新しい働き方を実践している企業に詳しく話を聞かせてもらうこの企画。今回は「働くを変える」をミッションに掲げ、メディア運営や企業のマーケティング支援などを行っている株式会社イノベーションにお話を伺いました。同社は、従来の労働観にとらわれず、柔軟な働き方を推進することで、社員の生産性向上と豊かな生活の両立を目指しています。
株式会社イノベーションの事業概要
▲株式会社イノベーションのミッション(公式サイトから引用)
株式会社イノベーションは、多くの企業やビジネスパーソンにITに関連する支援を提供し、日本の「働く」を変革しようとしているグループ企業です。
イノベーショングループは、セールスマーケティングに特化した事業を中心に2000年に設立され、2016年に上場しました。現在4社の子会社/関連会社を持ち、既存事業への投資やM&A、新規事業創出に注力するほか、様々な業界・領域の働き方に新しい価値を提供しています。
主力事業は、BtoB製品・サービス情報を集めた「ITトレンド」を中心とするオンラインメディア事業と、マーケティングオートメーションツール「List Finder」を提供するセールスクラウド事業です。また、ビジネス動画プラットフォームサービス「bizplay」の利用者も拡大しています。
会社名 | 株式会社イノベーション |
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住所 | 東京都渋谷区渋谷3-10-13 TOKYU REIT 渋谷Rビル3F |
事業内容 | ■オンラインメディア事業 IT製品の比較・資料請求サイト『ITトレンド』を基軸にIT関連企業のマーケティングを支援 ■ITソリューション事業 マーケティングオートメーションツール『List Finder』等SaaSを軸とした営業活動の効率化支援 ■金融プラットフォーム事業 金融商品仲介、M&A仲介 ■VCファンド事業 INNOVATION HAYATE V Capital 投資事業有限責任組合の運営 |
設立 | 2000年12月14日 |
公式ページ | https://www.innovation.co.jp/ |
働き方 | コアタイム11:00~15:00、フレキシブルタイム6:00~22:00のフレックス勤務制度 |
今回は、株式会社イノベーションのコーポレートデザインユニット人材開発グループのグループマネージャーである山宮さん、そして同グループ内チームリーダーである神田さんにお話を伺いました。女性の活躍推進、在宅勤務の取り組み、独自の企業文化などについて詳しく聞いています。
「働く」を変える多角的な事業展開で急成長
▲株式会社イノベーションのグループ概要(公式サイトから引用)
編集部
まず最初に、イノベーションさんの事業内容について聞かせていただけますか?
山宮さん
私たちは、『「働く」を変える』をミッションに掲げたグループ企業です。
親会社であるイノベーションでは管理部門や経営企画、エンジニアを統括しており、各事業は全て子会社化しています。IT系の事業を行う株式会社Innovation&Co.と株式会社Innovation X Solutions、金融系の事業を展開する株式会社Innovation IFA Consultingと株式会社Innovation M&A Partnersがあります。
編集部
それぞれ、どういった事業を展開されているのか教えていただけますか?
山宮さん
株式会社Innovation&Co.は、「ITトレンド」などのBtoBに特化したオンラインメディア事業を行っています。株式会社Innovation X Solutionsでは、営業プロセスの非効率を解決する「List Finder」というマーケティングオートメーションツールなどを提供するITソリューション事業を展開しています。
株式会社Innovation IFA Consultingは個人向けの資産運用コンサルティング事業を、株式会社Innovation M&A Partnersは企業向けのM&Aコンサルティング事業を行っています。
編集部
イノベーションさんは急成長中と伺っておりますが、その要因となったのは何なのでしょうか。
山宮さん
皆さんも実感されていると思いますが、昨今、日本の企業全体の働き方が大きく変化しました。我々は以前から「働く」を変えるサービスを展開していたため、この時代の変化と我々の活動が相まって、会社が成長できたのではないかと考えています。
具体的な例として、弊社のメディアへの来訪者数は新型コロナウイルスの流行前に比べて倍以上に増加しています。
女性管理職の活躍を当たり前に
▲株式会社イノベーションの社員の平均年齢グラフ(公式サイトから引用)
編集部
ホームページのグラフを見ると、社員の85%近くが20代から30代で、かなり若い構成になっています。この中で管理職やリーダー的な立場についている女性はどれくらいいるのでしょうか?
神田さん
グループマネージャーやチームリーダーといった役職・役割がある社員の割合でいうと、2023年3月時点で40.7%が女性です。具体的には、グループマネージャーという役職では女性の割合が33%、リーダーという役割では女性の割合が60%になります。
編集部
数値を聞くと、責任ある立場にいる女性の比率が非常に高いように感じます。イノベーションさんでは、女性が働きやすい環境を特別に整えているのでしょうか?
