうか。
長谷さん
J-allを設立した当初は日本人のエンジニアが多かったのですが、あるとき香港のエンジニアがジョインしてくれたんです。そのスタッフは、日本語は片言なのですが、日本が大好きで仕事も熱心。当社のカルチャーにかなりマッチしたんです。
その成功例から、「こういう人材はもっと世の中にいるのではないか」ということで、日本国内以外にも視野を広げて、仲間を募るようになりました。いろいろな知見や意見を持っている人が集まることによってチームとして良い成長を遂げられるという思いがあるので、人種は問わず、日本語が喋れなくてもOKとしています。
編集部
コミュニケーションは日本語ですか?
長谷さん
J-allのリーダーは日本語が達者ですが、部下のエンジニアたちは日本語が喋れません。リーダーと会話ができれば、つまり英語か中国語を喋ることができればOKにしています。
共通言語がなくても、気軽にコミュニケーションができる風通しの良い環境
編集部
グローバルな方たちに活躍してもらうメリットを教えてください。
長谷さん
良くも悪くも、日本は古風で固定概念が強い傾向があります。グローバルなスタッフがいることで、その固定概念を払拭する知識や意見をもらえることがメリットだと考えています。「ちょっと考え方が固かったな」とか「この方法でアクセスにした方がお客様にとってはいいよね」と視野や思考が広がっています。
編集部
グローバルなスタッフが活躍しやすい環境づくりなど、工夫している点はありますか。
長谷さん
リーダーが中国人であり、「英語か中国語のどちらかだけ喋れたらOK」という点が、何よりも安心して働ける環境だという声が多いですね。
編集部
日本企業で外国のエンジニアを雇用するとき、やはり言語の壁は大きいので、日本語が必須でなくなれば優秀な人材が集まりそうですね。
長谷さん
私も人事メンバーなので、一次面接の面接官は私なんです。日本語ができない方でも、基本的には私とコミュニケーションをして、「喋れなくても、こちらが言おうとしていることを理解しようとしてくれているかな」という姿勢を見て、合否を判断しています。
編集部
いつ頃からグローバルなカルチャーになったのでしょうか。
長谷さん
本田が代表に就任した2017年ぐらいからだと思います。
編集部
7年ぐらい前から徐々にという段階なんですね。今後も、J-allではグローバルなスタッフを積極的に採用する方針ですか?
長谷さん
はい。日本の企業で働きたいけれど、日本語が喋れなくてもどかしい思いをしているエンジニアの方には、ぜひ弊社の門を叩いてもらえるといいなと思います。リーダーを含め、英語・中国語がとても上手なので大丈夫です。
あとは美容チームも含めて、メンバーみんなが「元気?」とか「おはよう!」と話しかけるカルチャーなので、働きやすいと思います。
編集部
とても風通しの良い、コミュニケーションしやすい社風なんですね。
チャレンジに前向きな人、美容業界を変えたい人を待っています
編集部
最後に、この記事を読んでシステムデバイステクノロジーさんに興味を持った方に、採用に関するメッセージをお願いします。
長谷さん
私たちのプライオリティ4という会社方針の中に、「チャレンジ精神」と「前向きであること」というのがあります。チャレンジをした失敗に対して、社長は怒りません。むしろ「仕方ないやん!チャレンジしたんだから」と言ってくれます。
自分を変えたい、新しいチャレンジをしたいという方であれば、基本的には大歓迎です。美容やエンジニアという専門的な職種以外にも、事務的な役割を担うマネージメントアシスタントというポジションもあります。
前向きにチャレンジする気持ちがあればその人に合った場所を提供できる会社ですので、美容業界を変えたいと思っている方は、ぜひ一緒に働いていただけると嬉しいです。
編集部
美容部員として働き続けたい女性や、日本で働きたい外国の方を、柔軟な考え方で受け入れて、ビジネスモデルを確立してきたシステムデバイステクノロジーさんであれば、また新たなチャレンジが実を結びそうですね。本日は、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社システムデバイステクノロジー:https://www.sysdt.com/
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