山宮さん
それはよく聞かれる質問ですが、私たちはこの状況を当たり前のこととして捉えています。弊社が上場する以前から、女性社員たちが自ら役職についたり、様々なことに挑戦したりするロールモデルとなっていたことが大きな要因だと考えています。
組織内の男女の割合にはこだわらないというスタンスを取っているため、「私もイノベーションで頑張りたい」と思う女性たちが増え、結果的にこのような数値になったのだと考えています。
育休・産休からの復帰を支える柔軟な職場環境
編集部
昨今は「女性活躍」を掲げる企業が多い一方で、育休・産休後の復帰率が課題として挙げられています。イノベーションさんのこの点に関する数値を教えていただけますか?
神田さん
育休については、過去3年間(2020年~)で10人が取得し、全員が復帰しています。現在も5人が育休を取得中で、全員が復帰予定です。
編集部
それはかなり高い復帰率ですね。休暇期間は半年から1年と長期に及ぶと思いますが、復帰の際に支障はないのでしょうか?
山宮さん
復帰前に上司と面談を行い、安心して戻ってこられるよう環境を整えています。組織やプロジェクトの変更もあるため、上司だけでなくチームメンバーとも話し合い、復帰までの体制を整えています。
他社では「産休・育休後に復帰しない」ケースがあると聞いて驚きました。当社では復帰が当然という認識です。
また、短時間正社員制度については、法定の3歳以降でも申請と会社の承認があれば利用可能です。
山宮さん
特別な制度があるわけではありません。制度だけでは不十分で、復帰しやすい雰囲気が重要です。制度以上に、女性が活躍できる企業文化が最も大切だと考えています。
編集部
協力し合う風土の中で、個人ではなくチームで状況を確認しながら仕事を進めることが、復帰のしやすさにつながっているのですね。
主体性重視の文化が若手の成長を促進
▲株式会社イノベーションのバリュー(公式サイトから引用)
編集部
イノベーションさんで働く女性社員の代表として、神田さんにお話を伺いたいと思います。まず、入社されてからの年数を教えていただけますか。
神田さん
中途入社をして今年で6年目になります(2023年6月時点)。前職は人材サービスの会社で新卒採用を担当していました。転職のきっかけは、社会へのアプローチ方法を変えたいと考えたことです。
人材サービスは素晴らしい仕事だと思っていましたが、私はより根本的なところで、仕事に対してポジティブな人たちを増やしていきたいと考えるようになりました。そうすることで、社会への貢献度がさらに高まるのではないかと思ったのです。
イノベーションを選んだ理由は、会社の理念に共感したことと、人事としてのキャリアを築くのに適していると感じたからです。
編集部
神田さんは人事の知識をお持ちでしたが、新しい環境での適応には苦労もあったと思います。入社直後、先輩たちからどのようなサポートを受けられましたか?
神田さん
実は、山宮さんが入社当時からの上司で、二人三脚で密接にサポートしてもらいました。説明資料を一緒に考えたり、ディスカッションしながら育ててもらった感覚が強いですね。
弊社は、社員の主体性を非常に大切にしている会社だと感じます。完全なトップダウンではなく、一人ひとりが自分の意思を持って行動することを重視しています。これが若手の成長を促し、当社独自の文化を形成している要因だと思います。
編集部
入社当時に任された仕事について、具体的なエピソードを聞かせていただけますか?
神田さん
例えば、新卒採用で「今年は〇人採用です」という指示があっても、その人数が適切かどうか、どのようなターゲットに向けてどのような戦略で動くべきかを自ら考えて実行することができました。
単に業務を任されるというよりも、社員の意思や業務へのアプローチを尊重してもらえるという意味での「任される」という感覚です。
編集部
なるほど。神田さんのように、自主性を尊重されながら活躍されている女性が多い社風なのですね。
充実した在宅勤務制度と柔軟な勤務体系
▲株式会社イノベーションの制度(公式サイトから引用)
編集部
イノベーションさんはフレックスタイム制とのことですが、コアタイムは何時から何時までなのですか?
山宮さん
コアタイムが11時~15時で、フレキシブルタイムは6時~22時になっています。
編集部
在宅勤務を推奨しているとのことですが、ホームページに書いてあった「いのワク手当」について教えてください。
山宮さん
「いのワク手当」とは、「働く」を支援する手当、つまりは在宅勤務手当のことで、在宅日数に関係なく全社員に支給されます。使途は光熱費やインターネット費用など多岐にわたります。
また、入社時に一度だけ3万円が支給されます。これは在宅勤務環境整備のためのもので、椅子やデスク、PCモニターなどの購入に充てることができます。
編集部
普段在宅勤務をしている方は、どのあたりで働いている方が多いのでしょうか?
山宮さん
現状はほとんど関東圏内です。ただ、事前申請により実家での勤務も可能で、大型連休前後に実家に帰省して働く社員もいます。
編集部
出社する方はあまり多くはないのでしょうか?
神田さん
そうですね。イベントや社内合宿、展示会やセミナーの際は出社することもありますが、通勤圏内でも3か月ぶりに出社したという社員もいるほど在宅勤務がメインになっています。
編集部
最近では、オフィス出社に戻ってきている企業様のお話をよく聞きますが、イノベーションさんでは柔軟な働き方ができる体制を保持されているのですね。
「ごしめんだん」制度:上司を指名できる面談システム
編集部
先ほどの「いのワク手当」に加えて、「ごしめんだん」など、イノベーションさんの制度のネーミングセンスが秀逸ですね。この「ごしめんだん」制度について詳しく教えていただけますか?
神田さん
「ごしめんだん」は「ご指名制度面談」の略称で、社員が面談相手を指名できる制度です。グループマネージャー以上の役職者が指名対象となり、役員や代表も含まれます。自分の所属部署に限らず、他事業部の上司も指名可能です。
面談の内容は多岐にわたり、異動希望、キャリアや業務相談、さらには人生相談まで様々です。
神田さん
日頃から上司や他のメンバーとのコミュニケーションが活発なため、制度を利用しなくても十分な対話ができる環境があります。
例えば、代表取締役社長の富田直人に「30分だけお時間をいただけますか」と直接依頼すれば、快く応じてくれます。事業部長やグループマネージャーも同様で、必要な際は予定を調整して面談の機会を設けられます。
神田さん
代表は社員の成長支援に熱心で、入社1年目のメンバーから「1対1でランチをしたい」と言われても、「いつでもいいよ!」と快諾してくれます。そのため、年齢やキャリアに関係なく、社員間の距離が近い会社だと感じています。
ただし、公式な制度として設けることも重要です。まだ面談をしていない方もいるので、今後も積極的に活用していきたいと考えています。
副業推奨でキャリアの幅を拡大
編集部
社員の方々の自主性を重視するという面では、副業も許可されているそうですね。
神田さん
はい。弊社は2018年9月から副業を認めています。社内では得ることが難しい新たなスキルや経験を高めて本業に活かすこと、また社員個人のキャリアの幅を広げていくための支援だと考えています。
編集部
副業を始めるにあたってのルールはありますか?
神田さん
ルールとしては、事前の相談と申請が必須であることが挙げられます。また、残業との兼ね合いも重要です。副業に大幅な時間を割くと本業とのバランスが崩れてしまうので、その点は注意してほしいところです。
最近では、若手のメンバーの中にも副業を始めている人たちが増えてきています。
オンラインとリアルを融合させた社内イベントの取り組み
編集部
在宅勤務が主となっている中、イノベーションさんが社内カルチャーを全体に浸透させるために行っている施策はありますか?
山宮さん
5月に、社員全員が集まるリアルイベントを開催しました。これは『「働く」を変える』をテーマに議論し、表彰式と懇談会を行うという内容になっています。
イノベーショングループは、出社したい人は出社し、在宅で仕事したい人は在宅勤務を続けられる体制を取っています。物理的には離れていますが、ミッションやビジョンの実現により一体感を醸成するため、年に二回はリアルで会うことに決めました。
山宮さん
社内では「INNOVATION's Day」と呼んでいるこのイベントでは、今回「在宅勤務の長所と短所を共有しよう」というテーマで議論しました。
午前中の約3時間で課題の提示と解決策の実行について話し合い、その後に表彰式と懇親会を行い、17時に終了するという流れです。非常に充実した1日になりました。
編集部
普段は在宅勤務で顔を合わせる機会の少ない社員の皆さんが一堂に会するイベントは、とても有意義そうですね。
「働く」を変える情熱が求められる職場環境
編集部
イノベーションさんの社風を一言で表すとどういった感じになりますか?
神田さん
「支え合い」じゃないでしょうか。
互いに挑戦の機会を提供し、成長を支援し合い、困っている社員がいたら手を差し伸べるという姿を何度も見てきました。そういった文化を大事にしていることもあり、社員の多くが高い貢献意欲を持っていると感じています。
また、イノベーションらしい社内文化を創造・醸成させることへの想いがとても強いので、チームの一体感を大切にしています。その結果、良い意味でアットホームかつ、率直にコミュニケーションが取れる会社となっています。
編集部
では最後に、この記事を見てイノベーションさんに興味を持った方に向けてメッセージをお願いします。
神田さん
「働く」を変えるというのは簡単ではなく、我々自身にとってもミッションの達成は大きな課題です。しかし、それを実現できるかどうかは、個人の強い思いや情熱が重要だと考えています。
弊社は同じ志を持った方であれば、同じ熱量で成長や感動を感じながら頑張れる環境です。我々と一緒に世の中の「働く」を本気で変えることに挑戦していただける方、熱い気持ちを持っている方はぜひご応募ください。
編集部
情熱を持って仕事に取り組むカルチャーが浸透していること、また性別を問わず働きやすい雰囲気ができていることなど、イノベーションさんの働く環境に魅力を感じる方は多いと思います。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社イノベーション:https://www.innovation.co.jp/
採用ページ:https://www.innovation.co.jp/recruit/